【渾身】法務:商標は会社の顔!時事ネタは法務からのラブコール
“Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life.” −Steve Jobs−
こんにちは、noriです。アメリケンな細Pにあやかり、英語で登場してみました。「人生は短い。自分の道を進め。」というところでしょうか。
「自分の道を進め」と私は診断士試験に教えられました。変に共感力だけ高い私は一緒に勉強している仲間が暗くなると暗くなりました。周囲が困っているとどうしたら良いんだろうと困っていました。「自分」がどうすべきか中々、見えなかった。
試験勉強を通じて得た勉強仲間は信頼できる大切な友人ですが、結果的には人に流されやすい自分の性格を振り返ると「一人で勉強すること」が一番向いていました。一人じゃないと「他の誰でもない、自分自身が合格するために必要なこと」が考えられなかった。合格年の私は一人で勉強していました。
段々と試験が近づいてきます。「あれをやった方が良い」「これをやった方が良い」と聞くたびに気持ちが焦るかもしれない。診断士試験の情報は世の中に溢れています。できていないことばかり目について、何をすれば良いのかわからなくなるかもしれない。誤解を恐れずに言うと「自分自身が合格するために必要なこと」を見失いそうになったら、友人やネットから診断士試験の情報収集をストップすることをオススメします。碧が、「捨てることでやらなきゃいけないことがクリアにわかる」と書いていますが、試験情報も同じです。自分が必要な時に必要な情報を入手すれば良い。皆さんがご自身の道を切り拓かれることを心からお祈りしています。
▪︎時事ネタは法務からのラブコール
さて、今日のテーマも経営法務。好きなんです、経営法務。人間が作った法律という枠組みの中で、世の中が合理的に、機能的に、平等に回るようになっている事実に感心。解答の「妥当性・公平性・弱者救済」というブレない視点がカッコイイ。論理的で筋が通っていて、男前。
…ただ、経営法務をあまり好きじゃない人は意外と多い。
試験の作問者もファンが少ないのに気付いているに違い無い。
そこで問題に時事ネタが登場。碧やこばも書いているように法務は時事ネタが多い。
例えば、平成27年の第11問「海老みそブシューッ!と叫びながらエビ反りになってのたうち回る」ゆるキャラの偽物、平成26年第10問「ゴーストライターが自らの創作に係る著作物を他人名義で出版することに同意 した場合」、平成24年第7問「指定商品「菓子」についての登録商標「恋人」」など。
時事ネタは(きっと)「法律って世の中と関係あるんだぜ。興味持ってね。」という法務からの熱いラブコール。
▪商標は会社の顔!
時事ネタだとやはり商標権絡みで今年も出るかなと予想。
商標とは、「事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)」でしたね。
平成27年1月からは新しいタイプの商標として、従来の文字の商標に加えて、「動き商標」「ホログラム商標」「色彩のみからなる商標」「音商標」「位置商標」が保護対象として追加。こちらのパンフレットでイラストをチェック(新しいタイプの商標の保護制度パンフレット:https://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/pdf/new_shouhyou/pamphlet.pdf)
なんでそこまで保護するの?ただの名前やマークでしょ?と侮ることなかれ。例えば、サラリーマンの足を守る抗菌防臭ソックスの先駆け「通勤快足」は「フレッシュライフ」から名前を変更したことで、爆発的なヒット。ロングセラー商品となっています。ブランドを守り、育てる。名前やマークにはそれだけ大きな財産的価値がある。
▪勝手に時事ネタ出題予想
さて、ここで勝手に出題予想。今年出るとしたら、ベルギーのシンボルに類似していると話題になったオリンピックのシンボル候補や、フランクミューラーに商標登録取消を請求されたパロディ商品の「フランク三浦」さんでしょうか。
そこで、論点となるのは、商標権を侵害しているかどうか。
ポイントとなるのは以下の2点。
1.商標権を誰が持っているか。
こちらのサイトで登録情報が検索できます。
特許情報プラットホーム:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
2.商標権の効力及び範囲
*出典:特許庁ウェブサイト(https://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/shotoha.htm)
ベルギーのシンボルに類似していると話題になったオリンピックシンボル候補。ベルギーのシンボルは商標権の登録がないようなので、商標権の問題にはならなそう。著作権侵害については、証明が困難と予想。
一方、「フランク三浦」と本家の「フランクミューラー」を特許情報プラットホームで検索すると商標の情報が表示される。「商標権の効力及び範囲」を考えると指定商品「時計」に対して、商標が「類似」なのか「非類似」なのかが論点となる。
▪過去問で論点を復習!
では最後に「白い恋人」のパロディ商品「面白い恋人」の販売差し止め訴訟(和解済み)を参考にした!?と思われる、平成24年の過去問で「商標権の効力」を復習しちゃいましょう
平成24年度 第7問
商標権の効力に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア 指定商品「菓子」についての登録商標「恋人」の商標権者は、「菓子」と「パン」は相 互に類似する商品と見なされているとしても、他人に「パン」について登録商標 「恋人」を使用する権利を許諾することはできない。
イ 他人の商品「おもちゃ」に係る商標「スター」についての商標登録出願前から、商 標「スター」を周知性を得られないまま善意で商品「おもちゃ」について使用してい た者は、たとえその商標登録出願が商標登録された後でも商標「スター」を商品 「おもちゃ」について継続的に使用することができる。
ウ 他人の著名な漫画の主人公の図柄について商標登録した場合でも、商標権者 は、他人の承諾を受けることなく、漫画の主人公の図柄から成る登録商標をいず れの指定商品についても使用することができる。
エ 他人の登録商標と同一であっても、自己の氏名であれば、商標として使用する ことができる。
答えはこちらからチェック。
いかがでしたでしょうか法務はまだまだここから点数が伸びる科目です!!どんどん行きましょう
大丈夫。 あなたは、ぜっ~~~たいに合格しますから!待ってます!
nori でした。
丁寧な、本っ当に丁寧なコメントをありがとうございます。
むしろ申しわけないくらいです。
コメントいただいた内容には深く納得です。
「最も最適なもの」であれば、たしかにエではなくてアですね。
より正しいものを選択すれば良いという発想を大事にしたいと思います。
ありがとうございます。
以下、余談です。
私は基本的に独学です。特に過去問から重要タームを覚えていくスタイルで進めています。
イマドキは調べものがWebでできるので、ものすごく楽ちんで助かっています。
調べてもわからないor理解できない時は、「これは細かい問題だから気にせず捨てよう」って考えるようにしています。
今回のもポイントを押さえて乗り切っていきたいと思います。
としし様、ありがとうございます。少しでもお役に立てたなら嬉しいです^ ^
「過去問から重要タームを覚えていく」「調べてもわからない時の対応」など勉強方針をバッチシ決めていらっしゃる点、素晴らしいと思います。だんだん暑さが体にこたえる時期になりますが、体調管理にはどうぞお気をつけて。応援しています!
問題の選択肢でエのどこが間違っているのかがよくわかりません。
よろしければ、ご教示ください。
としし様、コメントありがとうございます。
エの選択肢については、市販の解答解説集で「間違いと言い切れないのではないか」という指摘があることをご確認されているかもしれません。まずは、私の知識が解答解説を執筆され、長年、診断士試験のご指導をされている先生方に及ぶものではないことをご了承ください。
その上でご質問にお答えすべく、なぜ間違いなのかという私の理解をお話しいたします。
まず、ここでの論点は問題文のタイトルにあるように「商標権の効力」がどこまで及ぶかということになります。
今回は、特許庁の「商標権の効力」についての説明を記したホームページの「3.商標権の効力が及ばない範囲」の「(1)自己の氏名・名称等を普通に用いられる方法で表示する場合」が問題になっていると思われます。ここでは「例えば、自己の会社名と同一の登録商標があった場合でも、自己の会社名を示すものとして使用する範囲においては、商標権侵害にはなりません。」と説明されています。エの選択肢の「他人の登録商標と同一であっても、自己の氏名であれば、商標として使用することができる。」ですが、「他人の登録商標と同じであっても、自己の氏名であれば、自分の商品・サービスを他と区別するためのマーク(商標)として使用できるか」が問題となります。例えば、「ジョン・レノン」は商標登録されていますが、一般人のジョン・レノンさんが「商標登録されている氏名だから、ジョン・レノンを名乗るな!」と言われることはないと思いますが、一般人のジョン・レノンさんが自分の商品・サービスを他と区別するためのマークとして、「ジョン・レノン」を使用できるかと言われると、使用できるとは言い切れないと思われ、「商標権の効力が及び範囲」については図表の専用権、禁止権に基づき判断されるのではないかと考えられます。
また、問題の解き方ですが、「消去法で消していく」のが確実ですが、本番では今回のように消去しきれないこともあるかと思います。今回の問題の場合、「専用権」「禁止権」の図表を理解しているとアが選べる問題となっています。消去しきれない場合でも、ご自身の勉強された知識を信じて正解を選ぶ対応も必要になります。
さらに、エの選択肢のように受験校の解説で「グレーである」とされた選択肢については、他の科目でも言えることですが、同じような表現で今後問題が本番で出題される可能性は低いです。「商標権の効力」及び「時事ネタを使用した問題」の例としてこの問題を掲載させて頂きましたが、直前期の時間がない中においては、エような選択肢の理解についてはあまり勉強時間を使いすぎず、正解の「ア」のポイントを押さえていただくことを優先することをお勧めいたします。
ご質問からとしし様が法務の勉強に力を入れていらっしゃるご様子が伝わってきます。引き続きとしし様の勉強が進みますよう応援しています^ ^