中小企業経営(白書)の攻略法!
◆ 中小企業経営(白書) の取り組み方 ◆
「中小企業経営」の科目で問われていることは、「白書をちゃんと読んでますか?」ということ、ただそれだけです。
どの年度の白書を対象とするかについては既に「中小経営を押さえ込み!」のエントリーで JC が解説してくれましたが、もう一度おさらいしておきます。
上記の様に、2010年試験の試験範囲は、「2009年に発行された、2008年について書いた白書」、ということになります。ちなみに、白書はこちら → 2009年(平成21年)版 中小企業白書 へ。
本試験は確かに白書から出題されます。一般常識とかは聞かれません。常識と白書が異なっていれば、それは白書が正解です。それだけ重要な白書。でも受験生の皆さん、決して白書そのものは読まないでください! 白書から出るのに白書を読むなとは非常に逆説的ですが、これ、重要論点です。
「本文」とも言うべき第一章~第三章だけで264ページ。読むだけでも大変です。白書に取り組むと間違いなく他の科目が疎かになるし、そして重要なことに、真剣に取り組んでも得点に結びつくかどうか分かりませんっ!
一方、TAC を初めとする受験校のテキストはその中のエッセンスをしっかり網羅してくれています。白書対策のKEYポイントは「図表」です。受験校は、数多くある白書の図表中から「どの図表をテキストに載せるか」を、熟慮を重ねて選択してくれていると思います。まずは、これと心中しましょう。間違っても白書に飛びつかないように! この辺の話は、他のメンバーがしてくれると思うのでそちらに譲ります (*^_^*)
では、白書の難しさはどこにあるのか。
◆ 細かい論点が聞かれる (T_T) ◆
「中小企業経営」の科目が難しい理由の一つが、「問われる論点が細かい」ということです。例えば、下記の問題をご覧下さい。ちなみに、下記の問題は今年の試験で出てもおかしくない論点ですので、解いてみて損はないと思います。
平成21年度本試験 第7問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。機械部品製造を手がける中小企業者のX氏は、今後の経営の参考にするため自社の収益力の水準を知りたいと考え、中小企業診断士Y氏に相談した。以下は、X氏とY氏の会話である。
X氏:「直近の決算書を見ると、当社の売上高経常利益率は3.1%でした。
製造業で見た場合、当社の収益水準は低いのでしょうか。」
Y氏:「景気変動もあり、単純な比較は難しいのですが、財務省の法人企業
統計年報によれば、2006年の資本金3億円以下または従業員300人
以下で製造業を営む中小企業の売上高経常利益率の中央値は
A %ですから、これと比較すると御社の収益力は B といえます。」
X氏:「製造業を営む大企業の売上高経常利益率は、どの程度ですか。」
Y氏:「同じく財務省の法人企業統計年報によれば、2006年の製造業を営む
大企業の売上高経常利益率の中央値は C %となっています。」
X氏:「大企業と中小企業では収益力にも違いがあるのですね。」
Y氏:「収益力の向上を図るためには、労働生産性の向上が求められます。
財務省の法人企業統計年報により製造業の2006年の労働生産性の
中央値を見れば、大企業は D 万円、中小企業は E 万円と
格差が生じています。こうした労働生産性の格差は、おおむね、
資本装備率の相違で説明できるといわれています。」(設問1)
会話の中の空欄A~Cに入る最も適切なものの組み合わせはどれか。ア A:1.7 B:高い C:3.5
イ A:2.2 B:高い C:4.7
ウ A:3.5 B:低い C:5.2
エ A:4.1 B:低い C:6.8
オ A:5.3 B:低い C:7.1(設問2)
会話の中の空欄DとEに入る最も適切なものの組み合わせはどれか。ア D:618 E:328
イ D:769 E:436
ウ D:811 E:448
エ D:1,026 E:562
オ D:1,235 E:716
この問題を見た昨年の受験生は途方にくれました。「こんな細かい数字まで聞かれるの・・・orz?」と。こんな問題が出たら、もはや鉛筆を転がすしかない・・・とは限りません!
ここで鉛筆を転がしたヒトと、数字は覚えてないけど何とか理屈をこねて回答をひねり出した人で、得点が変わってくるのです!
◇ 対策1 国語の問題にして二択まで絞る ◇
例えば、設問1。こんな数字、覚えているわけがない。でも、何とか根拠を探してきて選択しなければいけない。そういう追い詰められた状況の時、どうしますか? 正答率40%程度のこの問題、ボクは下記のようにして正答を導き出しました。
- 中小企業のX氏に対して、「あんたの会社の利益率は平均以下だよ」とは言わないだろうと推測
- ということは、B に「高い」が入ると決め付ける。
- 結果、ア か イ の二択に絞った。
- 「大企業と中小企業では収益力に差がある」と言っているんだから、より差が大きい「イ」を選択
→ 結果的に正答。
◇ 対策2 一般常識を「使って」正答を導く ◇
例えば設問2。こんな数字、覚えているわけがない。でも、何とかひねり出すにはどうするか。正答率40%程度のこの問題、ボクは下記のようにして正答を導き出しました。
- 労働生産性とは何か。付加価値÷従業員数。
- 付加価値とは何か。営業利益 + 人件費 + 支払利益・・ぐらいかな。
- つまり、「一人当たりの付加価値」は「人件費(年間給与)」より多くいはず。
- どれぐらい多いかな? 労働分配率って7~8割ぐらいかな。
- 大企業の年間給与ってどれぐらい? 中小企業はどれぐらい?
- ア と オ はなさそう。
- イ と ウ の数値が接近しすぎている
- エ かな。
- 大企業で付加価値1000万円、中小企業で550万円。
- 労働分配率7-8割として、年間給料はその8割ぐらい? いい線じゃない?! 「エ」でいこう!
→ 結果的に正答
ここでのポイントは「一般常識だけで答えない」こと。「一般常識を使って、白書の内容に照らし合わせる」ことがコツです(^^)v
ご参考までに上記問題の関連図表はこちら。この図表は今年の白書からとったものです。ですから、今年も同様の問題が出てもおかしくないですよ。数字は覚えなくてもいいけど、「へぇーそうなんだ」という「気づき」を大事にしましょう!
次回、「図表を攻略せよ!」に続きます。
by ハカセ