【渾身】R5沖縄再試験 全問解説~経営法務~ by せーでんき

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せーでんき
せーでんき

会計士×診断士『せーでんき』です。
静電気の発見者は、古代ギリシャの哲学者であるタレスという方なのはご存知でしたでしょうか。
(「万物は水である」と言った人です。)

実際に静電気だと分かるのはもう少し後の時代ですが、琥珀をこすったところ、いろいろなものがひっつくことに気付き・・・・

はい。今回もよろしくお願いします。。。

はじめに

今回は前回に続き3科目目の経営法務をお届けします!

前回の経済学・経済政策財務・会計はこちら!

先日のサトシの記事でR5沖縄再試験の総評がありましたが、6月も中盤から後半に差し掛かってきて、全科目一周はとりあえず終わり、予備校等では答練が続き、独学の方もそろそろ通しで問題を解き始めている頃合いかなと思っています。

1次試験の問題集として過去マス等を使われている方だと、例えば過去問を解いても、全く新しい問題に触れる機会は案外少ないのではないでしょうか?

そこでサトシの呼びかけ、「沖縄再試験を模試代わりに利用してみよう」の登場です。

というところで、勝手に始めた解説シリーズ、復習の際にご活用ください!
今回は経営法務の解説です。これも暗記一人っ子政策の一環として頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

今回の経営法務については、基礎的な問題も多かったところで、科目合格率はけっこう高くなっています。
また珍しく英文契約の問題が出ないという回でした。

なお、今回の解説作成に当たっては全体の監修一蔵にお願いし、また、一部ぴらりんMaki解説を引用させてもらいました。
改めて御礼申し上げます。

では導入はそこそこにして早速解説にいってみましょう!

受験生⑤
受験生⑤

いってみよー!

今回の解説にあたって毎度おなじみの注意事項です。

今回の解説はあくまで個人で記載している内容ですので利用は自己責任でお願いします。
(もちろん内容の確認はしていますが、我流の解き方も入ってしまっていますので、ご自身でもテキストを参照するなど、正しい理解をするようにしてください!)

わしゃ知らん!

ムチ・ノチ
ムチ・ノチ

↓問題と解答はこちら

経営法務(科目合格率:19.2%)

第1問

(第1問)

答えは↓

正解:

解説:

設立の問題ですね。
周辺知識を含めてすべて押さえようとすると大変ですが、選択肢から正解にたどり着くのはそこまで難しくなかったのではないでしょうか。

ア 株式会社においては、実質的に設立を企画した者であれば、定款に署名又は記名押印しない場合においても、発起人となることができる。→「×」
→「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。」(会社法第26条第1項)とあるとおり、発起人は全員署名しないといけません。なお、疑似発起人という責任負担の規定があり、例えば広告で名前を出した有名人だけど発起人じゃない人がいた場合、何かあったときに発起人と同じ責任を負います。(会社法第103条第4項)

イ 株式会社を設立するに当たって作成した定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じない。→「〇」
→「第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。」(会社法第30条第1項)のとおりです。公証人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、まずは定款として最低限「これでいきます」っていうのは作って示しておく必要があるくらいの認識でOKです。

ウ 株式会社を設立する場合、その商号中に「株式会社」の文字を用いなければならないが、合名会社を設立する場合は、その商号中に「合名会社」の文字を用いる必要はない。→「×」
→「会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。」(会社法第6条第2項)とあるとおり、合名会社もその名称を用いる必要があります。

エ 株式会社を設立する場合の定款には、目的を記載しなければならないが、合名会社を設立する場合の定款には、必ずしも目的を記載する必要はない。→「×」
→以下のとおり、定款の絶対的記載事項の中に含まれており、省略はできません。

株式会社持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)
①目的①目的
②商号②商号
③本店の所在地③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額④社員の氏名又は名称及び住所
⑤発起人の氏名又は名称及び住所⑤社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
⑥発行可能株式総数⑥社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
定款 絶対的記載事項

なお、この表をまるまる覚えるのは若干オーバースペックな気がしますので、①~③くらいはいるよねくらいの感覚で押さえておけば十分かなと思います。

第2問

(第2問)

答えは↓

正解:

解説:

株主総会に関する問題です。
若干細かい内容も含まれ、少し悩む問題かもしれません。

ア 公開会社ではない会社の株主総会の招集通知は、当該会社が取締役会設置会社である場合には、株主総会の日の1 週間前までに発出しなければならず、定款により、その期間を短縮することはできない。→「〇」
→以下のとおり株主総会招集通知は規模が大きくなると少しずつ厳しくなると思っておいていただければOKです。

会社の種類いつまでに出すか
公開会社2週間前
非公開かつ取締役会設置1週間前
取締役会非設置(当然非公開)定款の定め

イ 公開会社ではない会社の株主総会は、当該会社が取締役会設置会社である場合、会社の本店所在地において開催しなければならず、定款によっても、会社の本店所在地とは別の場所を開催地とすることはできない。→「×」
→旧商法では似た規定がありましたが、会社法ではこのような規定はありません。招集通知でどこで開催するか通知すればOKです。

ウ 公開会社ではない会社は、株主に対し、委任状を招集通知に同封して委任状勧誘を行うことはできない。→「×」
→金融商品取引法等で定められている委任状勧誘規制に関する選択肢です。金商法であることから上場会社が対象であり、非公開会社の時点で上場会社にはあたらず、規制の適用対象となりません。参考までにご説明しますと、委任状勧誘規制の内容は、委任状様式が定められていることや、金融庁への事前の届出が必要になる等です。いわゆる「プロキシー・ファイト」に対する規制になります(ここまでは聞かれないと思いますので、深入りは禁物です。)。

エ 公開会社ではない会社は、書面による議決権行使の制度を設けることはできるが、電磁的方法による議決権行使を認める制度を設けることはできない。→「×」
→書面、電磁的方法のどちらも特段の会社の機関設計による区別なく、どの会社でも株主総会招集の決定の際に取締役会(なければ取締役)決議により決定します。

第3問

(第3問)

答えは↓

正解:

解説:

会社法の自己株式や株式消却、併合や資本金の計算等の問題ですね。
そこまで難しくはないので、取りたい問題です。あまり得意でない方は、改めて用語の確認等をしておきましょう。
あくまで本番で取れればOKです!

①「資本金の額」と「発行済株式の総数」がどういうものか整理しておきましょう。

  • 資本金:平たく言えば出資を受け入れた金額です。
  • 発行済株式の総数:発行している株式すべての数です。自己株式も含みます。
  • (オマケ)発行可能株式総数:発行することができる株式の総数です。上の発行済株式の総数は必ず発行可能株式総数よりも少なくなります(当たり前ですね。)。

②次に「自己株式の取得」や「株式の消却・併合」もみておきましょう。

  • 自己株式の取得:自己株式の取得時はあくまで株式は発行されたまま、持っているのが自社というだけです。取得の流れはいろいろありますが、イメージしやすいのは株主から取得するパターンです。なお、特定の株主からの取得の場合は株主総会の特別決議が必要です(次の問題で出ます。)。
  • 株式の消却:上記の自己株式の取得後、持っている自己株式を消滅させるイメージです。そのため、発行済株式の総数は減ります。なお、今回の問題では影響ありませんが、株式の消却をした場合、資本剰余金が動きます。
  • 株式の併合:名前のとおり、複数の株式をまとめてしまうイメージです。特に何株を併合というのは法律上は定められておらず、別途決定します。こちらも株主総会特別決議が必要です(端株などが発生し、株主が損をする可能性がある→例:50株持っていたところ、100株を1株に併合されてしまい、50株が0.5株になった場合、会社が買取等をすることになります。その結果株主でなくなる等の事態が起こり得ます。)。
  • (オマケ)株式の分割:株式の併合の逆で、株式が増える方向です。こちらは株主でなくなる場合がないため、取締役会決議等で決定できます。

以上を踏まえて選択肢を見ていきます。

A:上記のとおり、自己株式の取得は「株式は発行されたまま、持っているのが自社」という状態ですので、発行済株式の総数は減りません。

B:自己株式の取得から一段階進んで、株式を消滅させた状態ですので、発行済株式の総数が減ります。

C:株式の併合の場合、株式の数が変動するだけで、資本金の額等の計数には影響しません。
また、今回で併せて資本金の額が減る場合を考えてみますと、資本金の額を減らすのはハードルがすごく大きく、債権者異議手続が必ず必要です。
そのため、今回の選択肢に上がっているような、株式の周りをいじったくらいでは資本金の額を動かすことはできません。
資本金の増加についても、払込があるわけではないため、増加方向にもなりません。こちらも株式の新規発行以外で、株式周りをいじって変動がある場合はありません。
よってCは確実に変動しないであるため、その時点で2択にしぼれます。

第4問

(第4問)

答えは↓

正解:

こちらは株主総会決議に関する問題ですね。

普通決議と特別決議について、定足数と決議要件について、以下の表とグラフで表してみました。

普通決議特別決議
定足数過半数
(定款で別段の定め可能、制限なし。役員の選解任は1/3まで下げられる)
過半数
(定款で1/3まで下げられる)
評決数過半数2/3以上

※グラフの数字は議決権数と考えていただければ。

ということで、上の表をグラフに落とし込んでみました。
特別決議といいつつ、最低は全体の議決権の34%の賛成でいいというのも思ったより少ない気もしますね。

上の表から、正解はイになります。

なお、定足数を下げるのは数字が出るとしたら1/3しか出ませんので、覚えておいてもいいと思います。
(他に特殊決議が2種類ほどありますが、いずれも定足数を下げることはできません。)

第5問

(第5問)

答えは↓

正解:

解説:

合同会社に関する問題です。
持分会社は手薄になりやすいですが、株式会社と違うところだけ押さえておけばある程度戦えると思います。
念のためですが、選択肢にある「社員」は持分所有者(株式会社でいうところの株主)のことを言っています。

ア 合同会社の成立時における社員の人数は3 人以上でなければならない。→「×」
→このような規定はありません。強いて言えば合資会社は必ず2人以上の社員が必要です(無限責任社員と有限責任社員がいるのが合資会社のため)。

イ 合同会社は、会社成立後に、資本金を増やさずに出資による資金調達を行うことはできない。→「×」
→持分会社には、株式会社のような最低1/2は資本金に強制積立のような規定がありませんので、出資のすべてを剰余金として処理することができます。

ウ 合同会社は、会社成立後に新たに社員を加入させることができない。→「×」
→そんなことはありません。持分会社であっても新たに社員を加入させることができます(会社法第604条第1項)。

エ 合同会社は、自然人、法人いずれも業務執行社員となることができる。→「〇」
→株式会社の場合、取締役の欠格事由に法人がありますが、持分会社の社員についてはそのような規定はなく、法人もなることができます。ただ、例えば合名会社の社員が株式会社の場合、無限責任社員ではあるものの、実態は有限責任というよく分からない状況が起こり得ます…「ちょっと変だけどそうなんだ…」と思ったら覚えられそうではないでしょうか?

第6問

(第6問)

答えは↓

正解:

解説:
なぜか会社法の間に挟まっている民法等の問題です。
この問題で一番解説が難しいのは、なぜこの場所なのかということかもしれません…

ア 共同相続人の1 人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。→「〇」
→民法の条文そのままの選択肢です(民法第1049条第2項)。
少し状況をご説明しておくと、共同相続人(≒相続を受ける可能性ある人々)のうち1人が遺留分の放棄(相続放棄ではありません。)をした場合でも、他の共同相続人の遺留分は変わらないということを言っています。
例えば、配偶者と子が2人いた場合で、配偶者が相続放棄をした場合と遺留分の放棄をした場合を考えます。

相続人法定相続分相続放棄
(相続割合)
配偶者1/2相続放棄
子①1/41/2
子②1/41/2
相続放棄の場合
相続人法定の遺留分遺留分の放棄
(遺留分)
配偶者1/4遺留分の放棄
子①1/81/8
子②1/81/8
遺留分の放棄の場合

いかがでしょうか。上段の相続放棄の場合には、子の相続割合が増えているのに対して、遺留分の放棄の場合は子の遺留分は変化していません。

イ 相続人が被相続人の配偶者と被相続人の弟の2 名である場合、その弟の遺留分の額は、遺留分を算出するための財産の価額に3 分の1 を乗じた額となる。→「×」
→遺留分について、兄弟姉妹は対象に入っていませんので誤りの選択肢です。兄弟姉妹の場合、基本的に別の生活基盤があることが前提とされているため、生活に必要な最低限の額の相続をさせる必要性が薄いため、兄弟姉妹には遺留分がありません。

ウ 相続人に対してなされた生前贈与は、相続開始の6 カ月前以内になされたものに限り、遺留分を算出するための財産の価額に含まれ、それ以前になされた相続人に対する生前贈与が遺留分を算出するための財産の価額に含まれることはない。→「×」
→文言からして誤りの雰囲気が漂う選択肢です。生前贈与のうち遺留分の計算で考慮されるのは以下の3点です(おそらくここまで細かく覚える必要はありませんが、とりあえずいくつかあると思っておいていただければOKです。)。

  1. 1年以内の相続人以外への生前贈与
  2. 10年以内の相続人への特別受益にあたる生前贈与(住宅取得資金などが参考例です。)
  3. 遺留分を侵害すると知りながら行われた生前贈与

エ 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく遺留分に関する民法の特例である除外合意とは、会社事業の後継者が経営者(旧代表者)から贈与等により取得した自社株式等について、遺留分の計算に算入すべき価額を合意時の価額に固定する合意をいう。→「×」
→除外合意と固定合意の文言を入れ替えた選択肢ですね。以下のとおりですのでこちらは押さえておきましょう。細かいですが参考までに、個人事業主の場合は①の除外合意しか使えません。

  • 除外合意:その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと
  • 固定合意:遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を固定すること

第7問

(第7問)

答えは↓

正解:

解説:
組織再編のうち合併に関する問題です。
組織再編はややこしいので苦手な方も多いと思いますが、中小企業のM&Aや事業承継等がトピックになる中、ほぼ毎年出題されますので、基本的な問題は取れるようにしておきましょう!

ア 吸収合併を簡易合併手続により実施する場合、合併により交付する対価は、吸収合併存続会社の株式に限定される。→「×」
→吸収型の組織再編(吸収合併・吸収分割・株式交換)の対価は基本的に限定されません(会社法第749条第1項第2号ほか)。簡易手続の場合、例えば、例外的に存続会社が非公開かつ対価が譲渡制限株式という形の組織再編はできません(非公開にも関わらず、すでにいる株主にとって知らない株主が入ってくることになるためです。)。
なお、新設型の組織再編(新設合併・新設分割・株式移転)の場合、金銭を対価にすることはできません。新設する時点でお金を持っている訳がないので当然ですね。

イ 吸収合併を簡易合併手続により実施する場合、吸収合併消滅会社が行政機関から取得した許認可等の公法上の権利義務は、その種類を問わず、当然に吸収合併存続会社に承継される。→「×」
→過去にも類似の選択肢が出た事例がありますね。法律によって取扱は異なり、別途届出をすれば可能なもの(理容業・美容業など)と、別途許認可が必要なもの(ホテル・旅館など)があり、誤りの選択肢になります。

ウ 吸収合併を簡易合併手続により実施する場合、吸収合併存続会社においては、合併承認に係る株主総会の決議は不要となるが、吸収合併消滅会社においては、合併承認に係る株主総会の決議が必要となる。→「〇」
→簡易手続による吸収合併が行われる場合、存続会社が規模が大きく、消滅会社の規模が小さい場合です。それぞれの視点からみると、存続会社からは、少額の交付で済むため株主総会決議が不要となる一方、消滅会社からすると存続会社が大きいかは特に関係なく、会社がなくなるという事実があるため、重大であると考えられることから、株主総会決議が必要となります。

エ 吸収合併を簡易合併手続により実施する場合、吸収合併存続会社においては、債権者保護手続(債権者異議手続)を履行しなければならないが、吸収合併消滅会社においては、債権者保護手続(債権者異議手続)を履行する必要はない。→「×」
→債権者保護手続は株式交換・株式移転を除き、基本的にどの会社でも必要です。債権者からすると債務者が交代するためです。例外的に株式交換・株式移転でも必要な場合がありますのでご注意ください。

第8問

(第8問)

答えは↓

正解:

解説:

ア 清算開始前の会社の機関設計が取締役会設置会社であった場合、清算株式会社においても、取締役会を置かなければならない。→「×」
→清算株式会社においては、取締役を置くことができず、取締役会も置くことができません(会社法第477条第2項)。清算株式会社においては、取締役が清算人に変わるイメージです。そのため、清算人会は定款により置くことができます。また、監査役会設置会社が清算株式会社となる場合には、清算人会の設置が必要となります。本選択肢も、「清算開始前の会社の機関設計が監査役会設置会社であった場合、清算株式会社においても、清算人会を置かなければならない。」であれば正解になります。

イ 清算株式会社が分割会社となる吸収分割を行うことはできない。→「×」
→清算株式会社が吸収合併等のもらう側(存続会社)になることはできませんが、渡す側である分割会社や消滅会社になることは可能です。

ウ 清算株式会社においては、定款の定めによったとしても、監査役を置くことはできない。→「×」
→「清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができる。」のとおり、定款の定めにより設置することができます(会社法第477条第2項)。

エ 清算株式会社は、1 人又は2 人以上の清算人を置かなければならない。→「〇」
→こちらも条文そのままの選択肢です(会社法第477条第1項)。最低1人は清算人(一般的な株式会社でいう取締役)が必要と理解いただければ十分です。

第9問

(第9問)

答えは↓

正解:

解説:

独占禁止法の問題です。
この問題は知っていれば解けるものの、おそらく知らないと思いますので、復習時も深追いする必要はありません。
独禁法の出題頻度がそこまで多くなく、しばらくは同じ形式での出題はないと思われるためです。

抱き合わせ販売は独占禁止法上の課徴金の対象になっていないことを知っていればイとウが×となり、アとエに絞られます。あとは不当な取引制限がいわゆるカルテルや談合であり、優越的地位の濫用よりもヤバい、課徴金も最も高いということを知っていれば、エにたどり着くことができます。

本問の復習としては、各用語の意味を押さえておき、次回に類題が出た際に悪そうな順番に並べられれば十分だと思います。

  • 不当な取引制限:いわゆるカルテルや談合です。
  • 支配型私的独占:単独又は他の事業者と共同で、株式取得や役員派遣等により事業活動に制約を与えて市場を支配しようとする行為です。
  • 排除型私的独占:単独又は他の事業者と共同で、競争相手を市場から排除したり新規参入を妨害する行為です。
  • 共同の取引拒絶:正当な理由なく仲間はずれにする行為です。
  • 差別対価:不当な価格差別です。
  • 不当廉売:異常なほど安く売って周囲の店をつぶしにかかる行為です。
  • 再販売価格の拘束:正当な理由なく価格を指定する行為です。
  • 優越的地位の濫用:押し込み販売や協賛金を出させる等の行為です。

もしイメージがわきづらい方は以下の公正取引委員会のHPもご覧ください。

https://www.jftc.go.jp/ippan/part2/outline.html

第10問

(第10問)

答えは↓

正解:
特許法にかかる問題です。
令和3年の第10問の類題にあたる問題であり、本番で出た場合は取りたい問題です。

ア 2 以上の発明は、いかなる場合にも1 つの願書で特許出願することはできない旨が、特許法に規定されている。→「×」
→発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは1つの願書で出願できる旨が規定されています(特許法第37条)。例えば、あるものの製造方法の発明とともに、そのための道具も発明した場合等が該当します。

イ 特許出願の願書に添付する明細書には、発明の詳細な説明を記載しなければならない旨が、特許法に規定されている。→「〇」
→明細書には「発明の詳細な説明」が必要な旨が規定されています(特許法第36条第3項第3号)。そのほか、発明の名称(同第1号)、図面の簡単な説明(同第2号)が規定されています。

ウ 特許出願の願書には、図面を必ず添付しなければならない旨が、特許法に規定されている。→「×」
→特許法上は「必要な図面」を添付しなければならない(特許法第36条第2項)と規定されており、図面は必須とはされていません。あくまで必要な場合のみです。図面がない場合もあり得るので、このような表現になっています。

エ 特許出願の願書には、要約書を添付しなければならない旨は、特許法には規定されていない。→「×」
→ウの選択肢の根拠条文と同じ条文において「願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。」(特許法第36条第2項)と定められており、要約書の添付は必須とされています。

第11問

(第11問)

答えは↓

正解:

解説:

ア 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から25 年をもって終了するが、この期間を更新する制度が意匠法には設けられている。→「×」
→前半の出願から25年は正しいですが、意匠は更新はできません。当初の登録要件に「新規性」等が入っていることから厳しいと思っていただければと思います。

イ 意匠権者は、業として登録意匠の実施をする権利を専有するが、登録意匠に類似する意匠を業として実施する権利までは専有しない。→「×」
→「意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。」(意匠法第23条)のとおり、類似する意匠の実施も含まれています。

ウ 意匠登録出願前に外国で頒布された刊行物に記載された意匠に類似する意匠は、意匠登録を受けることができない旨が、意匠法に規定されている。→「〇」
→新規性の喪失要件が2つありましたね(意匠法第3条第1項各号)。

  • 公知であること:
    意匠登録出願前に日本国内または外国において公然知られた意匠は新規性を喪失する。
  • 刊行物記載または電気通信回線による公衆利用可能性:
    意匠登録出願前に日本国内または外国において、頒布された刊行物に記載された意匠または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠は新規性を喪失する。

上記の2番目に該当するため、本選択肢は正解になります。

エ カーネーションの造花は、自然物の形状、模様、色彩を模したものであるため、意匠登録の対象となる場合はない。→「×」
→「この法律で「意匠」とは、物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合、建築物の形状等又は画像であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」(意匠法第2条第1項)とされているとおり、カーネーションの造花もこの定義に当てはまることがあり得ます。また、選択肢は「~の場合はない」という強い表現になっていることからも何となく誤りと推測できそうですね。

意匠法については、以下もどうぞ!

第12問

(第12問)

答えは↓

正解:

解説:
著作権に関する問題です。
著作権もよく出願されますが、産業財産権と違うところもあり、混同しないようにきっちりと押さえておきましょう。

ア 公表されていない著作物であっても、引用して利用することができる旨が、著作権法に規定されている。→「×」
→「公表された著作物は、引用して利用することができる。」(著作権法第32条第1項)とあるとおり、公表されているものについては引用できる旨が規定されています。そもそも公表されていないのに引用って意味不明ですね…道場ブログでも公表前の記事へのリンクは残念ながら貼れません…

イ 著作権の存続期間は、文化庁への著作物の創作年月日の登録があった時に始まる。→「×」
→「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。」(著作権法第51条第1項)とあるとおり、創作がスタートです(難しく考えすぎず、常識的に考えてそうですよね。)。以下の表のとおりですので他の産業財産権と混同しないように注意しましょう。

区分スタート時期
特許権・実用新案権・意匠権出願
商標権登録
著作権創作

ウ 著作権法上、「美術の著作物」には、美術工芸品が含まれる。→「〇」
→「この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。」(著作権法第2条第2項)とされています。著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法第2条第1項第1号)とあり、それに該当しそうなイメージを持っていただければOKです。例えば、アルゴリズムは著作物ではないとされており、確かに「思想又は感情を創作的に表現」はしていない感じがしますね。
一方で、コンピュータ・プログラムは著作物に含まれます。イメージが難しい方は、ゲームをイメージしてもらえばいいのではないかと思います(コンピュータ・プログラムの著作権を争った事件として「ドンキーコングJr事件」が有名ですので、興味のある方は調べてみてください。)。

エ 法人の発意に基づき、その法人の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物が職務著作と認められるためには、当該プログラムの著作物が、その法人が自己の著作の名義の下に公表するものであることが、1 つの要件として規定されている。→「×」
→この選択肢は少し難しいのですが、職務著作の要件を覚えていると逆に引っかかる可能性のある選択肢です。
職務著作の要件は以下の4つです(著作権法第15条第1項)。

  • 法人その他使用者の発意に基づき
  • その法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、
  • その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、
  • その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

太字にしましたが、プログラムの著作物を除くとされています。
これは例えば、プログラムは機器内に組み込まれたりするため、実際に法人等の名義の下に公表されないことが多いことを考慮したためとされています。

第13問

(第13問)

答えは↓

正解:

解説:
実用新案権にかかる問題です。
本問は実用新案権単独ですが、特許権との違いを問われることも多いので、その違いも意識しておきましょう。

ア 考案に係る物品の譲渡のための展示は、考案の実施には該当しない旨が、実用新案法に規定されている。→「×」
→「この法律で考案について「実施」とは、考案に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為をいう。」(実用新案法第2条第3項)のとおり、譲渡のための展示も含まれています。

イ 実用新案権者が自己の実用新案権を侵害していると考える相手方に対し損害賠償を請求する場合、相手方の故意又は過失を立証する必要はない。→「×」
→特許法であれば、過失が推定されますが、ウの選択肢の解説に記載しているとおり実用新案権は実体審査なく登録されるため、通常どおり故意または過失を権利者側が証明する必要があります。

ウ 実用新案権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権の侵害者に対し、その権利を行使することができない。→「〇」
→実用新案法第29条の2のとおりの記載です。実用新案権は形式的な審査(方式審査)しか行わず、書類が揃っていれば登録されます。一方、実用新案技術評価書は特許庁で登録の有効性を審査した書類です。そのため、形式的な登録だけでなく、客観的評価である実用新案技術評価書が揃っている状態でないと差止請求等を行うことはできないこととされています。

エ 特許庁長官に対して実用新案技術評価を請求できるのは、実用新案登録出願人又は実用新案権者のみである。→「×」
→何人も請求可能です(実用新案法第12条第1項)。なお、出願人又は実用新案権者以外が請求した場合には、出願人又は実用新案権者にも謄本が送達されます。また、誰でも請求可能なのは、形式的な登録がされているだけで考案の実施を諦めることがないようにするためです。

第14問

(第14問)

答えは↓

正解:

解説:
不正競争防止法の問題です。
不正競争防止法も毎年出題される分野ですし、産業財産権等と違って混乱するポイントは少なく、用語を押さえておけばある程度戦えるため、コスパはいい方だと思っています。

ア 不正競争防止法第2 条第1 項第1 号に規定する、いわゆる周知表示混同惹起行為において、「人の業務に係る氏名」は「商品等表示」に含まれる。→「〇」
→法律の条文そのままの内容です。条文では「他人の商品等表示」=「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」とされています。この中では「人の業務に係る氏名」が一番分かりにくいと思いますが、例えば、アパレル店で有名デザイナーの名前のついた店名等を勝手に使ったらアウトです。余談ですが、「Bon Jovi」も「人の業務に係る氏名」なのかは少し気になっています。
なお、参考までに「しゅうちひょうじ こんどうじゃっきこうい」と読みます。

イ 不正競争防止法第2 条第1 項第3 号に規定する、いわゆる「デッドコピー」規制による保護期間は、外国において最初に販売された日から起算して7 年を経過するまでである。→「×」
→本選択肢は2点修正しないと正解にならない選択肢です。具体的には、
 〇「国内」において最初に販売された日から起算して「3 年」を経過するまで
です(不正競争防止法第19条第1項第6号イ)。案外短いなというイメージですよね。そのため、特許・意匠・商標出願等を併用してより厚く保護するケースもあるようです。

ウ 不正競争防止法第2 条第1 項第4 号乃至第10 号で保護される営業秘密に該当するには、新規性、進歩性、有用性の3 つの要件を満たす営業上の情報であることが要件となる。→「×」
→この手の3要件系は覚えるのが大変だと思いますが、「秘密管理性・有用性・非公知性」です。なお、誤りの理由である「新規性」と「進歩性」は特許権や実用新案権などで出てくるワードです。

エ 不正競争防止法第2 条第1 項第11 号乃至第16 号で保護される限定提供データは、営業上の情報のみを指す。→「×」
→「この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く。)をいう。」(不正競争防止法第2条第7項)とされており、技術上の情報も含まれます。

ただ、本選択肢は「のみ」の時点で不正解の選択肢の雰囲気はありますね…

なお、併せて限定提供データも3要件「限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性」がいますので営業秘密と混同しないようにしつつ押さえておきましょう(この「3要件」という整理の仕方自体が混同惹起では?と思っているのですが、同意してくださる方はいらっしゃるのでしょうか…)。

近藤ジャッキーという人がいたらきっと傷つくぞ!

ポジ蔵
ポジ蔵

第15問

(第15問)

答えは↓

正解:

解説:

(本問の解説はぴらりんの記事から一部引用させてもらいました。Merci Beaucoup!)

ア 特許法には、不正使用に基づく取消審判制度が規定されている。→「×」
→細かいですが、「”不正”使用に基づく取消審判制度」は商標法に規定されている制度です(ちなみに「”不”使用に基づく取消審判制度」というのもあります…紛らわしい…意味はそのままですので読み間違いだけ気を付けてください。)。特許権が侵害されている場合は、特許法に定めのある差止請求や民法の損害賠償請求等の手段があります。

イ 実用新案法には、出願審査請求制度が規定されている。→「×」
→上の表のとおり、出願審査請求があるのは特許権だけです。下の記事の「なぜ?①」にもあるとおり、出願件数が多すぎたり、とりあえず請求みたいなものが多くて、出願があったもの全て審査をするのはちょっと厳しいことから、出願から3年以内に実際に審査の請求をしてもらうための請求を別途出願者側に求める出願審査請求制度が設けられています。
(余談ですが、行政にいた立場からすると審査請求と言われると行政不服審査法がちらつくのですが、特許法の審査請求はあくまで出願の一部みたいなイメージです。)

ウ 意匠法には、国内優先権制度が規定されている。→「×」
→上の表のとおり、国内優先権があるのは特許権と実用新案権だけです。これは下の記事の「なぜ?③」にあるとおり、基礎的な発明・考案後に追加研究した分も含めてもらう制度であり、意匠はデザイン、商標はマークなんでそもそも発明とかあまり関係ないと思っていただいたらOKです。

エ 商標法には、登録異議の申立て制度が規定されている。→「〇」
→上の表のとおり、特許権と商標権に規定されています。異議申立ては、それぞれの法律に規定された事由に該当する場合(特許法:新規性なし、条約違反など / 商標法:類似、不正利用など)に限定されており、誰でも請求できることから、社会からの意見聴取の意味合いが強いです。

産業財産権の横断問題については、以下の記事がオススメ!

第16問

(第16問)

答えは↓

正解:

解説:
海外への特許出願に関する問題です。
PCT(特許協力条約:Patent Cooperation Treaty)とパリ条約の違いを押さえておけば正解は近い問題です。

海外特許出願については、2パターンあり、平たく言えば一括出願と個別出願です。
それぞれ簡単にみておきましょう。

  • PCT(特許協力条約):一括出願のイメージです。日本の特許庁に対してPCT出願(日本語でOK)することで、PCT加盟国(約150か国)に対して出願日の確保ができ、それ以降(30か月以内)に翻訳版を各国に提出して審査を受ける制度です。
  • パリ条約:個別出願のイメージです。優先権制度(日本の特許庁に最初に出願した日を海外でも主張できる制度)を用いて各国に出願する方法です。特許及び実用新案は12か月、意匠及び商標は6か月が優先権が認められる期間です。

余談ですが、PCTの方が楽そうには見える一方、少ない国への出願であればむしろパリ条約よりも費用がかさむ可能性があるため注意が必要です。

なお、「優先権」と「国内優先権」をごっちゃにしないようご注意ください。
「国内優先権」は第15問のウで解説しているとおりです。

第17問

(第17問)

答えは↓

正解:

解説:
地域団体商標制度に関する問題です。
知っていればある程度対応可能と思われ、そんなに難しくないので押さえておいてください。

地域団体商標制度を平たく言いますと、「地域の名称」と「商品(サービス)名」で商標登録する制度です。
地域ブランドを保護して地域活性化に繋げる趣旨の制度ですね(「夕張メロン」的なやつです。)。

選択肢を見てみますと、
「A」は地域名のみで登録しようとしているため、登録はできません。
「B」はサービス(役務)についても対象となりますので、こちらは登録可能です。
以上から正解は「イ」になりますね。

なお、当該登録には「周知性」(一定の知名度)が必要となります。
また、当該申請を行うのは企業というよりも商工会・商工会議所やNPOなどであり、中小企業と問題文のようなやり取りをすることはありませんのでご注意ください。

第18問

(第18問)

答えは↓

正解:

解説:
代理に関する問題です。
細かい選択肢も多く、なかなか難しかったのではないかと思います。

ア 商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで意思表示をした場合において、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、本人に対してその効力を生じない。→「×」
→「商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。」(商法第504条)とあるとおり、代理人が本人のためにすることを示さない(顕名がない)場合でも、本人(会社など)に対して効力を生じます。
これは、民法の代理の顕名制度は、もともと相手方の保護(代理人だと思ってなかった…)が目的だったところ、一方で商業の場合、毎回の顕名は煩雑であり、また、相手方も本人を知っている場合が多いため保護の必要性が低く、このような規定になっています。

イ 制限行為能力者が民法上の任意代理人として行った意思表示は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。→「〇」
→「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」(民法第102条)とあるとおりです。これは、本人が代理人を選ぶ時点で、代理人が制限行為能力者であることのリスクは負った状態で代理権を付与してくださいということです。もしこの規定がなかった場合、相手方からすると「代理人が制限行為能力者であるため、取り消されるかもしれない」と思いながら契約を結ぶ必要があります。これでは代理制度が使いづらくなってしまいますね…

ウ 民法上の委任による代理人は、本人の許諾を得たときでなければ、復代理人を選任することはできない。→「×」
→「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。」(民法第104条)のとおりです。基本的に任意代理の場合、復代理は不可(その人だからお願いしたという点を重視するため)ですが、例外的に
①本人の許諾を得たとき
②やむを得ない事由があるとき
は復代理人を選任することができます。
なお、法定代理の場合は自己の責任で自由に復代理人を選任できます(民法第105条)。

エ 民法上の無権代理の相手方が催告権を行使した場合において、本人が期間内に確答をしないときは、追認したものとみなされる。→「×」
→本人が期限内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされます(民法第114条)。これは、無権代理のため、本人からするとどこかで勝手に自分の代わりに代理人と言って契約を結びまくっている状態です。この状態で、期間内に確答しなければ追認はあまりにも本人に酷だという判断です。
例えば、有名人の名前を勝手に使って契約をしまくり、その有名人に催告が大量に届いたとして、それにすべて答えきれなければ追認したことになるのはちょっとヤバい気がしませんでしょうか。

第19問

(第19問)

答えは↓

解答

解説

(本問の解説はMakiの記事の解説からもらいました。Many thanks!)

設問全体はインコタームズのFOBとCIFに関するもので、

選択肢の前半で危険負担の移転のタイミング、後半では費用負担について述べられています。

中小企業診断士試験に出題されるインコタームズとしてはオーソドックスな内容といえるかと思います。

FOBもCIFも売主は港で船に積み込むまでのリスクを負担します(それ以降のリスクは買主が負担)。

→「荷卸しされたとき」となっているアとウは×。

運賃と保険料は、「FOBは買い手」、「CIFは売り手」が負担します(その他の費用は買主が負担)。

→エは×で、イが正解!

インコタームズについては、以下の記事が分かりやすいのでオススメです!

第20問

(第20問)

答えは↓

正解:

解説:
即時取得と時効に関する問題です。
もしかすると即時取得はあまり聞きなれない方もいらっしゃるかもしれません。
これまでもあまり出ていないと思われるため、簡単に概要だけ押さえていただく程度で、深入りは不要です。
時効はそこそこ出ますので押さえておきたいですね。

参考までに記載しておきますと、「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」(民法第192条)とあるとおりです。よくポイントとなるのは、①動産であること、②有効な取引であること、③善意無過失であることです。
例えば、他人から預かった時計を勝手に売ってしまった場合、相手方が善意無過失である場合、即時取得が成立することになります。

ア 所持品預り所から他人のカバンを間違って受け取った場合でも、即時取得は成立する。→「×」
→上でみたとおり、①動産ではあるものの、②取引行為ではありませんので即時取得は成立しません。

イ 占有開始の時に善意かつ無過失であったとしても、その後、悪意になった場合には、所有権の10 年の取得時効は成立しない。→「×」
→「十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。」(民法第162条第2項)のとおり、10年で取得時効が成立するには占有開始時に善意無過失で足ります。なお、最初から悪意や有過失の場合は20年です(同法同条第1項)。

ウ 被相続人が他主占有をしてきた目的物につき、相続人が承継した占有が相続を機縁として相続人の自主占有になり、取得時効が成立することはない。→「×」
→「他主占有」とか「自主占有」とか聞き慣れない言葉が並んでいますが、ざっくりと「他主占有」は例えば賃貸借で借りている(他の人のものを占有している)と考えていただければOKです。「自主占有」はその逆で、通常の売買等で取得した自分のものを占有している状態ですね。
選択肢の内容をみますと、例えばAさんが賃貸をしていて亡くなり、Bさんが相続した場合に、「Aさんが持っているものを相続した」と思っている場合等は成立する可能性も否定はできません。ただし、取得時効の始期は相続時からになります。

エ 不動産は、即時取得の対象とならない。→「〇」
→上でみたとおり、動産ではないため、即時取得は成立しません。そもそも即時取得は取引の相手方保護の規定であり、不動産の場合は登記があるため、所有者と売主が一致するか調べれば分かります。そのような調べればわかる状態のものまで保護する必要はないので、不動産は対象外となっています。

第21問

(第21問)

答えは↓

正解:

解説:
保証に関する問題ですね。
保証の分野はそこそこ出ていますので、押さえておきたいところです。

ア 主債務者が債権者に対して解除権を有する場合でも、主債務者が解除権を行使しない限り、保証人は債権者に対して債務の履行を拒むことができない。→「×」
→「主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。」(民法第457条第3項)のとおりです。附従性(主たる債務と運命を共にする)というやつですね。

イ 主債務者が債務を承認した場合には、主債務の時効が更新するが、保証債務の時効は更新しない。→「×」
→「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。」(民法第457条第1項)のとおりです。これも同じく附従性ですね。

ウ 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その効力を生じない。→「×」
→保証契約は通常の契約と異なり、口頭だけでは成立せず、書面or電磁的記録が必要です(民法第446条第2項第3項)。保証は慎重にすべきということですね。

エ 連帯保証人が債務を承認した場合には、連帯保証債務の時効は更新するが、主債務の時効は更新しない。→「〇」
→2020年に民法の改正が入った箇所です。保証契約は債権者と保証人の間で締結する契約ですので、例えば知らない間に新しい連帯保証人が増えていて、その人に請求したから主債務者の時効完成が更新されるといったことが起こり得るため、改正が入っています。

第22問

(第22問)

答えは↓

正解:

解説:
債権譲渡+相殺の問題です。
債権譲渡もそこまで出る訳ではない論点ですので、深入りはし過ぎなくても大丈夫です。

ア 債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の間の優劣は、通知又は承諾に付された確定日付の先後によって定められるのではなく、確定日付のある通知が債務者に到達した日時又は確定日付のある債務者の承諾の日時の先後によって決せられる。→「〇」
→債権が二重に譲渡され、新たな債権者候補2人の間の話です。新たな債権者候補同士の勝負は、選択肢のとおり、債務者への到達又は債務者の承諾の早い方が勝ちます。文書の日付を遡って記載したりする無意味な勝負を避けるためです。

イ 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に確定日付のある証書によって通知をし、又は債務者が確定日付のある証書によって承諾をしなければ、債務者に対抗することができない。→「×」
→これは少し細かい選択肢です。債権の譲渡を債務者に対抗するためには、譲渡人から債務者に通知又は債務者の承諾が必要ですが、「確定日付のある証書」までは求められていません。「確定日付のある証書」が必要となるのは、債務者以外の第三者に対抗するときです。

ウ 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要する。→「×」
→「債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。」(民法第466条の6第1項)のとおりです。条文をそのままひっくり返しただけの選択肢ですね…債権譲渡は割と自由度が高いと思っていただければ十分です。

エ 被差押債権の債務者は、同債権の債権者に対して反対債権を有していた場合、反対債権の弁済期が被差押債権の弁済期よりも先に到来するときに限って相殺することができる。→「×」
→これは受働債権が差し押さえされている場合の相殺に関する選択肢です。
受働債権(選択肢の場合、被差押債権)が差押さえられている場合は、差押さえ前に自働債権(選択肢の場合、反対債権)が取得されていれば相殺できます。

文字では分かりにくいと思いますので以下の図をご覧ください。

相殺できる場合相殺できない場合
①自働債権2024/8/4
(1次試験2日目)
2025/1/26
(2次口述試験)
②受働債権2024/8/3
(1次試験1日目)
2024/8/3
(1次試験1日目)
③差押え2024/10/27
(2次筆記試験)
2024/10/27
(2次試験)

1次試験初日に発生した債務(受働債権)が、2次筆記試験日に差押えられた場合、自働債権の取得日が1次試験2日目か、2次口述試験の日かによって相殺できるかどうかが異なります(例外あり)。

第23問

(第23問)

答えは↓

正解:

解説:
解除だけという問題もこれまであまりなかったのではないでしょうか。
他の問題と同様に深入りはしなくていいと思います。

ア 解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかった場合でも、過失によって契約の目的物を返還することができなくなったときは、解除権は、消滅する。→「×」
→原則として故意または過失によって目的物を著しく損傷させたり、目的物を返還できなくなった場合、解除権は消滅します。ただし、解除権を有することを知らなかったときはこの限りでないとされています(民法第548条但書)。
これは、不良品と知らずに加工をした場合でも解除できないとするのは妥当でないためです。2020年の法改正箇所です。

イ 債務者がその債務を履行しない場合において、債権者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときでも、債権者は、契約の解除をすることができる。→「×」
→何となく予想できるかもしれませんが、債務の不履行が軽微であるときは契約は解除できません(民法第541条但書)。

ウ 債務の全部の履行が不能である場合でも、当該履行不能が債権者のみの責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、契約の解除をすることができない。→「〇」
→債務の全部履行が不能な場合、催告がなくとも解除ができる無催告解除の対象となりますが、その履行不能の原因が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは解除できません(民法第543条)。

エ 当事者の一方がその解除権を行使したときは、第三者の権利を害するとしても、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負い、当該第三者も同様の義務を負う。→「×」
→契約を解除した場合、双方ともに原状回復義務を負いますが、第三者の権利を害することはできません。
仮に家を建てようとしてた等あった場合など、第三者からしたらたまったものではないですよね。

第24問

(第24問)

答えは↓

正解:

解説:
不動産の賃貸借に関する問題です。
借地借家法までは対象ではないものの、転貸(≒又貸し)も出てくるなど、診断士試験の内容としては細かい印象です。

ア 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を賃借人の債務不履行により解除したことをもって、転借人に対抗することができない。→「×」
→債務不履行の場合は転借人側が不利な立場となってしまいます。賃貸人(貸している人)と転借人(転貸で借りてる人)の利益を比較衡量し、賃借人(借りてる人かつ転貸してる人)の債務不履行であれば、賃貸人の利益を保護してもいいのではないかという判断です。なお、こちらは法律に明記されているものではなく、判例によるものです(最判平成6年7月18日など)。

イ 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、転借人は、転貸借に基づく債務の範囲内であれば、特約がなくとも、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を超えて、賃貸人に対して直接履行する義務を負う。→「×」
→転借人が直接履行する義務を負うのは、「自身の契約(=賃借人と転借人の契約)」または「賃貸人と賃借人の契約」のどちらか少ない方が限度になります(民法第613条第1項)。よって、賃借人の範囲を「超えて」というところが誤りですね。

ウ 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、譲渡人と譲受人が合意したとしても、賃借人の承諾を得ない限り、譲受人に移転しない。→「×」
→「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。」(民法第605条の3)となっており、賃借人の同意は不要です。
参考ですが、賃貸人の地位の移転を賃借人に対抗するためには、所有権移転登記が必要です。

エ 不動産の賃貸借を登記すれば、賃借人は、対象不動産の譲受人に賃貸借を対抗することができる。→「〇」
→「不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。」(民法第605条)のとおりです。身も蓋もない話ですが、不動産周りの対抗要件は登記が多いです(診断士試験ではこれ以上の深入りは必要ありません。)。

第25問

(第25問)

答えは↓

正解:

解説:
遺言に関する問題です。
頻出というほどではないものの、出題実績はある分野です。
ちなみに法律上の読み方は特殊で「いごん」と読みます。知らなかった方は実務で恥ずかしい思いをしないように知っておいてください。
法律用語はたまに読み方が不思議ですね。

ア 遺言は、2 人以上の者が同一の証書ですることができる。→「×」
→「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。」(民法第975条)で共同遺言が禁止されています。

イ 自筆証書によって遺言をする場合、これと一体のものとして相続財産目録を添付する場合、その目録については、他人に依頼してパソコンで作成したものとすることはできるが、その目録を両面印刷で行ったときは、少なくともその片面に署名し、印を押さなければならない。→「×」
→2019年施行の民法の改正により財産目録の自書が不要となりましたが、その場合でも記載のある面全てに署名捺印が必要となります(民法第968条第2項)。

ウ 撤回された遺言は、その撤回の行為が取り消されたときであっても、その遺言の効力を回復しないが、その撤回の行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合には、遺言の効力を回復する。→「〇」
→「撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。(抄)」(民法第1025条)とあるとおりです。基本的には撤回の撤回は有効になりませんが、詐欺又は強迫の場合は例外的に有効になります。

エ 未成年者であっても15 歳に達していれば、法定代理人の同意がなくても遺言ができるが、同意なくしてなし得る遺言は、単に権利を得、又は義務を免れる行為に限定される。→「×」
→「十五歳に達した者は、遺言をすることができる。」(民法第961条)において前半は正しいことが分かりますが、後半については、限定されるような規定はなく、誤りの選択肢になります。というか、単に権利を得、又は義務を免れる行為を遺言するってどういうことかよく分かりませんね…(例えば、自分が死んだら、あれをもらいますとか、借金はチャラにしますとか書くということですよね…)

最後に

お疲れ様でした!

いかがでしたでしょうか。

では毎度お約束の名言コーナーです。

問題は時にあるのじゃなくて、あなた自身の中にあるのです。太陽におなりなさい

ポルフィーリー (フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』より)

今回は架空の人物ですが、ロシアの文豪ドストエフスキー『罪と罰』に出てくる予審判事(刑事的なやつです。)のポルフィーリーの名言です。
正直そこまで頻繫に取り上げられるような言葉ではないのですが、この言葉からこの人物の優しさ的なものがにじみ出ていて、個人的に好きなので取り上げてみました。

(以下は若干のネタバレが入りますので、「いま罪と罰を読み進めている殊勝な方」は読了後にご覧ください!)

ちょっと前提がないと分かりにくいので少し解説しますと、『罪と罰』という作品において、主人公ラスコーリニコフ賢い法学部の学生だったのですが、お金がなく、大学を除籍になっています。
また、「非凡人は法律を踏み越す権利がある」というような極端な主張をしており、その理論に基づき、高利貸の女性を殺害してしまいます。

ただ、それ以降、ラスコーリニコフは罪だとは思っていないものの、罰を受ける可能性があることに対して恐れを持ってしまいます。
勝手な解釈ですが、上記の「非凡人は法律を踏み越す権利がある」に対して、罰を受けるということは自身が凡人であることになってしまうことも自身の存在意義との狭間での葛藤に繋がったのではないかと思っています。

そして、そのような状態のラスコーリニコフと対するのがポルフィーリーです(やっと出てきました。ドストエフスキーは登場人物が多いのが厳しいところですね…)。
ポルフィーリーは当初は周りくどいやり方でラスコーリニコフを追い詰めていくのですが、もうラスコーリニコフが捕まりそうな終わりに近いところで上の名言を言います。

こちらも推測ですが、この時のポルフィーリーは、未来のある若者であるラスコーリニコフが厭世的になっていることに理解を示しつつ、世の中も捨てたものじゃないからとやり直しの機会を与えようとしてかけた言葉ではないかと思います。
(主人公に対して「あなたがただ婆さんを殺しただけなのは、まだしもだったんですよ。」とか言っちゃってますし…)

いかがでしょうか?

それこそ「罪を憎んで人を憎まず」的な雰囲気すら感じませんでしょうか?

というようなところで、今回は経営法務にちなんでそれっぽいやつを選んでみました。

ドストエフスキーは正直読むのがしんどい難しい作品も多いですが、興味があれば手にとってみてください。
読んでみようかと思われる方は、ちょっとネタバレっぽくなりますが、先にYouTubeの解説やマンガ版などで少し予習してから入るとスムーズではないでしょうか。

以上です。ありがとうございました!

せーでんき
せーでんき

明日はAREです!また渾身の記事が読めるんかな?

気持ちを前面に出してね。伝わってくるものはあるわね。

ARE
ARE

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