べりー流事例研究◇【実録】2次試験での事故の意味とリアル事故現場

        

<よろず相談会のお知らせ>

日時:2020年8月29日(土)23:00~25:00

場所:オンライン (zoom)

・内容:独学者向けの「ユルいアドバイス」と「よろず相談会」
(相談会は6~7名/班を20~30分毎に入替形式)

人数:約20名(※応募多数の場合は抽選といたします)

・受付期間:8月11日(火)6:00~8月21日(金)24:00

・受付方法:Googleフォームにて必要事項入力

・参加確認:8月22日(土)までにEメール連絡
(※抽選の場合、外れた方への連絡は致しかねます)

        

twitterもよろしくお願いします。

 

 

合格に十分な実力発揮の準備!

✅ 2次試験の事例研究は進んでいますか?
対策を手順化して身に着けたら当日実行するのみ!

おはようございます。べりーです(過去投稿記事はこちら)。

前回は事例Ⅳを取り上げました。
そして最後にまとめとして、「愚直に過去問と向き合い、計算力を磨き、「ミス発生→原因分析→対策検討→手順に落とし込み→習慣化」を徹底することが重要です」と書きました。

事例Ⅳでは小さなミスの積み重ねが命取りとなりかねないため、ミスしないための準備が必要というお話でした。

一方、事例Ⅰ、事例Ⅱ、事例Ⅲはどうかと言うと、あまり「ミス」とは言いません。では何というか。

「事故」と言います。

 

なぜ事例Ⅰ~Ⅲは「事故」というのでしょうか?

Ⅳの出題傾向

なぜ「事故」というのか?の推測

1.事例Ⅰ~事例Ⅲには明確な「正解」がないため

2.人為的に発生する事象であり、故意により起こるものではないため

3.同じ失敗を繰り返しているうちにいつか大きな失敗を起こしてしまうため

 

1.事例Ⅰ~事例Ⅲには明確な「正解」がない

皆さんご存じの通り、出題者である中小企業診断士協会は2次試験の模範解答を発表しません。
合格発表と同時に「出題の趣旨」といういささか曖昧な発表をするだけです(令和元年の「出題の趣旨」)。

では、採点基準や模範解答がないのに合格/不合格を判定できるかというと恐らくそんなことはなく、採点時には何かしらの基準があるはず、というのは一発合格道場の9代目きゃっしいが記事(コチラ)にした通りだと私も思います。

きゃっしいは次の通りに伝えています。

答案が採点されるときは、この与件文や1次知識に基づいて作られた模範解答や採点基準を手元に置きながら採点するはずです。

ということは、自分の解答にも与件文の言葉が書かれていたら、採点者としては「この記述は採点基準のどの部分のことを言っているんだろうか??」といったように余分なことを考えずに「採点基準と同じようなことが書いてあるな」と思って○をつけてくれるのではと思います。

(中略)

与件文の言葉はそのままにしながら、採点基準にヒットしてそうな与件文中のキーワードをいかに多く盛り込むか、という練習を普段の過去問や演習問題では行っていました。

これはまさにその通りだと私も思います。

 

例えば、2次試験は何年も合格できない人がいる一方で、多くの初学者がストレート合格しています。

この要因の一つに「初学者は「解答の型」などに慣れていないため与件文中の文言を比較的”素直”に抜き出して使おうとし、逆に経験がある人ほどより良くみせたり「解答の型」に当てはめる目的で違う文言に置き換えようとして採点基準から遠くに離れてしまう」ということがあるように思います。

恐らく膨大な数の答案と対峙するであろう採点者は、あなたが書いた解答をじっくり読み込み「なるほど、この受験生は恐らくこういう意味で書いたんじゃないだろうか」と忖度してくれることは一切ありません。

だから拗らせないことわざわざ採点基準から遠ざかるリスクは徹底的に避けるべきです。

 

ということで発表はしないけど恐らく採点基準や模範解答はある。
そしてそこから外れると、事故。

ではどうやって合格点にたどり着けるのか?というゴールへの扉を開く鍵、これを先代たちは「作法」と言いました。

 

”採点基準”に寄せるための作法

①作問者が想定した採点基準にヒットしてそうな「切り口」と「与件文中のキーワード」を正しく盛り込む。

採点者の手元にある採点基準に寄せる!

②与件文にないことを書くときはリスクを覚悟する。逆に言えば、与件文にあり設問に関係しそうな要素は「多面的に解答するため」にも”フル活用”する。

与件文診断先企業の社長から受験生への「背景と状況の説明」であり、与件文全体からヒントを探して多面的に答える!(経営理念、社長のビジョン、抱える課題を正しく認識する)

③設問文で問われたことを解答する。問われていないことは解答しない。

設問文社長からの「相談内容」であり、2つ聞かれたら必ず2つ答えるし、「なるべく投資したくない」等の『制約条件』は徹底的に遵守する!(こいつ話しを聞いてなかった?!と思われないように)

あとで具体例を挙げて振り返るので、ここでは上記を覚えておいて下さい。

 

2.人為的に発生する事象であり、故意により起こるものではない

かつて、劇場のスクリーンやブラウン管の向こう側で「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きてるんだ!」と上司にキレてみせた所轄の刑事がいましたが、私も彼と同じぐらい膨大な数の事件(自分が起こす事故)を見てきたので、似た考えを持っています。

「”事故”は試験会場で起きているんじゃない!会場入りするまでの準備段階で起きているんだ!」・・・です。

自分は2次試験を3回受けましたが様々な事故を起こしてきました。
後ほど令和元年を例に説明しますが、それ以前も事故、事故、大事故の数々で、再現答案作成時にガク然とするような経験ばかりです。

その原因は何でしょうか。

ひとつは先述した作法を実行しなかったことが挙げられるでしょう。社長との対話でエラーがあった、
2次試験的に言えば「題意に沿えなかった」です。

そしてもう一つ、名案を思い付いてしまいそれに飛びついてしまった」というものです。

与件には書かれていないけど、与件をヒントに合格実力者である自分だけが考え得る施策。
自分の職歴があればこそ提案ができる一発逆転のアイデア。
やった!これを思い付いた自分だけが80点に手が届くかもしれないぞ。

・・・その全てが「危険」です。

オンライン夏セミナーでCKが語った中に深く頷いた一言がありました。

「中小企業の基本戦略は『個性を活かして成長/競争』ですが、2次試験の基本戦略は『個性を殺して対応』することです」

というものでした。
これまでの人生において皆さんも少なからず「個性=強み」と感じる場面があったのではないでしょうか。
仕事においても「個性を活かした提案や行動」がお客様や会社の仲間を助け感謝された経験もあるでしょう。

ですが、2次試験は国家資格試験として「顧客である中小企業の社長に診断・助言する能力を問う」という特性上、「与件文と設問文」が唯一絶対の正義であり、半沢〇樹さんのようなアイデアマンによる限界スレスレ一発逆転の提案は必要とされていないのです。
そんなアイデアが採点者の手元にある採点基準に書かれている可能性は極端に少ない筈です。

当然私も試験に臨むからには「受かりたい、正答に寄せたい」の一心でおり、「わざと外れたことを書いてやろう」などと考えるわけがないのですが、「よかれ」と思って的外れなことを書いてしまう。
そんな場面がありました。皆さまも恐らく経験されると思います。

この点、ご自身のこれまでの経験を封印し、①与件と設問文の中に書かれている情報だけを糸口として決して飛躍せず、②「他の受験生が書くであろうありきたりな診断と助言」を自分も全て漏らさずに書ききる意識を徹底し、個性を殺して対応して下さい。

これを、会場入りする前の準備段階で固く決意しておくこと。この「準備」によって事故の量をグッと減らすことができます。

 

個性を殺して対応する

①アイデアマンによる一発逆転の提案は2次試験においては”毒”。

②ご自身の並外れた才能とこれまでの誰もが羨む輝かしい成功経験を封印し、「与件と設問文」の中から因果の「因」を見出してそれを糸口とし、決して飛躍しないよう個性を殺して「誰もが書くであろう内容」を書く。

③その結果、与件(事例企業)に寄り添った診断と助言(採点基準に合致する解答)が実行できます!

 

3.同じ失敗を繰り返しているうちにいつか大きな「事故」を起こしてしまう

受験生時代、道場の過去記事で「2次試験の学習時間は半分を事例Ⅳに、残り半分は事例Ⅰ~事例Ⅲに振り分けろ」とあって納得したものでした。
確かに事例Ⅳは努力に答えてくれる年が多い印象です(「年が多い印象」という歯切れの悪さが辛いところですがそれでも事例Ⅳは信じるに足ります)。

一方の事例Ⅰ~事例Ⅲは得点を見込みづらく、「得意感」と「得点」が連動しないところが難敵です。

一つのサンプルとして、私の2次試験3回の成績は、

事例Ⅰ ・・・ A→B→A
事例Ⅱ ・・・ B→A→B
事例Ⅲ ・・・ A→C→B
事例Ⅳ ・・・ C→B→A

でした。事例Ⅳは右肩上がりですが他は一進一退の繰り返しです。

 

また、2次試験は「自信と結果の点数に差がある」ことがよくありますが、これも、事例Ⅳとそれ以外とでは少し意味合いが変わります。

事例Ⅳの場合は、素点で全体の出来が悪い年は一定数の合格者を維持するために「得点調整」が入ると言われています。
「素点で50点だったのに60点を超えてたー♪」というやつです。
特に計算問題は正誤が明確なので配点を予測しさえすれば素点を自己採点できるのですが、そこから10点も得点を動かすダークマター的な何かが存在します。
ちなみにこの得点調整が入る年は「素点が80点だったのに70点だった💀」という現象も起きるようです。

一方の事例Ⅰ~Ⅲでは「自信があったのに得点が低かった」ということがよく起こります。
この場合、振り返ると大きな事故をいくつか重ねていることが多く、発覚する度に衝撃を受けることになります。

衝撃とは大げさでしょうか。
それが本試験であれば年一回の試験です。
その失点は本当に大きくて、痛みすら感じます。

「ミス」というと他で取り返せそうな気がしますが、まさに「取り返しのつかない事故」を起こす可能性があるということです。

そうした事故発生時には必ず「ミスノート」に記録して、事故を繰り返さないようにして下さい。

いや「ミスでなく事故だ」と言っているので、事例Ⅰ~Ⅲの場合は「ミスノート」ではなく「事故ノート」あるいは「デスノート」と名付けても良いかもしれません。

自らが犯した事故の数々が記録されたデスノートは事例Ⅰ~事例Ⅲにおいても非常に役立つツールになります。


出典:DIGITAL FRONTIER

 

事故を繰り返さないために

1年に1回しかない試験で「どうしてこんなことを書いてしまったのか」という事故を起こしてしまうと悔やんでも悔やみきれません。

「今年の合格」を奪いかねない「事故」。

未来の事故につながる原因を見逃さないために、特に「自信があるのに得点が低かった」場合には、自分に何が足りなかったのか?を徹底的に振り返って下さい。

事例Ⅰ~Ⅲも事故を起こすたびに記録し、対策と共に一元化することをお勧めします。

 

ここからは「【実録】2次試験の事故現場」と題して、実際に私が令和元年度(R1年度)の2次試験事例Ⅰ~事例Ⅲで犯した事故を振り返ります。

もし「直近年度である令和元年度の過去問は超直前期まで取っておきたい」というお考えがあるようでしたら、以下は読み飛ばして下さい。

ちなみに3回目の「ABBA」の点数は「67、59、59、79」だったのですが、事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲそれぞれ、見事に大事故を起こしていました。

 

【事故現場:R1年 事例Ⅰ】

我々11代目の再現答案は点数とともに公開されているのでご興味おありの場合はご覧ください(コチラ)。
得点とセットで公開される再現答案は非常に貴重ですよ。

以下、上段の黄色い枠が実際に出題された設問文、下段の「事故現場!」は本設問における私の再現答案です。

まずは地味だけどヒヤッとしたプチ事故です。

 

第1問(配点20点)

A社長がトップに就任する以前のA社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100字以内で答えよ。

【事故現場!】

最大の要因は、健康志向が強まりたばこ市場の縮小傾向が進み、葉タバコ生産者の後継者不足や高齢化、耕地面積減少が深刻でニーズがなく、メンテ用の膨大な部品で在庫費用が増大し、収益悪化で事業成立しなかった為。

内部・外部環境分析の問題です。

問われていることに答えられていないタイプの事故です。
「最大の理由は何か。」と問われて「最大の要因は、」と答えています。

以前に「解答の型」について岩塩が書いた記事(コチラ)の中で、「(設問解釈時には)オウム返しに問われたことを解答の枠として書く」と述べており、私も同じやり方だったのですが、本試験の最初の科目の第1問ということで浮足立ったのか「最大の要因は」と書いてしまいました。

解答の中身は「理由は?」という題意から離れていないものの、リアルな場であれば冒頭で「話を聞いてない」と思われても仕方がありません。

 

続いてA社が企業風土を変革し新たな一歩を踏み出す重要な設問です。

第4問(配点20点)

新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

【事故現場!】

要因は、新市場拡大の土台として①営業業務をIT化し近代的経理体制で営業所毎の業績への認識を統一化②成果主義的報酬制度で若手社員の意欲向上を図り③ソフトウェア開発の勉強会や外部研修参加で育成強化したこと。

人的資源管理に関する問題です。

現場では「業績の可視化→業績に応じた報酬制度で意欲向上→育成強化」というストーリーを考えました。全て与件文に載っている要素です。

がしかし、社長は与件文(=背景や状況説明)の中でもっと重要なことを話してくれていたのです。
それが「高齢者を対象とした人員削減」です。
その効果として「これを乗り越えたことで従業員の年齢が 10 歳程度も引き下がり、コストカットした部分を成果に応じて支払う賞与に回すことが可能になった」とまで書いてあり、苦渋の決断を下してこのような効果を実現した社長に対し私の解答は「ピントが合ってない」と思われても仕方がないと思います。

「2次試験を診断・助言の実務の場だと思え」という人がいます。
だから2次試験会場にスーツ姿で臨む人もいると聞きます。
それぐらい、2次試験において問題用紙の向こうに事例企業の社長をイメージすることは「題意を外さないための手段として有効」だということでしょう。

 

ちなみに11代目で再現答案を公開している10名の内、人員削減に触れているのが7名、触れていないのが私含め3名でした(3名中2名が60点未満)。

配点が5問とも均等に20点ずつだったのでまだ傷が浅かったと言えますが、もし「重要な問題」ということで配点が大きければ、私の解答ではその分失点が大きくなっていたと思います。

 

【事故現場:R1年 事例Ⅱ】

続いて事例Ⅱです。結構盛大にやらかしました。

第2問(配点30点)

B 社社長は初回来店時に、予約受け付けや確認のために、インスタント・メッセンジャー(インターネットによるメッセージ交換サービス)のアカウント(ユーザー ID)を顧客に尋ねている。インスタント・メッセンジャーでは個別にメッセージを配信できる。
このアカウントを用いて、デザインを重視する既存顧客の客単価を高めるためには、個別にどのような情報発信を行うべきか。100 字以内で助言せよ。

【事故現場!】

B社は個別顧客ごとに①初回来店時に高評価だったデザインに似たデザイン・オプションを提案して関心を促し②卒業式等の衣装の雰囲気に合わせたストーンオプションを提案し③季節ごとのアート・オプションを提案する。

インスタント・メッセンジャーのアカウントを用いた販促施策の問題です。

この事故は「多面性を欠いた」これに尽きます。

「デザイン重視の既存客の客単価向上」という目的が「制約条件」として与えられていますが、「客単価向上=サービス単価向上策」と単純に考えてしまいました。
来店頻度向上と関連購買によっても客単価向上が狙えますが、当日の私は、より高単価のサービスを販売促進する!というアイデアに一直線に突っ走ってしまいました。

その結果「表 B社の価格体系」に目が行き、「3種類のオプションをターゲットとシーンを書き分けた上で全部乗せしたら最強じゃん!」と思いついてしまいました。
私の解答は100字を使ってオプションのことしか書けていません。
どのように提案するのか?の具体的な手段も書き漏らしています。
なのに自分の解答には結構自信を持っていました。危ないパターンですね。

皆さんも夏セミナー等で「ひらめきやアイデア答案は高リスクだから気をつけろ」としつこく言われたと思いますが、まさにこれがその事故現場です。

私の解答がいかに薄っぺらであるかは?高得点答案と見比べてみると一目瞭然です。

 

【いけちゃん78点答案!】

顧客に好きな絵柄・SNS上のネイル写真の共有を依頼すると共に、顧客の予算を踏まえつつ、気に入りそうなB社の凝ったデザインのネイルを提案して顧客要望を具体化し、アート・オプションの利用を促す。

私のモノトーンな答案と比べて、非常に彩り豊かな答案です。

①好きな絵柄やネイル写真の共有を依頼(情報収集)
②気に入りそうなデザインのネイルを提案(顧客要望を具体化)
③アートオプションの利用を促す(高価なサービスへの誘導)

しかもB社の強みである「凝ったデザイン」を活用することで「因果」の「因」に使っています。

更に言えば、最終的に「オプションの利用を促す」という施策に結びつくのは同じですが、いけちゃんは「情報収集→顧客要望を具体化→サービスへの誘導」という構成になっており、「なぜそれをするのか?」の納得性が高いのも素晴らしいと思います。

いけちゃんの解答と比較すれば、私のアイデアがいかに自らの視野を狭めたかがご理解いただけたかと思います。

 

これを皆様は反面教師として下さい。

「ひらめき」より「与件文と設問文に忠実」

「一点集中」より「多面的」

「施策の羅列」より「因→果、因→果」で納得感を高める。

採点者の手元の採点基準に寄せて書く、その重要さがよく分かると思います。

 

 

【事故現場:R1年 事例Ⅲ】

最後に事例Ⅲの事故現場です。これはかなり失点したものと思われます。

第2問(配点 20 点)

自動車部品メーカー X 社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C 社における生産面での効果とリスクを 100 字以内で述べよ。

【事故現場!】

リスクは①X社の熱処理部品全ての機械加工の受託で初めての本格的量産機械加工のため生産ラインが混乱②混乱による納期遅延③新たな工作機械の導入や機械加工能力を2倍にする資金不足や④既存取引先との関係悪化等。

 

事例Ⅲは「生産実施」と「生産管理」のどちらを問われたか?の判定が重要です。
この問題は「生産実施面の効果とリスク」の問題です。

なのに、「リスク」しか書いていません。
聞かれたことに答えていないタイプの「究極的な事故」です。

各受験校の採点サービスで「片方しか書いていない答案は初めて見た」と言われたので相当珍しい「大事故」だったのだと思いますが、配点20点のうち10点は「最初から消えた」ことになり、残りの10点のうち6点か5点が入った程度だったのではないかと想像します。

ということで15点を失ったかもしれないこの問題、反省点として私がデスノートに記録するのであれば、こう書くでしょう。

【事故の種別】設問文の「制約」破り

【事故の内容】「効果とリスクを述べよ」に対し「リスク」のみを解答

【再発防止策】骨子の「型」を作成時に、設問文の制約や指定に漏れなく対応したかを「指さし確認」し、型に転記したら設問文の当該記述部分の文字を消し込む(「/」と書き込む)

 

恐らく、事故の種別には「1次知識の理解不足」や「アイデア解答(俺様解答)」「レイヤー違い」「タイムマネジメントエラー」等々の文字が踊ることになります。

ちなみに「効果とリスク」を100字で書かせる問題で「リスク」しか答えなかった場合、いくらなんでも「マス目が多すぎ」と思わなかったのか?と思いませんか?

正直言って「与件文からの抜き取り要素が結構長文いけるな」とは思いましたが、上記の通りそこまで不自然に長文だなと感じる形でもなかったので、見逃してしまいました。

逆に言えば、効果とリスクの両方を書くには上手に編集する必要があったということです。

では高得点答案はどれほどの密度になるのか?を見てみましょう。

 

【CK77点答案!】

効果は、機械加工の生産量が約2倍となり売上増加と部品調達コストの低減で収益向上。リスクは、①生産量増大で仕掛品の増加、②人や物の移動の困難化、③X社依存度が高くなり経営不安定化することである。

私はCKから「リスクだけでマス目が多すぎると思わなかったの?」と聞かれたら、「仰る通りでございます」とひれ伏すしかありません。

8割近くを取る答案というのは、ここまで無駄なく、必要な要素が多面的に盛り込まれるという好例ですね。

事例Ⅲの事例研究をするとき、令和元年度のCKの答案はその中心に据えてみて下さい。
非常に美しい答案だと思います。

そして素晴らしいことに先日CKが令和元年事例Ⅲをどのように解いたか?の記事を上げました。

自分なりの解答プロセスを固めていきましょう! by 11代目CK

解答者本人による解説付きの高得点再現答案です。
学習に役立つこと間違いなし!と絶賛おススメします。

 

【過去の事故と向き合い未来の事故を回避】

以上が令和元年の事例Ⅰ~事例Ⅲにおける「事故」の実例です。

合格年度の事故なので「一発足切りクラスの事故」はありませんでしたが、事例Ⅱと事例Ⅲはどちらも60点に届かなかったという意味では「かなり危ない橋を渡った」わけですし、やはり事例Ⅰ~事例Ⅲの事故による破壊力は油断なりません。

また、失敗という意味では2次試験を2回落っこちた年の失敗、誤解、こじらせ、ハプニングを長々と振り返った記事を過去に書きましたので、もしまだご覧になってなく、お時間許すようでしたら8月の内にご覧頂けたらと思います(2次試験の準備と実力の話【診断士試験の模試と過去問と本試験】)。

 

事故の原因を振り返ることは、再発防止のために必ず必要な工程です。
本試験で繰り返さないことが目的ですので、辛いし自分に対して腹の立つ作業ではありますが、必ず振り返ってデスノートに一元化して下さい。

その際、今回の私の記事がそうであったように「自分一人の答案だけから得られる気づきは限界がある」ため、「自分以外の高得点答案」や「信頼できる勉強仲間からのアドバイス」を参考にすることをお勧めします。

 

皆さま、最後までお読みいただき心より感謝申し上げます。
いつもありがとうございます。

 

【合格に十分な実力発揮の準備】
✅ 2次試験の事例研究は進んでいますか?
✅ 対策を手順化して身に着けたら当日実行するのみ!

 

皆さんにも起こり得る事故の中で「最大の事故」は「受験番号の書き忘れ」です。
試験終了が宣告された後に答案に触れたら、それだけで試験監督から強く叱られます。
受験番号を書き忘れたと事情説明しても、記入を許されることは絶対にありえません。
絶対にです。くれぐれもお気を付け下さい。

それでは、連日猛暑が続きますが勉強頑張りましょう!

べりーでした。


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べりー流事例研究◇【実録】2次試験での事故の意味とリアル事故現場”へ4件のコメント

  1. すずき より:

    べりーさん いつぞや丁寧にご指導頂きありがとうございました。ご指導のお陰で、1次試験に合格することができました。
    ついては、2次試験に向けて色々情報収集したのですが、受験校や通信教育も今からでは、遅い感じであり、どの様に対策を考えて行くか、再度御指南賜ればと思いコメントさせて頂きました。
    宜しくお願い致します。

    1. べりー より:

      すずきさん、1次試験通過とのこと、まずはおめでとうございます!
      2次試験は1次試験とは全く別物とよく言われますが、私たちがどのように各事例問題を理解してどう向き合ったのかについて日々記事にして投稿していきます。
      7月、8月だけでもきっと勉強に役立つであろう投稿が続いておりますので、ざっと見返していただけたらと思います。
      そして内容に疑問な点があれば、コメント欄から質問してみて下さい。
      あと2カ月、勝ち切るために頑張って下さい!

  2. TK より:

    べりーさん

    本日の記事大変参考になりました。独学初年度生で一次試験後から30日完成2回転済、全知全ノウ1回熟読、事例Ⅳ全知全ノウ1回転済で同時並行で過去問1周目で6年分終えてます。その中で事例Ⅳはできるようになってきましたが、事例IからⅢはまだ型が定まらず、事故らないように慎重にやろうと80分ギリギリないしは80分で解答できない場合もあり、焦ってました。本日の記事を読み、事故らないに越したことはないが事故っても合格できないわけじゃないって思え、少し焦りが消えて心にゆとりが出来ました(^^)道場記事参考にしつつ、あと2ヶ月頑張ります!

    1. べりー より:

      TKさん、コメントありがとうございます。
      8月のこの時期としてはかなり順調なペースで進めてらっしゃいますね!
      仰る通り、慎重に臨みすぎて時間が足らなくなることはよくあります。
      これは、作法が身につくまで過去問学習を繰り返し、事故を起こしたら原因分析・対策立案して対策が習慣化するまで徹底することで、慎重になるべきポイントが明確になって来るはずです

      事故らないに越したことはないが事故っても合格できる、まさにその通りです!
      2次試験会場は異様な雰囲気であり、ただでさえ気負いやすいもの。本番でも私の事故を思い出し、肩の力を抜いて「普段通りの実力」を出し切っていただけたらと願います!

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