経営情報のAI時事問題、今年は何が出る? byひでまる

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音声要約はこちら
ミルクボーイさん風の関西弁漫才での要約です。
スクリプト
男性二人での関西弁の漫才として生成
Speaker 2: どうもー、おでんボーイですー、お願いしますー。
Speaker 1: お願いしますー。
Speaker 2: 今、ポケットサイズの六法全書をいただきました。こんなんなんぼあっても良いですからね。ありがとうございます。
Speaker 1: ほんまにね。
Speaker 1: うちのオカンがな、好きな「中小企業診断士試験」の論点の名前を忘れたらしくてな。
Speaker 2: 中小企業診断士試験の好きな論点を忘れてもうた?どうなってんねんそれ。ほな一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたか教えてみてよ。
Speaker 1: オカンが言うにはな、経営情報システムで毎年必ず顔を出す常連さんらしいねん。
Speaker 2: AIに関する問題やないかい!その特徴は完全にAIに関する問題や。あいつはもう試験のレギュラーメンバーやからな。他の論点が単発ゲストやとしたら、AIはもう司会者の横にずっとおる大御所タレントみたいなもんや。毎年「今年も来ましたで」みたいな顔して、ちょっとずつ新しいネタ持ってきよるんやから、油断ならんのよ。
Speaker 1: でもオカンが言うにはな、一回覚えればずっと使える、昔ながらの簡単なやつやって言うねん。
Speaker 2: ほなAIに関する問題とちゃうかー!AIは毎年進化しよるんやから。「去年覚えた知識?もう古いでっせ」って言わんばかりにトレンドを更新してくるんや。昨日までの常識が今日の非常識、それがAIの世界やねん。そんな悠長なこと言うてる場合やないのよ。
Speaker 1: オカンが言うにはな、なんかよう分からんアルファベットの略語がいっぱい出てくるらしいねん。
Speaker 2: AIに関する問題やないかい!LLMだのRAGだのCoTだの、三文字見たらAIと思えって言われてるからな。あれはもう、我々凡人には解読不可能な暗号や。たぶん専門家同士は「今日の晩飯、CoTで考えといて」みたいな会話してるんや。知らんけど。
Speaker 1: でもオカンが言うにはな、人間が一つ一つ丁寧にルールを教え込んであげる、手のかかる子らしいねん。
Speaker 2: ほなAIに関する問題とちゃうかー!それはエキスパートシステムや。AIはな、大量のデータを勝手に食って、勝手に賢くなっていくねん。「あとはやっときますんで」言うて、人間を置いてきぼりにする勢いや。手がかかるどころか、いつか我々の仕事を奪っていくんやからな。末恐ろしいわ。
Speaker 1: オカンが言うにはな、文章だけじゃなくて、絵ぇ描いたり音楽作ったり、なんでもできる天才肌らしいねん。
Speaker 2: AIに関する問題やないかい!もう何でも屋やからな、あいつは。こっちが鼻歌歌ったら「ジャズ調にしときました」言うて、ええ感じの曲にしてくれよんねん。そのうち「君の人生、映画にしといたで」とか言い出すで。主役はもちろんAIや。
Speaker 1: でもオカンが言うにはな、一つのことしかでけへん、めっちゃ不器用なやつやって言うねん。
Speaker 2: ほなAIに関する問題とちゃうかー!今のAIはマルチモーダルいうてな、こっちが喋ったら絵も描くし文章も書く、一人で何役もこなすスーパーマンや。電話しながらメモ取って、足でパソコン操作するぐらいのことは朝飯前やねん。不器用とは真逆の存在や。
Speaker 1: あとオカンが言うにはな、最終的には自分で考えて、勝手に仕事を進めてくれるようになるらしいねん。
Speaker 2: AIに関する問題やないかい!それAIエージェントの話や。もう「やっといて」って一言言うたら、あとは全部良しなに計らってくれる執事みたいなもんよ。「資料まとめてプレゼン作って、関係者にメールしといて」言うたら、気づいた頃には全部終わってる。便利すぎて怖なるわ。
Speaker 1: でもオカンが言うにはな、AIに関する問題ではない言うてんねん。
Speaker 2: ほなAIに関する問題ちゃうやないかい!俺がさっきから「AIは司会者の横におる大御所タレントや」とか「そのうち人生を映画にする」とか言うてた時、お前どんな気持ちで見とってん?
Speaker 1: 申し訳ないなと思って。
Speaker 2: ほんまに分かれへんがな。どないなっとんねん。
Speaker 1: オトンが言うにはな、「RPA」とちゃうかって。
Speaker 2: 絶対ちゃうやろ!もうええわ!
Speaker 1:ありがとうございましたー。
はじめに
本日は「ひでまる」がお送りします。
今回も「プワァ~」と音が鳴る音符さんと一緒にお送りします!
よろしくお願いします!
プワァ~(今回は生成AIやAIエージェントを解説するよ!)
中小企業診断士の1次試験(経営情報システム)では、毎年機械学習やAI(人工知能)の問題が出題されています。出題傾向は少しずつ移り変わってきており、令和6年は最新トレンドとして生成AIが題材となりました。そこで本記事では生成AIをご紹介すると共に、生成AI分野で2025年に大注目されているAIエージェントについて解説します。
2025年はAIエージェント元年とも言われています!
これは、今年出題されてもおかしくないのではないでしょうか!
経営情報システムのAI問題を振り返る
時は2025年7月、とある執筆者と音符さんの会話である。
とある執筆者だよ!今日もブログの題材を考えているよ!
今日は僕が仕事で扱っているAIをテーマにしようと思うんだ!
プワァ~(AI、特に機械学習の問題は毎年出題されているよね!それを振り返ってみようよ!)
令和2年から令和6年にかけて5年連続AIや機械学習の問題が出題されているんだ!
プワァ~(さらに言えることは何かな?)
以前は広く機械学習について問う問題だったのだけど、ここ数年は最新のトレンドである深層学習や生成AIに関する問題に変わってきたんだ!しかも、問われている知識もより専門的になっていて、筆者の感覚では難化していると思う!去年の生成AIに関しては時事問題的な要素も強かったね!
プワァ~(それだと、次は何が出そうかな~?)
最新のトレンドから出題されるならば、今年はAIエージェントが熱いんじゃないかな!
2025年はAIエージェント元年とも言われており、今年注目の技術なんだ!
または、引き続き注目されている深層学習や生成AIから出題される可能性もあるね!
プワァ~(じゃあ、それらの論点についてまとめてみよう!)
機械学習は統計とならんで経営情報システムでとっつきにくい分野の1つではないでしょうか?いかにも理系らしい論点であり、これらの分野に関わってこなかった読者様には、少し縁遠いものと思われるかもしれません。さらに、最近は出題の論点が基本的な知識から最新トレンドに変わってきているため、市販の教科書での記載が薄くより対応が難しくなっている印象があります。
そこで本記事では元AIエンジニアである筆者が。市販の教科書や問題集でカバーできていない最新トレンドである生成AIやAIエージェントについて解説し、他の受験生から一歩抜き出て頂くことをめざすという試みでお送りします。
機械学習とは?
本題である生成AIやAIエージェントに入る前に、まずは基本用語である機械学習について学びましょう。
本記事では何度か「機械学習」という用語が出てきました。そもそも、機械学習とは何なのでしょうか?AIとは何が違うのでしょうか?
結論から申し上げれば機械学習はAIの技術の1つです。令和元年度の情報通信白書から引用した図を掲載します。

人工知能とは、広く一般的に人間のようにふるまうプログラム全般を表します。その実現方法として色々なものが考案されてきました。経営情報システムの過去問でも出題実績のあるエキスパートシステムもその一つであり、これは機械学習より前に流行った、専門家の知恵をルールベースで抽出して全て詰め込もうとした手法です。ルールを一つ一つ人間の手でプログラミングすることで、複雑な思考ができるようにしていました。
しかし、エキスパートシステムはあまりうまくいきませんでした。なぜなら、人間の知能は複雑でありいくらかのルールでそれを模倣することはできなかったからです。パターンや例外があまりにも多すぎて、対応しきれなかったのです。
そこで登場したのが機械学習です。機械学習は大量のデータセットを基に、機械が自動的に複雑なパターンを学んでいくものです。
例えば、機械学習で使われる伝統的なデータセットにMNIST(Mixed National Institute of Standards and Technology database)というものがあります。これは0から9までの大量の手書き文字を集めたデータセットです。
機械学習は、これらの文字を1つずつ読み込んでいき、それぞれの文字にどのような特徴があるのかを学んでいきます。これを学習と呼びます。すると、新しい手書き文字に対しても「こういう特徴があるから3かな?これはおそらく5かな?」と予測することができます。これを推論と呼びます。このように、機械学習はデータセットを用いることで、人間が明示的にルールを与えなくとも自動的に人間のような知能が獲得できることが革新的です。

近年話題になっている深層学習や生成AIも基本的な原理は同じです。深層学習は、ニューラルネットワークという複雑な機構を活用することで、より複雑なデータセットから特徴を学習することができます。深層学習は設定できるパラメータ数が多いことから、非常に自由度が高く、大量のデータの情報をより細かく理解して学習をすすめることができます。
その深層学習を活用して、画像や音声、文章といった高度なモノを作り出す事ができるようになったのが生成AIです。※厳密には深層学習を用いない生成AIがあってもよいのですが、実際はほとんどの生成AIが深層学習ベースです。
機械学習のまとめ記事のご紹介
機械学習については先代のAZUKIさんが丁寧な解説をされておりますので、こちらをご覧ください!
生成AIとは?
生成AIとは、自然言語、音声、画像、プログラムコード、芸術作品(音楽)などのコンテンツを自ら生成できるAIのことです。
以前のAIはどちらかというと、画像などをインプットに単純な情報(映っているものが何か?など)を出力することが一般的でした。一方で生成AIは画像そのものを新たに生み出すことができるのです。
生成AIで最もはじめに話題になったのは画像でした。敵対的生成ネットワーク(GAN)という技術が2014年に開発されました。これは生成器(Generator)と識別器(Discriminator)という2つのニューラルネットワークから構成されており、これらが互いに競い合うことで学習を進めます。生成器は本物の画像に限りなく似せた画像を生成できるよう訓練され、それに対して識別機は本物の画像とAIが作った画像を正確に識別しようと訓練されます。この2つを同時に訓練させることで、より賢い識別機と、それさえ欺こうとする生成器のせめぎあいによって本物の画像とそん色のない画像をAIで作ることが可能になったのです。その後、同じ技術を音声などにも適用することで、色々なコンテンツの生成が可能になってきました。

そして、皆さまご存じのChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)が登場し、生成AIという言葉がどんどん一般化していきます。自然言語を処理する現在主流のモデルは2017年に開発されたTransformerという技術がベースとなっています。
これは、下記の画像のようにインプットされた文章の次に来る単語は何か?を推測することを繰り返すことで文章を生成しています。裏の仕組みとしては実際の出力値は「単語が次に来る確率」であり、最も確率が高い単語が次に来るのだろうと予想するわけです。

ChatGPTのGPTは Generative Pre-trained Transformer の略であり、この技術が根幹にあることがよくわかります。そして、Transfomerを用いたモデルに沢山の文章を読み込ませると言語能力が大幅に向上するという現象が発見されてから、急速に技術発展が進みました。
元々が自然言語や音声・画像の生成技術は別物でしたが、今ではChatGPTなどのLLMが自然言語をキーに音声や画像といったコンテンツ生成をサポートし始め、1つの生成AIサービスが様々なデータを扱えるようになりました。このことをマルチモーダルAIといいます。2025年現在は、マルチモーダル化がどんどん進みChatGPTがネイティブで画像生成に対応するなどサービスがより便利になってきています。
これらの技術は生活を便利にしてくれるだけではありません。令和6年度版の情報通信白書から引用するように、生成AIの市場規模は指数関数的に成長することが見込まれ、ビジネス分野でも注目度が高まっています。このことから、中小企業診断士試験を受ける方にとっても、経営目線から重要な技術の一つになっているといえるでしょう。

生成AIのサービス例
2025年現在の生成AIの主要サービスをまとめました。
| カテゴリ | 主要サービス例 | 主な機能・特徴 |
|---|---|---|
| テキスト生成・対話 | ChatGPT (OpenAI), Gemini (Google), Copilot (Microsoft), Claude (Anthropic) | 自然言語での対話、文章作成・要約・翻訳、質疑応答、アイデア出し、コード生成など |
| 画像生成 | Stable Diffusion, Midjourney, DALL-E (OpenAI), Imagen (Google) | テキストプロンプトからの画像生成、既存画像の編集・加工 |
| 音声生成・合成 | VALL-E (Microsoft), Elevenlabs | テキストからの音声合成、特定の声質の再現、感情表現の付与 |
| 動画生成 | Sora (OpenAI), Veo (Google) | テキストプロンプトからの動画生成、物理法則に基づいたリアルな映像生成 |
| コード生成 | GitHub Copilot, Code Assist (Capgeminiなど), 各種LLM (ChatGPT, Geminiなど) | 自然言語による指示からのコード生成、コード補完、バグ検出、リファクタリング支援 |
| 音楽生成 | Suno, Udio | 自然言語による指示からの音楽生成 |
LLMに関する用語集
ここではChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)に関する用語を簡単に説明します。(令和6年の試験に実際に出た用語については、皆さまの過去問演習の邪魔にならないように、あえて紹介しません。今年出そうな単語についてまとめてみました。)
Prompt Engineering – プロンプトエンジニアリング
生成AIへの指示文をプロンプトと言います。そのプロンプトをエンジニアリングするということから、生成AIから望ましい出力(回答、文章、画像、コードなど)を得るために、プロンプトを設計、最適化、テストする技術やスキルのことを言います。以前は非常に重要だととらえられていましたが、最近は後述する推論モデルの登場により、プロンプトエンジニアリングの重要性は比較的低下しています。
RAG (Retrieval-Augmented Generation) – 検索拡張生成
外部の知識ソース(例: 文書データベース、ウェブサイト、社内ナレッジベースなど)から関連情報を検索し、その検索結果をコンテキスト情報としてLLMに与える手法です。
CoT (Chain of Thought) – 思考の連鎖
LLMに複雑な質問やタスク(特に算術、常識推論、記号推論など)を解かせる際に、最終的な答えだけを出力させるのではなく、答えに至るまでの中間的な思考プロセスや推論ステップを段階的に生成させることです。
Reasoning Models – 推論モデル
CoTなどの技術を使って最終的な答えを出す前に思考(何度か自問自答のように文章を生成して、本当の答えに近づこうとすること)を行うモデルです。回答に時間がかかったり、コストが高かったりしますが、一方で難しい数学やコーディングの問題を解くことができます。
OpenAIのGPTで言えばo3などが該当します。
Vibe coding – バイブコーディング
LLMに自然言語で作りたいもののを指示することで、開発者が具体的なコードを一行一行記述せずにアプリケーションを構築するプログラミングの手法のことです。vibeという言葉には雰囲気・フィーリング・ノリといった意味があります。
さらに詳しく押さえておきたい方は、こちらの動画を参考にされるとよいでしょう。
AIエージェントとは?
生成AIをさらに一歩高度にしたのがAIエージェントです。AIエージェントは自律的に動いて仕事を行ってくれる凄いAIです。
生成AIの登場により、自然言語や画像など様々なコンテンツを生成することが可能になりました。しかし、AIはあくまで人間が一つ一つ指示をしたことに対応しているだけで、単純なタスクを繰り返し行っているだけです。
そのため「○○について調べて、それをレポートとしてまとめて、プレゼン動画を作って」といった、一連の仕事をそのままAIにお願いすることは難しいものでした。それを解決し、AIが自ら次に何をすればいいのか?を考えて複雑なタスクを自分でこなすようになったのがAIエージェントです。
あくまで筆者のイメージですが、RPA(Robotic Process Automation)をより高度にしたものととらえてもよいかもしれません。
RPAとは人がPCで行う定型的な作業を、ソフトウェアのロボットを使って自動化するものです。少し前ですが、RPAを用いて人が行う作業を自動化することが流行りました。RPAは、中小企業診断士試験においても令和2年に出題されています。しかし、RPAはできる範囲が狭かったり、最初にロボットに指示をすることが面倒であったりする課題がありました。
一方で、AIエージェントを使えば、従来のRPAにはできなかった自動化が可能になったり、細かくロボットに指示を与えなくても、AIが自分で考えて自動化作業を行ってくれます。
さっそく、AIエージェントが何をやってくれるのか、特徴をChatGPTに4コマ漫画で説明してもらいました。※ちょっと文字がおかしくなっている部分はありますが、ご愛敬ですね!

AIエージェントの実例(カスタマーサポートの無人化)
AIエージェントによって実現可能なことの一つに、カスタマーサポートの無人化があげられます。
従来、カスタマーサポートは人間のオペレーターが対応してきました。それは、お客様からのご要望を聞いて、時にはマニュアルを基に製品の使い方を説明し、時には顧客データベースにアクセスして契約情報を更新し、時には払い戻しに対応したりなど、対応する事柄が多岐にわたるからです。
そこでAIエージェントの出番です。AIエージェントには、LLM(自然言語の文章生成)による会話能力だけでなく、マニュアルや顧客情報といった外部情報へのアクセス権限が与えられています。
そこで、AIエージェントはお客様から頂いた指示をもとに自ら何をすべきかを考えて、時にはマニュアル検索、時には顧客情報へのアクセスといったように、必要に応じて外部の情報にアクセスしながら、与えられた指示を全うできるように処理します。どのように対応するかの頭脳の部分はLLM(自然言語の文章生成)が担います。
AIエージェントであれば、24時間365日のサポートを提供したり、多言語でのサポートを提供することも可能です。そして、何よりもお客様対応という負荷の大きな仕事を人間から機械に置き換えることができるというのは非常に有難いことでしょう。
想定問題集
上記の内容を基にして、AIで生成した問題を掲載します。
問1 マルチモーダルAIに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア.テキストデータのみを処理し、自然な文章を生成することに特化したAIである。
イ.単一の種類のデータ(例:画像のみ)を深く学習することで、専門的なタスクの精度を高めるAIである。
ウ.テキスト、画像、音声など複数の異なる種類のデータを統合的に処理し、より高度な判断を行うことができるAIである。
エ.AIの学習プロセスや判断根拠を人間に分かりやすく説明することに主眼を置いた技術の総称である。
正解
正解:ウ 解説: アは、主に大規模言語モデル(LLM)の説明であり、マルチモーダルAIの特徴を捉えていません。 イは、シングルモーダルAIの説明です。マルチモーダルAIは複数のモダリティを扱います。 ウは、マルチモーダルAIの定義そのものです。テキスト、画像、音声など複数のモダリティを統合的に処理する点が核心的な特徴です 。 エは、説明可能なAI(XAI)の説明であり、マルチモーダルAIとは異なる概念です。
問2 ある中小製造業が、熟練工の退職による技術継承問題に悩んでいる。マルチモーダルAIを活用してこの課題に対応する方策として、最も適切なものはどれか。
ア.AIチャットボットを導入し、熟練工の知識をテキストで回答できるようにする。
イ.工場の稼働データをAIで分析し、生産計画を最適化する。
ウ.製品の設計図(画像)と材質データ(テキスト)をAIに学習させ、新製品のデザイン案を生成させる。
エ.熟練工の作業中の映像(画像)、機械の稼働音(音声)、各種センサーデータ(数値)をAIに学習させ、異常検知や最適な作業手順を若手従業員に提示するシステムを構築する。
正解
正解:エ 解説: ア、イ、ウもAIの有効な活用法ですが、熟練工の持つ複合的な「技能」の継承という課題に最も直接的にアプローチしているのはエです。 アはテキスト情報のみ、イは数値データのみ、ウは画像とテキストの活用ですが、設計段階の支援です。 エは、映像(視覚)、稼働音(聴覚)、センサーデータ(触覚などに相当)という複数のモダリティを統合しており、熟練工が五感で捉えていた暗黙知をデータ化し、形式知として継承しようとする、マルチモーダルAIの特性を最も活かした活用法です 。
問3 生成AIのハルシネーション(もっともらしい嘘の情報を生成する現象)を抑制する技術として注目されているRAG(検索拡張生成)の仕組みに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア.AIモデルの学習データを定期的に最新のものに更新し、ファインチューニングを繰り返すことで、情報の鮮度を保つ。
イ.AIの回答に対して人間がフィードバックを行い、強化学習によって誤った回答を生成する確率を下げる。
ウ.ユーザーからの質問に対し、まず社内文書などの外部知識源を検索し、その検索結果を根拠としてAIに回答を生成させる。
エ.AIの判断根拠を可視化するXAI技術を用いて、AIが誤った推論を行っている箇所を特定し、自動的に修正する。
正解
正解:ウ 解説: RAG(Retrieval-Augmented Generation)の核心は、外部知識源の「検索(Retrieval)」と、その結果に基づく「生成(Generation)」の組み合わせです。ウは、この仕組みを正確に説明しています 。 アはファインチューニング、イはRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)、エはXAIの説明であり、RAGとは異なるアプローチです。
問4 ある中小企業が、社内の問い合わせ対応を効率化するためにRAGを用いたチャットボットの導入を検討している。中小企業診断士として、導入を成功させるための助言として最も不適切なものはどれか。
ア.「まず、社内規定や業務マニュアルが整理され、情報が最新の状態に保たれているかを確認しましょう。知識ベースの質が回答精度に直結します。」
イ.「導入後は、役職や部署に関わらず全社員が全ての社内情報にアクセスできるように設定し、情報の透明性を高めることが重要です。」
ウ.「導入するRAGシステムが、回答の根拠となった社内文書の箇所を提示できる機能を持っているかを確認しましょう。利用者の信頼性向上につながります。」
エ.「AIの専門家がいなくても導入・運用できるSaaS型のRAGサービスも増えているため、自社のITスキルレベルに合ったツールを選定しましょう。」
正解
正解:イ 解説: RAGを社内情報で利用する際には、厳格なアクセス権限の管理が不可欠です。全社員が全ての情報にアクセスできるようにすると、機密情報や個人情報の漏洩につながる重大なセキュリティリスクとなります 。したがって、イは不適切な助言です。 ア、ウ、エは、それぞれ知識ベースの品質、回答の信頼性、導入の実現可能性の観点から、RAG導入を成功させるための適切な助言です 。
問5 生成AIとAIエージェントの違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア.生成AIはテキスト生成に特化しているが、AIエージェントは画像や音声も扱えるマルチモーダルなAIである。
イ.生成AIはクラウド上で動作するが、AIエージェントはデバイス上で独立して動作する。
ウ.生成AIが人間の指示に基づきコンテンツを生成するのに対し、AIエージェントは与えられた目標達成のために自律的に計画・行動する。
エ.生成AIは大規模な学習データを必要とするが、AIエージェントは少量のデータで動作するように設計されている。
正解
正解:ウ 解説: 生成AIとAIエージェントの最も本質的な違いは「自律性」の有無です。ウは、生成AIが「受動的」なツールであるのに対し、AIエージェントが「能動的」な主体であることを的確に説明しています 。 アは不適切です。最新の生成AIはマルチモーダル対応が進んでいます。イも不適切です。AIエージェントもクラウド上で動作することが一般的です。エも不適切です。AIエージェントもその中核には大規模なモデル(LLM)を利用することが多いです 。
問6 ある中小のECサイト運営会社が、顧客からの注文処理から発送指示までの一連の業務を自動化したいと考えている。この目的を達成するために導入すべきシステムとして、最も適切なものはどれか。
ア.顧客からの問い合わせに自動応答する生成AIチャットボット。
イ.注文データを分析し、売上予測レポートを自動生成するBIツール。
ウ.注文受付後、在庫管理システムを確認し、発送部門に指示を出し、顧客に発送通知メールを送るまでの一連のタスクを自律的に実行するAIエージェント。
エ.定型的なデータ入力作業を自動化するRPAツール。
正解
正解:ウ 解説: 設問が求めているのは、複数のシステム(注文受付、在庫管理、メール送信など)を連携させ、一連の業務プロセスを自律的に実行するシステムです。これはまさにAIエージェントの役割です 。 アは顧客対応の一部、イはデータ分析、エは単一の定型作業の自動化に留まります。複数のタスクを計画し、状況に応じて実行する能力を持つAIエージェントが最も適切な選択肢となります。
終わりに
本記事では、生成AIやAIエージェントをテーマにお送りしました。
近年の機械学習論点は、トレンド要素が強くなってきたため過去問をベースとした対策がなかなか難しい所があります。そこで、日ごろからニュースなどを追いながら知識を集めておく必要があります。とはいえ、経営情報システムにおいて機械学習論点は1~2問の出題であり、そのために時間を大量に使うわけにもいきません。そのような問題でお悩みの読者様が、こちらの記事で生成AIやAIエージェントの概要をつかんで日頃の情報収集の時間を削減いただき、貴重な勉強時間にもっと多くの時間を費やしていただくことに貢献できれば幸いです。
明日の担当はダーヤスです!
どんな秘訣が登場するのかな…?お楽しみに!!!
期待してくれよな!
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いつも勉強させていただいております。
追い込みをして頭が柔らかくなっている今、最新のトレンドを紹介していただくタイミングとしてベストだと思いました。また、考え方まで書かれているので、変化球にも対応できそうです。
ありがとうございました!
早速コメントいただき誠にありがとうございます。
「どのタイミングでどのような記事をお出しするべきか」は、いつも私も頭を悩ませているポイントですので、かるぼさんのコメントのようにベストタイミングと仰っていただけると大変励みになります。本記事が変化球への対応能力に少しでも貢献し、本番の試験での成功につながるとよいなと思っております。ありがとうございました。