診断士1次試験 科目毎の勉強のポイント(3)

 

こんにちは。CKです。

今月は主に皆様からの受験体験記をご紹介してりますが、昨年からのシリーズで初学者の方向けに1次試験の学習ポイントをお伝えする記事をお届けます。これから学習を始める方のガイダンスとしてご覧いただけたら幸いです。
「1次試験学習のポイント」今回は最終回として、残り3科目(情報、法務、中小)です。
前回までの記事はこちらです。
第1回 企業経営理論、財務会計
第2回 運営管理、経済学・経済理論

残る3科目は、暗記が中心になる科目であるため「暗記三兄弟」などと言われたりします。秋から学習を始められた方は、そろそろこれらの暗記科目に差し掛かって来ることかともいます。学習量を積むことで点数は上がって行きやすいですが、分野が多岐に渡りますので取っ掛かりしやすいように学習のポイントを列挙していきたいと思います。
※3科目分となり、ボリュームがありますので、お時間があるときにお読みください!

では行ってみましょう!

経営情報システム

特徴

・内容はいわゆるIT。基本的には、企業で使うITシステムの導入という視点から必要な知識が対象になっていますが、基本的なコンピュータの仕組みやネットワークの仕組みなども対象になってきますし、最近のトレンド用語に関する出題もされます。

・そのため、出題の範囲としては広いものになっていますが、出題のされ方はパターン化されており、各項目の出題比率は毎年安定していますので対策は取り易いです。難易度もここ数年は安定しています。

・また出題のされ方も「素直」です。ストレートに語句の意味をや理解を聞いてきますので、「引っ掛け」をしてくることは少ない科目です。解答の際には深読みせず、素直に回答していくのが良いかと思います。問題文を読む(解釈)するのにも時間が掛からない科目であると言えます。よって、一旦習得すると安定して得点が取りやすく、得点源にしやすい科目です。

 

学習のポイント

・まず、専門用語が沢山出てきます。しかも英語の略語(DMZ,CSSなど),もしくは、そのままカタカナにしたもの(フールプルーフ、フェールバックなど)が多いです。似たような言葉が沢山出てきますので混同しないように丁寧に覚えていく必要があります。テキストを読むだけで覚えにくい場合は、ノートなどに書いて手を動かしながら覚えると効果的です。

・また、システム(仕組み)を覚えるものもあります。OSI基本参照モデル、3層アーキテクチャ、デュプレックスシステムなど、テキストに図で掲載されているものは、そのままノートに図を書き写すくらいやったほうが頭に残りやすいです。

・どうしても覚えにくい箇所は、語呂合わせも有効です。情報系には他の資格試験も多数存在しているため、ネット上にも沢山の語呂合わせが転がっています。気になるワードがあればネットで検索してみると良いかもしれません。

・過去問の学習時には、正解ではない他の選択肢についてもその意味について押さえておいてください。誤選択肢は別の用語の説明だったりしますので、併せて復習しましょう。また各用語に対して、出題者がどのような表現をしているのかを確認しておくことで、自分の理解とのズレがあったりすれば、このタイミングで修正しておきましょう。

・SQL、正規化については、処理問題も出題されます。やり方さえ覚えておけば対応できる場合が多いので、過去問などを繰り返し解いてマスターしておきましょう。またしばらくするとやり方忘れてしまうので、本番直前期にも必ず解いて手順をおさらいすると良いでしょう。

・統計に関する問題が2問程度出題されることがあります。独特の概念のものになりますので、しっかり勉強するとそれだけで1科目分くらいのボリュームになってきます…。苦手な人は、テキストに書いてあることだけはなんとなく分かるというレベルまでしておく「割り切り」で対応してもいいかもしれません。

オススメの記事

【渾身】経営情報システム~略語に強くなろう2020~ (3ch)
まずは、略語攻略! 過去6年間の出題頻度ランキングでよく出てくる略語を紹介しています。またライキングでも覚えておくべき厳選略語も紹介。ここに掲載されている略語を一通り押さえるとかなり気持ちが楽になると思います!
また、先代が整理してきた出題略語一覧のエクセルシートもアップデートされていますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

経営情報システム 専門用語の攻略法(3ch)
11代目が誇る「ITの鬼」である3chがお届けする、上記事の続編です。略語以外も含めた専門用語全体を一覧にまとめたエクセルシートがダウンロードできます。またこれらの専門用語の攻略法についても解説。用語が沢山で頭がパンクしそう!という方は参考にしてはいかがでしょうか。

【渾身】情報ゴロ合わせ総まとめ! (10代目かわとも)
そうは言っても「なかなか覚えられへん」という方も沢山いらっしゃると思います。そんな時にはゴロ合わせ。10代目かわともが情報の語呂合わせをエクセルシートにまとめています。また、かわともが書いているように「自分で作り出した方が記憶に残る!」というのも、その通りだと思います。この記事で作り方のコツみないなモノを感じ取って是非オリジナルの語呂合わせを作ってみてください!

-雑草魂流【渾身】-「経営情報システム」攻略 その1 (9代目 ルナ)
暗記3兄弟と言われる経営情報システムですが、単に無機質に覚える(頭に詰め込む)よりも、イメージが掴めたら「暗記→理解」に出来たりもします。ITの分野は、わかりやすい市販の書籍も充実していますので、こちらのルナの記事もご参考ください。

【渾身】システム開発見積りをスッキリ整理  (Tomatsu)
テキストも後半に進んでいくと、COCOMOとかCoBRAとかシステム開発でも沢山の用語が出てきます。その中でもシステム開発見積方法については、実務で経験がない方はイメージがつきにくいのではないでしょうか。(スピテキでもサラッと説明されているだけです)
この見積手法を図解も交えながらスッキリ整理している記事ですので、ご一読いただくこと超オススメです。

【渾身】統計学について (岩塩)
最後は我ら11代目が誇る統計クイーンの岩塩の記事です。「統計学のイメージをざっくり理解しよう」という内容になっています。統計は独特の概念だと思いますので、一度こちらの記事を読んでおくと入りやすいのではないかと思います。(私は受験生時代に、このイメージがつかめず苦労しましたので、昨年読んでおきたかった記事です…)

 

経営法務

特徴

・法律独特の用語もあり、とっつきにくいためか苦手とする人も多いと聞きます。また、難化する年度もあるため、足切りを防ぐためにもしっかりとした対策をしておきたい科目です。
・問われ方もストレートに語句の意味を聞くものは少なく、法律や制度の概要を理解した上でOK/NGの方向性をもとに解答していく問題も多いのが特徴です。
・とはいえ、決して攻略不可能ではなく、法律の中でも範囲は限られますのでテキストレベルの理解で十分対応可能です。特に、会社法関係、知財権関係がメインになってきますので、これらはしっかり仕上げましょう。

 

学習のポイント

・TACのスピードテキストでは、大まかに「民法、相続など」→「会社法、資本など会社周り」→「知財権などビジネス周り」の構成になっています。最初の「民法」の箇所で法律用語の定義など、普段馴染みがない方は面食らう内容が並んでいるかもしれませんが、読んでもイメージがつきにくい場合は、一旦は深堀りせずに(完璧に覚えていなくても)、会社法以降の学習を先にやってから、また戻ってくると理解易いかと思います。

・会社法については、機関設計や株式周りなどの内容が中心になります。ここでのおすすめは「社長になった気分」で読んでいくことです。例えば、株主総会の決議要件などは、自分(社長)が何か議案を通したい時どのような制約があるか、といった観点で見ていくと単純に書いてある内容をそのまま暗記するよりも頭に入って来やすいです。

・知的財産権については、特許、実用思案、意匠、商標の違いを押さえていく部分が幹になります。テキストをさっと読んだだけでは、何となくそれぞれの性格は理解できますが、試験ではその違いのディテールが問われますのでこのレベルでは対応できません。各権利について、その「違い」の部分に注目し、例えば「登録要件」「類似のものに対する権利」「実施権」などの各項目についての比較を一覧表にしてまとめて、何度も見返すなどことがオススメです。
・英文契約書についても出題も毎年されますが、こちらについては以前記事に書きましたように、英語が苦手な人も決して捨て問にせずトライした方がいいと思います英語がわかっていなくても、一般的な契約書や貿易に関する基本的な知識だけで、さくっと正解できる問題も多数ありますので、チャンスです。
・この科目全体に渡って言えることですが、「数字」を問われる問題が多々あります(例えば、不法行為に対する請求は知ってから3年、詐害行為は知ってから2年、発生から20年、監査役の任期は4年、特許の審査請求は出願から3年 等々)。これらの数字は覚えていればすぐに解答を選べる問題が多いので、似たようなものをセットにして覚えるなど、注意深く押さえていくと得点が安定していきます。

オススメの記事

【渾身】経営法務・一覧表ざっくり解説&重要ポイント解説【民法偏】
【渾身】経営法務・一覧表ざっくり解説&重要ポイント解説【会社法編】
【渾身】経営法務・知財偏   (10代目 たっつー)
まずはこちら。弁護士として活躍する10代目たっつーが、経営法務の全体像と重要ポイントを解説、まさに充実の内容です。まずは学習を始める前に一読していくと経営法務の骨格がイメージできますので、学習が進めやすいと思います。

【渾身】経営法務(不正競争防止法)  (10代目 いよっち)
そして、こちらもオススメです。会社法、知財、民法に次いでしっかりと押さえておきたい不正競争防止法です。図やゴロ合わせも用いながら、イメージしやすくスッキリまとめてあります。こちらもぜひ学習前にご一読を!

【1次試験】「経営法務…苦手ですわ」→苦手なりの身構え(カワサン)
そうは言っても やっぱり苦手…という方へ。経営法務に立ち向かうための心構えについてご紹介。また、過去5年間に出題された論点をまとめたEXcelシートもありますので、一度全体を俯瞰する上でも参考になります。

【渾身】図で覚える 株式会社の機関設計 (経営法務) (岩塩)
取締役会、監査役会、報酬委員会… 会社法の「機関設計」については、色んなルールが絡み合う形で成り立っていますので整理しにくいものですが、これをサクッとまとめた図解で紹介した記事です。私はこんな図解法があったことを知らず根性で覚えていました…。今から学習される方は是非!これ、使えます!

 経営法務の特徴と特許法改正のポイント
【渾身】経営法務 改正民法(債権法)  (ぴ。)
経営法務全体の特徴と、特許法、民法改正について11代目ぴ。が紹介しています。かなり丁寧に解説してくれていますので、特に古いテキストで学習されている方は、法改正の点については要注意ですので、この記事の中にリンクがあるたっつーの記事を一読されておくと良いかと思います。

【渾身】英文契約書諦めてませんか? (CK)
そして、上記学習のポイントでも記載した英文契約書です。捨て問にされる方も多いと聞きますが、本当にもったいないです。毎年安定して出題されますし、この試験は英語の試験ではなく法務の試験です。契約書や貿易に関する一般知識があれば、英語力がなくても解ける問題も多々ありますので、是非トライしてみてください!

中小企業経営・政策

特徴

・他の科目のように他資格と領域が被ることが少ない、中小企業診断士特有の論点、知識が中心となる診断士試験オリジナル科目です。

・内容は「中小企業経営」と「中小企業政策」の2分野に分かれ、およそ半々の配点で出題されます。ここで気をつけておきたいことは、「中小企業経営」については毎年更新される「中小企業白書(一部、小規模企業白書)」からの出題になるため、毎年出題対象が異なります。白書はいわゆるデータブックのようなものになりますので、更新された白書では掲載されているデータが異なり、過去問の答えを覚えていても対応できない、といったことが起こります。よって、他年度受験する場合は改めて暗記内容を更新していく必要があるため、できれば1回で合格しておきたい科目です。

・もう1つの特徴としては、試験時間に余裕がある科目です。試験時間は90分間ありますが、知識にて直接解答を選ぶスタイルの問題なので、解答に時間もかからず、多くの人が本試験でも「時間が余る」ことが多いです。よって、他の科目と違い制限時間を意識しての解答練習はあまり必要ありません。また本試験の際にも、余った時間を使い、勘違いやマークミスしていないかといった見直しをしっかり行うことも大切です。

 

学習のポイント

<中小企業経営>
・「中小企業経営」いついては、「前年度版」の中小企業白書、小規模企業白書から出題されています。(例えば、2020年の試験では、2019年度版白書から。)おそらく作問するための期間の関係もあるのでしょう。毎年4月頃にその年度の白書がリリースされますが、その最新版ではなく、受験年度の前年版という点は注意しましょう。白書自体は中小企業庁のHPから、PDFを無料でダウンロード出来ます。

・といっても、中小企業白書は600ページを超える膨大なボリュームですので、お時間がある方を別として、市販のテキスト(こちらは最新版を買いましょう。古い年度のものではデータが異なります。)をベースに学習されるのが良いと思います。

・出題内容は、業種別の動向や、中小企業と大企業の比較などの統計資料に基づく問題です。そのまま全部理解することは不可能に近いです。また、似たような語句も多いため語呂合わせが使いにくい場合もあります。
例えば業種別の売上高の順位、付加価値額の順位など、テキストや問題集などに出てきたものについては、ノートなどに書き出して、何度も見返すことで視覚的に覚えていく方法が良いかもしれません。

※こんな感じでノートにまとめて見返すことで視覚的に覚えるようにしてました。

・また、設備投資の状況、ITの活用状況などについては、白書でもこれらの投資を促すように、一定のストーリーを持って書かれている感がありますので、テキストでの学習を通じて「国として中小企業にどのようなことを期待しているのか」といった観点で見ていくと個々のデータも頭に入りやすいと思います。上述のように白書本体を全部読んでいくことは大変かと思いますが、2020年度から中小企業庁のHPに白書の解説動画もアップされています(国もちゃんとIT活用してくれてます)。全部で1時間半くらいなので、この動画は一度見ておくと白書のストーリーは押さえやすいかと思いますので、おすすめです。
中小企業白書のページ (解説動画もあり)

 

<中小企業政策>
・一方、「中小企業政策」については、中小企業に関連する法律の内容や、各種制度についての知識を問う問題が出ます。
まず、法律関係について、中小企業基本法や小規模基本法、中小企業憲章については条文の内容がそのまま空欄穴埋めで出題されます。表現も抽象的まのもが多いので、テキストに書いてある範囲において丸暗記に近いくらいそのまま覚えていく方がいいと思います。

・各種制度は、補助金などの支援制度や、融資制度、協同組合などの組織形態に関するものが出題されます。
これらについては、対策としては経営法務の知財権に近いイメージになります。各種制度の違いを一覧表にまとめるようにして覚えていくと整理しやすいです。

・また支援制度、融資制度については、無機質に文言や数字だけを覚えていくより、自分がコンサルとなって中小企業の社長に紹介するイメージで覚えていくと取り掛かり易いと思われます。(そういう意味で最も実務的、実践的な科目と言えるかもしれません。)

他の暗記科目に比べ覚える内容は少ないので、しっかりと対策を行えば安定して合格点は取れると思います。得点源にする人も多い科目ですので、ぜひ頑張ってください!

 

オススメの記事

【渾身】「中小企業経営」について  (いけちゃん)
中小企業政策の学習方法について、1次でどこまでやったほうがいいのか、2次にどうつながるか、といった観点について紹介しています。学習する前にぜひ読んでおきたい記事です。

【渾身】「中小企業経営」に関する統計について (いけちゃん)
その上、中小企業白書に掲載されている統計に関する問題をについてのポイントを解説しています。(この記事のデータは2019年度版白書ですので、2021年受験の方は統計データ自体は異なることをご注意いただき、その読み取り方などのポイントの部分を参考にしていただけたら思います)

【渾身】法務と中小ひとまたぎ〜持分会社と組合〜 (さとまる)
こちらは、法務にも渡る内容ですが、組合についての解説です。法務の学習中にもLLPなどの組合に関する用語が出てきましたが、中小は法人格がある事業協同組合などいろんな組合が登場し、その違いが出題されることがあります。法務で学習する持分会社も含めて整理すると俯瞰的にわかりやすいかと思います!

【渾身】中小企業政策 下請法・下請取引  (カワサン)
頻出論点の下請法に関する紹介記事です。まさしく大企業を中小企業をつなぐ(双方に関係がある)法律で、受験生の方の中でも大企業側、中小企業側のそれぞれの立場で実務上、聞いたり、携わった事がある法律ではないでしょうか。超頻出論点ですので、ぜひ丁寧に覚えて得点源にしちゃいましょう!

【渾身】中小マストで覚える分野と一次試験のその先へ (さとまる)
中小の科目全体に渡って、どの分野が必須なのか、重要度の高いテーマを抜粋して紹介しています。再度の追い込み時に確認して、理解が不足しているテーマについてはケアをするなど、メリハリを付ける際に参考になります。

全3回に渡ってお届けしてしてきました、1次試験の学習のポイントシリーズはこれで終了です。
受験生時代の私もそうでしたが、初学者の方は 次から次にやってくる7科目を攻略していくのに必死で、中々、道場の過去記事を掘ったりする余裕も無いかな とも思い、ガイダンスのような記事になればとの想いでこのシリーズを書かせていただきました。

秋から学習されていた方は、そろそろ後半戦に突入していくる時期かと思いますし、この年末年始から学習開始された方もいらっしゃるかもしれません。1次試験はやればやるだけ点数が伸びますし、1次の知識をしっかり押さえていれば、2次試験も対応が楽です。その後の実務、お仕事にも役立つ知識体系になっていますので、2次試験に向けた単なる通過点と考えず、ぜひ前向きに楽しみながら学習を進めていただけたら、と感じています!

最後までお読みいただき、有難うございました。
CKでした。


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