個別計算問題対策#4 To do, or not to do. That is the question!  

事例Ⅳが大好きなふうじんと僕が舞い上がっている感がありますが…。
こんにちはJCです。今日は個別計算問題対策の5回目、DCFに基づく投資判断です。
 ハムレットくんは生きるべきか、死ぬべきかsign01で悩みましたが、経営者も投資すべきか、やめとくべきか相当悩んでるってことですよね。

9/14(火) CVP分析 
9/15(水) 商品別限界・貢献利益率とプロダクトミックス
9/16(木) CF計算書
9/17(金) DCFに基づく投資判断←今日はここ
9/18(土) 企業価値算定

水曜日のプロダクトミックスの例題が一部の方から、うれしい反響を頂き、好評だったようなので、調子に乗って、もう1個作ってしまいました。

◆例題◆

ふうじんが経営する中小企業D社はリーマンショック以来、売上が落ちている。自社の将来を分析したところ、平成22年末の予想EBITDA15百万円は5年間にわたり毎年1百万円ずつ減少してゆく見通しである。
この状況を打開するために、5千万円の設備投資を検討している。設備投資は平成22年の期初に実施し、減価償却は残存価値10%で5年で償却するが、5年目の期末には残存価値で売却できることとする。
・現在D社は設備の償却は完了しており、減価償却はない。
・設備投資を行うことで平成22年期末より向こう5年にわたり安定的に30百万円のEBITDAが得られる。
・法人税率は40%とする。
・全てのキャッシュアウトは期初、キャッシュインは期末に発生するものとする。
・また、運転資本の増減等、上記に記載のない要因は無視できるものとする。
・資本コストは5%とする。

設問
設備投資を行う場合と行わない場合、それぞれの場合の平成22年期初における期待正味現在価値を求め、設備投資を実行すべきかどうかを判断せよ。

◆EBITDA◆
今年の1次でEBITという言葉が出ていましたよね。問題文中に税前・金利支払前営業利益という注釈も書いてあったので、驚くほどのものじゃなかったかとは思いますが、EBITというのはEarnings Before Interest and Taxの略です。同様にEBITDA
というのはEarnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。
直訳すれば順に、金利・税・減価償却・その他の償却前の利益です。上の例題で驚いてしまった方も、なんだ、そんなもんかというぐらいに頭の隅に置いといて下さい。2次試験の事例Ⅳでは毎年、毎年聞いたことのないような用語が問題文中に出現しています。知ってれば、そんなもんか、ぐらいのものですので、聞いたことのない単語が出てきたら、相当焦ります。でも、あきらめないで知っている知識の中から類推してみるようにして下さいね。

◆解答と解説◆
最初から表で示されれば、全然簡単なんですが、だらーっと文章で書いて、わかりにくくする、これも事例Ⅳの常とう手段です。
1)まず、設備投資を行わないケースと行うケースの二つに分けて将来のCFを作りましょう。ぼくは公式を使うのは苦手でいつもP/Lを作って減価償却を振り戻すようにしています。その方がミスを回避できるような気もしています。
2)資本コストは5%なので、1)で算出したCFを年度ごとに5%で割り戻してゆきます。通常は複利原価係数とか年金原価係数とかが与えられていますが、自分で複利原価係数を計算してみる(算出の仕方を把握する)ことも大事かと思って、敢えて係数の表は例題には載せませんでした。
また、係数の変わりにシグマで記載されることもよくあります。Σで表現されている場合にはそれが何年目から何年目の数値なのかをしっかり確認することも忘れないでね
3)算出した投資する・しないのNPVでどちらが多いかを見比べて、多い方を採択する。
DCF(2)  ←解答例はココ(計算式がわかるように、下記のように展開できるように、Excelに飛ぶようにしときました)

◆もっとバリエーション◆
上の例題は比較的制約条件を少なめにしました。例えば、50百万円の設備投資を借入で賄い、金利支払い、元本返済を組み込むと、計算はもっとややこしくなりますし、1年目にまず少額のマーケティングを実施し、その成否で設備投資を延期化すると、リアルオプションの考え方も入ってきます。いけてる時、いけてない時を一定の確率で分配し、期待値を求めさせるのであれば、デシジョンツリーの問題に展開してゆくことも可能です。
余裕があれば、一度こんなふうに問題を作ってバラエティを広げてみると、事例Ⅳはどんどん得意になってゆくと思いますよ。

ところで、1年ぶりに真面目に事例Ⅳに取り組みました。最初はいきおいで個別問題の論点ごとの解説をしよう!と提案したものの、結構忘れてるしなぁ…という弱気な気持ちもありましたが、やればできるもんですね。僕にモチベーションを与えてくれた読者の方々にほんとに厚く御礼を申し上げます。ちなみに解答例がDCF(2)となっているのは、最初に作った解答例で間違いがあったからです。正直、僕もえらそーに例題とか作りながらも、結構ひやひやしています。受験生も合格者もほんとに全然差はありませんよ!後1か月ちょっとです。
ぜひぜひ頑張ってくださいね。心から応援しています。

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個別計算問題対策#4 To do, or not to do. That is the question!  ”へ7件のコメント

  1. JC より:

    yamada様

    いつもご覧頂き、ありがとうございます。

    例題では売却できることを所与の条件としているのですが、ご質問は例題から離れて、もし売却できなかったら、キャシュフローはどうなるか?ということと了解します。

    この場合には売却ができないため、
    B/S上の固定資産が残り、
    現金は増えませんので0
    となるかと思います。

  2. yamada より:

    いつも有益な情報発信感謝しています。
    (2)の発展系の質問ですが、固定資産が売却できなかった場合は
    0になるのでしょうか?それとも-5と評価すべきなのでようか?
    お手数ですが、ご回答お願いします。

  3. JC より:

    SK・UK様

    コメントありがとうございます。
    悩ませちゃってすみませんでした。
    作問者(JC)の意図は単なる設備投資のタイミングの制約でした。「全ての」というのが余計だったかもですね。
    すごく深く問題を読んで頂いて、ありがたいです。本試験もぜひぜひ頑張ってくださいね。
    心から応援しています!

  4. SK・UK より:

    例題ありがとうございます!
    そして、質問です。思いっきり勘違いしていたらすみません。
    「全てのキャッシュアウトは期初、キャッシュインは期末に発生するものとする。」
    という断りは、何かを意図した記述(制約)なのでしょうか??

    設備投資のCOFタイミングの制約でしょうか??
    ※”全ての”と強調されていたので、無理くり税金のCOFを期首に振り替えて割り引き計算してしまいました・・・
    (EBITDAはCIFとして計算しました。)

  5. taka より:

    ありがとうございます。
    固定資産売却益が出る場合についても考えてみます。

  6. JC より:

    takaさま

    コメントありがとうございます。
    実は僕も自分で問題つくりながら、最初同じところで、引っ掛かりました。
    DCF(2)の(2)となっている所以です。
    この例題で間違えやすいポイントだろうと思います。

    さて、この例題では残存価値そのもので売却しています。つまり、売却に関して損も益も出ていませんので、B/Sの固定資産が現金に動いただけで、P/L的には何も発生せず税金には影響しませんよね。1次の独立した問題だったら、間違えないような気がするんですが、長ーい文章の中でさらっと書かれると勘違いしちゃうもんですよね。でも一度間違えたら、それはすごくラッキー!次からは間違えませんから。後もう1か月ちょっと、ぜひ頑張ってくださいね。

  7. taka より:

    残存価値で売却できる5百万円には税金はかからないのでしょうか?

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