事例Ⅳ ファイナルペーパーに書いたこと【中小企業診断士2次試験】

 

【特集】
受験の女王ティアラ × 一発合格道場コラボ
2次試験直前!
プラス20点を実現する最終チェックリスト


雑誌「企業診断 10月号(9月28日発売)」に受験の女王ティアラことTACの津田まどか講師と当サイト「一発合格道場 11代目(2020年度のいつものメンバー)」によるコラボ記事が掲載されることになりました。
4科目それぞれでプラス5点=計プラス20点を実現するための事例Ⅰ~Ⅳの最終チェックリストと銘打って、発売時期にピッタリな実用的コンテンツを雑誌記事にて公開します。
本試験1カ月前という超直前期の入り口に立った時、「来た道の点検」と「進む道の確認」に、よろしければ活用し倒して下さい!

 

おはようございます。岩塩です。いつも道場をご覧いただきありがとうございます。

1次試験から2か月。例年であれば「直前期」を迎える頃ですが、今年はまだあと1か月以上あります。まだまだこれからです。停滞していると感じている方もいらっしゃると思いますが、ぐっと堪えて学習を続け、乗り越えていただきたいです。また、先日の道場合宿に参加された皆様におかれましては、誠にお疲れさまでした! 既に完成度の高い解答を作成されている方も多く、私も勉強させていただきました。皆さんと一緒にカレーを食べたのは良い思い出です。引き続き、がんばってください!

さて、本日は事例Ⅳの話題です。私は事例Ⅰ、Ⅲで60点をかなり割り込んでしまったのですが、そのマイナス分を事例Ⅱと事例Ⅳで挽回しました。特に事例Ⅳでは70点台後半を確保でき、本当に「ありがとう事例Ⅳ」状態でした。本記事では私が事例Ⅳでファイナルペーパーに書いた内容を淡々と書いてみます。試験当日に見直す目的で作成したものですので、基本的な数式はあまりなく、逆に細かい論点がありますが、押さえていない内容など何らかの気づきに繋がれば幸いです。

 


 

全体

● マイナスは『』で表記する。
単位を確認する。(百万円、千円など混ざっていたら要注意)
● 数値には単位(百万円など)を必ず書く。

財務会計初学者のため、「-(マイナス)」と書いてしまうことが多かったですが、模範解答に倣い、『△』と表記することに。単位混在は引っかかることがあったので注意しました。

 

 

経営分析

● 問題点・課題は与件から導く
  (与件に記述がない場合は、違いが大きい指標を選ぶ)
● 売上が前年より低下している場合、売上高総利益率を見る。
売上高経常利益率自己資本比率は同時に指摘しない。
棚卸資産が多い場合は当座比率も見る。
 
(参考)絶対評価できる指標
  流動比率:最低100%以上、理想200%
  当座比率:100%以上が望ましい
  固定長期適合率:100%以下が望ましい

経営分析はいきなり全部を計算せず、まず与件からヒントを探します。経営分析にお悩みの方は、ぴ。&べりーの記事必見です。

ビジネス実務に直接役立つ経営分析の知識と2次試験対策とは?!【中小企業診断士】

【診断士2次試験】経営分析は3点セット♪20分で8割を目指そう

 

 

CVP分析

価格変更時は注意!! 変動費率が変わる。
 (売上:変化、原価:そのまま)

営業レバレッジ限界利益÷営業利益
        限界利益÷(限界利益-固定費)
  – 固定費 ⇒ 営業レバレッジ
        ⇒ 売上変動に対する営業利益変動
        (売上増加時に利益が出やすいが、売上低下に弱い)
  – 固定費 ⇒ 営業レバレッジ
        ⇒ 売上変動に対する営業利益変動
        (売上低下に強いが、売上増加時に利益が出にくい)

● 記述問題は「損益分岐点が上がる/下がる」、「損益分岐点より上になる/下になる」の観点で記述。

価格変更のある問題でミスをした思い出が尾を引いています。変わるものと変わらないものをよく考えること。「営業レバレッジ」はCVP分析のポイントになるので、言葉の意味もしっかり覚えておいた方がよいですよ。覚え方は、べりーの記事をどうぞ。

【渾身】ごちゃっとしがちな財務会計知識と直前期の暗記法【中小企業診断士】

記述問題は損益分岐点の動き損益分岐点を超える or 超えないの観点で書くとわかりやすいです。

 

 

投資の経済性評価

減価償却費はとにかく注意。(ex. 旧設備と新設備を間違えない)

● 固定資産売却の税効果
  – 固定資産売却が発生 ⇒ CIF=売却額売却益×税率
  – 固定資産売却が発生 ⇒ CIF=売却額売却損×税率
   発生時期も注意

● 営業CF計算方法
  現金取引から計算
   営業CF= (CIF-COF)×(1-税率)+減価償却費×税率
      =(CIF-COF-減価償却費)×(1-税率)+減価償却費
  営業利益から計算
   営業CF= 税引前営業利益×(1-税率)+減価償却費

テキトーな計算メモのせいで減価償却費周りをよく間違えていたため、多少時間がかかっても丁寧にメモを書くように注意しました。税効果は直前期にやっと理解した論点です。「儲けたら税金を払わないといけない、損したら税金が安くなる」です。あやふやな方はTomatsuの記事を是非!

「除却損」を理解していますか?

キャッシュフローの計算に関しては、設問要求をよく確認してくださいませ。営業CFであれば上の式での計算結果、FCFであれば営業CF+投資CFで答えます。(私はこれで沼にはまっていました)

 

 

セールスミックス

● 生産するかしないか
  需要量から貢献利益を求める
  ⇒プラスなら生産、マイナスなら生産しない
 
● 優先順位
  単位時間当たりの限界利益を求める⇒高い製品を優先して生産
 
● 他の系との比較
  系全体の営業利益比較

セールスミックスは昨年も出題されました。「○○利益」の意味や、どの利益で比較するのか確認しておきましょう。

  • 売上高-変動費=限界利益
  • 限界利益-個別固定費=貢献利益
  • 各セグメントの貢献利益の合計-共通固定費=営業利益

 

 

原価計算

● 全部原価計算
  ⇒期末在庫(仕掛含)にも固定費が入り込む
   営業利益が大きく出てしまう
 
● 直接原価計算
  ⇒期末在庫(仕掛含)に固定費が入っていない

これはやや細かいですが・・・ 原価計算の手法により固定費の扱いが異なります。全部原価計算では、在庫に固定費が入るため資産として繰越し(=費用にならない)、直接原価計算では固定費はかかった段階で費用計上される、という違いがあります。

 

 

連結

● 連結:親会社が子会社の意思決定を支配
  一体的な事業遂行が可能
  – 同一企業集団として内部統制が必要
 
● B/S作成
  ① 資産と負債を合算
  ② [子] 純資産を0にする
  ③ [親] 子会社株式を0にする
  ④ (100%未満取得の場合) 非支配株主持分を貸方に記載する
  ⑤ 貸/借の差をのれん計上する
 
● P/L作成
  ① 全部連結
  ② (100%未満取得の場合) 当期純利益の手前で非支配株主損益を控除
  ※子会社の損益は、P/Lの非支配株主損益と持分比率から計算

連結会計は直近でH29、R01の2次試験に出ていますね。最近は事業承継やM&Aが重要な話題になっていますので、今後も出題されるかもしれません。財務諸表の作り方は覚えて損はないと思います。詳しくは11代目の連結会計マスター・おべんと君の記事をご覧ください!

【渾身】連結会計vol.1:中小企業診断士
【渾身】連結会計vol.2:中小企業診断士
【渾身】連結会計vol.3:中小企業診断士

 

 

企業価値

● 企業価値の計算方法
 DCF法:企業価値=1年後利益÷(WACC-成長率)
  ※WACCの計算に、買掛金などの無利子負債は含まない。
 収益還元法:企業価値=将来獲得する予測利益額÷資本還元利子率
 株式市価法:企業価値=発行済み株式数×株式の市場価格
  株価倍率法:企業価値=PER×P/Lの純利益額
  ※PER(株価収益率)=時価総額÷当期純利益
 純資産法(簿価・時価):企業価値=B/Sの総資産-B/Sの総負債
 
● ROA、ROE等式
  ROE=(1-t){ROA+(D/E)×(ROA-i)}
  ⇒ROAが借入利子率iを上回っていれば、D/Eの率だけROEが上がる。
 
● CAPM=リスクフリー利子率+β×(市場ポートフォリオ-リスクフリー利子率)
  ※市場ポートフォリオ:株式市場全体の平均投資利回り
  ※β:個別株式のリスクを意味する係数

企業価値はH30の2次試験に出ましたね。1次試験で勉強されたと思いますが、項目間の繋がりを意識して覚えておくことが必要です。「CAPMを株主資本コストとしてWACCを求め、そこから企業価値を計算する」のような形です。企業価値はM&Aにも関連する内容ですので、今後も問われるかもしれません。「公式の意味を理解していないと気が済まない」という方は、Tomatsuの記事をご覧ください。(←私は式導出して意味を理解したいタイプ)

【渾身】なぜ割引率から成長率を引くのか?【財務・会計】

 

 


 

最後に

事例Ⅳは2次試験の最終科目。疲労のピークで試験を受けなければいけませんので、反復練習を通して体で覚えることで対応力を高めていってください。取りこぼし論点に気づいたら、即チェックです!

そして事例Ⅳといえば電卓。皆さん、電卓は使いやすいもの、ルールに合ったものを用意されていますか?今一度ご確認ください。私は「売価」「原価」などの機能がある電卓を使っており、試験一週間前に、ルール違反なのでは、、、と気づいて買い直しました・・・。

 

以上、岩塩でした~

 


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事例Ⅳ ファイナルペーパーに書いたこと【中小企業診断士2次試験】”へ10件のコメント

  1. よっすい より:

    岩塩さま

    事例Ⅳのファイナルペーパーの記事ありがとうございました!
    早速自分のノートにいろいろパクらせていただきました(笑)

    すみません。1点質問させてください。WACCの計算式の下の※の部分についてです。

    「※WACCの計算に、買掛金などの無利子負債は含まない。」ということからおそらく仕入債務や未収金は含まないという理解でよろしいでしょうか?

    平成30年度の第2問(設問1)にまさにWACCを求める問題があると思うのですが、このブログのなおさんの再現解答では、仕入債務や未収金を含めた金額を負債額として扱っています。ふぞろいでも同様の解答でした。

    有利子負債のみをピックアップすると借入金+その他固定負債(有利子かどうか分からないのでとりあえず有利子と仮定しました)となるのではないかと考えたのですが、この問題についてはどのように考えればよろしいでしょうか。アドバイス頂ければ幸いです。

    よろしくお願いします。

    1. 岩塩 より:

      よっすいさま
      先日の夜ふかし&勉強会、お疲れ様でした!コメントいただきありがとうございます!
      WACCの計算に関して記載すべき内容が不足しておりました。記事に書いた「買掛金などの無利子負債は含まない」のは、与えられたコストが”有利子負債利子率”である場合の対応でした。”負債に対するコスト”とある場合は、無利子負債も含めたB/Sの負債項目全体に均した場合のコストと考えられるため、ふぞろいやなおさんの解法のように、支払債務なども含めた負債項目全体を負債額として取り扱う形でご対応ください。(与件や設問で”有利子負債利子率”であることが明確な場合は、無利子負債を除いて計算するのが適切になると思います!)ご心配をおかけし申し訳ありません。ご不明点がありましたらまたご質問ください!

  2. 今年こそ より:

    予想損益計算書の作成問題に臨む時に落とし穴がありますが、今ひとつ理解が出来てないように思います。記事にも書いておられますが、売上高の増減が即、変動費に影響するのではないの認識で良いのでしょうか。
    すなわち、売上=売上単価×販売数のうち、依存度の高い取引企業から次年度値下げを要求されるパターンでは、販売数は不変なので変動費に変更要因は無いでよろしいでしょうか?
    また、変動費が別の要因で変更になり、かつ販売数も変わる予想だと、どちらの要因も考慮しないと不正解でしたね。
    得点ゲット論点なのに、曖昧に済ますと命取りです。

    1. 岩塩 より:

      今年こそさん
      値下げを要求される場合は、単価(売上)は下がるが(設問に記載がない限り)変動費は据え置きと認識します。(変動費率が上がり、粗利が小さくなります)
      例えば、値下げに合わせて原材料の原価低減を行うなどすれば、変動費も下がりますね。販売数が変わる場合は売上高も変わりますので、品種別に分けて、売上高、変動費率をそれぞれ考慮して解く必要が出てきますので、与件&設問をよくよくご確認のうえご対応ください。(価格変更、変動比率の変更などの記載が出てきたら、身構えるようにしていました!)

  3. 今年こそ より:

    いつも拝見して、都度自分の足らないところを充足したいと思いますが、なかなかの毎日です。少しまとめて質問させて頂きます。
    1. マイナス数字は、指示がない場合限り、△表示の方がが良いのでしょうか?まだ、違和感があります。
    2. 普段の癖で数字の小数点以下を上に小さく上げて(上付き)しまう時がありますが、これは無効でしょうか?
    3. 途中の解法も示しなさいと問われた時に、模範回答では、かなり日本語の解説や単語が入っていますが、いざ本番ではあそこまでする必要があるでしょうか?極端な話、式の羅列で正解をアピールするのでは不十分で、減点と思われますか?
    4.計算問題以外が配点が高高くコスパが良いので、関連知識が有れば短時間で得点が取れると思っています。今年の難化対策には、うってつけかと思います。何か強化策としてのアドバイスをお持ちでしょうか?
    以上、長くなりましたが宜しくお願いします。

    1. 岩塩 より:

      今年こそさん
      いつも道場をご覧くださりありがとうございます!私の考えも入りますが、ご質問に回答させていただきます。
      1. 私の場合は「多数派に合わせる」という考えに基づき、模範解答で採用されていた「△」表示を使うと決めました。ただし「-」でも間違いになることはないと思います。(実際、昨年の事例Ⅳでも問題中の利益の表示が「-」となっていましたし・・)あとは決めの問題かと思いますので、「△」でいく or 「問題中の表記に合わせる」などご自身の納得いく表記を選ぶのがよろしいかと思います。
      2. これは「わからない」というのが答えになってしまいますが、極端に上付きになると、最悪の場合、”累乗”とみなされて×となることもあるかもしれませんので、できるだけ通常の大きさで書くよう訓練されたほうがよろしいかと思います。(リスクと思われることは、基本的に許容せず避けてください!)
      3. 解法を示すタイプの問題は、最終の解答が間違えていても0点とせず、計算プロセスにより理解度を評価するものです。そのため最終回答に自信がある場合は計算プロセスは簡潔でもよいかと思いますが、自信がない場合はある程度詳しく書いておいた方が加点となる可能性が上がります。どの程度書くかは解答枠のスペースと残り時間を考慮して検討しました。
      4. 記述問題については、守破離の進め方に基づき、過去問の記述問題で模範解答を真似て切り札を用意しておきました。具体的には、記述問題+模範解答をエクセルにまとめ、切り口・キーワード等を整理したうえで、移動時間等に眺めてインプットしていました。(10年分ほど)
      お答えになりましたら幸いです。がんばってください!

  4. サモラノ より:

    財務素人の私でも勇気が持てる記事で大変参考になりました!やはり、岩塩さんは、簿記や会計などの有資格者なのでしょうか?

    1. 岩塩 より:

      サラモノさま
      温かいコメントをいただきありがとうございます!私は簿記や会計の資格は持っておらず、財務会計は診断士1次試験で初めて学習した初学者です。2次は1次とはまた違う力を求められる試験で苦労いたしました。スタンスとしては、「習うより慣れろ」の精神で反復学習を行い、またケアレスミスをしないよう慌てず落ち着いて対応することを心掛けました。運もよく、それなりの得点を確保できたと思います。事例Ⅳは、初学者でも高得点を取れるチャンスは十分にあると思いました。がんばってください!

  5. 匿名 より:

    ● 売上が前年より低下している場合、売上高総利益率を見る。
    ● 売上高経常利益率と自己資本比率は同時に指摘しない。

    この二つの理由が良くわからないのですがご指導頂けますでしょうか。よろしくお願いいたします。

    1. 岩塩 より:

      匿名さま
      ご質問いただきありがとうございます。説明不足で失礼いたしました。

      1.売上が前年より低下している場合、売上高総利益率を見る
      売上原価には変動原価と固定原価があり、売上が下がった場合に変動原価は減少しますが固定原価は変わらないため、総じて売上減少に対する売上原価の減少が小さくなり、総利益率が下がると考えたためです。(ただし変動費率が高い会社の場合は、売上減少に応じて売上原価が下がりますので、総利益率が大きく変化しないことになります。CVP分析の営業レバレッジの考え方です。そのため、事例企業の原価構造に応じてご対応いただきたいと思います。)
      補足となりますが、収益性分析に関して、私は下記の優先順で指摘するようにしていました。
       (優先度高い)総利益率>営業利益率>経常利益率(優先度低い)
      理由は、総利益率に関わる費用は「売上原価」のみで、原因を明確に指摘しやすいためです。総利益率にも営業利益率にも差異がある場合に営業利益率を指摘すると、「売上原価にも販管費にも原因がある」となり、指摘内容がぼやけると考えました。総利益率に差異が見られない場合に、営業利益を見るようにしていました。(こちらに関しても、販管費に問題があることが与件文で明確な場合などには、営業利益率を優先的にご指摘いただいた方がよいかと思います。)

      2.売上高経常利益率と自己資本比率は同時に指摘しない
      経常利益率に問題がある場合に、原因は支払利息などの金融費用が主なものになるかと思います。支払利息が多くなる原因は「有利子負債が多い」ためなので、自己資本比率の問題点の原因である「負債比率が高い」ことと同様の指摘になると思います。もちろん間違いではないと思われますが、多面的な指摘をするほうがよいと考えたため、他の原因系を探すようにしていました。

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