中小企業診断士試験 2018年度 事例Ⅰ 設問解釈


1次試験を受験された方、お疲れ様でした!
自己採点をして、合格している「かもしれない」と思ったら、2次試験の勉強をスタートしましょう。

1次試験が終わり、2次試験の情報収集を始められた方、初めまして。

「中小企業診断士試験 一発合格道場」12代目の ひでさん と申します。

以後お見知りおきを。(自己紹介は こちらから

中小企業診断士試験 一発合格道場について

本ブログは中小企業診断士試験合格を目指す方向けに、昨年度の2次試験合格者12名がそれぞれの受験体験をもとに記事を書いています。

勉強のノウハウや、モチベーションの保ち方、試験当日の過ごし方まで、受験生向けの情報を精一杯提供しております。

皆様の今後の受験勉強のご参考になれば幸いです。

さて、やっと1次試験が終わって一息つかれていると思いますが、自己採点の結果はいかがでしたでしょうか。

自己採点で合格が確信できた方はもちろんですが、微妙だな~という方も、早々に2次試験の勉強に着手しましょう。

今年度の難易度によりますが得点調整があった場合に、合格点に達する可能性があるからです。

(平成30年度は、経営法務でなんと8点もの得点調整がありました。)

2次試験の勉強は、自分に合った解答方法を75日間で探す勉強だともいえます。

当然ながら、スタートが遅れると、この75日という与えられた時間が少なくなります。

だから、迷っているなら2次試験の勉強を始めましょう。いずれにしても損はありませんから。

2次試験の出題形式は、設問文の意図を読み解き、与件文中でヒントを探し、事例企業への提案書を書き上げるという一連の流れを80分という短い時間で行う記述式の「実技試験」です。

そもそも、どうやって勉強していいのわからないという方はまず、情報を集めることをおすすめします。

取り急ぎ、2次試験初学者が最初に読むと参考になる道場メンバーの記事のリンクをまとめておきますので、ご参照ください。

どんな教材を使うのか、過去問の解き方、復習の仕方など、調べだすと気になることがたくさんあると思います。

ご質問をいただければ、われわれ道場メンバーが回答いたしますので、当ブログのコメント欄をお気軽にご活用ください。

例)〇〇年度の事例〇の第〇問がどうしてこのような解答になるのかが腑に落ちない、など

2次試験とは ~私見~

2次試験はつかみどころがないな、と感じる方が多いと思います。

私も初学のころは80分経ってもほとんど何も書けず、呆然としました。

私は、2次試験とは「与件文と設問文をもとに、社長あての提案書である解答をまとめる試験」だと思います。

与件文は、提案書をまとめるために、中小企業診断士(私たち)が社長へインタビューした内容を書き起こしたものだと思います。

インタビューでは主に次のようなことを質問しますので、与件文にもその内容が書かれています。

  • 会社概要(実際はある程度事前に調べます)
  • 創業のいきさつ
  • 事例企業の強みや弱み
  • 最近の事業環境
  • 困っていること、問題点、課題
  • 社長がやりたいと思っていること・今後の目標

設問文は、提案書を構成するテーマだと捉えるとわかりやすいと思います。

そのテーマに沿って、インタビューした内容(与件文)を振り返り、提案書を書き上げるというイメージです。

設問解釈の見える化 

私のブログのテーマは、事例を解いている時に考えていたことの見える化です。

私自身が2020年度の2次試験直前に解いた問題用紙を開示し、設問文や与件文を読んで具体的に何を考えていたのかをありのままに書いています。

受験生時代、設問文の意味がよく分からず、ふぞろいの解説を見てもどうしてそのような解答になるのか意味が分からなかったりということが多々ありました。

設問や与件文を読みながら、どんな言葉に引っかかるべきか、反応すべきかのヒントになればと、書き綴ってきました。

初学の方はインプットが進んでいないので今は難しいと思いますが、コツをつかめば試験直前にはこれくらいは想起できると思います。

なお、解答方法は人それぞれです。

他の道場メンバーの解答方法や、各種参考書やYoutubeに出ている方法等を試して、ぜひ自分に合う方法を探してください。

設問文のチェック方法

  1. 与件文の第1段落だけを読み、事例企業の業種などの概略を把握する。
  2. 問題ごとに蛍光ペンの色を決める。(毎回同じにすることまではしませんでした。)
  3. 設問文を熟読し、気になるワードや表現に線を引く。
    ※与件文を読むときは、設問文と同じ色でマークし、一目で設問文と与件文がどこでつながっているかを見えるようにする。
  4. 時制(過去、現在、未来、〇〇の時、等)を赤まるで囲む。
  5. 登場人物や会社、部門名、工程名など、解答の主語やキーワードになる可能性が高い単語を四角で囲む。
  6. 設問文の表現を自分の言葉にいいかえたこと、探すべき与件文中のヒント、キーワードなどを予想して鉛筆でメモする。
  7. 与件文を読む前に、解答の型を考える。
    解答内容の主語と述語がずれないように注意し、特に指定(「最大の」要因、など)がなければ、①、②、③と番号を付ける。
    余裕があれば切り口(〇〇面で~)を書く。

※一部上記チェック方法を外れています。

第1問

第1問(配点20点)

研究開発型企業であるA社が、想定的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。

その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。

◆想起したこと◆

  • 研究開発型企業 
    ⇒ 技術者中心の企業だな。
    第1段落から、生産を他社に委託しているからファブレス企業だとわかるが、生産を委託するほど研究開発にこだわっているんだな。
    つまり、経営資源を研究開発に集中させているということだ。
  • 相対的に規模の小さな市場
    ⇒ ニッチ市場の特徴は、
    ①市場規模が小さいので大手が参入しにくく競争が少ない、
    ②価格競争が起きないため、利益率を高められる、
    ③市場の変動リスクが小さい、だな。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               
  • その理由競争戦略の視点から
    ⇒ 競争戦略は本来事例Ⅱの分野だけど、事例Ⅱっぽい解答にならないように注意が必要。
    競争戦略といえば、コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略だな。
    A社は中小企業なので、コストリーダーシップ戦略は取りにくいな。
    相対的に規模が小さな市場が対象だけど、具体的な対象が業界全体なら差別化戦略、特定セグメントだけなら差別化集中戦略だな。
    ニッチ市場をターゲットにするのは、大手との競争を回避することが考えられるが、その市場で通用する強みが必要だな。

2次試験で問われる1次試験の内容は限られています。
過去問で出てきた1次試験の知識はしっかりと復習しましょう。

◆解答の型◆

理由は、①大手が参入しにくい市場を選択し競争を回避する、②強みの研究開発力を生かして~する、③~、ためである。

第2問

第2問(配点40点)

A社の事業展開について、以下の設問に答えよ。

◆想起したこと◆

  • 事業展開
    ⇒ 事業展開ってなんだ?
    事業の展開だから、A社の創業から現在までの事業の拡大の経緯かな。
    時系列をしっかり区別して、「誰に」「何を」「どのように」提供してきたかを与件文で確認しよう

与件文はインタビューの内容なので、話題(ヒント)があちこちに飛ぶことがあります。
それを丁寧に整理しましょう。

第2問(設問1)

A社は創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。A社の人員構成から考えて、その理由を100字以内で答えよ。

◆想起したこと◆

  • 創業以来
    ⇒ 時制だからマーク。
  • 最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。
    ⇒ 「置いてこなかった」だから意図的な理由だな。
    研究開発型企業だから、製品開発力自体がないわけではないな。
    つまり、A社が最終消費者をターゲットに選ばなかった理由だな。
    ⇒ 逆に何に力点を置いてきたのかをチェックしよう。
  • A社の人員構成から考えて、その理由を100字以内で答えよ。
    ⇒ 「〇〇から考えて」は制約条件だから、必ずA社の人員構成に言及することが必要。
    その理由だから、①最終消費者向けの製品開発ができなかった理由と、②最終消費者向け以外の製品開発ができた理由をチェックしよう。

◆解答の型◆
理由は、A社は〇〇な人員構成で、①〇〇が〇〇なため、〇〇ができない、②〇〇に向けた製品開発に力点を置いた。

与件文では時制が現在・過去・未来に行ったり来たりします。
いつの時点の話なのかを明確に区別しましょう。

第2問(設問2)

A社社長は経営危機に直面した時にそれまでとは異なる考え方に立って、複写機関連製品事業に着手した。それ以前に同社が開発してきた製品の事業特性と、複写機関連製品の事業特性には、どのような違いがあるか。100字以内で答えよ。

                                                                                      

◆想起したこと◆

  • 経営危機に直面した時に
    ⇒ どんな経営危機だったのだろうか。与件文でチェックしよう。
  • それまでとは異なる考え方に立って
    ⇒ それまではどんな考え方だったのだろうか。
  • 複写機関連製品事業
    ⇒ 複写機事業ではなく、複写機「関連製品」事業なんだな。
    関連製品というところが引っかかる。
    それがどのようなものかを与件文でチェックしよう。
  • それ以前に同社が開発してきた製品の事業特性
    ⇒ 「事業展開」に続いて「事業特性」か。
    事業の特性・特徴だから、これも与件文をよく読もう。
  • どのような違いがあるか
    ⇒ 二つを並列して解答する必要があるな。

違いを答える場合は、主語や述語の対比が整った構文で解答しよう。

◆解答の型◆ 

複写機関連成人事業は、〇〇な特性で、それ以前の製品は〇〇な特性、といった違いがある。

第3問

第3問(配点20点)

A社の組織改編にはどのような目的があったか。100字以内で答えよ。

◆想起したこと◆

  • 組織改編
    ⇒ どんな組織をどのように変えたのかを与件文でチェックしよう。
    でも、きっとヒントは書かれていないな
  • どのような目的があったか。
    ⇒ まさに何のために組織を変えたのだろうか。
    「さちのひもけぶかいねこ」のうち、組織構造の項目「けぶかいねこ」に照らし合わせて考えよう。
    人的資源管理の項目「さちのひも」は書かないようにしよう。

事例Ⅰテッパンのフレームワーク「さちのひもけぶかいねこ」の詳細は下記の記事をご参照ください。
【渾身に代えて】設問解釈 2019年事例Ⅰ
控えめにいって、事例Ⅰでは、この表の理解自体に50点分くらいの価値があります。(使用者の感想です。)
ポイントは、設問の主旨によって、人的資源管理と組織構造を使い分けることです。

◆解答の型◆
目的は、①〇〇面で〇〇を〇〇とすること、②〇〇面で〇〇を〇〇とすること、である。

第4問

第4問(配点20点)

A社が、社員のチャレンジ精神独創性を維持していくために、金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか。中小企業診断士として100字以内で助言せよ

◆想起したこと◆

  • チャレンジ精神独創性を維持していくために
    ⇒ 社員のほとんどが正規社員である研究開発型企業だから、研究者を想定しているな。
  • 金銭的・物理的インセンティブの提供以外に
    ⇒ 制約条件。うっかり報奨金とか書くとアウトだな。
  • どのようなことに取り組むべきか。
    ⇒ 「取り組む」ということは、ある程度時間がかかることだな。
  • 中小企業診断士として100字以外で助言せよ
    ⇒ 助言問題なので、取り組んだことによりどのような効果があるかをきっちりと書く。

「中小企業診断士として」っていうのはどんな意味か、分かりにくいですよね。

助言問題と効果について 中小企業診断士として助言する

受験生時代、なぜわざわざ「中小企業診断士として」と書かれているのか、よく分かりませんでした。

最近、その意味が分かりました。

それは、「必ず効果を書く」という制約条件だということです。

中小企業診断士としての仕事を考えると、診断先企業の社長に、現状分析と課題、施策(提言)について報告書をまとめます。

社長に報告書の内容、特に施策に納得していただいて、実行してもらえないとお金を受け取れないと思います。

社長に施策を実行しようという気になってもらうためには、合理的な効果が必要です。

実際は、提案書作成の費用をいただけるのかもしれませんが、それでは継続的な顧客にはなっていただけないですよね。

そう考えると、助言問題で効果を書かなくてもいい理由はないと思います。

編集後記

いよいよ、1次試験・2次試験を通じて学んできたことを実践するときがきました。

先週末、今週末と中小企業診断士として登録を受けるための実務補習を受講します。

実務補習は、指導員の先生、他の受講者4名とともに、診断先企業の社長にインタビューをして提案書を作成します。

まさに社長インタビュー(与件文に相当)を実践し、現状分析、課題抽出、施策提言のプロセスを学びます。

守秘義務があるため内容についてはお伝えできませんが、社長インタビューの質問事項をみんなで考え、

2時間を超えるインタビューをさせていただきました。

たたき上げの社長のお話しはとても興味深く、中小企業診断士としてはもとより、人としての勉強にもなりました。

昨日はその内容をもとに現状分析と課題抽出をして、施策の提言方針をチームでまとめました。

今週は自分の担当パートを書き上げる生みの苦しみの一週間になりますが、走り抜けたいと思います。

あしたは なゆた です。お楽しみに~

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中小企業診断士試験 2018年度 事例Ⅰ 設問解釈”へ2件のコメント

  1. ロム より:

    ひでさん、設問解釈記事ありがとうございます。
    一次試験に無事に合格したと思いますので、二次試験の受験までよろしくお願いいたします。

    これから過去問に取り組む他にも、設問の分析にも別に時間を取って取り組みたいと思っていますので、ひでさんの記事を今後フルに活用させていただきます!
    いずれ2018年の問題に取り組んだ際に本記事を活用させてください!

    1. ひでさん より:

      ロムさん
      コメントありがとうございます!
      無事2次試験にコマを進められるとのこと、自分のことのようにうれしいです!
      2次試験は、自分に合った解答プロセスを探すことが重要です。
      いろいろな手法がありますので、試して良ければ「パクってカスタマイズ」、です。
      2次試験の合格もお祈りしております。

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