【令和2年事例Ⅰ】思考プロセスを辿る!現場対応実況中継 by TAKURO

✨ おしらせ

雑誌『企業診断 10月号』に当サイト「一発合格道場」 12代目メンバー一同による記事が掲載されました!👏👏👏

同友館オンラインはこちら↓

https://www.doyukan.co.jp/store/search.php?c=1

発売時期にお勧めのコンテンツとして、事例Ⅰ~Ⅲでは道場メンバーが受験生時代に実際に書いた「ダメ答案から学ぶ事例ポイント」を、事例Ⅳでは直前対策としての「記述問題対策」、「部分点対策」、「チェックリスト」の3点を雑誌記事にて公開します。

本試験1カ月前という直前期に受験生のみなさんにご確認・ご理解して頂きたいポイントをまとめましたので、よろしければご活用ください!

TAKURO
TAKURO

9月も最終日ですね。
2次試験が迫ってきたなかで自分ができていること、できていないことが見えてきているのではないかと思います!
できないことに目がいって凹みがちですが、2次試験の勉強開始時から見れば、確実にできることが増えていっているはずです。

私は、プランターで酢橘の木と山椒の木を育てています。
どちらの葉もアゲハ蝶の幼虫の大好物なので、春から秋まで卵を産み付けられまくり、殺すのも不憫なので、アゲハ蝶の成長を家族やご近所と観察するスタイルにシフトしています(それが高じて、お隣の少年は我が家の幼虫の観察日記を自由研究のテーマにすると言っていました笑)

飛んでいるアゲハ蝶しか見たことない時には気づかなかったのですが、卵からアゲハ蝶になって普通に飛べるようになる確率ってすごく低くて、普通に飛んでるアゲハ蝶ってものすごい競争を勝ち抜いてきてるんです。虫の話からで大変恐縮なのですが、2次試験の勉強をしていると、あれもできないこれもできないとなって気持ちが沈みがちですが、忙しい中で1次試験を突破し、他の受験生と肩を並べて勉強できていること自体、相当凄いです!自信を持って、試験当日まで走り抜けましょう☆

では、本題に行きましょう!

本日の記事のコンセプト

令和2年事例Ⅰについては、先日、のきが、
令和2年度高得点答案から読み解く事例の本質 〜事例Ⅰ編〜
という永久保存版の名に相応しい、さすが、のき!!と言いたくなる記事を書いてくれました。
各レベルの再現答案の比較分析から事例Ⅰの本質に迫った記事は、多くの受験生に刺さったのではないかと思います。(私にもクリティカルヒットでした。)

また、設問解釈・与件文分析については、言わずと知れた名門ひでさんシリーズの
【ネタばれ注意】再現答案にかえて 2020年事例Ⅰ 前編(設問解釈)
【ネタばれ注意】再現答案にかえて 2020年事例Ⅰ後編
があり、既に多くの受験生が参考にしていることと思います。

Ma.satoもつい先日、のきの記事を踏まえた事例Ⅰの重厚な振り返りをしてくれました。

これらの分析に追加してコメントできることはありませんので、私からは、実際の試験当日の解法や時間の使い方を説明したのちに、解答作成根拠と解答内容を示し、自身の得点開示結果とともに各プロセスごとにうまくいった点、反省点を示すかたちで、解答プロセスの確立のために受験生に他山の石としてもらおうと思います。

長いので、お時間ない方は、最後の反省点のまとめの部分だけでも読んでみてください!

TAKUROの事例Ⅰに関する前提情報

得点/得意かどうか

令和2年度事例Ⅰ 64点
令和元年度事例Ⅰは68点なので、高得点ではないが、A
安定。
TAKURO自身も事例Ⅰは得意なつもり(法律論文で使う三段論法に近いため)

事例Ⅰの解答プロセス

①受験番号を書いたら与件文に段落番号を振りながら、最初・最終段落を読む
②設問文を読み、与件文と解答のあたりをつける(ここまで10分)
③与件文を読み、マークやメモ(ここまで20分)
④再度、設問文と与件文を読み、設問と与件の対応関係をつける(ここまで30分)
⑤解答作成(5問×10分で80分で解答終了のイメージ)

与件文の色分け

時制・時期:オレンジ
強み:青
課題・社長の思い:紫
製品ライン:黄色
その他重要な箇所:灰色
 ※以下では灰色文字は分かりにくいので、下線にしています!

段落番号振り&最初/最終段落読み

第1段落

「わが国を代表する観光地として知られる温泉地」/「同業他社と比べて売上が大きい。」に強みの青チェック

「中庭の~を示している。」の最終センテンスは、非常に意味深だが、よくわからないので?マーク

最終第12段落

この10年」時制のオレンジチェック

以下の3点に強みの青チェック
① 老舗企業のブランドと事業を引き継いだ
② 新規事業を立ち上げ経営の合理化を進める
③ 優秀な人材を活用して地元経済の活性化にも大いに貢献してきた

以下の2点に課題の紫チェック
①A社の人事管理は、伝統的な家族主義的経営や祖父の経験や勘をベースにした前近代的なものであることも否めない
②自身が総帥となる企業グループ全体のバランスを考えた人事制度の整備が必須である

TAKURO
TAKURO

↑の最終段落課題チェックで①と②の間にある「社員の賃金を同業他社よりやや高めに設定しているとはいえ、年功序列型賃金が基本である」の部分を課題としてチェックできなかったことが、後々尾を引くことになります。。。
これが70点に届かなかった原因の1つではないかと思います。

設問解釈

全体をざっと見る。配点は、おそらく20点×5、文字数も100字×5でオーソドックスな事例Ⅰという印象だったので、そのまま個別の設問解釈に入りました。

第1問 設問1

問題の柱書部分は見落とし注意!自分はよくうっかり見落としていました。読んでいても、無意識に設問文より流し読みしていることもあります。
時制:老舗蔵元A社を買収する段階
制約条件:A社長の祖父に関する設問(企業グループを経営する地元の有力実業家らしい)

問題文の柱書を読んだ上で、設問1の解釈
時制:A社の経営権を獲得する際
聞かれていること:経営ビジョン

想起したこと

・買収の一般的メリット ノウハウ早期獲得など
・企業グループの経営者としての買収ビジョンなので、既存事業とのシナジーは使いたいはず。できれば他の具体的事業名を挙げて蔵元とのシナジー効果を指摘したい
・最終段落には、「この10年間」とあり、割とA社経営がうまくいったような記述がある。とすれば、他に大きな失敗の記述がないのであれば、A社が10年でやったことをまとめれば解答になるのでは?

TAKURO
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この設問解釈、解答の想定は概ねうまくいっています。


第1問 設問2

時制:A社を買収する段階
聞かれていること:理由

想起したこと

・理由で100文字なので、「理由は、」から始まり、3要素程度の解答イメージ
・買収理由、とくに人的資源の引継ぎの話なので、ノウハウ・組織風土等のよさを引き継ぎたい、という方向性のはず。他には?
・わざわざ「前経営者と経営顧問契約」、「ベテラン従業員を引き受けた」を分けて書いている。それぞれに違う理由がある場合には、それぞれ1番大きな理由を50字ずつで書く作戦に変更する。

TAKURO
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ラインマーカーを引いた「他には?」は、手元のメモにもそう書いてあるのですが、当時の自分の頭の中は、従前の蔵元のよさをひきつぐ、という買収側の思考にとらわれていました。後述するように、与件文読み、解答作成の際もこの思考に引きずられて、被買収側の視点が抜けています。
もし、事例Ⅰが60点を下回っていたら、その原因は間違いなく設問1-2です。

第2問

時制:不明-但し、ベテランから女性社員への引継ぎ中のこと
制約条件:情報システム化の話?
聞かれていること:手順

想起したこと

・手順を問う設問は初めてでは?
・手順なので手順らしく、「手順は、①~、②~、③~」とした方が美しいか。
・情報システム化に関する事実関係は与件文にあるはず。どういった情報をシステム化したのか、その情報の特性に着目すれば具体的な解答が書けるはず
・情報のシステム化ということは、暗黙知の形式知化的なことを書けばよいかな?

TAKURO
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SECIモデルのことを知らなかったので、一次試験知識の企業経営理論の戦略的組織変革の理解を応用して回答することにしました💦

第3問

時制:現在
聞かれていること:部下の営業担当者に求めた能力

想起したこと

・ルートセールスに加えて直販方式を取り入れた変化に伴って必要になる能力を書けばよさそう
・でも直販方式ってなんだ??
・直販方式を取り入れたことについて具体的な記述があるはずだからそこを膨らませて書くしかない。

TAKURO
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勘のいい方はお分かりと思いますが、ほとんど何も想起できていないに等しいです笑
現場でもその自覚はあったので、設問解釈の段階で、私は、設問3を最難問と認定して、与件文で余程のことが分からない限り、最後の余った時間で解こうと決めていました。難問でも焦らず、最後にさらっと何か書いておけばいいんです。
設問解釈の段階で解く順番を大まかにイメージできるとよいと思います。

第4問

時制:将来
制約条件:企業グループの総帥、グループ全体の人事制度(A社だけでない)
聞かれていること:留意点

想起したこと

・将来の人事制度を聞かれており最終段落に将来に向けた課題が書いてあったから、ここを解決する方向でまとめれば解答にはなりそう
「グループ」という単語が2回出てくる。グループの観点が入った解答にする必要がある
・事例Ⅰ最終問題によくある人事制度の問題ではあるが、「留意点」が聞かれている。問いに答える姿勢に注意する。「留意点は~」でスタートしたほうが無難。

あとから振り返っても、この設問解釈の方向性で問題ないと考えています。
それだけに、先ほど触れた通り、最終段落の「社員の賃金を同業他社よりやや高めに設定しているとはいえ、年功序列型賃金が基本である」の部分を課題としてチェックできなかったことがもったいないです。その結果、人事施策の留意点を検討する際に、現状の年功序列型賃金をどうするか、という視点を持つことができませんでした。
この点は、与件文マーク付け、解答編集の際も尾を引きます。乞うご期待!笑

設問解釈終了!

この時点で10分経過です。経過時間や実際に想起した内容からもお分かりいただけるとおり、設問解釈に多くの時間をかけていません。よほどのことがない限り、ここまでを10分で終わらせることを最優先に考えていたためです。

与件文読み マーク&メモ(1回目)/設問・与件の対応(2回目)

設問解釈が終わったので、与件文を読んでマークとメモをつけていく工程にはいります。
現場で意識できていた訳ではありませんが、令和2年事例Ⅰは、1~2段落、3~5段落、6~11段落、12段落でストーリーを分けることができるので、その区分けに従って、マーク&メモ/設問・与件の対応づけの現場をお見せしたいと思います。

第1~2段落

メモしたこと、気づいたこと

第1段落
⑴会社組織に関する情報は図にする
⑵我が国を代表する観光地→酒蔵とのシナジーありそう(設問1-1の解答候補へ)
⑶「中庭やや燻した…」→最終センテンスなので重要そうだが、一度読んだだけでは何に使うかわからないので、?マークをつけてスルー
→2回目に読んだ時に、A社が多角的に経営していることの根拠だと気づき、設問1-1の解答の方向性の根拠とした。

第2段落
⑴最終段落より家族主義的経営が課題→役員は全て親族、実働役員は社長1名が後でネックになってきそう。
⑵人員構成は図にする。

TAKURO
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この段落のさばきは、後で振り返っても概ね順調です。

 

3~5段落

メモしたこと、気づいたこと

第3段落
⑴失敗の経験は重要 失敗の原因とその克服が解答要素になることがある(本問はなかった)
⑵従業員が当時10名、今40名なので増えた。要因があるはず。(結局使わず)
⑶最終段落に地域経済の活性化とあるが、ここにも地元(下線部)という単語が出てきた

第4段落
過去の成功体験に関する記述は、その成功にならった施策を打つ可能性があるので重要!あとの記述と併せて読むと、総帥は、買収先に身内を送り込んで事業を再生するスタイルのようだ。二匹目のどじょうを狙うビジョンとして設問1-1の解答候補になるな。
⑵また「地元」という単語が出てきた。地元重視!
⑶後半部分は、設問1-2に関連している。

第5段落
⑴「地域活性化につながっていくという確信」を含む前後の文章は、総帥の経営ビジョンそのものであり、設問1-1の解答候補の筆頭
⑵やはり、総帥は、身内を買収先の社長にしたうえで、経営を立て直そうとしている。過去の成功体験に倣おうとしている

TAKURO
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第4段落の「友好的買収」という点にチェックが入っていません。
あえて「友好的」買収と書いているので、その意図を汲む必要がありました。
チェック漏れの原因は、与件文の読み方自体にもありますが、設問1-2の設問解釈からの意識付けが甘かったことが一番の原因と考えています。
従業員を引き継いだ理由という設問で「他には?」と書いた割には「他には?センサー」が全く働いていませんでした。設問と「従来通りの雇用条件」、「友好的買収」のリンクができれば、友好的買収による地元へのアピール効果やモラール維持→組織風土承継といった視点も出てきたと思います。
このように、過去問を解いた後にミスの原因を探る際は、ミスが出た現場だけではなくてその前の工程に遡って問題がなかったか検討すると、解答プロセスの改善につながります。(この過程自体が事例Ⅲみたいです笑)

第6~11段落(前半戦)

メモしたこと、気づいたこと

第6段落
経営顧問や杜氏、ベテラン蔵人を残したのは、新社長を教育するためだった(1-2の解答候補

第7段落
買収後の事業展開が分かる。(1-1の解答候補

第8段落
⑴杜氏やベテラン従業員を残し、事業を担ってもらうつもりであったことがわかる(1-2の解答候補)
⑵「複雑な事務作業」、「取引先との商売」という、いかにも各従業員が属人的に把握していそうな単語。これを掌握しているベテランから引継ぎ、暗黙知を形式知化する流れが見えた!(2の解答候補

TAKURO
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現場では、2周目の第8段落まできた時点で、↑のメモに基づいて設問1-1と設問2の解答の方向性が決まりました。
設問1-2は、最初の設問解釈の際の思い込みが抜けず、むしろこの段落で買収する側の視点のみから書く方向に思考がさらに固まっています。設問解釈の際の思い込みの怖さが分かります。

第6~11段落(後半戦)

メモしたこと、気づいたこと

第9段落
⑴全体的に組織の話なので図示したい
⑵また「地元」が出てきた。地元重視は確定!
⑶最終段落の「能力を見極める」は重要そうだが、何につながるかわからない。。。

第10段落
「旅館などグループ企業からの営業支援」はまさにシナジー 設問1-1にシナジーのワードを入れることは確定!
⑵「インバウンドの追い風」も総帥の想定通りのはず。経営ビジョンとして設問1-1にインバウンドを入れることも確定!
⑶外国人等、いろんな人が働いている→バックグラウンドに配慮した評価制度が必要(設問4の解答候補)

第11段落
⑴設問解釈段階で難問認定していた設問3に関する記述が出てきた。与件文を読んでも決定打になる記述がない。何とか与件の記述から類推できる能力を書くしかない。(結果、販路?コミュ力?など半信半疑でメモをしています。)
⑵後段では、設問2の手順に関する記述が具体的に書いてある。(設問2の解答候補

TAKURO
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第9段落の「能力を見極める」の記述が使えなかったのは、最初にやる最終段落チェックで「年功序列型賃金が基本である」を課題としてマークできていないためです。現状の年功序列型賃金が経営課題に挙がるからこそ、能力を見極め、一定の能力主義、成果主義的要素を加味した制度にしたかったのだろうと、今振り返ると思います。
最終段落の課題をチェックする工程の重要性が分かります

第12段落(最終段落)

TAKURO
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この段落は、冒頭で触れたので、マークとメモの結果だけを書いておきます。

与件文読み終了!

1回目の与件文読み-マーク&メモの終了時点で22分経過

2回目の与件文読み-設問と与件文の対応確認の終了時点で31分経過

という状態です。概ねタイムスケジュール通りに進められています。

解答作成

解答作成に着手した時点でのTAKUROのビジョン

・設問1-1、1-2、設問2は解答の方向性が見えている!自信のある順に解こう!
・設問3は、与件文を読んでもよくわからない。残った時間で与件文を根拠にお茶を濁そう。

TAKURO
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↑のビジョンのよいところは、設問3が分からないので後回しにしていることです。
他方、設問1-2について、被買収側の視点がごっそり抜け落ちているにもかかわらず、解答の方向性が見えていると思い込んでいる点は、愚かとしかいいようがありません。

設問1-2

冒頭の設問解釈における「他には?」のメモが頭から抜けおち、そのまま被買収側の視点を落とし、与件文のシグナルも見落としたままここまで走ってきました。
しかし、当時のTAKUROは、自信満々で設問1ー2から解答を作成し始めます。。。

設問1ー2 解答作成への思考⑴

①第8段落で、杜氏やベテランに仕事をしてもらっている。⇒「事業を円滑に承継する」目的
②第6段落で、A社長が酒造りを教えてもらっている⇒「教育」目的

③最終段落の強み「老舗企業のブランドと事業を継いだ」からすれば、結局は、蔵元の老舗ブランド力を引き継ぎたかったのでは?

TAKURO
TAKURO

ここまでの思考は、買収側の視点の検討として我ながら順調です。しかし、この文字数ですと、100字には足りません。文字数が足りないことから、被買収側の要素も盛り込むべく与件を確認すればよかったのですが、そうはいきませんでした。。。

設問1-2 解答作成への思考⑵

思考⑴③を膨らませると、そもそも従業員や前経営者が蔵元の老舗ブランド力を体現していたということができるのでは!?無形のブランド力が有形の従業員に宿っているということを答えさせたいのだな。(←今振り返っても意味不明) では、冒頭に、思考⑴①~③を集約した形のまとめを書けば解答としても美しいな!

TAKUROの設問1-2の解答
老舗ブランド力を体現する前経営者及び複雑事務作業や取引先を掌握したベテラン従業員を引き継ぎ、①事業を円滑に承継する為②社長や新たに採用した責任者に酒造りや業務を教育させる為③老舗ブランド力を引継ぐ為

解答完了時39分経過(設問1-2解答所要時間8分)

TAKURO
TAKURO

結果は、上記のとおりで、設問解釈時の思い込みから抜け出せずに解答まで来てしまいました。自信満々に10分想定のところを8分で解答しています。
設問解釈で様々な可能性(本問では被買収側の視点)を柔軟に検討しないと、本問のように、その後の与件のシグナル、解答作成時の余った文字数にも気づかず、突っ走ることになる好例す。ここを他山の石としてほしいです。
あまりのシグナル見落とし具合に、ゴールデンボンバーの女々しくてを歌って踊りたくなります…

反省点1:設問解釈では様々な可能性を柔軟に検討する。決して決め打ちしない!

設問1-1

設問1-2を作成した後は、次に自信のあった設問1-1の解答作成に着手しました。

設問1-1 解答作成への思考

①設問解釈時の想定通り、買収後には大きな失敗がない。ということは概ねビジョン通りに経営できたはずだから、実際にやったことの概要をまとめればいいだろう。
②第4段落の旅館買収の成功体験に倣った解答にしよう。
③第10段落よりグループ会社とのシナジーには言及する。
④第5及び最終段落から「老舗ブランド」の強みを生かす視点も必要
⑤第5及び第10段落からインバウンドに関する外部環境にも触れる。伝統に憧れのあるインバウント(第5段落)と老舗ブランドの強みがマッチしてクロスSWOT的にも〇
⑥「地元」が何度も出てくる&第5及び最終段落より、総帥は「地域活性化」が最終目標っぽいので、この単語で締める。

TAKUROの設問1-1の解答
老舗ブランド力を生かし伝統に憧れるインバウンド客を集客する。資本注入で敷地全体を改装、複数事業を展開した上、有名な高級旅館等のグループシナジーを生かし全国的に有名な蔵元に育て地域活性化につなげる。

解答完了時50分経過(設問1-1解答所要時間11分)

TAKURO
TAKURO

設問解釈の想定が当たり、かつここまで与件文から回答根拠を引っ張ってこられれば、編集工程でミスをしない限り、概ね良好な解答を書けるはずです。
こういう場合は、少し時間がかかってもよいので、丁寧な編集を心掛けた方がよいです(その結果、11分かかってしまっている。)
当時の自分に注文を付けるとすれば、「地域活性化につなげる」ではなく、与件文に忠実に「地域の活性化につなぐ」と修正する点くらいでしょうか。
設問解釈から解答作成までのプロセスとしては満点に近いと思います(自画自賛)

設問2

解答作成ビジョンで述べた通り設問2までは自信があったので、次は設問2です。

設問2 解答作成への思考

①設問解釈時の想定通り、暗黙知の形式知化を骨子として解答すればよい
②「複雑な事務作業」、「取引先との商売」を掌握したベテラン(第9段落)と「2年ほど共に働いて知識や経験を受け継いだだけでなく、それを整理して情報システム化を進めた」(第11段落)という一連の過程が、まさに設問で要求されている「手順」をあらわしている。
「複雑な事務作業」、「取引先との商売」は、正に属人的な情報なので、これを共有していく手順を示すためにそのまま解答に書こう。
④手順を聞かれる問題は初めてなので、手堅く「手順は~」で始める。
⑤残りの部分は、手順らしく番号を振った上で、事例Ⅲっぽく書いておけば何とかまとまるだろう。

TAKUROの設問2の解答
手順は①複雑事務作業や取引先との商売を掌握したベテラン従業員からOJTや面談を通じて知識・経験を学んだ②学んだ暗黙知を形式知化してマニュアル化体系化して整理した③体系化した結果を周知し、PCDAを経てシステム化した。

解答完了時60分経過(設問2解答所要時間10分)

SECIモデルを知らなかった割には、「戦略的組織変革」の一次知識と与件文を使って何とか食らいつくことができました。とはいえ、のきの分析を読むと、②と③が抽象的だなと思いますが、プロセスに大きなミスはなく、時間をかけずにそれなりの解答ができたと思います。

設問4

この時点で残り時間20分、設問3は最難問認定なので、設問4で少しでも稼ぎたいと思って取り組みました。

設問4 解答作成への思考⑴

①人事制度確立のための留意点を聞かれている。珍しい構成なので、「留意点は」で始める。
②最終段落の将来に向けた課題がヒントになるはず。
③最終段落「家族主義的経営」と第11段落「血縁関係がないにもかからわらず…執行役員に抜擢」の表現が対になっている。身内ではない人材の登用が課題になるはず。
④「経験や勘」の問題点を克服するには、対義語?の「客観的」のワードを入れよう。
⑤事例Ⅰでは、よくわからないときに自分で作った組織図をよく見るとヒントになることがある
⑥グループ全体のことを見ていることが分かるような解答にする必要がある。
⑦⑤と⑥をセットにすると、旅館も含めた多業種展開していることに触れた方がよいな。

TAKURO
TAKURO

先ほど触れたとおり、最終段落の課題確認の際に、年功序列賃金の点を落としたことがここまで尾をひいており、この点は全く頭に浮かんでいません。
また、与件文を読んだ時に、第10段落で人材や雇用形態の多様性に気づいていたにもかかわらず、解答に要素を入れられませんでした。その原因を自己分析すると以下のとおりです。

人材の多様性が解答作成のプロセスに乗ってこなかった理由分析

①設問1-1と異なり、与件文を読む際に、設問との対応関係はつけられたものの、「シナジー」、「インバウンド」といった解答要素に落とし込んだ対応付けまではできていなかったこと。(設問4であれば「多様性」などが候補になると思います。)
②設問1-1と異なり、解答事項の優先順位をつけていなかったこと(人材・雇用形態の多様性については、第9,10段落と2つも段落を割いて書かれており、優先順位は高そう。)
③編集に手間取り、多様性を入れる文字の余力がなかったこと

TAKURO
TAKURO

自信がなくて設問4を4番目に解答しているので、③の原因は、やむを得ないと思います。むしろ編集にこだわって残した設問3が白紙になったり、自信がないのに序盤に持ってきて中途半端な解答になる方がよっぽどマズイです。

TAKUROの設問4の解答
留意点は①飲食業、蔵元、旅館等、異なる多事業を展開しており各事業実態に合った人事制度とする必要がある②家族主義的経営の中で血縁関係ない優秀な人材の昇進等モラール向上策③経験や勘に頼らない客観的人事制度

解答完了時72分経過(設問4解答所要時間12分)

TAKURO
TAKURO

ご覧いただいて分かるとおり、お世辞にもよい解答とは言えません。解答内容の分析は、のきの記事に委ねるとして、解答プロセスの点から挙げられる反省点は以下のとおりです。

反省点2:最終段落の課題確認は、慎重かつ丁寧に行う!
反省点3:与件文で見つけた解答事項に優先順位をつけるべきだった!

設問3

残り8分。設問解釈以降、解答の見当もつかない設問3… 思考プロセスは以下のとおりです。

設問3 解答作成への思考

①結局求められている能力はよくわからない。
②直販の意味もよくわからないが、与件文の記述から必要そうな能力を列挙していこう
列挙メモ:販路開拓、問題洗い出し、改革アイディア、事業理解、社交性

TAKUROの設問3の解答
①直販方式における販路を開拓する能力②従来の営業を抜本的に見直す為既存営業の問題点を洗い出し、改革を行うためのアイデアを出す能力③酒造事業を理解するため、杜氏や蔵人と交流し、情報を得るための社交性

解答完了時80分(設問3解答所要時間8分)

TAKURO
TAKURO

最後まで分からなかったので、与件文を根拠になぜその能力が必要になるのかを明示するように心がけました。おそらくCの解答ではないと思います。ピンチの時の緊急避難策として、与件文に根拠があることをアピールする作戦は有効だと思います。
masumiのいう戦略的寄り添いに近いでしょうか?
解答プロセスの点でいえば、設問解釈時に最難問認定した問題を最後にまわしたうえで、8分の短時間で一応嘘ではない解答を書けたので及第点です。

反省点のまとめ

ここまで読んでいただいた方、大変お疲れさまでございました。
事例Ⅰの現場での解答プロセスを振り返ることにより、少しでも参考になる点があれば幸いです。
本番でなければ、この後復習をするのですが、復習をするに当たっての反省点のまとめは以下の通りです。

反省点のまとめ

反省点1:設問解釈では様々な可能性を柔軟に検討する。決して決め打ちしない!

反省点2:最終段落の課題確認は、慎重かつ丁寧に行う!

反省点3:与件文で見つけた解答事項に優先順位をつけるべきだった!

これをファイナルペーパーの各工程の欄に追記することになるでしょう。

そして、繰り返しになりますが、実際に問題が発生した工程とその原因となる工程は同じとは限りません!(事例Ⅲの与件文を思い出してもらうとよくわかると思います。)

そのため、復習の際は、問題が発生した工程だけでなく、その原因となった工程を振り返り、原因を解決できる策を講じる必要があります(これも事例Ⅲみたいですね。)。
例えば、私は、メモしたにもかかわらず、第10段落の人材の多様性の視点を解答に入れられませんでしたが、「メモしたのにぬけちゃった(てへぺろ)」ではまた同じミスをします。

その解決策の1つが私でいうところのファイナルペーパーに当たります。

長々と書いてしまいましたが、TAKUROが実況中継を通じてお伝えしたかったことは以上です。

明日は、ビジョンを持って受験生支援に取り組む漢、こんちゃんです!

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【令和2年事例Ⅰ】思考プロセスを辿る!現場対応実況中継 by TAKURO”へ4件のコメント

  1. サトシ より:

    こんなに詳しい記事を書いてくださり、ありがとうございます。
    やはり再現答案はもちろん、こうやってプロセスを後で思い返せる人ほど、成績は高くなるし安定もしますよね。

    企業診断の記事、拝読しました。
    僕が目に止まったのは「ダメ答案」でした。合格者、しかもこのエリート集団の道場メンバーでさえ、1問くらいはとんでもない方向性の解答をしているのだなと思うと、少し安心感を得ました。
    また、解答内容の方向性(この論点ならこういう内容が解答になるだろう)のストックがあるほど、解答の安定感が高まる気がしました。安定感があるから、対応づけの際も明確に気づけ、与件文からどういう内容をピックアップすればいいかの精度も高まり、質の高い解答になります。

    野球で言うなら、合格者でも5球中1球はワイルドピッチをしてしまう中、派手さはなく地味でもコントロールの良い投手がA評価を安定的に取れるのだと感じました。

    1. TAKURO より:

      サトシさん

      コメントありがとうございます。
      解答プロセスとその再現性が安定すると高得点かはともかく一定の水準で安定してくるのは、ご指摘のとおりですね!

      企業診断の件もありがとうございます!
      12代目がエリート集団かはさておき、合格者やA答案でも超高得点答案を除けば、何かしらやらかしています。
      今回の私の実況中継をご覧いただけば分かる通り、設問1-2と設問4は結構やらかしているのですが、
      それでも64点のA答案がきています。

      ダメ答案記事も受験生に安心してもらうというのが狙いの1つですので、そういったコメントをもらえて嬉しいです!
      最後の文もご指摘のとおりですので、先日引退表明した元中日中田よりも山本昌、吉見、柳コースを目指すといいと思います笑

  2. ロム より:

    TAKUROさん、分析記事をありがとうございます。

    ファイナルペーパーに以前書いたことなのに繰り返し間違えることをたまにやらかしますが、その失敗をファイナルペーパーに書く時は「〇〇だって言っただろ!!!」と厳しい口調になっており、振り返りの際に過去の自分に怒られる仕様になっていますw

    残り40日を切って、ある程度回答の型はできているので、本番に向けて細かいところの微調整を図っています。
    今まで時制や時期についてはマークせずに自分の読解力を信じてやってきましたが、過去に大失敗をやらかしたことを思い出し、今後はTAKUROさんのやり方をパクらせていただきたいと思います。
    絶対に本番で大事故をやからすわけにはいかん……!!

    そういえば企業診断購入致しました!
    勉強の合間に読みたいと思います!

    1. TAKURO より:

      ロムさん
      コメントありがとうございます!
      ファイナルペーパーが厳しい口調になっていくのは私と同じですね笑(先日公開したファイナルペーパーではさすがに罵倒する口調はカットしました。)
      基本の型ができたら、あとはトライアル&エラーで微調整だと思うので、いい感じですね!

      私は、Ⅰ~Ⅲで時制の色を決めていましたが、少なくとも事例Ⅰはやったほうがいいと思っています。
      事例Ⅰは、解答候補が分かりづらいので、時制縛りがあるだけでも解答候補を抽出しやすくなりますし、
      ロムさんご指摘のように事故を防げるんですよね。

      企業診断ありがとうございます!
      内容は12人が本気で練り上げた本気の内容ですし、プロフィール紹介h、12人が本気でふざけております笑

      引き続き、この調子で頑張ってくださいね!

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