大人ならではの”忘れにくい”記憶法
こんにちは。ZonEです。
最近私はストーリーテリングについて勉強中です。どんなことでも、概念的な話をするよりも、身近な具体例や寓話、歴史上の物語等で説明した方が、分かりやすいですし、記憶にも残りますよね。
ということで、今日はせっかく記憶した知識を忘れにくくする勉強法について考えてみたいと思います。
記憶の種類は3種類
一慨に記憶といっても
- A.昨日の夕飯に食べたモノ
- B.OSI参照モデルの7階層の名称
- C.自転車の乗り方
など色々な種類があります。
脳科学(といっても諸説あるとは思いますが)では、記憶の種類を大きく3つに分類し、それぞれ「経験記憶」「知識記憶」「方法記憶」と呼んでいるそうです。
経験記憶というのは、文字通り各自が経験した記憶で、前述した「A.昨日の夕飯に食べたモノ(何を食べたか?)」や「経済学の答練で悲惨な点数を取った」などです。言い換えると「自分の過去の経験が絡んだ記憶」ということになります。
知識記憶は、知識や情報などに関する記憶で、前述した「B.OSI参照モデルの7階層の名称」などの診断士試験勉強で記憶しなければいけない用語とその意味や「円の面積の公式」、「郵便ポストの場所」などです。知識記憶は、「何かきっかけがないとうまく思い出せない」という特徴があるそうです。診断士試験関連の知識の場合、問題文がきっかけとなり思い出す…といったところでしょうか。
方法記憶は、体で覚える記憶で、前述した「C.自転車の乗り方」や「ボールの投げ方」などです。「ものごとのやり方を覚える記憶」とも定義でき、「無意識になされる記憶」という特徴があります。
察しの良い皆さんならもうお気付きの通り、
「方法記憶」>「経験記憶」>「知識記憶」
の順で、忘れにくい、いわゆる「粘着性の高い記憶」です。
そして、残念ながら、診断士試験勉強で記憶しなければならないほとんどの事柄が「知識記憶」なわけです。
さらに残念なことに、「知識記憶」が得意なのは(もちろん個人差はありますが)中学生まで…だそうです。
年齢を重ねるほど、「経験記憶」>「知識記憶」が発達し、丸暗記が通用しにくくなるわけです。
だからといって、記憶した知識を忘れてしまうのは仕方がないから開き直ろう!!
…ではお話にならないので、この「知識記憶」を「経験記憶」や「方法記憶」に近づける方法を考えていきましょう。
精緻化
まず、「知識記憶」を「経験記憶」に近づける方法について考えてみましょう。
診断士の同期合格者と「名前をど忘れした理論」などを話していると、よく
「それ、企業経営理論のテキストのこんな図の横で説明されていたヤツだ…」
という会話になります。実はこれ、経験記憶を利用した例だったりします。
純粋な知識記憶でも、何かに関連付けて覚えることで、経験記憶に近づきます。
このように「物事の内容を連合させて、より豊富にすること」を脳科学用語で「精緻化(せいちか)」というそうです。
物事を理解し理解し連合させると、思い出しやすくなるのはこのためで、「語呂合わせ」や「串刺し記憶法」もこれにマッチしているわけです。
ちなみに、語呂合わせは、「自分で考えたもの」の方が記憶に残りやすいです。また、他人の考えた語呂合わせでも「情景をイメージする」ことで、より記憶に残りやすくすることが可能です。
ストーリーで疑似体験
知識記憶どうしを関連付けするだけでなく、知識記憶と経験記憶を関連付けるとより記憶の粘着性は高まります。
「自分が経験した事柄」や「自分の勤めている企業が採用している施策」に関連する用語を容易に記憶できた経験はどなたもお持ちではないでしょうか?
ただ、自分が経験したことがある事柄には限界がありますよね。
でも、思い出してください。自動車業界で働いていない方でもインテグラル型アーキテクチャを「メーカー系列ごとの自動車生産」のストーリーで記憶できたように、またベータのビデオデッキを購入したことがない方でもネットワーク外部性やデファクトスタンダードを「VHS対ベータ」のストーリーで記憶できたように、ストーリーを通じて疑似体験することは可能ですよね。
診断士試験知識に関連したストーリーを探すのは多少手間かもしれませんが、
- 企業経営理論ならビジネス番組やビジネス雑誌などを使って、実際の企業例と関連付ける
- 運営管理なら工場の様子をイメージしたり、実際の小売業の店舗などと関連付ける
- 経営法務なら実際の判例などと関連付ける
- 中小政策ならグラフが示す意味をストーリー化する
など、工夫すればいくらでもできるハズです。
ちなみに、ストーリーで学習すると、無意識のうちに頭の中で色々とイメージすることになるので、右脳を併用して記憶する…という効果もあるようです。
少々遠回りに感じるかもしれませんが、長い目で見れば効率的な学習といえると思います。
方法記憶まで落とし込めれば最強
ボールを投げたり、自転車に乗ったりする時に、論理的に体の動かし方を考えている人はいないと思います。どちらかというと「反射的に」「無意識に」行動しているのではないでしょうか。
診断士試験知識でも、フレームワークや2次試験対策に関しては、習慣化することで方法記憶に近づけることが可能です。
コンサルの仕事をしている方がSWOT分析する際や、SEの方がウォーターモデルで開発する際などに、「反射的に」「無意識に」動けるのと同じようなイメージです。
例えば、
- 飲食店で食事をする際に、客単価や席数、回転率から1日の売上を推測する。
- 飲食店で効率的/非効率なオペレーションを見極め、生産管理でいうところの何にあたるのかを考える。
- 株式取引を行う際に、各種経営指標を自分で計算する。
- 新製品/新商品の4P+ターゲットを考えてみる。
など繰り返し行うことで習慣化することは可能だと思います。
また、2次試験対策についても、きちんと対策していくと、テスト直前には答案作成手順を「反射的に」「無意識に」行えるようになるハズです。
以上、今回は3種類の記憶を意識してみましょう…というお話をさせていただきました。
もちろん、試験直前期には、ある程度短期的な知識記憶を詰め込む必要がありますが、時間的に余裕がある今だからこそ、「知識記憶」を「経験記憶」や「方法記憶」に近づける工夫をしていただければ幸いです。
それでは、今日はここまで。
by ZonE
大学受験生、浪人 さん
コメントありがとうございます。
テンションが上がるくらい納得感がある文章として評価していただけたようで、私も非常に嬉しいです。
引き続き、頑張ってください☆
こんにちは。
中学の頃との暗記のギャップにずっと悩んでいました。
中学の頃はなんであんなにすいすい覚えれてたのに今は頭に入っていかないんだ…
ずっとずーっと疑問を持ちながらもがいていましたが、このサイトにすべて答えが載っていました!!!!もうテンションあがりまくりです!このサイトに出会えて良かった((o(^∇^)o))
たぶんこれに気づいている人も少ないと思い、さらに喜びがこみあげてきます。このままつっぱしります☆ミ
nhide さん
コメントありがとうございます。
脳科学の本を読んでいて、自分の勉強法とリンクする部分があったので、まとめてみました。
ブログという形でアウトプットするのも、知識記憶を経験記憶に近付ける上で、良い方法だなぁ…と再認識しました。
さすがの論理的な説明。納得です!