【渾身】経営法務(不正競争防止法)
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どうもこんにちは!いよっちです。
わたくし的なことですが、昨日誕生日を迎えまして、三十路に突入しました。自己紹介記事では、道場メンバー唯一の20代です!とか若者アピールをしていた輩はあっという間に30代です。身の上は何も変わったことはないのですが、ホルモンバランス(?)が変わるのか体調を崩すことが多くなりましたし、風邪も治りにくくなりました。(先週も炎天下で野球をやったら2日間は引きづりました。。。)セミナーや懇親会でも同世代の方の受験生も多く見受けましたので、直前期にさしかかるこれからの時期、くれぐれも体調にはご注意くださいね。
さて、前回までは、【渾身】シリーズの流れを無視した形になりましたが、中小で9割以上を得点した中小対策の記事をお送りしました。
今回は、私にとってはもう1つの得点源だった経営法務の【渾身】論点をお伝えしようと思うのですが、経営法務といえば、皆さんご存知の通り、法務を本職とする弁護士たっつーがいるわけです。
圧倒的なマーケットリーダーに対して小兵の私が取り得る選択は、悲しいかな、「ニッチ戦略」しか残されていないのです。
ということで、民法や会社法といった主要の論点はたっつーにお任せするとして、出題機会や配点はそこまで大きくはないものの無視はできないニッチ分野として、「不正競争防止法」についてお伝えしたいと思います。
経営法務は会社法・産業財産権の2分野で8割近く出題されるため、ニッチ論点はテキストの紙面の都合上、あまり解説が十分ではありません。そこで、ビジュアルや具体的な判例で理解することで記憶の定着を図ってもらえればと思います。
☆もくじ☆
1.不正競争防止法の概要
2.周知表示混同惹起
3. 著名表示冒用行為
4. 商品形態模倣行為
5. 営業秘密
6. 誤認惹起行為
7. (おまけ)改正論点
不正競争防止法
~そもそもどんな法律?~
同法第1条には、下記の目的が定められています。
この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
・・・うん、全然頭に入ってこないです。
ざっくり(且つ恣意的に)言うと、「正々堂々とビジネスの勝負をしましょう、さもなくばお仕置きするぞ」と示して、罰を課すことで海外からのプレッシャー(国際約束)を躱すことが目的、ということです。
~違反行為の類型~
違反類型としては9つあるのですが、ポイントを絞って解説します。
①周知表示混同惹起(じゃっき)行為
惹起ってなんだよ、、、見慣れない活字は頭に入らないよ、、って方も多いはずなので、具体例から見てみましょう。(イメージ出典:経済産業省 不正競争防止法テキスト)
受験生世代の多くが愛してやまない(?)黒烏龍茶が争点になった裁判がありました。
ポイントとなる要件は2つです。
(1)需要者の間に広く認識されていること(=周知性)
⇒”需要者”とは、必ずしも最終消費者だけでなく、間に入る流通業者や小売業者なども含みます。ざっくり言うと、「業界での当たり前」でも事足りることになります。
⇒”周知”とは次で出てくる”著名”とは異なり、全国的に有名である必要まではありません。
(2)他人の商品・営業と混同を生じさせること(混同のおそれ)
⇒実際に混同した事実までは必要ない(「紛らわしいな」と思わせる可能性があれば事足ります)
②著名表示冒用行為
超ざっくり言うと「みんなが知ってる有名なもの(著名)を勝手に使っちゃいけません(冒用)」ということです。
ここでのポイントは、
(1)「著名」でなければならない
⇒全国的に有名なブランドや商品名などが対象
(2)「混同」しなくても適用される(①周知表示混同惹起行為と違う)
⇒つまり、紛らわしいかどうかは関係ない
ここまで見ると①より広く適用されそうですが、一定の制限があります。それは、
(3)いずれか(or)を含む
フリーライド:ブランド力や財産価値にタダ乗りすること
ダイリューション:勝手に使われることで元々持つ価値が薄まること
ポリューション:悪いイメージがつくことで汚染されること
これまた、なんともイメージしにくいと思うので具体例を見てみましょう。
有名な事件でいうと、
「ラブホテルシャネル事件」でしょうか。(イメージ出典:経済産業省 不正競争防止法テキスト)
神戸にあるラブホテルに「シャネル」と命名したことにより、あの有名な”シャネル”のイメージが汚染されたと認められました。
他には、「スナック・シャネル事件」もありますね。これは、東京・中目黒にあるいわゆる”スナック”の店名に「シャネル」と名付けたことで、高級な”シャネル”の持つイメージが希釈されたと判断されました。
その他の例では、「ポルノランドディズニー事件」なんかも印象的です。これは、アダルトグッズショップの店名に「ディズニー」とつけたり、ディズニーのおなじみのキャラクターに似たイラストを加えていたそうです。元々のディズニーは、「夢と冒険と魔法の世界」をイメージしていますが、被告は「大人の夢」を実現するランドとして宣伝していました。(個人的には、上手いこと言うなぁと感心してしまうのですが)これに対し、被告に営業されると回復できない営業上の損害が出るとして差し止めと損害賠償が認められました。
※印象の残りやすさを優先して、敢えて下ネタ気味の記事をお送りしております。不快に感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、何卒ご容赦くださいm(_ _)m
上記3つの事例から見ても、ホテル名にシャネルと書いてあっても、あの有名ブランドがラブホテルを経営しているとは思わないでしょうし、ディズニーがアダルトショップを経営しているとも思わないでしょう。したがって、著名表示冒用行為は、混同するかどうか(紛らわしいか)は無関係ということが理解できるかと思います。
③商品形態模倣行為
これまたざっくり言うと「似た形の商品を売っちゃいけません」ということです。テキスト等でも事例として載っているでしょうか。もはや平成の遺産(?)、たまごっち事件が有名です。
ここでのポイントは;
(1)模倣すること自体は不問
⇒コピーはOK、でも譲渡等(販売)はダメ
(2)日本国内で最初に販売された日から3年経過すればOK
④営業秘密(トレードシークレット)にかかわる不正行為
最近では、東芝のフラッシュメモリ開発に関する情報を韓国企業に流出させた事件(東芝フラッシュメモリ事件)や、進研ゼミでおなじみのベネッセによる個人情報を流出させた事件(ベネッセ事件)などで争点になりました。
ここでのポイントは、以下の3要件をすべて満たさない営業秘密とは言えない点です。
(1)秘密管理性:ちゃんと秘密として扱うよう配慮されているか
⇒従業員が「これは秘密だな」と認識できるか(認識可能性)がポイント
(2)有用性:価値のある情報かどうか
(3)非公知性:世間一般にしられていないか
⑤誤認惹起行為
「嘘言って誤解させちゃダメよ」といことです。原産地や品質、内容などを誤認させる場合に適用されます。
世間を賑わせた事例でいうと、鶏や豚などを混ぜて製造したミンチ肉を牛100%と偽装して販売していた「ミートホープ事件」や、最近の例では、免振データの偽装した「東洋ゴム事件」で争点になりました。
⑥(おまけ・改正論点)限定提供データの不正取得等
今年の7月に施行されるため(おそらく)今年の試験には出題されないと思いますが、新たな類型が加わります。(出典:経済産業省 不正競争防止法テキスト)
IoT技術の発達に伴い、データの利活用が進められていますよね。従来の営業秘密としての非公知性とまでは言えないが、IDやパスワードで管理されて、限定された企業・自治体等で保有されるようなデータ、つまり、非公開と公開の間にあるデータも保護対象にしましょうということです。
個人的には①周知表示混同惹起行為、と②著名表示冒用行為がこんがらがって覚えにくかったですね。
①は、
「今度(=混同)ジャッキー(=惹起)に会いに行こうよ」
「え、ジャッキー・チェン?」
「いや、弾丸ジャッキー(お笑い芸人)」
「紛らわしいな(=混同のおそれ)」
とストーリー語呂を作ってみたり、
②は、下ネタたっぷりでお伝えしたので、
「(明石家さんま風)チョメチョメ(=著名)」
と覚えたりしてました。
その他、語呂で言えば、国際条約の条約名と内容がどうしても覚えられなかったので、
「魔性のハゲ一生」=マドリッド協定は商標、ハーグ条約は意匠
(ただの語感ですが)「べちょ」=ベルヌ条約は著作物
この分野で出題される論点は限定的ですので、要点だけ押さえて他の重要論点に時間を割きましょう!
本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
以上、いよっちでした。
匿名様
1年以上前の記事ですが、お読みいただき、そしてコメントまで残していただいて感謝感激です。診断士試験以外でもお役に立てて何よりです。合格祈念しております。
貿易関係の勉強をしていてたどり着きました。
周知表示と著名表示の違いがよく分かりました。
暗記法が面白くて一発で頭に留まりました!
どうもありがとうございます。
やまめ様
コメント頂きありがとうございます。笑いのツボを押せたようでよかったです。完全なる持論ですが、覚えやすい語呂合わせには要件があるように思ってます。
①ストーリーが目に浮かぶ
②くだらない(クスっとなる)
③下ネタである(特に男性)
自分で考えた下ネタ語呂は不思議なほどに絶対忘れません。本当は、下ネタ語呂の記事でも書きたいくらいですが公序良俗に反することになりそうなのでやめておきます汗
どうせ多くの時間を割くのなら楽しんだ方がいいでしょうし、楽しんで覚えた知識は1次から2年経った今でも覚えているものが多いです。楽しんでいきましょう!
キャッツ様
いつもコメントありがとうございます。どこかで2枚目を”誤認惹起”させるような記事があったのかもしれませんが誤認です。笑 その他の法務のニッチ論点の解説記事も検討してみます。今後とも日々チェックしてみてくださいね!
笑ってしまった。
勉強楽しんだ方が合格するんだろうなー
まだ、この領域に達せず
すごすぎます
いよっちさん、
分かりやすい不正競争防止法の説明ありがとうございます。理解が深まりました。
また、ぎりセーフの下ネタ風語呂合わせも役に立ちそうです。
若手2枚目(想像です)堅物法務部のイメージが少し柔らかくなりました。
今後とも役に立ち、軽く読める記事期待しています。