2次試験と「社長の想い」の初耳学 by Takeshi
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はじめに
Hello, DOJO!
勝負の10月がやってきました。
いよいよ10月。2次試験が目の前に迫ってきましたね。
本番に向けてギアを上げていきたいところですが、勉強のストレスや緊張で体調を崩してしまうこともあります。
毎日決まった時間に寝て、体を回復させること。それが本番に向けての僕のアドバイスです。
体調管理は当日まで継続すること。僕を反面教師にしろよ。
それでは本題。
本日は、どうしても伝えたかった「2次試験の与件文の読み方」についてです。
受験応援サイトでは、「社長の想いに寄り添うこと」というアドバイスをしていることがあります。
しかし、これの本当の意味は何でしょうか?
過去問の事例も使いながら解説していきます。
「社長の想い」とは?
2次試験の与件文は、架空の企業(A社からD社まで)の実態が事細かに書かれています。
これらの企業は当然フィクションではありますが、それにしては練りこまれすぎてると思いませんか?
フィクションでこれだけ書けるなら小説も出せそう
それぞれの事例企業は、実際に日本国内に存在する企業がモデルという説が有力です。
事業内容、強みや弱みから、モデルとなった企業を探し当てている予備校もあるほどです。
早稲田出版が事例企業を訪問していることでも有名ですね
この説が正しいのであれば、与件文は以下の手順で作成されているのではないかと予想します。
与件文の作り方?
- 実在企業を訪問し、社長にインタビューする
- インタビュー内容を整理して文章にする
- 多少の創作を加えて、試験に出題しやすい形に調整する
※あくまでTakeshi予想
この中で肝となるのは、2.「インタビュー内容を整理して文章にする」と考えます。
インタビュー時に社長の口から出た言葉や、訪問先で気づいたことなど、整理する内容は多岐にわたります。
この時、
インタビュー内容を整理したのは誰ですか?
試験に出題しやすいように調整したのは誰ですか?
そう、与件文も設問も、作成しているのは出題者です!
だから、このようなことが言えるのではないでしょうか。
社長の想いとは!
与件文の「社長の想い」とは、「社長の想いであると出題者が考えたこと」である。
現代文との関係
出題者が書いてるなんて当たり前のことじゃん。
わざわざ解説する必要あるか?
社長自身が与件文直接書いていないなんて当然ですよね。そんな声が聞こえてきそうです。
なぜ、このようなことを意識する必要があるのでしょうか?
実は、みなさんが受験したことがあるであろう現代文の出題方法にヒントがあります。
現代文の問題は、様々な評論や小説から引用されています。
しかしながら、出題者が評論や小説の作者であることはまずありません。
現代文の問題を作る際には、出題者が文章に対して二次的な解釈を行っているということです。
ここに、
出題者 ≠ 作者
本文 = 作者
問題文 = 出題者
という式が出来上がります。
受験生の立場としては、誰に向けた解答をすべきでしょうか?
そう、採点者≒出題者の視点を意識した解答を作るべきなんです。
小説の作者が「作者の考えを述べよ」的な問題を解けなかったという話が話題になったりしますが、論理的に説明することが難しい内容が含まれるからだと考えられます。一方で評論は論理的に導き出せる解答の方が多いため、「作者の考えと全然違う」ということは発生しにくいです。
これらを整理すると、以下の図を意識することが求められます。
ちなみにこれは自分が考え付いたものではなく、某有名現代文予備校講師から教わったものです。
診断士2次試験の問題に戻る
現代文の例を見てきましたが、診断士2次試験の場合はどうでしょうか?
出題者 = 作者
本文(与件文) = 出題者
問題文(設問文) = 出題者
そう、出題者が意図して与件文を書き、設問文まで作っているんです!
だから受験生である私たちは、出題者が意図していることを与件文から読み取る必要があるわけです。
図で順に説明すると、このようになります。
大事なことなので2回言います。
社長の想いとは!
与件文の「社長の想い」とは、「社長の想いであると出題者が考えたこと」である。
「社長の想い」の見分け方
それでは、出題者の考える「社長の想い」を80分の試験時間でどう見つけるか。
これらの手助けをすべく、いくつかパターンを解説していきます。
時制が現在形や未来形
社長の想いは、後ろにお決まりのフレーズが出てくることが多いです。
例として、どんなものがあるか挙げてみます。
社長の想いによく使われるフレーズ
~したい
~を模索している
~悩みがある
そりゃそうよ
フレーズそのものは難しくありません。
しかし、緊張している本番ではこのようなフレーズを見落としたり忘れたりしやすいです。
そのため、与件文を読む際にフレーズをマーキングしておくことをオススメします。
中には同じ段落に複数回出てくることもあります。平成30年度事例Ⅱを見てみましょう。
(中略)
8代目は事業承継したばかりで経営の先行きが不透明であるため、宿泊棟の改築などの大規模な投資は当面避けたいと考えている。既存客との関係を考えると、宿泊料金の値上げにも着手したくない。打てる手が限られる中、8代目が試しに従来の簡素な朝食を日本の朝を感じられる献立に切り替え、器にもこだわってみたところ、多くの宿泊客から喜びの声が聞かれた。こうした様子を目にした8代目は、経営刷新して営業を継続したいと考えるようになり、中小企業診断士にその方向性を相談した。
平成30年度 第2次試験問題 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ 与件文より抜粋
「たい」が3回も登場しますね。内容が似通っていますが、忘れずにマーキングしておきましょう。
助言問題ではこのフレーズを無視しないように解答します。
想いが与件文で一貫している
与件文は数ページもあり、読むだけでも一苦労です。
しかし注意深く読んでいくと、同じようなことが複数回書かれているように見える箇所があります。
あるいは、現状と未来の対比が明確に書かれているかもしれません。
これは、社長の想いが一貫していてブレていないからだと考えられます。
ビジョンが明確だから、出題者としても社長の想いを無視できないと感じたことでしょう。
令和4年度の事例Ⅰを例に挙げてみます。
他方、ここ数年、A社では、大手中食業者への対応に忙殺されるあまり、新たな品種の生産が思うようにできていない状況であった。
令和4年度 第2次試験問題 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ 与件文より抜粋
(中略)
A社は、今後も地域に根ざした農業を基盤に据えつつ、新たな分野に挑戦したいと考えている。
この文章を読むと、社長の嘆きが聞こえてきそうですよね。
出題者も同様に、社長の想いはこれだと指摘しているわけです。
新しいことをやりたいのになぁ。
このように、離れた箇所に似た単語やフレーズが登場することがあります。
段落のつながりを意識して、ここもマーキング推奨です。
“言わされている感”がある
前述の通り、与件文はインタビューの内容を整理して書かれていると推察されます。
ここで、社長が話したであろう言葉が自発的にでてきたものなのかを見極めます。
令和2年度の事例Ⅰを見てみましょう。
(中略)
A社長は、この10年、老舗企業のブランドと事業を継いだだけでなく、新規事業を立ち上げ経営の合理化を進めるとともに、優秀な人材を活用して地元経済の活性化にも大いに貢献してきたという自負がある。しかしながら、A社の人事管理は、伝統的な家族主義的経営や祖父の経験や勘をベースとした前近代的なものであることも否めない。社員の賃金を同業他社よりやや高めに設定しているとはいえ、年功序列型賃金が基本である。近い将来には、自身が総帥となる企業グループ全体のバランスを考えた人事制度の整備が必須であるとA社長は考えている。
令和2年度 第2次試験問題 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ 与件文より抜粋
この部分に、少し違和感はありませんか?
確かにA社長自身は人事制度の整備をすべきと書かれていますが、こんな尋問が行われているようにも見えます。
御社は人事制度を変えていくべきだと思いますが、いかがですか?
あ、うん。そうかも…。
この社長の発言だけを強調して、与件文を整理したように見えませんか?
「否めない、指摘された」といったフレーズは、社長の想いに見えて、実は出題者によって言わされた、加筆された可能性があります。ちょっとした差ですが、こちらもチェックを忘れないようにしましょう。
余談
なんで出題者の顔をうかがう必要があんだよ
困っている中小企業を助けたいと思って受験している方も多いと思います。
それなのに2次筆記試験では、社長の想いに寄り添うことではなく、出題者の意図に沿うことが大事だと言われてしまいました。
それって変だと思いませんか?
実は、“本当の”社長の想いに寄り添う能力は合格後に身に付けます。
これらの能力は、診断士登録として必要な実務補習や実務従事に含まれています。
実在の会社で社長に適切な助言をできるように、架空の企業で出題者が判断するのが2次試験だと思ってください。
実務補習でどのようなことを行ったかは、今後のブログでお伝えします!
最後に
以上、社長の想いについて解説しました。
本来であればもっと早く記事として書くべきでしたが、試験1ヶ月前の公開となってしまい申し訳ありません。
2次試験の問題を解く際は、上の図を思い出してみてください。
残り1ヶ月、あなたのマインドは絶対に変わります。
いつやるか?
今でしょ!
以上、Takeshiでした。See you!
明日はさや姉です!
私の2次試験は”与件文先読み派”♪
設問文を先に読むスタイルがしっくりこない受験生におすすめ!
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ブログを読んでいるみなさんが合格しますように。
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