【永久保存版】平成29年度2次試験事例Ⅲ超高得点解答にみる2次試験合格のポイント!

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※注意:この記事は真剣に読むとおそらく1時間以上の時間を使うことになります。

 

みなさん、おはこんばんにちは、だいまつです!

 

さてさて、前々回から「平成29年度2次試験超高得点答案にみる2次試験合格のポイント!」と題して、3回シリーズで平成29年度試験の超高得点答案(80点クラスの再現答案)の分析を通じて、2次試験の本質に迫るべく記事を書いています。

 

✓29年事例Ⅰの記事はコチラ
✓29年事例Ⅱの記事はコチラ

 

いよいよ、本シリーズも最後の第3弾を迎えました。

 

今回の事例Ⅲの記事でも80点クラスの答案2つに加えて、60点を少し超える答案60点を下回る答案も比較対象として分析を行います。

 

<平成29年度事例Ⅲの再現答案提供者>
●だいまつ・・・<開示得点83点>
私です。事例Ⅰ、事例Ⅱと我が子ともいうべき自らの答案に辛辣な言葉を浴びせ続けてきましたが、今回は優しい言葉で褒めてあげることができそうです。

 

●すえ ・・・<開示得点81点>
タキプロ関西のお仲間です。物静かな雰囲気と話しやすさが魅力のIT系診断士です。以下、「すえさん」とお呼びします。IT系なのにITに強くなさそうなところが、私はすえさんのチャームポイントだと思っています。

 

▲もろもろもろ・・・<開示得点65点>
タキプロ関西でご一緒させていただているのですが、いまだになぜこのニックネームにされたのかが謎です。以下、「もろさん」(もろ×3)とお呼びします。名前だけ見るとぶっ飛んだ方の様に思われるかもしれませんが、「タキプロ関西の良識」の二つ名をもつ人格者です。一次試験のテキストに登場する、診断士なら誰もが知っている‘お勤め先’で働いておられます。

 

■たくじ・・・<開示得点54点>
ふぞろい11において、私がリーダーを務めていた事例Ⅰ(大阪)チームで一緒に作業をしていた仲間です。20代中盤という若さながら、安定感のある逸材です。セミナーでは不慣れなパワポ作成やプレゼンテーションに対する私の容赦ないパワハラ(冗談ですよ!)に見事耐え、もともと優秀なのに、さらに一皮むけました。ちなみに私の商売敵でもあります。

 

ところで、勉強会やセミナーで受験生の方々と接していると、事例Ⅲに苦手意識をお持ちの方が多いという印象です。そこで、詳しく話を聞いてみると皆さん口を揃えて、「製造現場のことが小難しく書かれていて、与件文の記述を整理するのも大変だし、対応策も全然思い浮かばない。どうしたらいいでしょうか・・・」と、おっしゃいます。

 

分かります。すごく分かります。その気持ち。

 

私もかつては同じような気持でした。

 

どうすれば、「受験校の模範解答」や、「ふぞろいの上位答案のような解答が書けるのか」、を真剣に悩んでいました。

 

そんな「事例Ⅲ苦手病」に悩んでいた私に、攻略への道をひらいてくれたのが、当時タキプロ関西の勉強会で受験生指導をされていた「ポポさん」という方の言葉でした。

 

私を救ってくれたポポさんの言葉を皆さんにもお伝えしておきます。

 

「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」

 

皆さん、どうでしょう?

 

「なるほど、そうだ」と思われる方もいらっしゃれば、いまの段階では、「ピンと来ない方」もいらっしゃるでしょう

 

大丈夫です。

 

ピンと来なくても、いまは構いません

 

今日の記事を読んで、そして事例Ⅲに対するトレーニングを積み重ねて行く中で、ポポさんの言葉の意味を実感できるようになれば、OKです。

 

このポポさんの言葉を「なるほどそうだ、その通りだ。事例Ⅲは難しく考えなくていいよね。」と思えたなら、きっとあなたは事例Ⅲで60点を取るレベルに達しています

 

それと、昨日chikaさんが事例Ⅲのキーワード解答法をまとめてくれています(コチラ)。こちらも必ず確認してください。私がchikaさんの記事に基づき皆さんにアドバイスするとすれば、以下の通りです。

 

頭に入れておく知識はchikaさんのキーワードがまとめられた一覧くらいでOK。事例Ⅲは覚えることは本当に少ないです。

「A:与件文のヒント」⇒「B:解答のキーワード」をちゃんと紐付けして覚える。与件文にヒントの記述がないのに、解答キーワードだけ覚えていて、答案にキーワードだけをねじ込むことは「絶対に」してはいけません(失敗者は語る)。この辺りも、今回の記事を読んでいただければ感覚的に分かっていただけると思います。

 

さて、前置きが長くなってしまいました。毎度のことですが、ここから先は平成29年度事例Ⅲの過去問を解いて、自分の解答や与件文を見ながら読むようにしてくださいね。でないと、今回も効果は10分の1以下ですからね!

 

過去問はLECのサイトからダウンロードできます(コチラ)。

 

では、さっそく、設問毎に答案を比べて分析をしていきましょう!

 


 

第1問(配点30点)
CNC木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題とその応策を140字以内で述べよ。

 

【出題の趣旨】
新規事業であるCNC木工加工機の生産販売を進めるために必要な生産管理上の課題を把握し、解決する能力を問う問題である。

 

●だいまつ(83点)
課題は、各班にまたがる全体生産計画を立て、各担当が連携して納期を遵守した製造体制を整えること。対応策は、受注情報に基づき製造部内で全体生産計画を立て、各班が連携して作業を行い、生産計画に基づき作業を同期化し、進捗管理する既存製品を含めた混合生産体制を整備し、期日に納品する。

●すえ(81点)
課題は、①従来の加工賃型には無かった調達機能の早期立ち上げや、②全社俯瞰的な生産計画と進度管理等の生産統制、③外注管理の徹底などである。対応策は、①調達部門の新設や②内部部品加工、鋼板加工や本体塗装等の同期化を行うこと、③カムアップシステムの導入や外注指導を行うことである。

▲もろもろもろ(65点)
課題は①ロットサイズの大きい機械加工とロットサイズの小さい製缶板金加工の生産同期化、②両工程の連携による技術シナジーの追求である。対応策は①常務のIT技能を活用して両工程を一元管理できるシステムを整備し適切な生産管理を行う事、②両工程で定期連絡会を開催し、連携を深める事。

■たくじ(54点)
課題は、機械加工班と製缶板金班が同じCNC 木工加工機の部品加工、組み立てを協力して行い、計画通りに生産できるようにすることである。対応策は、製造部における作業者間の連携を強化するために、改善チームの設置などで作業者同士が意思疎通を行い、業務改善に取り組める機会を創出することである。

 

<考察>
まず、今回は設問要求をしっかりと確認しておきましょう(いきなり脱線します)。

 

設問文の「CNC木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題とその応策を140字以内で述べよ。」を出題の趣旨も踏まえて考えると

 

「いままで作ったことのないCNC木工加工機を作るために、生産管理面で注意すべきこと(課題)は何ですか、またその対応策も教えてください。140字以内で。」

 

になります。

 

すなわち、本問では「生産管理」の観点から、「課題と対応策」を答えないといけないわけですが、ここ数年生産管理系の問題が出題されなかったことはありません

 

つまり、事例Ⅰで言えば、「人的資源管理(採用・配置・報酬・育成・評価)」、事例Ⅱで言えば、「4P」・「誰に、何を、どのように、効果」みたいなものです。毎回、毎回問われている超頻出の切り口なのです。

 

しかも、毎回毎回生産管理について答えてくれ」と、‘ド直球’で聞いてきます。以下の出題履歴を見てください。事例Ⅲの出題者が如何に「生産管理」が好きか(頻出論点であるか)をお分かりいただけると思います。

 

平成29年度事例Ⅲ(第1問)
CNC木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題とその応策を140字以内で述べよ。

平成28年度事例Ⅲ(第2問)
現在C社が抱えている最大の経営課題は、収益改善を早急に図ることである。生産管理面での対応策を160字以内で述べよ。

平成27年度事例Ⅲ(第3問)
C社は、納期遅延の解消を目的に生産管理のIT化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120字以内で述べよ。

平成26年度事例Ⅲ(第3問設問2)
X社からの業務の移管に対応するためには、C社の生産計画や資材調達計画を今後どのように改革していくことが必要となるか、160字以内で述べよ。

 

ここで、冒頭に申し上げたポポさんの言葉を思い出してください

 

「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」

 

まさに言葉通りです。

 

事例Ⅲには超定番の切り口があるのです。

 

それが「生産管理」です。

 

生産を行うためには 必ず’ 生産管理(計画→統制)が必要です。

 

なぜなら、生産計画がなく、さらにこの計画に基づいた「統制(進捗・余力・現品)」がなければ、「材料が足りない」、「仕掛品は山積み」、「手待ち・機械待ち」等々、至る所で問題が発生し、ムダ、ムラ、ムリの雨あられで、顧客が求めるQCDを満たすことができないからです。

 

つまり、生産管理が上手くできないと、まともにモノ作りができない訳です。

 

一方、事例Ⅲに登場する企業(C社)は生産での問題点・課題を100%抱えています(じゃないと、「生産技術」に関しての助言ができなくて、試験問題にならないから)。

 

そうなると、C社は「生産での問題点・課題 = 生産管理の問題点・課題」をまず間違いなく抱えていることになります。

 

もう少し具体的に話をします。

 

まずC社は、計画面で何かしらの問題点・課題を抱えています。

 

例えば、「計画が一部しか作られていない」、「計画の見直しタイミングがおかしい」などです。

 

そして、計画がガタガタだから、「統制面でも何かしらの問題点・課題」が生じている、という構図になっています。

 

例えば、進捗管理面では「一部の工程しか生産計画を作っていないから(計画ダメ)、他の工程では各担当者が好き勝手な順番で作業をした結果(統制ダメ)、納期遅延が生じている(QCDのDに問題が発生)」といった具合にです。

 

そのほかにも、

 

余力管理面では「全社的な生産計画がないために、他の工程のことはお構いなしで自分の仕事だけをしており労務費が高い(作業のムダが多くて残業発生でコスト高)」、

 

現品管理面では「各チームで生産計画を作って統制活動をしているから、原材料をそれぞれで調達しており、原材料費が高い(在庫や仕掛品がダブダブ、チームによって仕入れ単価がバラバラ)」、

 

というような問題が発生しており、QCDの「C」と「D」に問題・課題がある、という場合がほとんどです。

 

平成28年度の事例Ⅲは「異物混入」など、「Q」に問題を抱える企業が出題されましたが、基本的には「C」と「D」の切り口から問われる、そう考えて間違いありません

 

なぜなら、「品質向上(高品質)(Q)」は様々な要素が絡みあって実現されるものであるから、80分で解答させるには重た過ぎる内容となるためです(と、だいまつは考えています)。

 

それに比べて、「」の面では、残業発生でコスト高になっている(問題点)のなら、対応策は「作業の平準化で残業を減らしてコスト削減実現」、となりますし、

 

」の面では、進捗管理ができてなくて納期遅延が発生している(問題点)のなら、対応策は「全社的生産計画を作って進捗管理して納期を順守」というように、

 

問題点・課題と、対応策の関係が単純なので「」と「」の切り口から問われることが多いと考えられます。

 

仮に、「」の問題が出されたとしても問題点・課題と対応策が分かりやすくなっているはずです(「答えのある」国家試験ですから、80分で1次試験合格者なら誰もが答えられる、考え付ける、ようにしておかないといけませんからね)。

 

事例Ⅲで出題される企業は「Q」に強みは有するけど、「C」と「D」でお悩み、とイメージしておくだけでも、少し対応しやすくなるかもしれませんね!

 

いつもの通り道草が長くなってしまいました。

 

本題の考察に入りましょう。

 

まずは、私とすえさんの答案を見比べます。

 

●だいまつ(83点)
課題は、各班にまたがる全体生産計画を立て、各担当が連携して納期を遵守した製造体制を整えること。対応策は、受注情報に基づき製造部内で全体生産計画を立て、各班が連携して作業を行い、生産計画に基づき作業を同期化し、進捗管理する既存製品を含めた混合生産体制を整備し、期日に納品する。

●すえ(81点)
課題は、①従来の加工賃型には無かった調達機能の早期立ち上げや、②全社俯瞰的な生産計画と進度管理等の生産統制、③外注管理の徹底などである。対応策は、①調達部門の新設や②内部部品加工、鋼板加工や本体塗装等の同期化を行うこと、③カムアップシステムの導入や外注指導を行うことである。

 

二人の答案を読んで皆さんはどう思われましたか。

 

パッと見た感じで、「答え方も結構違う」し、「解答要素も結構違う」と思われた方が多いのではないでしょうか。

 

もちろん解答要素として違うところもあります。

 

でも、根っこの部分では、かなり似通っています

 

凄く大切なことなのですが、分かりますか?

 

・・・答え合わせです。

 

共通点は、「いままで作ったことのないCNC木工加工機」を製造していくために必要な課題を意識して(つまり題意に沿って)、答案を作っているという点です。

 

前回・前々回の記事でも書きましたが、中小企業診断士の2次試験では題意に沿った答案作りをしなければ、点数を得られません

 

足もとC社では、「比較的小物でロットサイズが大きい製品の加工を行う機械加工班(7段落)」と、「大型で多品種少量の鋼材や鋼板の加工を行う製缶板金班(7段落)」の2班が存在しますが、専任担当制を敷いていたこともあり、作業者間の連携はほとんどありませんでした(14段落)。

 

しかし、新事業のCNC木工加工機の製造では、①機械加工班と製缶板金班が同じCNC木工加工機の部品の加工と、組み立てに関わることになり、②さらにCNC制御装置の外部調達が必要となります。加えて③最終検査は設計担当者が行います。

 

・・・つまりは、CNC木工加工機は、製造部内の連携だけでなく、設計担当者を交え、さらには外部調達先とも調整を図りながら製造する必要がある、という設定です。

 

さてさて。

 

先ほど「生産管理が頻出論点」だ、と申し上げました。そして、生産管理を問われた場合には、「計画が一部しか作られていない」、「計画の見直しタイミングがおかしい」などを起点として「統制面でも何かしらの問題点・課題」が生じていると申し上げました。

 

本問に当てはめて考えるとどうでしょうか。

 

現在の賃加工型の生産業務(生産管理)では、

 

「顧客は古くから取引関係がある企業が多く、受注品の多くは各顧客から繰り返し発注される部品で、顧客から注文が入ると、受注窓口である社長と常務から、担当する製造部の作業者に直接生産指示が行われる(第8段落)」

 

ため、機械加工版と製缶板金版がばらばらに作業をしていても問題はありませんでした

 

つまり、担当者が社長と常務からの注文指示を受けてから顧客と話をして、自分の生産計画の中にその注文を取り込んで、進捗・余力・現品管理をすれば済みました。

 

いわば、個人個人の生産計画しか無いような状態です。

 

すなわち、現在のC社は、「全社的な生産計画が作成しておらず、統制活動(進捗・余力・現品管理)もばらばらの状態」と言えます。組織的に生産管理が行われていないのです。

 

なのに、新事業のCNC木工加工機の製造では、①機械加工班と製缶板金班が同じCNC木工加工機の部品加工、組み立てにかかわることになり、②さらにCNC制御装置は外部調達が必要となり、③その上、設計担当者が最終検査を担当することになります。

 

「製造部内(機械加工版と製缶板金、設計担当者)だけでなく、外注先との連携(外注管理)までもが必要」になってくるわけです。

 

じゃあ、課題は何ですか

 

と問われれば、私が答案の冒頭に書いたように「各班にまたがる全体生産計画を立て、各担当が連携して納期を遵守した製造体制を整えること」が、課題になりますよね。

 

もちろん、すえさんが解答した「①従来の加工賃型には無かった調達機能の早期立ち上げや、②全社俯瞰的な生産計画と進度管理等の生産統制、③外注管理の徹底」も当然に課題となります。

 

二人の答案を見比べると、すえさんの解答には「外部調達」の観点が含まれています。そのため、私の答案よりも、「ちゃんと」与件文を読み解いた上で解答、と言えるでしょう。

 

ただし、本問を通じて私が皆さんに学んで(気付いて)いただきたいのは、こうした二人の「違い(すえさんの方が与件文をちゃんと読み解けている)」ではありません

 

では、何を学んでいただきたいのか。

 

それは、事例Ⅲの設問文で「生産管理」がド直球で聞かれて、与件文を見たら、設問要求で想定した通り、全社的な生産計画がなくて問題・課題が生じている(これから生じる)、だから「全社的生産計画を作ることが課題ですね」と、解答用紙に書くべきだ、という点です。

 

事例Ⅲが苦手な方(昔の私も含めて)は、「与件文に多数埋め込まれている生産面の問題点や課題をどう整理すれば良いか分からない状態」であることが多いと思われます(私が受験生の方々と話して受けた印象)

 

でも、そうなってしまう原因は、「事例Ⅲで、よく問われる切口(ド定番の切り口)と答え方」を知らないからなのです。

 

難しく考えないでください。そんなアナタでも事例Ⅲで60点は十分に取れるようになります。

 

設問文で「生産管理」が問われれば、与件文には「計画が一部しか作られていない」や「計画の見直しタイミングがおかしい」状況と、それによって「進捗・余力・現品管理に問題・課題がある」状況が、必ず書かれています

 

見当を付けて与件文を読みに行けば、今まで見えてこなかった事例Ⅲを解くための筋道が、見えるようになってきます

 

そう、与件文で紐つけるべき箇所が明確に分かるようになるのです。

 

そして、与件文の記述さえ見つけてしまえば後は簡単です。

 

「計画が一部しか作られていない」 → 「全社的な生産計画を作れ」

 

「計画の見直しタイミングがおかしい」 → 「適切なタイミングで見直せ」

 

そして、計画に基づいて、「統制(進捗・余力・現品管理)」しろ

 

それによって、「QCD(特にCD)に生じている(これから生じる)問題を解決」しろ(効果)

 

と、解答用紙に書けば良いだけです。

 

事例Ⅲで‘よく’問われること」と、「答えるべきこと」を知ってさえいれば、設問文で出題者が答えて欲しいことを素早く・正確にイメージできるようになりますし、与件文を読んで何を根拠にどんな答えを書くべきか、もはっきりと分かるようになります

 

ここで、ポポさんの言葉もう一度

 

「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」

 

この言葉の通りです。問われる切り口をしっかりと押さえていけば、60点は十分に取れるのです。

 

次に、私の対応策です。

 

●だいまつ(83点)
課題は、各班にまたがる全体生産計画を立て、各担当が連携して納期を遵守した製造体制を整えること。対応策は、受注情報に基づき製造部内で全体生産計画を立て、各班が連携して作業を行い、生産計画に基づき作業を同期化し、進捗管理する既存製品を含めた混合生産体制を整備し、期日に納品する

 

なんだか、「対応策」の記述が「課題」と同じようなことを書いている気がしますし、解答要素も少ないように思いますが、①全体生産計画を立てる → ②進捗管理をして(生産計画に基づき各班が作業を同期化した混合生産体制を整備して) → ③ 期日に納品する(D)、という流れで、計画→統制、つまり「生産管理面での対応策」が書けていますね。さらに「期日を守る」という「D」の観点での効果が書けています。

 

83点という得点を考えれば、「課題と対応策」は一部オウム返しでもOK、解答要素を詰め込みまくる必要はない(解答要素が少なくてもOK)、ということが分かりますね。

 

訳も分からず、あれやこれやと要素を詰め込んだ答案よりも、「生産管理」という問いに、要素は少ないけれども「計画→統制→効果」で与件文と矛盾のない答案を作っている方が100倍マシだ(点数が取れる)ということでしょう。

 

一方、すえさんはどうでしょうか。

 

●すえ(81点)
課題は、①従来の加工賃型には無かった調達機能の早期立ち上げや、②全社俯瞰的な生産計画と進度管理等の生産統制、③外注管理の徹底などである。対応策は、①調達部門の新設や②内部部品加工、鋼板加工や本体塗装等の同期化を行うこと、③カムアップシステムの導入や外注指導を行うことである

 

「難しく考えすぎず」、シンプルに課題→対応策を書いています。

 

具体的には、

 

①(課題)調達機能の早期立ち上げ → (対応策)調達部門の新設

②(課題)全社俯瞰的な生産計画と進度管理等の生産統制 →
(対応策)鋼板加工や本体塗装等の同期化

③(課題)外注管理 → (対応策)カムアップシステム導入・外注指導

 

私個人としては、課題として挙げている「全社俯瞰的な生産計画」に対して、対応策で「全体生産計画を作れ」という、受け側の記述があってもよかったと思いますし、また、最後に「効果」として「顧客が満足するQCDを確保」が書けていると、なお良かったかもれません。

 

私とすえさんの解答を比較すると、「専門部署の立上げ」や「カムアップシステムの導入」など、すえさんの答案の方が具体性があるような印象ですが、二人とも80点を超えていますから、私のような具体性や知識面のキーワード(カムアップ)が少ない解答内容でもOKだということでしょう。

 

細かな知識や具体的な施策よりも題意(生産管理→計画→統制→実行)に沿って答えることが大切、ということですね。

 

次にもろさんです。

 

▲もろもろもろ(65点)
課題は①ロットサイズの大きい機械加工とロットサイズの小さい製缶板金加工の生産同期化、②両工程の連携による技術シナジーの追求である。対応策は①常務のIT技能を活用して両工程を一元管理できるシステムを整備し適切な生産管理を行う事、②両工程で定期連絡会を開催し、連携を深める事。

 

機械加工班と製缶板金加工班の「生産の同期化」という観点から、与件文を踏まえた答案が作成されていますね。

 

でも、さきほどの私やすえさんの答案と比べて明らかに物足りなさを感じます。

 

それは、「生産管理」の問題なのに、「生産計画」の視点がありません。また、「両工程の同期化」の切り口に詳しく説明することに終始してしまい、「統制(進捗・余力・現品管理)」面での記述も弱くなってしまっています。

 

だから、物足りなさを感じるのです。

 

なぜ、こうなってしまうか。

 

もうお分かりですよね。

 

もろさんは、設問文を読んだときに、

 

生産管理」だから「計画→統制(進捗・余力・現品)」を答えなければいけない。そして、与件文には「全体生産計画を作っていないとか、計画作成のタイミングがおかしい、といった記述があって、統制にも影響を及ぼしている状況」が書かれているはず

 

と、考えることができなかった(想起できなかった)のです。

 

もし、このように考えることができていたなら、答案の中身はく違ったものになったでしょう。

 

次は、たくじです。

 

■たくじ(54点)
課題は、機械加工班と製缶板金班が同じCNC 木工加工機の部品加工、組み立てを協力して行い、計画通りに生産できるようにすることである。対応策は、製造部における作業者間の連携を強化するために、改善チームの設置などで作業者同士が意思疎通を行い、業務改善に取り組める機会を創出することである。

 

生産管理面」に対する答案として弱いですね。なぜなら、計画→統制の流れで、C社における課題と対応策書けていないからです。

 

恐らくたくじも、もろさんと同じように設問要求の際に「生産管理で問われること」を十分にイメージできていなかったのでしょう。

 

一応、たくじの答案の中には生産統制に関する記述(「計画通りに生産できるようにすることである」)はありますが、C社の現状に照らせば、そもそも「全体生産計画を作ること」を課題や対応策として助言をしなければなりませんね。

 

ということは、出題者が「一番期待している」部分の記述がない訳ですから、「計画」というキーワードを盛込むことはできていますが、あまり点数がもらえなかったと考えるべきです(その結果が54点という点数に表れています)。

 

また、「製造部における作業者間の連携を強化するために、改善チームの設置などで作業者同士が意思疎通を行い」という記述は、もろさんの「生産の同期化」に近い観点からの解答です。

 

ただ、個人的には「生産の同期化が必要」と明確に書いているもろさんの答案よりは、採点者へのメッセージが弱いような印象を受けます。

 

如何ですか皆さん。

 

事例Ⅲの数少ない切り口(頻出論点)である生産管理」のことを、意識して解答を作るかどうかで、ここまで答案の品質が違ってきます

 

平成30年度試験で「生産管理」が問われたら、もう大丈夫ですよね?

 

今年の試験でも、超高確率で20点から30点の「生産管理系」の問題が来るはずです。

 

ド直球の問いかけ(生産管理の設問)が来たら、迷わずにフルスイングしてバックスクリーンに皆さんの答案を叩き込んでくださいね。

 

この記事を読んで空振りなんて絶対に許しませんからね!

 

第1問まとめ
80点クラス答案は、「生産管理(計画→統制(進捗・余力・現品管理)」とは何か、何を答えないと行けないかを、分かった上で答案を作成している(いや、ほんと、これに尽きます)。

 


 

第2問(配点20点)
C社社長は、現在の生産業務を整備して生産能力を向上させ、それによって生じる余力をCNC木工加工機の生産に充てたいと考えている。それを実現するための課題とその対応策について120字以内で述べよ。

 

【出題の趣旨】
新規事業であるCNC木工加工機の生産について、現在の生産能力の向上によって対応するために必要な生産業務上の課題を把握し、解決する能力を問う問題である。

 

●だいまつ(83点)
課題は、他の機械を操作できない作業者が多いため、多能工化・多工程持ち化し、相互応援体制を構築すること。対応策は①各機械の操作方法を標準化・マニュアル化し計画的にOJTを行う②加工技術情報を文書化し製造部内でDB共有する。以上で、生産能力を向上させる。

●すえ(81点)
課題は、①多能工化による多工程持ちを行う事、②操作方法や加工方法の標準化やマニュアル化の推進である。対応策は、①OJTやマニュアル化による多能工化を行い、②QCサークルによるマニュアル化の推進を行うことなどである。

▲もろもろもろ(65点)
課題は①全工程の生産計画を一元管理する事、②製造部員の多能工化を図る事。対応策は、①従来受注の都度行なっていた生産指示を改めて、週次で全行程の生産計画を作成し一元管理すると共に、加工内容の打合せは設計担当が行う、②機械操作等の作業の標準化・マニュアル化を行い、社員教育を強化する。

■たくじ(54点)
課題は、生産性を向上させ、少ない人員で現在の業務をこなして人的余力生み、その人材をC N C 加工機の生産に充てることである。対応策は各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報等の業務内容の共有、マニュアル化、標準化により多能工化を進めること。

 

<考察>
まずは、私の答案を見てください。

 

自分で言うのもなんですが、美しい答案ですね(対応策の主述は少しおかしいですが)。
第6段落に解答根拠を設け、現時点の「他の機械を操作できない作業者が多いため」という問題点を「因」としながら、「多能工化・多工程持ち化し、相互応援体制を構築」という課題(果)を書くことができています。

 

また、対応策も第6段落の、「各機械の操作方法 や 加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない」という記述を「因」として、そのままひっくり返して、上手く解答(果)を記述できています。

 

自分の答案なのでどういった思考回路で作られたかを詳しく説明しておきます。

各機械の操作方法は、それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない(与件文)

→各機械の操作方法を標準化・マニュアル化し計画的にOJTを行う(解答)

 

加工方法に関する技術情報は、各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない(与件文)

→加工技術情報を文書化し製造部内でDB共有する(解答)

 

如何ですか。

 

運営管理で必死になって暗記した はず’ の知識なんて、全く使っていませんよね。

 

「標準化やマニュアル化は進められていない」のだったら、「標準化・マニュアル化・教育しろ」です。

 

「技術情報はそれぞれ保有している」のだったら、「DBで共有しろ」、です。

 

事例Ⅲでは、できていないこと」のひっくり返しが、「対応策」になり、そして点数がもらえるのです(私の答案は83点なので、こんな単純なひっくり返しにたっぷりと点数が入っていることが分かります)。

 

ここでポポさんの言葉を、もう一度思い出してみましょう。

 

「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」

 

ポポさんのおっしゃっていた言葉の意味を、本当の意味でご理解いただけたと思いますが、如何でしょうか

 

事例Ⅲの対応策基本は、「できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけ(ひっくり返すだけ)」なのです。

 

続いて、すえさんの答案を見ていきましょう。

 

●すえ(81点)
課題は、①多能工化による多工程持ちを行う事、②操作方法や加工方法の標準化やマニュアル化の推進である。対応策は、①OJTやマニュアル化による多能工化を行い、②QCサークルによるマニュアル化の推進を行うことなどである。

 

課題と対応策での上下の入り繰りみたいなのはありますが、書いている内容は、だいまつとほとんど同じですね。QCサークルによるマニュアル化も「技術情報の共有化」につながるでしょうから、与件文第6段落の「生産面での非効率な状況」は改善されるでしょう。

 

素晴らしいですね。

 

ここで、皆さん気になりませんか?

 

二人とも、解答根拠を第6段落に求めています。でも、なぜ二人は、そんなことができたのでしょうか

 

再びポポさんの言葉を思い出してみましょう。
(しつこいくらいに何回も登場してもらいます)

 

「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」

 

第2問では「現在の生産業務を整備して生産能力の向上」を果たすための課題と施策を問われました。

 

生産性向上・生産効率向上」、これも生産管理の次か、同じくらいによく問われる切り口超頻出論点です。

 

そして、「生産性向上・生産効率向上」が問われた場合、与件文を確認すると「効率が悪そうにばらばらに‘作業’をしている」、「 ‘情報’ が共有化されていない」など、明らかにダメな記述があり、この状況を改善するため「設計や作業の標準化→マニュアル化→教育(OJT)してください」、「情報をDBで一元化して共有化してください」と、解答するのが「相場」と決まっています

 

ここまで分かっていれば、本問(「生産性向上・生産効率向上」)の解答根拠となるのは、第6段落だけです。

 

しかも、私とすえさんは、第1問で「生産管理(計画→統制)」のことを書かなければいけない、ということが分かっていました。

 

だから、迷うことなく残りの生産面に関する与件文の記述を大胆に第1問にまわして本問では第6段落だけを用いて答案を作ることができた、という訳です。

 

では、続いてもろさんの答案を見ていきましょう。

 

▲もろもろもろ(65点)
課題は①全工程の生産計画を一元管理する事、②製造部員の多能工化を図る事。対応策は、①従来受注の都度行なっていた生産指示を改めて、週次で全行程の生産計画を作成し一元管理すると共に、加工内容の打合せは設計担当が行う、②機械操作等の作業の標準化・マニュアル化を行い、社員教育を強化する。

 

もろさんは、本問(生産効率化の問題)で「①全工程の生産計画を一元管理する事」と、生産計画(つまり生産管理→第1問で書くべき内容)のことを書いてしまっていますね。

 

第1問の考察で触れた通り、当日の試験会場においてもろさんは、「計画→統制」が「生産管理」であることが「分かっていなかった」ということでしょう。

 

皆さんは、もろさんと同じ轍を踏まないようにしましょう。

 

それと、反面教師にしていただきたいところが、もう一点あります。

 

週次で全行程の生産計画を作成し一元管理する」という部分です。

 

与件文のどこを見渡しても「C社が生産計画を週次化する必要性がある」と読み解ける記述はありません。では、なぜもろさんは「週次で」というキーワードを答案に盛込んだのでしょう?

 

答えは簡単ですね。

 

過去問を解いて「なんとなく覚えていたキーワード」である「週次化」を答案に無理やりねじ込んでしまった、前回・前々回の記事でもご紹介した「知識・切口偏重のダメダメパターン」です。

 

第1問の解説の際に、「生産管理」と問われれば、「全体生産計画がないか」、「計画の見直しタイミングが悪いか」を想起すべきである、と説明しました。しかし、想起はすれども、答案に何を書くかは、「与件文次第」です。

 

切り口重視で「週次化しろ」を答案に無理やりねじ込んではいけません

 

平成29年度試験の事例Ⅰと事例Ⅱで、「知識・切口偏重の答案」を量産した私が言うのもなんだかおかしな気もします・・・

 

・・・ しかしです。

 

前車の覆るは後車の戒め
(前を行く車がひっくり返るのを見て後の車が注意するように、先人の失敗は後人の戒めになること)

 

ということわざにある通り、皆さんは、そんなダメダメ答案を作ってしまった私ともろさんから、学びを得て、同じ過ちは犯さないでください

 

それと、今回のもろさんは「知識・切口偏重」のみならず、別の設問に答えを書いてしまった訳ですから(第1問で書くべき生産管理の内容を第2問で書いてしまった)、「超大事故」であったことは疑いようのない事実です。

 

ただ一方で「多能工化、標準化→マニュアル化→教育」を答案に盛込むことができており、「大参事」は免れていますが

 

試験会場で本当に分からない時は、両方の要素を盛込んでリスク軽減を図るのも現場対応力としては重要です。

 

しかしながら、「いまの段階」からリスク軽減を図るような答案を作る訓練に精を出してはいけません。いまはまだしっかりと切り分けして、そして盛大に間違えて自分自身に磨きをかけて行く段階です。

 

事例Ⅲにおいて「生産管理」と「生産性向上(効率化)」は100%切り分けるべきポイントです。

 

切り分けが極めて難しかった平成27年の事例Ⅲ(建設建材を主体に農業機械部品、産業機械部品などの鋳物製品を生産、販売している企業の事例)(第1問設問3、第2問、第3問の切り分けが難しかった)でも、「生産管理について問われた場合に何を答えるべきか」が分かっていれば、「生産管理のIT化」を問われた第3問と、ほかの二つの設問(第1問設問3、第2問)分離して考えることができました

 

もし、気になるようであれば、この記事を読んだ後に平成27年の事例Ⅲを解いてみてください(もしくは見直してみてください)。第8段落は第3問専用の記述だと気付くことができるはずです。なぜなら、「生産計画→生産統制」に関する記述は、「生産管理」の設問のため(つまり第3問のために)にあるのですから。

 

最後にたくじです。

 

■たくじ(54点)
課題は、生産性を向上させ、少ない人員で現在の業務をこなして人的余力生み、その人材をC N C 加工機の生産に充てることである。対応策は各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報等の業務内容の共有、マニュアル化、標準化により多能工化を進めること。

 

「課題」に関する記述は、単に設問文の記述をそのまま書き写したような内容であるため、恐らく点数は全く入らなかったでしょう(もし、この内容で点数が入るのなら、これから「課題」を聞かれれば設問文の記述をそのまま書けば良いことになってしまう)。一方で、対応策は先ほどから説明している通りのことが概ね書けていますね。

 

第2問まとめ
✓80点クラス答案は、「生産性向上・生産効率向上」とは何か、何を答えないと行けないか(設計や作業の標準化→マニュアル化→教育(OJT)、情報共有)を、分かった上で答案を作成している。
✓事例Ⅲは「できていないこと」のひっくり返しが、「対応策」となる。
✓「生産管理」が「計画→統制」であることを分かっていなければ大事故が発生する(もろさん)。

 


 

第3問(配点20点)
C社では、ホームページを活用したCNC木工加工機の受注拡大を考えている。展示会での成功を参考に、潜在顧客を獲得するためのホームページの活用方法、潜在顧客を受注に結び付けるための社内対応策を160字以内で述べよ。

 

【出題の趣旨】
新規事業であるCNC木工加工機の受注拡大に向けて、展示会での成功を参考とした潜在顧客を獲得するホームページの活用方法と、その潜在顧客を受注に結び付ける社内対応策について、提案する能力を問う問題である。

 

●だいまつ(83点)
ホームページの活用方法は、①CNC木工加工機が実際に家具や工芸品を加工しているところを動画化して公開し訴求する②質問の多い項目を一覧化して掲載する。社内対応策は、プログラムの作成方法やメンテナンス方法等の質問に迅速に回答できる体制の整備②加工精度や操作性、メンテナンス容易性を訴求するための提案営業体制の整備である。

●すえ(81点)
ホームページの活用は、①CNC木工加工機の汎用性や操作性、加工精度を訴求し、②展示会での成功をPR、③NC機械未経験者向けの、プログラム作成方法や刃物のメンテナンス方法等を説明し安心感を醸成する。社内対応策は、①営業の専門部署の設置、②常務や設計担当者の同行営業、③経験者の中途採用により販売力を強化することである。

▲もろもろもろ(65点)
ホームページで加工精度や操作性、メンテナンス容易性等のCNC木工加工機の特徴を紹介し、実演動画も掲載するほか、プログラムの作成方法等のよくある質問への答えも掲載する。社内対応策は、営業担当を選任して、質問や問い合わせに丁寧に対応すると共に、製品改良や新製品開発に活かせる意見収集を行い、潜在顧客からの受注に結び付ける。

■たくじ(54点)
展示会の成功要因である加工の実演動画や展示会での来店者からの質問、その回答のホームページ上での掲載や、質問受付コーナーの設置により、商品内容、活用方法をアピールし、潜在顧客を獲得する。潜在顧客を受注に結び付けるために、商品情報の共有や部署間の人員配置の変更等により潜在顧客からの質問に対応できる人材を育成する。

 

<考察>
まず、私の答案ですが、設問文に「展示会での成功を参考に」との記載がありますから、第11・12・13段落の記述に基づき、HPの活用策として、「動画」と、「QA」を解答要素として盛り込んでいます

 

一方、社内対応策は①与件文の「多くの質問に答える→顧客からの評価向上→2台受注できた」の流れから、「問合せに迅速に対応する体制」を、②与件文の「営業したことがない」の流れから、「提案営業体制の整備」を、解答要素として挙げました。

 

本当に与件文の記述から当然に考えられることを、「HP活用策」と「社内対応策」の2つの切り口から書いているだけですね。

 

事例Ⅱの分析記事でも書きましたが、与件文から当たり前に考えられることを書く、いや、「しか書かない」ことが、2次試験対策の基本中の基本です。

 

なぜなら、国家試験である中小企業診断士の2次試験は、個人のアイデアや思いつきを全く求めいないから、です。

 

2次試験では、与えられた状況から考えて当然に導き出せる結論に到達する力、言うなれば中小企業診断士として備えておくべき「知識があり、その知識を活かせる力があるか」、を試されています。
(これが実務補習につながっていくのですが、2次試験と実務補習の関係についてはまた別の機会に)

 

次にすえさんです。

 

●すえ(81点)
ホームページの活用は、①CNC木工加工機の汎用性や操作性、加工精度を訴求し、②展示会での成功をPR、③NC機械未経験者向けの、プログラム作成方法や刃物のメンテナンス方法等を説明し安心感を醸成する。社内対応策は、①営業の専門部署の設置、②常務や設計担当者の同行営業、③経験者の中途採用により販売力を強化することである。

 

これは、興味深いですね。

 

83点の私を含め、多くの受験生が書いたであろうHPの活用方法(動画やQA)が、すえさんの81点答案には、全く見当たりません

 

けれども、「①CNC木工加工機の汎用性や操作性、加工精度を訴求し、②展示会での成功をPR」は、与件文の第12段落の7行目の記述(CNC木工加工機の加工精度や操作性、メンテナンスの容易性が来展者から評価され)から考えて、「そうか」と思える内容ですし、「③NC機械未経験者向けの、プログラム作成方法や刃物のメンテナンス方法等を説明し安心感を醸成する」も、与件文の第12段落の4行目から6行目にかけての記述(特に、NC機械を使用した経験のない家具や工芸品などの木工加工関係者から、プログラムの作成方法、プログラムの提供の可能性、駆動部や刃物のメンテナンス方法、加工可能な材質などに関する質問が多くあり)から考えて、「そうか」と思える内容です。

 

いい意味で ひねり’ が全くありません

 

すえさんは81点だった訳ですから、「実演→動画」、「問合せに応える→FAQ」 ‘すらの’ 発想も「必要なかった」、つまりは、与件文の記述(展示会での成功体験)に基づいて、ターゲットにCNC木工加工機の魅力が顧客に伝わる内容であれば、「それでよかったのだ」ということが分かります。

 

よく「与件文を抜出したら受かった」という話を聞きますが、考え過ぎて斜め上を行くくらいなら、抜出系もありですね(少なくとも与件文から遠くへは行かないからです)。

 

それと、83点の私と、81点のすえさんのどちらかに「全く点数を得られなかった」ということは考えられません。すると、与件文から普通に考えられる内容であれば(与件文の当てるところを間違わなければ)、多少解答内容が違っても得点が得られるということでしょうね。

 

事例Ⅰでも同じような話(与件文を根拠としていれば得点はもらえる。解答は一つではない)をしましたね!

 

一方、すえさんは社内対応策に対する解答で、営業強化を「これでもか」というくらいに書いています。事例Ⅲであることを考えると出題者が「すえさんの答案レベルまで営業面をブレークダウンすることを求めていた」とは考えにくいですが、「営業の強化」自体は解答要素になっていたと考えるべきでしょう。

 

ちなみに、事例Ⅲで登場する企業は、総じて営業力が高くありません。そのため、生産技術以外の今後を問う設問(つまり経営戦略系の設問)で、「営業力の強化」について触れることがあります。

 

その場合でも、あまり深堀し過ぎず与件文の記述に沿って、例えば「取引先の開拓をしていく必要があるため、営業人員を増員する」や、「営業体制強化を行う」くらいのレベルでサラッと書いてしまいましょう

 

営業のことを書くな、とは言いません。C社の課題なら書けばよいでしょう。しかし、事例Ⅲは「組織・人事」や「マーケティング」の問題ではないため、あまり個別具体的な組織体制の話や、売上を上げるための施策までは書かないようにしましょうね

 

続いて、もろさんです。

 

▲もろもろもろ(65点)
ホームページで加工精度や操作性、メンテナンス容易性等のCNC木工加工機の特徴を紹介し、実演動画も掲載するほか、プログラムの作成方法等のよくある質問への答えも掲載する。社内対応策は、営業担当を選任して、質問や問い合わせに丁寧に対応すると共に、製品改良や新製品開発に活かせる意見収集を行い、潜在顧客からの受注に結び付ける。

 

ホームページの活用策は、だいまつとほぼ同じですね。社内対応策に関しても営業の観点や問合せ対応の観点が盛り込まれていますので、80点クラス答案とそれほど差はないように感じます。お見事

 

最後にたくじです。

 

ぱっと見た感じ、そんなに悪くなさそうなのですが、それでも83点のだいまつの答案と並べると、分かることがあるため、並べてみます

 

■たくじ(54点)
展示会の成功要因である加工の実演動画や展示会での来店者からの質問、その回答のホームページ上での掲載や、質問受付コーナーの設置により、商品内容、活用方法をアピールし、潜在顧客を獲得する。潜在顧客を受注に結び付けるために、商品情報の共有や部署間の人員配置の変更等により潜在顧客からの質問に対応できる人材を育成する。

●だいまつ(83点)
ホームページの活用方法は、①CNC木工加工機が実際に家具や工芸品を加工しているところを動画化して公開し訴求する②質問の多い項目を一覧化して掲載する。社内対応策は、プログラムの作成方法やメンテナンス方法等の質問に迅速に回答できる体制の整備②加工精度や操作性、メンテナンス容易性を訴求するための提案営業体制の整備である。

 

如何ですか?

 

すぐに分かるのは、たくじの答案は主語が明確ではないため、「読み辛く頭に入りにくい」ということです。やはり、設問文で2つの解答要素が与えられたなら、採点者にどちらの切口のことを書いているかが一目で伝わるように、「○○は、①~、②~、である。●●は、①~、②~、である。」と、主述をはっきりさせたいですね。

答案は、採点者の方に自分の言いたかったことが伝わって「なんぼ」です。丁寧な字で書く、文法的におかしくない読みやすい文章を書く、これは中小企業診断士としての知識・能力以前の話です。

 

(脱線はじまり)

 

私は字がきれいな方ではありませんでしたので、時間との兼ね合いの中で採点者に「読んでもらえるくらいの字を書くこと」を普段から意識してトレーニングしていました。
(いや、それでもめっちゃ汚いのですが・・・)

 

また、練習の時から人が見て分かりやすい文章を書くようにしていました(本試験当日は必ずしもうまく行きませんでしたが)。

 

ここからは、皆さんに提案ですが、なかなか自分の文章を客観的に見ることは難しいため、人に自分の作った答案を見てもらうといいかもしれませんね。周りに受験生仲間がいなければ、家族や同僚にでも、見てもらい評価してもらうことで気付くことも大いにあるのではないかと思います。

 

(本線へ戻る)

 

それと、私がたくじの答案を見て気になったのが、

 

「商品情報の共有や部署間の人員配置の変更等により潜在顧客からの質問に対応できる人材を育成する」

 

という解答内容です。

 

なぜ、私が気になったか、皆さん分かりますか?

 

ヒントは、「事例Ⅲなのに」です。

 

どうでしょうか。

 

もうお分かりですね。もろに事例Ⅰの「人的資源管理(採用・配置・報酬・育成・評価)」の観点で答えてしまっています

 

本問が事例Ⅰ(組織人事)で問われたのなら、たくじの答案の内容でOKでしょう。しかし、いまは事例Ⅲです。

 

もちろん間違いではありませんし、与件文に沿った記述でもあるため、点数が入らなかったことはないと思います。それでも、事例Ⅲは診断士としての生産技術に対する助言能力を試す事例問題なのですから、「適切な視点で解答できている」とは言えません

 

では、どうすれば良かったか、ですが、

 

「商品情報の共有や部署間の人員配置の変更等により潜在顧客からの質問に対応できる人材を育成する」

 

ではなく、例えば、

 

「社内で加工可能材料等の木工加工機に関する情報を共有し顧客の質問に迅速に回答する体制を構築する」

 

とすれば、与件文の記述を活用でき(与件に寄り添うことができ)、かつ事例Ⅰ ‘感’ も消えますね

 

事例Ⅲは、あくまでも「生産技術」がテーマの事例問題です。

 

第3問まとめ
80点クラス答案は、与件文の記述から当然に考えられることを、HPと社内対応策の切り口から書いている‘だけ’、である。

ポポさん
「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」

多くを説明する必要はありませんね。事例Ⅲは超単純なのです。はぁ?となった方は、もう一度第3問の私とすえさんの答案の「考察」を読み直してください。

 


 

第4問(配点30点)

C社社長は、今後大きな設備投資や人員増をせずに、高付加価値なCNC木工加工機事業を進めたいと思っている。これを実現するためには、製品やサービスについてどのような方策が考えられるか、140字以内で述べよ。

 

【出題の趣旨】
経営資源の脆弱なC社が、高付加価値なCNC木工加工機事業を推進するための製品やサービスに関する方策について、提案する能力を問う問題である。

 

●だいまつ(83点)
方策は、製品面では顧客や各方面ニーズを踏まえ、加工精度や操作性、メンテナンス容易性の改良や新機種開発し、性能を向上させ高付加価値化・差別化を図ること。サービス面は①メンテナンスやプログラム提供等のサポート体制整備②設計担当者による顧客へのプログラム作成方法等、支援体制の整備。

●すえ(81点)
方策は、製品面で①CNC木工加工機の標準品化による量産化を行い、②常務のIT技能を生かして汎用プログラムを開発、提供可能にする事である。サービス麺では①プログラム作成や刃物等のメンテナンス方法等のセミナーを開催し、②外注利用によるプログラム提供を行うこと、などである。

▲もろもろもろ(65点)
古くから取引関係のある産業機械メーカーと連携して、販路開拓を行うほか、C社設計機械のOEM生産委託を行う。留意点は、①独自技術等の機密情報の漏洩防止、②発注に際しての生産方法や品質についての十分な摺り合わせ実施で、これにより大きな設備投資や人員増をせずに高付加値な新事業を進める。

■たくじ(54点)
製品に関しては、加工技術の向上や現行製品の改良による新商品開発により、高付加価値化を図り、各方面の顧客の要望に合う製品を提供する方策が考えられる。サービスについては、アフターフォローを行うことで顧客との接触機会や顧客満足度の向上を図り、リピート率の向上を図る方策が考えられる。

 

<考察>
80点クラス答案を見比べて見ましょう。

 

まずは、製品面です。

 

私は、第12段落の5・6行目の展示会で顧客が関心を示した項目を並べた上で、同段落の最終行の記述「今後改良や新機種の開発を進めて行く予定である」をに、改良や新機種開発による高付加価値化・差別化について解答しました。

 

一方、すえさんは、足もとのC社の課題(第1問と第2問のテーマ)であるCNC木工加工機の生産体制構築を「標準品化による量産化」というキーワードを用いて製品面の施策としています。また、第2段落の「CAD等のITの技能を備えた社長の長男(現在常務)が入社し・・・」という記述を根拠として、「汎用プログラムの開発、提供」という施策を解答しています。

 

次に、サービス面です。

 

私は、第12段落に「プログラム提供の可能性」や「メンテナンス方法」という記述があったため、当然に自社製品を販売したら「メンテナンスをしてあげないと誰も買ってくれないし、プログラムが作れない企業にも売れるように、プログラムを提供するサポート体制がいるよね」っと考えて、①を書きました。

 

また、同じく第12段落には、「プログラムの作成方法・・・・に関する質問が多くあり」とあったため、②の「プログラム作成方法の支援体制の整備」をサービス面の方策として書きました。

 

すえさんも切口はほぼ同じですね。プログラムの作成やメンテナンス方法の提供が「セミナー」になっているだけです。

 

それと、すえさんは「サービス面でのプログラムの提供」という施策に関して、「外注活用による」というキーワードを入れていますね

 

これは、設問文の「今後大きな設備投資や人員増をせずに」という制約条件を意識したものでしょう。これが与件文に寄り添うということです。素晴らしいの一言です。

 

二人の答案を見ていただいて、如何でしょうか。

 

二人とも、設問要求通りに、製品面と、サービス面からしっかりと、与件文を踏まえた記述をしていますね。

 

何度も言いますが、80点を叩き出す答案は、与件文から‘ほんの少しひねった’、‘ちょっと考えれば分かること’しか書いていないのです。

 

事例Ⅲだからと、特別なことを書く必要など全くないのです。

 

過去問を解いていると、「解答欄に何を書けば良いか分からない」という状態になることが結構あると思いますが、これは、特に事例Ⅱと事例Ⅲにおいては、与件文の記述を「単に見落としてしまっているため」だと考えられます

 

その見落としが、①単なる与件文の記述の見落としなのか、②第1問のように「生産管理」が何か分からなくて、目の前に(与件文に)に「計画→統制」に関する記述があるのに見落としてしまっているのか、は人それぞれだと思います。

 

・・・個々の受験生の方々にアドバイスすることが難しいのが、ブログの難点ですね。

 

個別相談形式のだいまつ塾のようなものがあれば、個々の受験生が抱える問題点や課題に対するアドバイスができる気もしますが、バキバキ系の私の個別指導なんて受けたい人はいないでしょうけど(汗)。

 

ちなみに、事例Ⅰも基本的には与件文にヒントが落ちています設問文である程度方向性が絞れる場合には、与件文の記述が極めて少ない場合があります。例えば、平成26年度の事例Ⅰ、第2問設問2(非正規の中高年層の主婦オペレーターの離職率を低い水準で維持するための施策)がこれに当たります。気になれば確認してみてください。ヒントは「設問間の関連(第2問設問1との関連)」、「人的資源管理(採用・配置・報酬・育成・評価)」、「二要因理論(動機付け要因・衛生要因)」です。

 

なにはともあれ、問題を解いた後の振返りでは、「なぜ、ふぞろいの上位答案や受験校の模範解答のような答えを自分が書けなかったか」をしっかりと分析してくださいね。

 

なお、振返りの際には、きゃっしいの先日の渾身の記事も必ず参考にするようにしてくださいね(コチラ

 

続いて、もろさんです。

 

▲もろもろもろ(65点)
古くから取引関係のある産業機械メーカーと連携して、販路開拓を行うほか、C社設計機械のOEM生産委託を行う。留意点は、①独自技術等の機密情報の漏洩防止、②発注に際しての生産方法や品質についての十分な摺り合わせ実施で、これにより大きな設備投資や人員増をせずに高付加値な新事業を進める。

 

・・・ぱっと見て、「えっ、これって何の解答?」と思いませんでしたか?

 

もしかしてみなさん、私がタイプミスをしたと思ったのではありませんか?

 

違います。これは正真正銘もろさんの答案(第4問)です。
(すいません、もろさん、決してディスっている訳ではありません)

 

もろさんの答案は65点なので、「点数がまるっきり入っていない」ということはないと思います。ただ、先ほどの私やすえさんの答案に比べると、「読み辛さ」を実感していただけると思います。

 

さて、その「読み辛さ」の原因ですが、もろさんは、設問要求で「製品面」と「サービス面」からの「方策」を求められているのに、「方策」と「留意点」の切り口から答案を作ってしまっています

 

さらに、「方策(前半部分の記述)」に関しては、主語がないため、何のことを答えているかが、一見しただけでは分かり辛くなってしまっているのです

 

採点者への「分かりやすさ」の観点と、自分自身が「設問要求から離れてしまわないようにする」という観点からも、「製品面は①~、②~、サービス面は①~、②~」と、最初にフレームを組んでしまうべきでしょう。

 

本当に、勉強になりますね!

 

■たくじ(54点)
製品に関しては、加工技術の向上や現行製品の改良による新商品開発により、高付加価値化を図り、各方面の顧客の要望に合う製品を提供する方策が考えられる。サービスについては、アフターフォローを行うことで顧客との接触機会や顧客満足度の向上を図り、リピート率の向上を図る方策が考えられる。

 

「製品は~、サービスは~」と書き始めているところは、見やすくて非常に良いですね。

 

そして、「製品面の記述」に関しては、私と似たような内容であることから、点数が入っているでしょう。

 

しかし、問題は「サービス面」なのですが、考えられる問題点は以下の2つです。

 

①与件文に基づく要素が全くない(つまり与件文に全く寄り添えていない)
②内容がまるっきり「事例Ⅱ」である(事例Ⅲで書くには不適当な観点からの解答である)

 

上記2つの問題点に関しては、これまで散々書いてきましたので、もう皆さんに多くを説明する必要はないですね。

 

第4問まとめ
80点クラス答案は、設問要求通りに、製品面と、サービス面からしっかりと、与件文を踏まえた(本の少しだけ考えた)記述をしている。

ポポさん
「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」
(再びですが、事例Ⅲは超単純なのです!)

 


 

<まとめ>
皆さん如何だったでしょうか。

 

なんだか、事例Ⅰは冒頭に宣言した通り、2次試験の「本質」に迫れたような気もするのですが、事例ⅡとⅢは「本質」というよりは、それぞれの事例を解く上で「私が皆さんに意識していただきたいこと」の集合体になってしまったような気がします(すいません)。

 

ただ、それでも、恐らく多くの気付きを得られる記事に仕上げることができたと考えています。

 

まとめます。

 

今回の事例Ⅲの記事でも、

 

①設問要求に沿って解答する
②解答内容は与件文を根拠とし、当たり前に考えられる内容を書く(変にひねらない)

 

ということが、2次試験問題を解く上での大原則であることを実感いただけたと思います。

 

そして、

 

事例Ⅲにおいては、

 

 

③生産管理(計画→統制(進捗・余力・現品管理)
④生産性向上・生産効率向上(標準化→マニュアル化→教育)

 

 

の切口が極めて大切であることが分かりました。

 

生産管理生産性向上・生産効率向上の切口は、以下のポポさんの言葉と一緒に、頭とノートに刻み込んでおくべきものでしょう。

 

「事例Ⅲは難しく考えないで、できていないこと、やらなきゃいけないことを、ただやってくださいと言うだけなのです。覚えることはかなり少ないし、解答の切り口も結構一緒のことが多いから、繰り返し練習していれば、解けるようになってきます」

 

なお、今回も私の分析だけでは、私自身の答案やすえさんの答案を活かしきれていないかもしれません。皆さんがお気付きのことがあれば、どしどしコメントしてくださいね!道場読者でノウハウを共有して今年の2次試験に合格しましょう!

 

最後まで読んでいただいた受験生の皆さんに、私が感銘を受けた「青い猫型ロボット」の言葉をお贈りします。

 

「人にできて、きみだけにできないことなんてあるもんか」

 

2次試験は簡単ではありません。でも、諦めないでください。

 

道場ブログを読んでいるアナタが合格出来ないはずがありません。

 

皆さんの合格体験記を読むことを楽しみにしています。

 

今回も長文(2万4千文字・・・、原稿用紙にして60枚・・・)へのお付き合い、本当にありがとうございました。

 

また、今回のシリーズのために再現答案を提供していただいた、「シンゴ、よこよこさん、かのさん、きゃっしい、なおくん、すえさん、もろさん、たくじ」には、心より感謝しています。

 

以上、だいまつでした。

 

 

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【永久保存版】平成29年度2次試験事例Ⅲ超高得点解答にみる2次試験合格のポイント!”へ18件のコメント

  1. ボギー より:

    第3問についての考察です。営業力強化が得点になるというのは、無理があると考えます。
    1.設問がHPの活用と制約されていること
    2.設問4で人員増しないと書かれていること
    3.現在営業は社長と常務の2人
    4.社員は製造部門以外は、経理が1人、設計が1人
    5.営業活動経験者がいない
    6.販売チャネルを持たない
    以上から営業社員を増やしたり営業活動を兼務することはできないと考えます。
    販売については、ターゲットが異業種の木工関係者であること、どこにいるのかもわからないこと、実演販売が効果があったこと、などから推察すると、すでに工作機械を購入した顧客から、同業の木工関係者に推奨してもらう販売方法などが妥当かと思います。推奨、見込み客の紹介などをHPで取り組むのが解答としては妥当性があると思います。

  2. あきちゃんこ より:

     大変勉強になる記事を読ませていただき、ありがとうございます。だいまつさんの記事の素晴らしさについては、他の方のコメントに存分に出ていますので、私からは気になった点をコメントさせていただきます。

     私は製造業の生産技術者として10年の経験があり、生産管理関連の資格も複数取得しています。よって、事例3を専門分野とする人間であることを、先にご承知おきください。

     まず、第一問の皆さんの解答に、(生産の)同期化という言葉があります。同期生産とは、各工程のタクトタイムを合わせ、工程間仕掛を極限まで減らす生産方式です。本問のような、量産台数の少ない受注生産には通常適用されません。全体生産計画の一元管理と、同期生産はまったくの別物です。

     次に、第二問のすえさんの「QCサークルによるマニュアル化」という記述。QCサークルは、本来小集団メンバーが自ら工程の問題点を探し出し、QC手法を活用して改善活動を進めるものです。マニュアル作成という、明確に限定された業務に適用されるものではありません。

     以上2点、いずれも問題解決の具体策が今回のケースに適していない、というパターンです。高得点のお二人の論理的思考力は素晴らしいのですが、生産管理手法について、それぞれの特徴や適用場面までは把握しきれていないように見受けられます。それでも診断士試験レベルとしては充分なのでしょうが、実務においては、正確で緻密な知識がないと問題を解決に導けないのです。

     いろいろ偉そうに言ってしまい、ごめんなさい。これだけ熱意を持って書かれている記事を批判するのは気がひけるのですが、皆さんに正確な理解をしていただきたく、投稿しました。

    1. 匿名 より:

      では何が正解なのか、あきちゃんこさんなりの解答を示してくれないと読者は混乱します。また類似の問題が出たときには何を書けばいいのですか?

  3. may より:

    だいまつさん
    本当に素晴らしい記事をありがとうございます。
    ストレート合格を目指していますが、予備校や参考書ではどうにもしっくりこなかった部分でした。
    本当に感謝しています。
    重要な点、ノートに書き写させていただきました。

    早速H29年度の事例を解き、頭の中を整理できた、と過去問を解いてみたのですが、、、
    設問文に「生産管理上の」「生産性向上、生産効率化」というような文言がない年度(H24年)を解いてしまい、せっかくの新しい気付きを活かせず惨敗してしまいました。。

    私の力が足りていないのはもちろんなのですが、どのような設問で生産管理について回答すべきか、混乱してしまいます。
    設問が分からないんじゃ話にならないと言われても仕方がないのですが、
    お手隙の際に、ご助言いただけないでしょうか
    何卒よろしくお願いします。

    1. だいまつ より:

      Mayさん

      記事をお読みいただきありがとうございます。
      お役に立てたようで何よりです。                                           

      お悩みは「生産管理」、「生産性向上、生産効率化」系の問題の「見極め方」、「使いどころ」、だと思うのですが、パターンは以下の2つです。                                       

      ①設問文でド直球に聞かれるパターン
      ②与件文を読んでからしか分からないパターン 
                                               

      ①のド直球で聞かれるパターンは大丈夫だと思います。                     
      悩ましいのは②の「与件文を読んでからしか分からないパターン」ですよね。ちょっと整理してみましたので以下の内容をご一読ください。イメージとしては、①と②の割合はおおよそ半々といったところでしょうか。                   

      平成23年度
      第2問 (直球)
      設問要求→生産計画の精度向上
      第4問 (与件文を読んでから)
      設問要求→CAD/CAM
      与件文を読んで「設計の効率化・生産性向上」と紐付くことが分かる

      平成24年度
      第2問 (与件文を読んでから)
      設問要求→製造現場の変革、直面する課題と改善策
      与件文を読んで「生産性向上」、「生産管理」と紐付くことが分かる
      第4問 (与件文を読んでから)
      設問要求→単価引下げ要望へ対応し収益性UPのための提案
      与件文を読んで「コストダウン→生産性向上」と紐付くことが分かる

      平成25年度
      第2問 設問2 (直球)
      設問要求→技術部内の業務効率化(生産性向上)

      平成26年度
      第2問 (与件文を読んでから)
      設問要求→加工不良率増加への対応策
      与件文を読んでから「自動旋盤のメンテナンスを標準化→マニュアル化(生産性向上)」と紐付くことが分かる
      第3問 設問2(直球)
      設問要求→生産計画や資材調達計画

      平成27年度
      第2問 (与件文を読んでから)
      設問要求→生産工程に生じている問題点と改善策
      与件文を読んでから「段取り作業の標準化→マニュアル化→OJT(生産性向上)」と紐付くことが分かる
      第3問  (直球)
      設問要求→生産管理のIT化

      平成28年度
      第2問 (直球)
      設問要求→収益改善のための生産管理面での対応策
      第3問 (与件文を読んでから)
      設問要求→最も効率の良いクレーム改善活動
      与件文を読んでから「カット形状不均一→標準化→マニュアル化→OJT(生産性向上)」と紐付くことが分かる

      平成29年度
      第1問 (直球)
      設問要求→CNC木工加工機生産販売のための生産管理
      第2問 (直球)
      設問要求→生産業務整備による生産能力向上

      さて、②の与件文を読んでからしか分からないパターンへの対応についてですが、やはり設問文と与件文を紐つけながら考えて行くしかないと思います。なんだか答えになっていないような気もしますので、イメージしていただくために、平成24年度試験の第2問で簡単に説明しておきます。                       

      設問文「顧客や新製品の増加により直面する課題と対応策」→与件分第6段落「作業者によってその方法が異なり、所要時間もそれによって変動する。製品品種の切り替え時の洗浄時間が長いため、ロットサイズは生産性と段取り時間を考慮して製造部で決めている」、「全製品はほぼ同じロットサイズを採用しており、製品によって在庫水準は異なり、欠品によって受注に対応できない」→与件文第5段落「納品は、顧客からの注文によって週2回」、「生産計画は毎月20日までに翌月の計画を作成」                          

      失注防止のためにロットサイズを小さくするのはマストだとして、①それだけだと段取り時間が増えてしまうので、やり方がバラバラの洗浄作業を標準化→マニュアル化→OJTをします(これって生産性向上だよね)。さらに、顧客への納品が週2回なのに、生産計画作成が月1回でしかも前月の20日に決めてるのは明らかにおかしい。最新の注文状況や在庫状況を踏まえていないから欠品していると思われる。だから、作成サイクルを早める必要がある(これって生産管理だよね、言えば生産計画だよね)、という助言ができます。

      という感じで、設問と与件文を紐つけながら、「生産管理」、「生産性向上、生産効率化」の切り口・知識を活かして解答を作って行くイメージです。

      本当はもっと丁寧に説明するべきでしょうが、コメント返しではこの辺りが限界ですね・・・。このコメントを読んでいただいた上で、もう一度、平成24年度問題を振返って見ていただければ、新たな気付きがあるように思います。再度チャレンジしてみてください。
      以上、お役に立てたか分かりませんが、Mayさんが見事ストレート合格されますことを心から応援しています。残りひと月、死ぬ気で頑張ってください。

  4. のぶりん より:

    だいまつ さん

    いつもとてもためになる記事ありがとうございます。
    事例3の生産管理・生産効率の切り分け、すっきりと納得でき、感謝しております。

    一点、アドバイスお願いします。

    事例3でよく問われる、いわゆる「データ問題(どのようなデータが必要と思われるか?)」が苦手です。

    ・項目ばかりダラダラと長くなってしまう。
    ・項目をグループ化して区切ろうとしても、すときりハマる切り分け方がわからない

    で無駄に時間をとられています。
    だいまつさんの「データ問題ノウハウ」よろしければご享受下さいますでしょうか?

    よろしくお願いいたします。

    1. だいまつ より:

      のぶりんさん

      コメントありがとうございます。生産管理と生産効率化の切り分けについて、ご理解いただけた、とのことで大変嬉しく思っております。
      さて、ご質問の「データ問題」に関してですが、以下のように考えてみてはいかがでしょうか。
      <データを探す切口>
      見積→受注→設計→調達→作業(生産)→納品
      計画(生産計画)→統制(進捗、余力、現品(在庫))
      Q(品質)、C(原価)、D(納期)
      事例Ⅲである以上は「生産に関連するデータ」ということになります。過去問を見ていただければと思うのですが(与件文次第ですが)、おおよそ上で並べたような項目が「データ項目」となっていると思います(全部を見返したわけではないため、漏れがあればすいません)。
      グループ化にお悩み、とのことでしたので、上記の項目でグルーピングした上で、複数の切り口を解答に盛り込むと多面的に書けると思うのですが、如何でしょうか。

      <データ問題の種類>
      上で示した<切口>だけを情報項目として書くと、「受注情報」、「在庫情報」みたいに、非常に短くなります。H22のように20字くらいで複数要素盛り込む場合には、与件から考えられる項目をピックアップしていきましょう。「生産管理面の情報」と言われれば、「計画(生産計画)→統制(進捗、余力、現品(在庫))」のどれかだと当たりは付きますね。
      例えば、生産計画情報、進捗管理情報、余力管理情報、在庫情報ですが、どうでしょう。

      H25やH24 のように少し多めの字数(80字~100字)の場合には、「与件文の記述(与件文の記述をなるべくそのまま活用)+情報/データ」という形式で、1要素30文字程度で考えるようにしてはどうでしょうか(と、自分の中で「型」、「ルール」を作って「処理する」イメージです)。
      H25を例に挙げると、「設計担当者各人がそれぞれ独自に保有しているCADデータ(設計情報)(25文字)」、「各設計担当者しか知らない通信施設での調整事項や設計変更情報(29文字)」といった具合にです。
      なお、情報整理系の問題はここ最近出題されていないので、深追いは避けましょう。
      というのが、私の「データ問題」に関する整理です。参考になれば幸いです。

      1. のぶりん より:

        だいまつさん

        ご丁寧に説明くださり、ありがとうございます!
        非常に分かり易かったです。

        自分なりに、
        ・見積り〜納品までの仕事の流れ軸
        ・生産管理軸
        ・QCD軸
        のアプローチを頭に入れて演習してみます!

        30字という具体的な文字感覚も参考になり、嬉しいです。

        自分の反省なのですが、ことデータ問題に関しては「与件から拾ってくる」基本アプローチを怠っていたように思います。(←何故か自分が工場の事務員で、私がエクセルデータ加工する時に「どんな項目があったら便利かなあ?」的な感覚になってました)
        怖い…

        傾向時的に出題確率は下がるとの事ですが、「みんなは出来るのに私は出来ない」設問への恐怖を払拭することにより、堂々と問題用紙を捲れるメンタル! 大事!

        お忙しい中ありがとうございました。
        ※以前タキプロ説明会のグループ質疑応答セッションでお世話になった者です。この場を借りて、合わせてお礼申し上げます。

  5. だいまつ より:

    ななしさん

    返信が遅くなりました。
    参考になったようで何よりです!
    なるほど、平成28年度もしくは27年度の事例Ⅲですね。作業時間が取れれば、、、ということになりますが、皆さんのために前向きに検討します!
    リクエストありがとうございます。

  6. ななし より:

    だいまつさん 記事ありがとうございます。事例3についての、具体的かつ実践的な解法としてとても参考になります。

    もしも、今後お時間がありましたら、H28またはH27の事例3についても、だいまつさんの解答&解説記事を拝見したいです。 お忙しいとは思いますが、期待する読者も多いと思いますのでご検討をお願いします。

  7. TA より:

    だいまつさん
    お忙しいところ、アドバイスありがとうございます。
    「診断士の2次試験は100点を狙う試験ではありません。80分という制限時間の中で60点の答案が作れれば良いのです。」
    ご指摘のとおりですね。。。昨年ふぞろい中心で学習していた際、「100点の答案にどれだけ近づけるか」という悪い使い方をしていたと自省しています。
    TACの過去問集は見逃していました。早速目を通してみたいと思います。
    また「効果」についても、上記の「100点志向」の弊害なのだと理解できました。
    記事とあわせて、大変勉強になりました。
    ありがとうございました。

  8. Sacca より:

    だいまつさん

    早々のご返答本当にありがとうございました。
    大変参考になりました。
    また、先の私の投稿を再読してみると、あまりの感激に自分の質問ばかり主張し、感謝の気持ちが伝えられていなかったようです。
    失礼致しました。
    ご自分の時間を割いて有意義な情報を提供してくださっていることに、感謝してもしつくせない思いです。

    同じことを勉強していても、大事なことに気付けるかはその人次第だということに少し安心しました。
    不利な状況のように感じていましたが、二次試験の本質に自分で気付いていけるように最後まで頑張ります。

    また、細部よりも題意に沿うことを考えるのは、非常に納得できました。
    ”アイディア”を書く場ではないと肝に銘じつつも、自分なりの”大義”を解答に込められるよう、精進していきたいと思います。

    本当にありがとうございました。
    今後ともよろしくお願い致します。

  9. だいまつ より:

    TAさん

    コメントありがとうございます。
    今回の記事を参考にしていただけたようで、本当に嬉しく思っています。
    ちなみに気は全く悪く「していない」のでお気になさらないでください。お気遣いいただきありがとうございます。
    さて。
    1.に関してです。
    ふぞろいは、①設問がこう聞いていて、②そして与件文にこう書いてあるから、③「合格+A答案」の多くが書いたキーワードを知るためのツールです。作成に当たっては出題の趣旨や得点開示の内容も参考にしていますが、基本的に「合格+A答案」の数や割合に基づいてキーワードが抽出され、得点が割り振られています。
    この結果、診断協会が想定する「解答要素」とは違うものに高い得点が割り振られている場合も多々あると思います。それでも、ふぞろいは「合格+A答案は、設問要求、与件文の記述から、このキーワードを連想して書いた」という点を知るために有用です。
    上のSaccaさんのコメントへの返信でも書きましたが、診断士の2次試験は100点を狙う試験ではありません。80分という制限時間の中で60点の答案が作れれば良いのです。そこで、過去の試験で「合格+A答案」の多くが書いた、「現実的な解答要素」が参考になる訳です。診断協会から模範解答や採点基準が公表されない以上、合格者やA評価を得た人たちの解答内容が、合格への大きな手掛かり、といっても差し支えはないと思っています。
    そうした中で大切なのはふぞろいの使い方です。単にキーワード採点をして、「点数の高い・低い」といった使い方ではなく、「①設問がこう聞いていて、②そして与件文にこう書いてあるから、③「合格+A答案」はこのキーワードをたくさん書いていたのか」ということを、自分なりに考え、合格者の思考プロセスを取入れていくことが大切です。ふぞろいは頁数の制約などから①から③に至るプロセスに関する解説が弱いのも事実ですが、いまの時点でこの弱点をどうのこうの言っても仕方ありません。ふぞろいには設問毎に答案がいくつか載っていますので、そちらも見ながら「②論理構成とその範囲(因果をどこまで広げるか)」を考えてみてはどうでしょうか(合格者の思考をトレースしてみて論理構成とどこまで書くかの判断基準を持つ)。なんだかふぞろいを擁護するような書き振りになっていますが、私はふぞろいにも足りないところは正直あると思っています。その足りないところ埋めるものの一つが今回の記事だと考えています。
    それと、「論理構成とその範囲(因果をどこまで広げるか)」という点に関して、以下の記事でも紹介した2次試験をロジカルに解説してくれている「TAC中小企業診断士2018年版第2次試験過去問題集」を活用しては如何でしょうか。
    当初私はこの本の内容をあまり理解できなかった(小難しくて)のですが、2次試験の勉強を始めてしばらくして、「じっくり読む」と、結構良いことが書かれていることに気付きました(発見がありました)。ただし、この本に書かれている内容を80分間でやることは「できない」ため、あくまでも思考回路を構築する上での「参考程度」と位置付けるのが良いと思います。
    https://rmc-oden.com/blog/archives/106472
    ふぞろいと、TACの過去問集の間を埋めるような本があれば良いですね。

    2.の「効果」に関してです。
    おっしゃる通り、設問要求は「課題」と「対応策」だけなので、出題者としては「効果」を求めていなかったかもしれません。ただ、「模範解答」が公表されていない以上、助言系の問題で効果を「入れるべきか、否か」についての結論は絶対に出ません(得点開示100点、再現度100%の再現答案があれば、判断できるかもしれませんが)。
    こうした中、私は現場で「効果を入れるか、入れないか」を考えている時間もない(もったいない)と考えており、助言系の問題には、一律に効果を「入れよう」と決めていました。これが、私の「効果」に対する基準です。それでも、29年の事例Ⅰの第4問(リスクの助言)では、さすがに問われ方から「必要ない」と判断し、入れませんでしたが。
    一方で、81点のすえさんは第1問、第2問ともに、「効果」を入れていません。ちょっと、答えになっていないかもしれませんが、TAさんがお考えになっている「課題と対応策で字数が埋まればOK、字数が足りなければ効果で補う程度」という方針・考え方でも全く問題ないと思います。「効果」の件に関しては、ご自身を信じて突っ走ってください。
    なによりも設問で明確に問われている「課題」と「対応策」を外さずに書くことが大切です。「おまけ」的な扱いの「効果」であまり悩まないようにしましょう。大切なことは、設問文で聞かれた(幹)の部分に対する解答です。

    本試験まであとひと月と少し。そろそろ「自分」を固めるべきタイミングです。悩みは尽きないと思いますが、思い切って型を決めて、本番の各事例80分間で自分が迷いなく問題を「処理」できるようトレーニングを積んでくださいね。

  10. TA より:

    だいまつさん

    はじめまして。
    精力的な記事、大変参考になりました。

    シリーズ三部作を通して、二次共通の特徴や事例それぞれの特徴を、自分なりに整理することができました。

    特に驚いたのが第一部の考察です。
    二次の採点基準は当然明確なのでしょうが、基準の適用範囲は柔軟であるように感じました。これからの学習の取り組み方に大きく影響しそうです。

    そして少し話は飛びますが、今回のシリーズを通して、「ふぞろい」のキーワードを軸にした採点方法は、二次の基準に必ずしも合わないように思いました。
    ※だいまつさんは「ふぞろい」にも参加されているようですので、気分を害されましたら申し訳ありません。私自身、昨年「ふぞろい」を活用したことで個別論点への対応は強くなったと思います。ただ、事例3では通用しましたが、事例1は悲惨なものでした。その理由が今回のだいまつさんの三部作で確信に変わってきています。

    そこで2点、アドバイスをいただけませんでしょうか。

    1.今年の受験時、「ふぞろい」はどのように活用し、これを補完するオススメの学習方法や教材などはありますでしょうか。
    試験の傾向も年を経て変わってきているでしょうし、何年前の過去問を使用するかにも依ると思いますが、「キーワード採点」に頼ることは今年の受験では危険だと感じています。(「ふぞろい」がキーワードだけだとは思いませんが、採点基準がキーワードであり本来の二次基準と異なる可能性を感じている以上、引きずられる危険性を感じています)
    たとえば記事の中でご紹介いただいたきゃっしいさんの「宿題」は一次知識の整理や表現力を高めるのに有効だと感じました。これ以外に自分に足りないのは、「①与件からの適切な引用」や「②論理構成とその範囲(因果をどこまで広げるか)」だと思っており、今のところ過去問演習しかイメージできていません。
    これまでその振り返り方法として「ふぞろい」が中心になっていましたが、①には有効だと思いますが、②には不安を感じています。何かあれば、アドバイスをいただけませんでしょうか。

    2.「効果」の記載について
    これまた「ふぞろい」の話で申し訳ありません。「ふぞろい」でも「効果」を書いているかどうかが採点基準にされていることがよくあります。ただ、キーワード採点(答案者が多いという結果論?)のためか、その理由ははっきりと書かれていません。
    例えば事例2で見かける「未来」時制の「提案」などであれば、その提案の根拠となる「効果」を明記することは社長を説得する上で不可欠だと思うのですが、今回の第1問、第2問のように、「効果」を書くべきか悩む設問がたまにあります。
    だいまつさんは積極的に「効果」を記載されているように見受けられました。個人的には「課題」と「その対応策」なので、これらの間に入る「効果」は積極的に記載しなくてもいいように感じてしまいました。(課題と対応策で字数が埋まればOK、字数が足りなければ効果で補う程度)
    だいまつさんの「効果」の使いどころや基準などあれば、教えていただけませんでしょうか。

  11. だいまつ より:

    Saccaさん

    生産管理や生産効率化(生産性向上)に関しては、TAC難波校のストレートコースに通っていた際、講師の先生から教えていただきました。とは言え、最初は教えてもらっていたにも関わらず、全然意識ができていませんでした。しかし、TAC難波校内での勉強会やタキプロ関西の勉強会に参加し、勉強仲間や先輩(合格者)の方々とディスカッションを重ねる中で、徐々に大切なこと(例えば生産管理が頻出論点であり、問われる切り口もだいたい決まっている)に気付くことができました。
    また、私と同じようにTAC難波校に通っていたものの、29年の第1問と第2問を切り分けできなかった勉強仲間もいます。「生産管理は大切な切口で、計画→統制」と教えてもらっていたとしても、このことが如何に大切かを実感(気付く)し、自分の中に取入れることができるか、できないかは、人それぞれなのだと思います。私の場合は勉強会を通じて取入れることができました。
    それと、昨年の10月に2次試験を受験した当時の私は、今ほど試験の「本質」を分かっていなかったように思います。今私がブログやセミナーで皆さんに2次試験の大切なポイントをお伝えできるのは、①ふろぞいに参加し、事例Ⅰのチームリーダーとしてだけでなく、分析統括というチームにも所属し、全ての事例について膨大な答案に触れることができたこと、②タキプロ関西の勉強会リーダーとして、参加者の方に少しでも多くの気付きを得ていただくべく毎週のお題事例に対して、深く分析することを心掛けていること、など合格後の取組みによるところが大きいと考えています。
    今回の3シリーズ(特に事例Ⅱと事例Ⅲ)は、私が受験生時代だけでなく、合格後の活動も通じて得た皆さんにお伝えしたいことを惜しみなく詰め込みました。
    手前味噌かもしれませんが、Saccaがこの記事に出会われ、そして事例Ⅲの最重要ポイントに気付くことができたことは、おそらく得点力を飛躍的に高めるきっかけになると思います。
    それと、きゃっしいをはじめとして各道場メンバーが自分自身に磨きをかけた方法を惜しみなく公開してくれています。振り返りの仕方はそちらから吸収していただくと、得点力(対応力)が高まっていくはずです。

    だいぶと長くなってしまったのですが、「意味ありげだけどよく分からない文句」についてですが、当日の私はなんとなく気になりながらも80分で、「題意に沿った」答案を作ることに必死で、挙げていただいた2つの要素を使い切ることができませんでした(使えませんでした)。ただ、今になって思うのは、「それでよかった」ということです。診断士の2次試験は100点を狙う試験ではありません。無理に100点を狙おうとすれば、無理が出て、大崩れをしてしまうリスクがあります。
    今回のシリーズの中で何度も書きましたが、やはり一番大切なのは「題意に沿った答案を書く」という点です。多少の取りこぼしは仕方ないと考えましょう。致命傷にはなりません。でも、30点の配点の問題で題意を外したら、その時点で「不合格」になってしまう可能性が極めて高くなります。
    復習されるときは、おっしゃるような細かなところ(常務のIT技能)も気になるでしょうが(私もそうでした)、いまの私から言わせればそんな枝葉のことは「ふーん」程度でよくて(言葉が悪くてすいません)、それよりも幹の部分、つまり生産管理や生産性向上、事例Ⅱで言えば誰に、何を、どのように、効果を意識して答案が作れたかどうかの方が100倍大切だと考えています。

    ちなみにですが、今回のシリーズを通じてだいぶと文章を書きましたが、実はお伝えしたいことの1/3も実は盛り込めていません(いや1/4以下かもしれません)。ここら辺はやはり文字でしか情報を伝達ができないブログの限界だと感じています・・・。

    あと1か月と少し、本当に頑張ってください。コメントありがとうございました。

  12. Sacca より:

    感激しました。
    諸事情で通学が困難なので通信講座とふぞろいシリーズ、大手予備校の過去問集でほぼ独学している二次2回目受験生です。
    昨年不合格だった理由がはっきりと分かりました。

    特に生産管理のことなど、各テキストを読んでもここまでバシッと書かれてないように思います。
    私が見落としただけかもしれませんが、だいまつさんはやはり予備校などでこの知識を自分のものにされたのですか?
    どのような勉強法でこの域に達せられたのか、もし良ければ教えていただきたいです。
    まだだいまつさんの全ての記事を読んでいないので、既出でしたらすみません。

    あと、具体的な質問ですが、この事例で
    「最終検査は設計担当者が行う」
    という1文や
    「常務のIT技能」
    という強みに関し、設問への割り振りが各テキストで異なっています。
    だいまつさんは本試験の解答時は言及されてないようですが、このような「意味ありげだけどよく分からない文句」はどのように処理されたか、もし可能であればご意見を伺いたいです。

  13. だいまつ より:

    匿名さん

    長文の三部作に最後までお付き合いいただきありがとうございます。今回の3本の記事を読んで腹落ちしていただけたことがあるとすれば、きっと昨年よりも実力が着いているはずです!
    一度では消化しきれないボリュームだと思いますので、繰り返し読んでいただき、それぞれの事例対策に活かしてください。

  14. 匿名 より:

    ふぞろいセミナーに参加した多年度生です。三部大作、素晴らしい内容で、独学者・地方在住者には特にありがたいです。昨年の自分との比較で腑に落ちます。永久保存なので、何度も読み返して取り入れます。

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