中小企業「政策」の攻略法
こんにちは。ハカセです。
TACのストレート本科生に通っている方々は、そろそろ「中小企業経営・政策」の答練ですね。
前回は「中小企業経営・政策の特殊性 」で、この科目の特殊性・難しさをご説明したうえで、
「中小企業経営(白書)の攻略法! 」
「白書の図表のサブタイトルを攻略せよ! 」
の二つのエントリーを通して、「白書の攻略方法」をお送りしました。今回は、中小企業政策 の攻略法をお伝えします。
まず、昨年の問題傾向を確認しておきましょう。TACのレジュメや過去問にも書いてありますが、LEC が HP でも公開 しています。ご存じのように、大幅に難しくなりました (+_+)。従来、
■ 経営(白書)で5割
■ 政策 で7割
程度を目標にしていましたが、実際には経営で5割切れ、政策も5割そこそこの正答率だったようです。
ちなみに、現在施行されている施策は こちら の PDF で閲覧することができます。基本的にここから出題されると言って差し支えありません。時間の余裕のある人は見ていただきたいのですが、中小企業経営(白書)の時も言ったように、まずは 受験校のテキスト の内容を固めてくださいね。
白書もそうですが、政策も細かいところを問い始めるとキリがない。取捨選択が必要です。そこで、今回は、問題をタイプ別にして、「通常の問題」以外の、「ゼッタイ得点しなければいけない問題」と「知ってると得する問題」の両極端の問題について少し解説。
■ ゼッタイに得点しなければいけない問題 ■
難しい時は、やっぱり「基礎問題」、つまり、「みんなができる問題」で取りこぼしがないようにすることが大事です。こぼしてはいけない問題とは:
中小企業の定義
中小企業の定義の問題は必ず出題されます。でも、必ず「Aランク」になりません。それだけみんな取りこぼしているということです。これは間違えるところではないので、必ず覚えましょう!
セイオロコサ 3・3・1・1、5・5・5・1
または
セイオロコサ、さ・い・こ・お、さ・い・こ・い
また、「小規模企業」の定義も確実に抑えたいですね!
製造業その他: 従業員20人以下
商業・サービス: 従業員5人以下
あとは、「飲食業」は「中小企業」の定義では「サービス業」なのか「小売業」なのか、「小規模企業」では「商業・サービス」に含まれるのかなど、問われる論点は限られています! 答練などでしっかり確認しましょう! ここで間違えると後悔してもしきれないですよ・・。
「下請け法」の確認
下請の「定義」もよく出るところです。しっかりやっておきましょう!説明は割愛・・・(^_^;)
■ 記憶はやっぱり「串刺し」で! ■
結局、出題者が作りやすいのは「似たような施策を混ぜる」ことです。2009年の第22問がその典型例です
■ 2009年 第22問 ■
中小企業のX社は、これまで財務と会計だけにとどまっていたシステムを、生産
管理や在庫管理と統合して経営の革新を図りたいと考えているが、社内にIT専門
家がいないため、どのようにシステムを構築したらよいかが分からずに困ってい
る。以下は、相談を受けた中小企業診断士Y氏とX社社長との会話である。
会話の中の空欄AとBに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選
べ。Y 氏:「システムの構築をベンダーの言いなりでやっている企業が多く見受け
られますが、御社にふさわしいシステムを構築するには、御社の見解を
はっきり主張することが大切です。また、社内のIT人材の育成を進め
ることも必要でしょう。 A という中小企業施策がありますの
で、利用してみたらいかがでしょうか。」
X社社長:「それは、どのような事業なのでしょうか。」
Y 氏:「この事業を利用すれば、中小企業の立場を詳しく知るIT専門家が常
駐してくれます。ベンダーとの交渉にあたっては、御社の見解をはっき
り主張してくれると思いますよ。派遣期間は3カ月間で、更新も可能で
す。」
X社社長:「利用方法を教えてくれますか。」
Y 氏:「 B などに派遣依頼をしてください。 B が、登録して
いるアドバイザーから適任者を選定したうえで派遣してくれます。」[解答群]
ア A:IT経営応援隊 B:中小企業基盤整備機構
イ A:IT経営応援隊 B:地域中小企業支援センター
ウ A:戦略的CIO育成支援事業 B:中小企業基盤整備機構
エ A:戦略的CIO育成支援事業 B:地域中小企業支援センター
これは、IT経営応援隊 と 戦略的CIO育成事業 という、名前からはどちらがどういう施策なのか判断できない施策を敢えて混ぜた例です。しかも、窓口までゴッチャにしている、厄介な例です。正解は、「ウ」です。正解率はLECのデータで13%。これはちょっと極端な例でした。ここまで細かい問題を問われると、さすがに難しい。
確かに全部を覚えるのはキツいけど、でも、こういう問題が問われるということを前提に取り組む必要があるのです。
TACの「中小」のテキストは、政策が縦割りで説明されており、TACのテキストで「もっとも出来が悪い」内容といえます。
・・・って、TACを責めるのは酷なんですけどね。政策が縦割りなこと、そして窓口が複雑に分散していること自体が、罪なんですけどね。だけど、中小企業経営・政策の特殊性 ですでに申し上げたように、だからこそ診断士の存在意義があるんですけどね。
そういうことを言っても始まらないので、やっぱりこういうときは「串刺し」で覚えるしかないのです!
たとえば、
- 経営革新 → 都道府県知事が承認 (広域は国)
- 農商工連携 → 国 が認定
- 地域資源活用 → 国が認定 (窓口は都道府県)
※ 地域資源は都道府県が指定 - 新連携 → 国が認定
あとは、共済も間違えやすいですね。
融資関連では、「新創業支援」と「マル経」の類似点と相違点なんて、出そうですね。
「創業」といえば、「創業」の定義が施策によって違うんですよね。
- エンジェル税制: 10年以内 (例外アリ)
- 促進法:5年未満
- マル経: 1年未満
- 新創業: 創業予定または2期より前
また、こんな風 とか、こんな風に、ボクは「串刺し」で覚えました。← 正しいかどうか、保証しませんので悪しからず・・・(^_^;)
このように、串刺しで覚えないと、問題は解けません! 皆さんご自身で、まとめの表を作るなどの「作業」をお勧めします!!
■ 知ってると得する問題 ■
上掲の PDF には、平成22年度の新施策が載っています。この中から、試験に出そうな施策を予想!
ずばり → 中小企業応援センター
今年開始された組織です。もう TAC のテキストにフォローされてるかな?
センター: 全国84か所に設置
支援対象: 経営革新・農商工連携・事業承継等に取り組む中小企業者
支援内容: 「専門家の派遣」 と 「窓口相談」、 「セミナー・マッチングなどの情報提供」
正直、2010年は目玉になる施策が少ないですね。となると、2009年度の新施策のうち、去年出題されなかった
- 第二会社方式による事業再生
も怪しいかしら。。。
ではまた! by ハカセ
答練では完全手抜いた経営と頑張った政策が同じ得点で拍子抜けしたげっちです。
自分で表をまとめてみて、博士の横串、縦軸の的確さにますます感銘してしまいました。
支援事業全般ではなく融資策だけに絞り込むとか、着眼点の工夫の仕方なども教えていただきたいです。
TACテキストは悲惨っす。中小企業基盤整備機構さえも索引にありませんでした。自分で努力して場所覚えるしかないです。ただ、先週の事業仕分けに続いて、先ほど2010年版白書も発表になりましたが、例年になく今年は直前のLECさん模試、TAC公開模試が最高のテキストになりそうですね。よって後で回すで…。
>げっちさま。コメントありがとうございました! そうですね。中小のテキストは非常に難解です。というか、正確には政策が難解(厄介)なんですけどね。そのため、「中小機構はどの政策で登場するか」などの横の串刺し観点でのレビューが重要になってきますね。着眼点はやはり「過去問での頻出論点」です。実は「融資限度額」はあまり頻出論点ではなく、「誰が承認するか」、「誰に申請するか」、「どこが施策主体か」などの登場人物や、「施策が使える条件はなにか」が問われることが多いですね。また、似たような施策をテレコにすることを考えると、類似施策の相違にスポットを当てる覚え方も有効です(既に指摘した通り)。中小機構が索引に載っていないことをもってTACテキストが悲惨というのは少々気の毒(中小機構はどこにでも登場するため)ですが(^_^;)、自分で手を動かす、自分で工夫する余地が多い科目であることは確かです。そういうった意味では、答練・模試などのアウトプットからインプットする機会が増えるでしょうね。ただしLEC模試の中小は「マニアック」過ぎてついていけませんでした(去年の例ですが)。
今日もすごい記事・・。
ハカセ、実は中小もの凄く得意なのでは?
さて、
>TACのテキストで「もっとも出来が悪い」内容
はは、私もそう思ってました。
でも「わかりやすいテキスト作ると、そこが出題されなくなるから、あえてテキストをわかりにくく作っている」と好意的(楽観的?)に解釈してました(笑)。
>「まとめ表」を自力で作る
同感!手を動かせば記憶鮮明。一人で作ると時間かかるので、僕らは学習グループ内で手分けして作りました。その表は後日UP予定です。
>ふうじんさん。中小のTACのテキストの不出来を責めるのは TAC にとって酷なんですけどね・・(-_-;)。でも、それを自分の言葉で理解できた人、自分の頭で構成づける・関連付けることができた人が、この科目の苦手意識の克服につながるのだと思います。「まとめ表を自力で作る」ことの重要性は、どの科目でも同じですよね。グループ学習で手分けするのも妙案ですね。UPを楽しみにしています!