電卓を制するものは、事例Ⅳを制す 〜 by 一蔵
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はじめにお知らせです。
おやっとさぁ
みなさんこんにちは。一蔵です。
今日は、2次試験の事例Ⅳ対策向けに、「電卓の機能」と「実際に使うと便利なシチュエーション」についてお話したいと思います。
2次試験向け記事のしょっぱなで「電卓」!?
なぜ、2次試験対策しょっぱなで電卓の話をするかというと、これから事例Ⅳの問題に慣れていくと同時に「意識的に電卓に慣れていく」ことが大きなアドバンテージを生むということを実体験として学んだためです。
合格後に振り返ってみて思うこととして、CVPだのNPVだの競うところはいろいろありますが、1次試験を突破した猛者どもの戦いであるため、
「分かるor分からない」、「できるorできない」は差異が生まれるポイントではないのでは?
と、強く感じているんです。
事例Ⅳで合否を分けるポイントの最たるものは、「計算のスピード」と「計算の正確性」なのではないでしょうか。
んー、今さら大仰にいうようなことではないかもしれませんが、去年の受験生の中にも「そんなこと当然でしょ」と思いつつ、きちんと踏み込んで、意識して対策を打たなかった人がいるように思います。
おそらく、計算の「スピード」や「正確性」は“これまでの人生の中で積み上げる差”であって、ここから数ヶ月で差を埋める、差を開くことはできないと思ってしまっているんだと思います。
結論からいうと、そんなことはありません。
徒手空拳で戦うなら話は別ですが、中小企業診断士2次試験には電卓を持ち込むことができます。
この電卓を“使いこなせるようになる”ことで、「スピード」と「正確性」を大きく高めることができるようになります。
対策を打つか打たないかで大きな差が生まれるのであれば、読者のみなさんには2次試験の勉強に移行した早い段階で知ってもらい、十分な対応を取ってもらいたいと思い、今回は電卓を使いこなすポイントを3つ、ご紹介させていただきます。
それでは、さっそくいってみましょう!
電卓を使いこなすための3つのポイント
今回ご紹介する使いこなすポイントは以下の3つです。
3つのポイント
- 利き手とは逆の手(逆手)で打てるようにする。
- ブラインドタッチできるようにする。
- 電卓の機能を使いこなせるようにする。
【留意点】
まずはじめに留意点からお伝えしますが、3つのポイントの「1.」と「2.」はストレスを感じてまでこだわる必要はありません。
できるようになれば差別化になると思うものの、道場メンバーでも約半数はこだわっていませんでした。
ストレスさえ感じなければ、2ヶ月間意識的に取り組むことで試験で差別化できる程度まで上達すると思いますので、”気楽”に”意識的”に続けてみてください。
逆手打ち
逆手打ちとは、利き手とは逆の手で電卓を打つことをいいます。
効果
(1)スピード
スピードに与える影響は2つあります。
1つは、電卓とペンを持ち替える必要がなくなること。
持ち替える毎に1秒かかると仮定して、80分の試験の中で何回くらい持ち替えることになるでしょうか。
最初の経営分析だけでも「売上高総利益率」から「自己資本比率」まで14項目前後あり、ペンから電卓に持ち替え、電卓からペンに戻せば14項目×2回×1秒で28秒の差が生まれます。
CVPやNPVでは、計算の都度メモを取ったりするため、チリつも効果で80分の間に3〜4分程度の差が生まれるんじゃないでしょうか。
ただし、これは「3.」で触れる電卓のメモリー機能を活用することでメモをする回数自体を減らすという抜本策があります。
2つ目は、逆効果の影響です。逆手にすることは、当初は打つスピードを低下させます。しっかり2ヶ月間継続していれば、利き手と同じレベルで打てるようになりますので、この効果は最終的にゼロに持っていけるでしょう。
(2)正確性
次に、正確性の点では、ミスにつながるリスクが激減します。
“持ち替えて”電卓を打つ、“持ち替えて”数字をメモする、という“持ち替え”行為が入ることで、うっかりミスが生じやすくなってしまいます。左手で打って、右手で書くことができると、一気通貫で作業が流れていくため、思っている以上に誤認打ちやメモミスが減ります。
評価
逆手打ちにすることで、当初は利き手より打つのが遅くなってしまいますし、電卓のメモリー機能をフル活用できるようになると、そもそもメモする回数が激減するため、今回の3つの中では、一番ムリしなくて良いポイントといえます。
ただし、読んでいくと分かるように逆手打ちとブラインドタッチがともにできるようになるとシナジー効果が発揮されていきます。思っているほどハードルも高くないため、試してみてほしいところです。
一蔵が2ヶ月でできるようになったんだから、みんなできるわね
ブラインドタッチ
ブラインドタッチは、電卓を見ないでキーを打ち込むことをいいます。
これは、人によっては逆手打ちよりもハードルが高いかもしれませんね。
もし、パソコンのキーボードもブラインドタッチが苦手だという人であれば、ムリはしなくていいと思いますが、逆に「パソコンならできるよ」という人であれば、オススメです。
効果
(1)スピード
逆手打ちのように回数で効果を説明しにくいものの、スピードに与える効果性としては逆手打ちよりも高い感じがします。いちいち問題用紙から電卓に視線を移しかえる必要がなくなりますからね。
また、正確性で触れますが、打ち間違いが減る分だけ再打ちこみの機会が減り、解答スピードが高まります。
(2)正確性
これは「にわとりたまご」的な話になってしまいますが、ブラインドタッチにこだわろうとすることで、そうでない場合よりもより正確に打ちこむ姿勢が生まれます(ココ重要)。
ブラインドタッチでなければ、打ち込みながら打ち込みミスに気付けるため、打ち込みミスがそれほど問題になりませんが、ブラインドタッチだと打ちこみミスに気付くことが難しくなるため、“そもそも打ちこみミスを減らそう”というマインドが強くなります。
このマインドとともに、ホームポジション(薬指を「4」、中指を「5」、人差し指を「6」に置く指のポジション)を意識することで、打ちこみの正確性が高まるのです。
評価
パソコンがない時代であればブラインドタッチの敷居ももう少し高いと思いますが、パソコンでブラインドタッチに慣れている人であれば、チャレンジしない手はないです。
慣れてくると電卓を見ていなくても、打ち間違えたことが感覚的に分かるようになります(2ヶ月の間で)。
ここまでのおさらい
「逆手打ち」と「ブラインドタッチ」の2つの効果を見てきました。
仮にこの2つができるようになると、
視線を問題用紙に固定させたまま、
電卓は逆手で正確性の高い打ちこみ作業に専念させ、
利き手は書くことに専念できるため、
それぞれのスピード効果と正確性効果が2倍の効果を生むとして、「2×2×2×2=16倍」になるようなシナジー効果が得られます。
最初の留意点でお伝えしたように、ストレスを感じてまでムリしてほしくありませんが、できたあかつきには得られる効果は大変大きいと思います。
電卓の機能を使いこなす
みなさん、小学生の頃から電卓を触っていると思いますが、CだとCMだのよく分からないボタンがあるなと思ったことありますよね。
周囲に話を聞いてみても、理数系だからといって電卓を使いこなしているわけではなさそうなので、ほぼ全員(公認会計士や税理士以外?)が試験前までは理解していなかった印象です。
これが診断士2次試験においてものすごい差別化につながることになるため、受験時にはみんな使いこなせるようになっているんだろうと思っていましたが、知らないまま受験し、合格している猛者もいます。
読者の皆さんも猛者を目指したいのでなければ、逆差別化を避けるためにも機能として知っておくとともに使いこなせるようになってもらいたいと思うものを3つご紹介します。
差別化につながる3つの機能
(1)メモリー機能
(2)クリアボタン
(3)グランドトータル
(1)メモリー機能
メモリー機能
①M+(メモリープラス)
②M-(メモリーマイナス)
③RM(またはMR)
①M+(メモリープラス)
表示された数値を加算記憶する機能です。
例1)「3」を押して「M+」を押すと、3を加算する数字として記憶します。
例2)「50+50」を押して「M+」を押すと、100を加算する数字として記憶します。
②M-(メモリーマイナス)
表示された数値を減算記憶する機能です。
例1)「3」を押して「M-」を押すと、3を減算する数字として記憶します。
例2)「50+50」を押して「M-」を押すと、100を減算する数字として記憶します。
③RM(またはMR)
カシオはMR、シャープはRMと表記されています。
「M+」や「M-」で記憶した数字を加減算した合計値を表示します。
例)「100+100」→「M+」、「50+50」→「M-」の後に「RM」を押すと、100が表示されます。
(2)クリアボタン
クリアボタンは、メモリーだけを消す、表示されている数値を消す、全てを消す等、使い分けることで消したいものだけ消せるようになります。
クリアボタンもメーカで表記が異なり、カシオはACとMC、シャープはCAと表記されています。
メモリーだけを消したいか(CM)、計算途上のものだけを消したいか(C)、全てを消したいか(CA)、この3パターンで使い分けができれば大体OKです。
これをメモリー機能とともに使いこなせるようになることで、ものすごく効率的に計算が行えるようになります。
(3) GT(グランドトータル)機能
GT(グランドトータルキー)は小計をいくつか求めたあと、最終的に小計の合計を求めたい場合に便利な機能です。
❶5+3= ❷6×7= ❸8-4= ❹16÷2= ⇒ GT
上の計算のように、一回一回[=]を押して計算をした後に、[GT]を押すことで、全ての計算の合計が表示されます。実務では便利な機能だと思いますが、診断士試験では基本使わなくてOKです。
なぜなら、M+機能を活用できていれば、上記の例ではGT機能は不要だからです。
上記の場合、それぞれ[=]の代わりに[M+]を押して、最後に[GT]の代わりに[RM]を押せば同様の結果が返ってきます。
ただ、機能を知っておけば、いざという時(最終合計するつもりなく、[=]で小計してしまっていたとき等)に活用できるでしょう。
ケーススタディ
実際の問題でどのように使えるか、2つの事例をご紹介します。
NPV(正味現在価値)
(あくまで、テーマは電卓を使いこなすことにあるため、内容や数値を簡便にしています。)
問1)初期投資10億円で、下表の通り2つのケースで1年目から5年目までの利益が生まれる投資案がある。この投資案から得られる正味現在価値の期待値はいくらになるか。
繰り返しますが、電卓の使い方に焦点を当てて解説をしていきます。
まず、ケース1の場合の毎年発生する利益の現在価値を計算していきます。
ケース1の場合
1年目:5億円×0.9=4.5億円 ←メモ①
2年目:4億円×0.8=3.2億円 ←メモ②
3年目:3億円×0.7=2.1億円 ←メモ③
4年目:2億円×0.6=1.2億円 ←メモ④
5年目:1億円×0.5=0.5億円 ←メモ⑤
つづいて、毎年の利益の現在価値を合計し、確率を乗じます。
4.5+3.2+2.1+1.2+0.5=11.5億円
11.5億円×0.7=8.05億円 ←メモ⑥
つぎに、ケース2の場合の毎年発生する利益の現在価値を計算していきます。
ケース2の場合
1年目:1億円×0.9=0.9億円 ←メモ⑦
2年目:2億円×0.8=1.6億円 ←メモ⑧
3年目:3億円×0.7=2.1億円 ←メモ⑨
4年目:4億円×0.6=2.4億円 ←メモ⑩
5年目:5億円×0.5=2.5億円 ←メモ⑪
つづいて、毎年の利益の現在価値を合計し、確率を乗じます。
0.9+1.6+2.1+2.4+2.5=10.9億円
10.9億円×0.3=2.85億円 ←メモ⑫
ケース1の8.05億円とケース2の2.85億円を足すと、
8.05+2.85=10.9億円
投資額を引いた正味現在価値の期待値は、
10.9-10=0.9億円となりますね。
ここまでの計算を一切メモリー機能を用いずに行った場合、12回×2=24回電卓とペンを持ち替えることになります。
持ち替えたり、メモをしたりしている都度、100回に1回ミスが発生すると仮定すると99%の24乗=78.57%、つまり約21%の確率でどこかでミスして不正解になってしまう問題ということになります。
やり方を理解している理解していないで差がつく問題ではなく、21%のグループに入るか入らないかの勝負ということができます。
これをメモリー機能を用いると、次のようになります。
ケース1の場合
([M+]は、M+を押下すると理解してください)
1年目:5億円×0.9 [M+] (メモリー+4.5億円)
2年目:4億円×0.8 [M+] (メモリー+3.2億円)
3年目:3億円×0.7 [M+] (メモリー+2.1億円)
4年目:2億円×0.6 [M+] (メモリー+1.2億円)
5年目:1億円×0.5 [M+] (メモリー+0.5億円)
[RM](または[MR]) (電卓表示 11.5億円)
11.5×0.7=8.05億円 ←ココで初めてメモ①
この時点で一度、[CM]でメモリーを消去します。
つづいて、
ケース2の場合
1年目:1億円×0.9 [M+] (メモリー+0.9億円)
2年目:2億円×0.8 [M+] (メモリー+1.6億円)
3年目:3億円×0.7 [M+] (メモリー+2.1億円)
4年目:4億円×0.6 [M+] (メモリー+2.4億円)
5年目:5億円×0.5 [M+] (メモリー+2.5億円)
[RM](または[MR]) (電卓表示 10.9億円)
10.9×0.3=2.85億円
2.85に先程メモした8.05を足して、10.9億円。
最後に10億円を引いて0.9億円となります。
どうでしょうか。メモを取ったのはたったの1回だけです。
ミスをせずに解ける確率は仮定上98%(99%の2乗)になりますから、メモリー機能を使わなかったときの79%に比べて19ポイントも正答率が上昇していることが分かります。
経営分析
問2)令和5年事例Ⅳの設問1を使って経営分析をしなさい。
経営分析では、売上高総利益率から自己資本比率まで14項目前後の計算をしますね。このうち、以下のとおり9項目で売上高を使っています。
ここで、令和5年の数字を使って、(9)までの計算を求めてみたいと思います。
令和5年 事例Ⅳ 設問1
(1)売上高総利益率=2,804,087÷4,547,908
(2)売上高営業利益率=527,037÷4,547,908
(3)売上高経常利益率=537,032÷4,547,908
(4)売上高販管費率=2,277,050÷4,547,908
(5)付加価値率=537,032÷4,547,908
※便宜的に経常利益を付加価値額とみなして計算
(6)総資本回転率=4,547,908÷2,974,899
(7)売上債権回転率=4,547,908÷864,915
(8)商品回転率=4,547,908÷740,810
(9)有形固定資産回転率=4,547,908÷197,354
どうでしょうか。これだけ何回も「4,547,908」を入力しなければならないとすると、打ち間違えのリスクが高まってしまいますよね。
そんなときは、一番最初に4,547,908[M+]と押して、売上高をメモリー保存しておきます。それから次のように[RM]で売上高を呼び出してしまえば、ミスを大幅に減らすことができるようになります。
令和5年 事例Ⅳ 設問1
(1)売上高総利益率=2,804,087÷[RM]
(2)売上高営業利益率=527,037÷[RM]
(3)売上高経常利益率=537,032÷[RM]
(4)売上高販管費率=2,277,050÷[RM]
(5)付加価値率=537,032÷[RM]
※便宜的に経常利益を付加価値額とみなして計算
(6)総資本回転率=[RM]÷2,974,899
(7)売上債権回転率=[RM]÷864,915
(8)商品回転率=[RM]÷740,810
(9)有形固定資産回転率=[RM]÷197,354
数字キーを7回押す代わりに、RMを1回押すだけで済みます。
便利ですよね!打ち間違えのミスが激減するイメージが沸きますよね!
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
ぼくは、今日書いた内容を全て使いこなせるようにしたことで、令和5年の事例Ⅳは72点と中々の成績を残すことができました。
得点調整がどの程度行われているのか分かりませんが、ぼくはNPVの一部の問題を捨てているため、書いた問題が全て正答していなければ取れていない得点だったと思っています。
視線を問題用紙に固定させたまま、
電卓は逆手で正確性の高い打ちこみ作業に専念させ、
利き手は書くことに専念したうえで、
メモリー機能を活用してミスなくスピーディに計算したことで、
ミスを防止することができたんです。
みなさんもおそらく事例Ⅳは毎日勉強しているのではないでしょうか。
できる人は、今日の記事の内容にぜひチャレンジしてみてください。
きっと、ぼくのように財務会計の知識は人並みでも、割と良い点数が取れるようになります。
ちなみに、冒頭でご案内している「道場夏セミナー動画」のぼくのパートでは、今回の電卓についても触れていますので、他メンバーの動画とともに是非見てみてください(2次試験 文房具・電卓)❣
読者の皆さん、今日も勉強頑張ってくださいね🎵
明日はかます博士の記事です♪
何から始めたら良いかわからない2次試験対策、私が最初に行ったことをご紹介します!
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こんばんは!
電卓の使い方の習熟の方法が知りたくてやってきたにっくです。
詳しい記事で、やるべき事が分かったと思います!
「機能を使いながら」「はじめはゆっくりでもいいから」「ストレスなく」「使い続ける」事が大事なんですね!
参考になりました!
ありがとうございます!
にっく
にっくさん、こんにちは。
一蔵でございます。
コメントありがとうございます!
ほんの少しでも役に立つところがあればとても嬉しいです。
なかなか難しさのある試験ですが、それだけにやりがいはありますよね。
応援していますので、最後まで頑張ってくださいね!