一発合格道場の「ファイナルペーパー」総論
☆☆☆☆☆☆☆
こんにちは、きゃずです。
過去記事はコチラ。
いよいよ平成最後の2次筆記試験まであと約1か月となりました。予備校の公開模試も終わり、ここから本試験までの過ごし方を悩んでいる方、モヤモヤしている方も多いかと思います。
今回のテーマは、一発合格道場の「ファイナルペーパー」総論。
敢えて、かなり挑戦的なタイトルにしました。
診断士試験でこの時期「作った?」「そろそろ…」など、にわかに囁かれる「ファイナルペーパー」とはいったい何なのでしょう。その定義と種類、作成する目的と効果(メリット)、使い方とそもそもの必要性…などについて可能な限り網羅的に、かつ簡潔にまとめました。最後には僕自身のファイナルペーパーと、おすすめ過去記事一覧も添付しています。
なお本記事の執筆に際しては、道場やその他ブログの過去記事を40-50本ほど読み漁り参考としました。過去記事には執筆者それぞれの観点や経験・想いに根差した記述がありましたが、そのなかから共通するものを拾い上げ、一般化して活用できる内容に昇華させたつもりです。今年以降も検索などで辿り着いて頂くであろう方には、年代を超えた普遍的なものとして読んで頂ければ幸いです。
※当然ながら、この記事を読んでくださっている読者の方の状況・経験・考え方によって合うもの合わないものがあると思いますので、ご自身に照らし合わせたうえで「パクってカスタマイズ」してくださいね。
・主なターゲット:2次試験に臨むすべての人(1次試験にも応用可)
・登場する過去問:特になし
・文字量:約6,000字(本文のみであれば約7-8分で読めます)
■「ファイナルペーパー」ってどんなもの?
まずはじめに、ファイナルペーパーの定義と種類について確認します。一発合格道場だけでなく、様々なブログに書かれている情報をまとめると以下のようなものでした。
定義
・試験当日(試験直前や休憩時間)の覚書メモ
・試験会場のスキマ時間でみるアンチョコのようなもの、お守り
・本試験に臨むにあたって最後に作っておくまとめの紙全般、虎の巻
・診断手順のまとめ
など、試験にあたって「最後に確認しておきたい事項を整理したもの」として主に語られていました。ただし「ファイナルペーパー」は診断士“試験”用語であり。オフィシャルな定義が存在するわけではありません。
(なお、司法試験や情報処理技術者試験、FP試験などの他資格試験では「ファイナルペーパー」なる単語は登場しないようです。)
種類※ファイナルペーパーとして書かれている事項を心技体の要素に分類
(心)
・試験に臨むにあたっての心構え
・自分の思考のクセ、注意事項
(技)
・事例ごとの特徴、回答方針
・解法、回答手順、時間配分
・重要論点まとめ、キーワードリスト
・自分にとって間違えやすい論点
・テキストに載っていなかった情報
(体)
・事前~当日の時間の使い方
・事前~当日やること/やらないことリスト
・食べ物・持ち物チェックリスト
結局のところ、心構えから具体的な解法・知識・やることリストまで、作成者によりさまざま。多岐にわたっています。
ファイナルペーパーに関する記事を読んでもどこかふわっとして掴みどころがないのは、「定義も種類もバラバラであるが故に、作成者が各自のアタマの中にある解釈で語っている」という点に起因していると考えられます。
■「ファイナルペーパー」を作成する目的と効果(メリット)
では、ファイナルペーパーを作成した人は何を目的に作成し、どのような効果を得ていたのでしょうか?これも主には以下のようなものが挙げられていました。
目的
・事例に取り組む際の考え方の整理のため
・「抽象的な知識(フレームワーク)」を整理し、「問題の切り口」に気がつけるようにするため
・短時間で重要なポイントを思い出し、 試験本番で実力を発揮できる状態にするため
・自分を客観視して、当日やることを「見える化」するため
・(2次試験にて)“自分で”決めたことをきちんとこなすため
効果(メリット)
・作る過程に意味がある。テキストや問題集から、試験の直前に目を通すべき情報を抽出する作業、これがこの時期に大いに意味を成す
・ファイナルペーパーを作ること自体が、自分なりの知識の整理につながる
・ファイナルペーパーを作るたびに、過去に作成したページが繰り返し目に入ることで記憶が定着しやすい
・(2次試験にて)「頭の中から引っ張り出してくる」作業の手助けになる
・作成途中の効果:今まで学んだことが徐々に共通の軸で整理され、その結果物事の関係性への理解が深まる
・作成後(活用における)効果:試験1週間前には、(ファイナルペーパーの)項目を見るだけで、どのような問題点がありそうで、 それに対してどのような施策が有効なのか、をすらすら言えるようなる
・自分の全力を挙げた努力が、1枚の紙の上に凝縮して可視化されているわけで。2次筆記対策というばかりでなく、今の自分から将来の自分に宛てた応援メッセージ、くらいの気持ちで作っておいて損はない
・その軌跡は必ず皆さんの中に大きな自信をもたらしてくれる
・「自分を信じる」につながる
目的をまとめると「心構えや解法・知識、やること(つまり、いまの自分の武器)を整理し、本番で100%近く実力を発揮するため」であることがわかります。
そして効果(メリット)について、直接的には「心構え、解法・知識、やることが整理される」ことです。ただしそれだけではなく、間接的には「作成する過程で記憶が定着でき、再現性(※)が向上する」ことや「試験に臨むための気持ちが整い、やってきたことに対する自信に繋がる」ことが挙げられます。これらの間接的な効果こそが、特にメンタルが大きく影響する2次試験対策において有効なのだと言えます。
(※)再現性=初見の問題が来ても、知らない業界の話でも、一定以上の水準で分析と助言をすることができる能力
このように「目的」と「効果」はオモテとウラの関係でもあり、これらを意識するかどうかが非常に重要なのです。中身が文字なのか図なのか、手書きなのかデータなのかは、あくまで手段の一つにすぎません。
■「ファイナルペーパー」の使い方と必要性
使い方
・他の人のファイナルペーパーを見る
・直前に作らなくても今から作っておくことで、移動中などに知識整理する
・事前に自分で読み込む。受験仲間や家族に心構えを話す
・試験に向かう電車の中、試験開始直前や休み時間にパラパラと見る
・本試験に臨む前に取りこぼしを救ってあげる
・当日の活躍の場は試験開始前と休憩時間
このように使い方を大きく分類すると、以下の3つに分けることができます。
①他の人のファイナルペーパーを見て、必要な要素をピックアップする
②作成過程で何度もブラッシュアップし、目に触れる中で知識や心構えを刷り込む
③試験当日の移動時間や休憩時間に眺める
そもそも「ファイナルペーパー」を作る必要性はあるのか?
・(内容にもよるが)作成にはある程度の時間と熱量が必要となる
・他の人のものは参考にはなっても、役に立つとは限らない
・日々の学習の中での備忘録をまとめていくことで、それが必然的にファイナルペーパーとなっていく
・作成するような時間があれば事例Ⅳの計算問題をやった方がよい
・作成することそのものを目的するのは本末転倒。個々人の課題とリンクした内容であることが重要である
など、さまざまな意見が過去記事のなかにもありました。
なお7代目noriさんの記事では、ストレート生と多年度生との位置づけの違いについても触れられています。
ストレート生がファイナルペーパーの中に「合格に必要なものはなんだろう」と自分なりのノウハウを積み上げていくとすれば、過年度生のファイナルペーパー作成は「自分の持っているノウハウ・知識の中で、合格に本当に必要なものは何だろうと整理していく」過程です。
ストレート生か多年度生か、時間が取れるのか取れないのか…それぞれの置かれた状況は千差万別ということであり、結局のところ「要不要は自分しだい」ということになります。
(おいおい…そんな結論じゃあ、この記事を読んだ時間が無駄じゃないか!というみなさんの声が聞こえてきました…)
なので、客観的な数字と僕なりの結論を書きます。
まず、一発合格道場初代~9代目メンバーを対象に2018年3~4月に実施したアンケートでは、「ファイナルペーパーを作った」という人が全体の約7割強でした。
合格者(なかでも、道場で記事を書くようなある意味特殊なバイタリティーのちょっとだけアクティブな人たち)の約7割が作り、約3割が作らなかったという事実と、様々な記事での言説を踏まえた僕なりの結論はこうです。
「ファイナルペーパーは作成を強くおすすめする。ただし、その目的と効果を意識したうえで、個々人の状況や課題と合致した内容を整理するときに限り有効である」
当たり前すぎることかもしれません。でも、冒頭にあるように噂に流されてなんとなーくその場しのぎで作るようなことだけは避けていただきたいのです。
「誰かが作っているから自分も作る」のではなく、「ご自身の課題と向き合い、必要な要素を結晶化する過程のなかで出来上がっていく」ものと位置付ける。これによって効果が何倍にもなり、精神面の安定も得られるということは、自信をもってお伝えします。
■きゃずのファイナルペーパー
大切なことは合格体験記の中に…
ここで私的な内容で恐縮ですが、僕自身の合格体験記に記載した内容を抜粋・再掲します。
2次は1年目はTAC、2年目は独学→MMC通信→MMC通学でした。1年目の2次はまともな学習法を確立できなかったため、以下は2年目の勉強法に関しての記載です。
事例Ⅰ~Ⅳそれぞれの特徴を理解する
初見では事例毎の特徴を理解することは難しいかもしれませんが、4つの事例は作問者も異なれば、どのような方向性の回答を期待しているかも違います。ここは初代ハカセさんのファイナルペーパーなどを参考に、事例ごとの特徴を理解していきました。
設問文の分析を行い、対応する切り口・キーワードをまとめる
各事例の具体的な学習にあたっては、①設問文の写経(与件文ではなく設問文をExcel等に写す)、②題意の抽出(何を聞かれているのか、制約条件は何なのか、の書き出し)、③自身の作成した回答と、予備校やふぞろいの回答との違いの分析、を行い、自身の回答に足りなかった切り口やキーワードをまとめるようにしました。意識したのは「自分の考え方のクセを知り、多面的に物事を見られるようにする」ことでした。なお、事例Ⅳに関しては特に管理会計とファイナンス領域に苦手意識があったため、毎日1時間程度は基本問題をひたすら繰り回していました。
ファイナルペーパーを作成し、回答のプロセス(解く順番、時間の使い方)を固める
直前期の一ヶ月に注力していたのは、試験当日に見るためのファイナルペーパーの作成です。本試験では、80分という限られた時間の中でイチから冷静に現状を把握するのは至難の業です。健康診断のときには事前にヒアリングシートがあるように、各事例の特徴をまとめ、こういう記載や設問があったらどんな切り口でどう書く、という答え方/キーワードマトリクスを作成していました。
一ヶ月と時間をとったのは、何度も改訂を繰り返すことで不要な項目を削ぎ落とし、かつ作成過程の中で刷り込み効果を高めるためでした。そして最後の最後、このファイナルペーパーがあることによりメンタル面でも落ち着いて(これだけやれば良いのだとある意味割り切って)、本試験に臨むことができたと感じています。
ここに書いてあることは合格発表直後のものですが、なんだか、すでに僕が今回お伝えしたいことは凝縮されていたようにも思います…(苦笑)
ひとつ付け加えるとすれば、作成したファイナルペーパーは診断士になったのち、勤務先の仕事や診断士としての支援活動を行うなかでも見直すことが多いということです。僕自身の原点であり、診断プロセスの手順書でもあり、多面的な視点を忘れないための覚書という位置づけになっているのだと感じています。
きゃずのファイナルペーパー
ということで、2次試験に臨むにあたり僕が実際に作成したファイナルペーパーを掲載します。
↑をクリックするとダウンロードできますので、利用される方はコメント欄にひとこと残して頂けると幸いです。また、二次使用(転載・転送・加工使用)はご遠慮ください。
なお、これは初代ハカセさんも仰られていることですが、ファイナルペーパーというものは本来、その人のための「only for me」なものです。
ファイナルペーパーの活用方法は人それぞれですが、試験1か月前の時点でご自身の処理手順を抜本的に変えることはおすすめしません。コンテンツの一部を、試験に臨むに際しての「留意事項」として使うなど、みなさんの処理手順の補強程度に使われることをおすすめいたします。
■ファイナルペーパー関連の主な過去記事一覧
道場ブログにおけるファイナルペーパー関連の主な過去記事は以下の通りです。どれも本当に参考になるものばかりですが、特に道場でもアクセス数の多いおすすめ記事には★マークをつけてあります。ご活用ください。
・【二次試験対策】ファイナルペーパーって?(8代目ITO)
・直前期!ファイナルペーパー、作りましたか?(8代目ゆっこ)
・★たきものファイナルペーパー【事前準備編】【事例Ⅰ編】【事例Ⅱ編】【事例Ⅲ編】【事例Ⅳ編】(7代目たきも)
・★合格年にファイナルペーパーを作った理由(7代目nori)
・【二次試験】ファイナルペーパーってやっぱり大事かも(6代目ぽらーの)
・“俺の”ファイナルペーパー(6代目きり)
・予備校メソッドの活用:二次は訓練と暗記~tomoのファイナルペーパー~(6代目tomo)
・ファイナルペーパーは作るべきか(6代目なご)
・★【2次試験】butaoのファイナルペーパー(5代目butao)
・ファイナルペーパー用!事例別の最後の注意事項!(2代目くれよん)
・明鏡止水 (ファイナルペーパー)(初代ふうじん)
・★二次試験直前:ハカセのファイナルペーパー(初代ハカセ)
・試験前夜までに即答できるようになっておいて欲しい7つの質問(初代ZonE)
・そろそろFinal Paper(初代JC)
泣いても笑ってもあと1か月。あなたは何をやり、何をやらないと決めましたか?
いまやるべきこと、やれることは何なのかを冷静に考え、決めたことをやり切ってください。走り切ってください。どうか、後悔だけはありませんように…!!
道場メンバーもあと1か月、全力で応援しています。
以上、きゃずでした。
今日合格一発道場のサイトを知り、このページに辿り着きました。素晴らしいものを惜しげもなく公開してくださってありがとうございます。美しい・・・!
まずは1次試験合格目指します、やる気がでました!
きうい様
道場9代目のきゃずです。コメント頂きありがとうございます!
ご自身で書いておられる通り、まずは1次試験を突破頂き、その上で掲載した2次試験用のファイナルペーパーを一つの参考として頂ければ幸いです。
1次試験、2次試験ともに、現在は10代目がそれぞれの観点で渾身の記事を書いていますので、きうい様にとって役立ちそうなものを取捨選択してご活用くださいね。
また、今回のようなコメント・リクエストなど寄せて頂ければ、極力それに対してフィードバック致します。
きうい様の合格を、道場メンバー一同心から応援しております!
初年度受験生です。
できるだけ過去問解答&振り返りに時間を使いたかったのでファイナルペーパーは作成しないと決めていましたが、こちらのものを使わせていただきます。
>鈴木建さん
コメントお寄せ頂きありがとうございます。偉そうなことを書いていましたが、僕自身、初年度受験生のときはファイナルペーパーを作成する余裕はありませんでした。
限られた時間のなかで実力を最大限高めるために、人のファイナルペーパーをチェックシート代わりに使う、というのも大事な意思決定だと思います。
あと2週間強、最後まで駆け抜けましょう。応援しています!
是非参考にさせて頂きます。
本当に感謝致します!
ここに書かれている内容が全部
自分のものになっているかまず確認した
上でカスタマイズします。
>Yasushi Maedaさん
コメントお寄せ頂きありがとうございます。数あるファイナルペーパーの中では比較的網羅性が高い(細かいA型ですみません…)ので、チェックリストのひとつとしてご活用頂ければ幸いです。
とはいえここにある内容がすべてではありませんので、ぜひご自身の学習や演習気付かれた課題に沿ったかたちで整理を進めてみて下さいね。
あと1ヶ月、体調にはぜひお気をつけくださいませ。心より応援しています。
きゃずさん、ファイナルペーパーをパクってカスタマイズさせていただきます!
以前、セミナーで見させて頂いた時はただすごい!としか思えなかったのですが、過去問をやったためか改めてみると、自分がモレやすいところを発見してしまいました。。気づいたところを試験まで忘れないようにしないとです、、
ヨシさん
きゃずです。コメント&セミナーへのご参加ありがとうございます!
まさに「自分がモレやすいと気づいた点をまとめたもの」がファイナルペーパーになっていくと思います。
ここから1ヶ月は気づいた点が出てくるたびに「もうけもの」だと思って取り込んでいってください!
そしてご自身にとって必要な要素をピックアップした後、何度も繰り返し見て、文字通り体得していくことが重要です。
1ヶ月後、ヨシさん自身が充実感とともに試験に臨めることを心より願っております。そしてその一助になれれば幸いです。
あとひと踏ん張り、走り切りましょう!
使うよ!
匿名さん
きゃずです。コメントありがとうございます!
ぜひご自身に必要な要素をピックアップして、あと一ヶ月の追い込みに活用いただければ幸いです。