「大嫌い」な事例IVで得点を稼ぐ方法

こんにちは。ハカセです。

以前カミングアウトしたように、事例IVは、結果からみると不得意ではありませんでした。むしろ唯一の「安定科目」であり、計算できる「貯金科目」でした。

「いいよなー」という人がいます。「自慢かよ」と思うかもしれません。

でもね。僕は事例IVなんて「だいっきらいpoutです。

そもそも、診断士資格に挑戦しようかなと思いつつ逡巡していた最大の原因が「財務会計」。いまさら簿記なんて出来るわけない。むっちゃアレルギー! punch と思っていたほど。

だから、財務会計も嫌いだし、事例IVも嫌いです。

でも、事例IVは最初から得意でした。

なぜでしょう。

答えは簡単。

「固きを避け、柔らかきを責める」

これです。

◇ いきなり電卓をたたかない ◇

事例IVの試験が始まると、「ビリビリッ」と試験用紙を切り裂く音が教室に鳴り響きます。そして、すぐさま、「タンタンタンッ」と、計算機をたたく音が聞こえてきます。

人それぞれだから、ヒトのやり方に文句を言う筋合いはないのは分かっています。

でも、事例IVの財務諸表を見ていきなり電卓をたたき始めるのは効率面を考えてどうなのかなぁ、と首をかしげてしまいます。

ひとそれぞれ、理由はあるでしょう。「とにかく安心したい」とか「先に悪いところを見つけて事例本文に根拠を探しに行く」とか。

でもね。その数字が良いか悪いかは、絶対的に決まるものではありません。必ず相対的に決まるものです。相対の比較対象は、D社の財務諸表の隣に載っている同業他社かもしれませんが、「他の要素」との相対比較ということもあり得ます。つまり、自己資本比率が競合他社比でむっちゃ悪いけど、今回のD社の指摘するべき点は収益性と効率性のオンパレードだった、ということだってないとは言えません。

だから、僕の場合は、財務諸表に一瞥もくれずに、まず事例本文を熟読しました。そして、事例本文の中から D社の悪いところ(良いところ)を探す。そしてそれを確認するた(裏付ける)ために財務諸表を覗きに行く。こういうステップを踏んで読んでいました。

受験生は須らく、「経済人モデル」ではなく「経営人モデル」で80分間を過ごさなければいけないと思います。

◇ 経営分析で稼ぐ ◇

上述のように、僕は事例IVが嫌いでしたし、財務会計も得意ではありません

そんな僕の事例IVが貯金科目になったのは、経営分析を確実に行うことが出来たからに他なりません。

経営分析にはコツがあります。当たり前のようなコツです。

一つは、上述のように財務諸表からではなく必ず事例本文から拾うこと。事例のルールは、財務諸表ではなく、事例本文または設問文に隠れています。必ずルールに従ってゴールを見つけなければいけません。

2つめは、もう型を決めてしまうこと。基本的に下記の「収益性」「効率性」「安全性」から一つずつ案出してみる。違和感があれば出し入れしてみる。例えば効率性で二つ見つかってしまったら、ナイジュカ です。一緒に出来ないかを、文章テクニック(圧縮)で盛り込めないか、などを検討しました。

このフレームに自信を持てたのは、今でも忘れない、受験生時代に東京駅近くで勉強会をした後、JC と渋谷までの山手線を約半周した際に、トコトン話を聞いてもらったおかげで、一種の達観が得られたのが大きいです。財務が得意なJCに自分の考え方・取り組み方を説明し、納得しもらえたことで、「あ、自分の方法でよかったんだ」と思えるようになった。おかげで、以降の経営分析では全く迷うことなく自信を持って書くことが出来るようになりました

あの「JCとゆく山手線半周・経営分析の旅」がなかったら、僕の合格はなかったかもしれません。JCには感謝しています。(*^^)v

◇ 事例I・事例II・事例IIIで経営分析の訓練をする ◇

3つめは、日頃からあらゆる機会に経営分析を行って、見る目(経営分析センスといってもいいかもしれない)を養っておくことです。身近の会社を分析してみるのもいいでしょう。でも、僕は、事例企業を分析していました。え? 当たり前だろって? 違うんです。事例IのA社、事例IIのB社、事例IIIのC社を、機会あるごとに分析するのです。

例えば、2009年(平成21年)の事例IIIのC社。この会社の経営分析を課された際、どんな指標を使うかを想像してみるのです。

  • 他社と差別化できてるから粗利益率は高いかな?
  • 販売店と直接取引しているから支払いサイトは短く、売掛債権回転率はよさそう?
  • 製品ラインナップが豊富だから在庫が重く、棚卸資産回転率は悪い?
  • 見込み違いもあるみたいだから、この点からも棚卸資産回転率は悪い?
  • 営業担当者の人数は少ないみたいだから販管費は薄い? それとも非効率だから実は高い?
  • OEM受諾するために生産管理を強化すると原価率が上昇して粗利益率に影響しちゃうかな?

財務諸表がありませんので、正解なんてありません。時間のない受験生にしてみれば、無駄な作業かも知れません。でも、こういう地道な作業で経営分析のセンスを研ぎ澄ますことによって、事例IVの本番で「ピンと来る」確率を向上させることが出来る思います。

この「訓練」のもう一つのメリットは、必ずしも紙や電卓を使わないところです。電車の中はもちろん、コンビニで並んでいる時、トイレで用を足している時に、ふと「想像」することができます。ただでさえ解ける事例は限られているのですから、こういうところで「訓練」するのも手です。

おかげで、僕は指標で迷ったことはありませんし、大きく外したこともありません(別解を含めれば、ですが)。事例文から指標を拾えるのはこういう訓練の賜物でもあります。そういう意味で、ここにあげた3つの理由は切っても切り離せないものなのかもしれません。

◇ 文章問題で稼ぐ ◇

ここで改めて言うまでもありませんが、試験合格の要諦は「稼げるところで稼ぐ」です。事例IVで稼げるところと言えば、経営分析文章問題でしょう。例年、文章問題は20点ぐらいは出題されます。経営分析も文章問題の一部と考えることが出来るかも知れません。決してここを軽視することは出来ません。

事例IVの文章問題を、他の事例I、事例II、事例IIIとは違う対応をして、軽く考えている方はいらっしゃらないでしょうか?

ボクの場合は、「事例IVの文章問題は合否の分水嶺」ぐらいのつもりで、真剣に考え、きっちり「因果」で結び、事例I、事例II、事例IIIと同じぐらいの真剣度合いで、ひたすら推敲に推敲を重ねました。

◇ 難しい計算問題は基本的に捨てる ◇

計算問題は苦手なので、一生懸命計算問題の練習をしました。具体的には、TACのストレート本科生の教材の一部である「財務会計計算問題集」を解きました。また、過去問は事例IVだけは全て解きました。(逆に言うと、過去問は事例IV以外は1-2年分しか解いていません) その他、予備校の過去の事例演習を存在する限り全て解きました。そこそこの実力はついたと思っています。

でも。計算問題は基本的に捨てていました。

もちろん最初から捨てていた訳ではありません。2009年の難しい営業レバレッジの問題も、「一応」解きました。一応は。そして解答となる数値も出しました。

でも、それで終わりです。一生懸命検算してみたりとか、そんなことは一切していません。だって、「どうせみんな解けないんだもん (^_^;) 」。

それよりも、

  • 比較的対応しやすい CVP の計算問題の検算
  • 合否の分かれ目になりそうなオプションの損益の検算
  • 文章問題に「お団子一個」入れられないかの推敲
  • 経営分析に万一計算ミス・選択ミスがないかの確認

こっちに注力しました。

◇ 診断士試験の真髄 ◇

診断士試験の真髄は、何度も話していますが、

みんなが出来る問題をソツなくこなすこと

です。

特別なことが出来れば、それに越したことはない。でも、特別なことができなくても合格するチャンスがある仕組みになっています。僕の事例IVの対策は、それを端的に示していると思います。

少しでも皆さんの参考になれば幸いです!

by ハカセ

Follow me!

「大嫌い」な事例IVで得点を稼ぐ方法”へ2件のコメント

  1. ハカセ より:

    りっき様。2年近く前の記事にまで目を通して頂き、ありがとうございます! 事例IV は、コツさえつかめば安定科目になると思いますので、腰を据えて取り組んでくださいね。応援しています!

  2. りっき より:

    事例Ⅳの経営分析の指標で悩んでおりましたが、素晴らしいアドバイスを発見です。
    さっそく画像をダウンロードさせていただきました、感謝!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です