苦手科目の克服方法 – 財務会計編その2
こんばんは。ZonEです。
前回から2回にわたり、財務会計の苦手克服法についてお話させて
いただいております。前回は1次試験の財務会計について、
費用(時間)対効果(得点)の高い問題を見つける嗅覚を養う
方法について述べさせていただきました。
今回は、少し気が早い気もしますが、話の流れ上、2次試験の
事例4についてお話しさせていただきます。
学習分野は似ていても、求められているスキルは結構違う
前回も少しお話ししたように、1次と2次では学習分野には、
共通性はあるものの、
・1次の財務では、解きやすい問題をピックアップして素早く解く
・2次の事例4では、皆が正解する問題を絶対に取りこぼさない
といった、重点をおくべきポイントに相違があります。
2次試験の事例4では、(もちろん難しい問題を解ける越した
ことはありませんが、)難易度による点数調整も頻繁に行われて
いるようですので、皆が正解する問題できちんと得点することが
合格する上で必須条件となります。
また、1次の財務会計とは異なり、2次の事例4では見直しする
時間も十分にあることからも、スピードよりも正確性が求められ
ていることが分かります。
できなかった部分よりもできるようになった部分にフォーカス
2次の事例4の計算問題では、問われる論点の種類は少ないものの
解答にたどり着くまでの道のりが長いモノが多く、苦手意識を
感じている受験生もいらっしゃるかと思います。
さて、突然ですが、ここで質問です。
2次の事例4で「あるテーマ分野」にちなんだ問題が
Q1~Q5まで5問あります。
あなたはこの分野が苦手なので、克服するために
1週間にわたり毎日10分~20分の時間を確保しました。
では、Q1~Q5に どのような学習計画/スケジュールで
取り組めば、楽に苦手克服することができるでしょうか?
Q1→Q2→Q3→Q4→Q5→Q1…を繰り返しますか?
私がオススメしたい学習計画は、最初の3日間くらいは
Q1→Q1→Q1…を繰り返して、Q1が完璧になったら、
初めてQ2~Q5に着手する方法です。
ピンと来ない方もいらっしゃると思うので、2次の事例4で
多くの受験生がつまずくキャッシュフロー(CF)計算書を例に
挙げて、考えてみましょう。
2次の事例4では、2期分の貸借対照表(B/S)と損益計算書
(P/L)から間接法でCF計算書を作成する問題がよく問われます。
このCF計算書作成方法を効率的に身につけるプロセスを
考えてみましょう。
1.まず理解する
テキスト(教科書)を見ながら、計算方法を理解します。
2.基本的な問題を解いてみる
計算方法が理解できたら、できるだけオーソドックスな問題
をテキストを見ないで、解いてみます。
これでいきなり解けちゃった人は、アドバイスするまでも
ないのですが、たいていの人は
営業CF部分で
「営業外収益」をマイナスすべきところをプラスしてしまった。
「営業外費用」をプラスすべきところをマイナスしてしまった。
「棚卸資産の増減額」を加減算するのを忘れてしまった。
投資CF部分で
「有形固定資産の売却による収入」の計算を間違えてしまった。
など何かしら間違えることと思います。(いいんです)
3.「何ができないか/できるか」を知る
解答解説を読んで、間違えた部分を認識→理解します。
作成したCF計算書は、捨てないで残しておいてください。
4.できるようになるまで2~3を繰り返す
半日~1日くらい時間を置いて、同じ問題にチャレンジします。
ただし、3について、2回目以降は、
「何ができないか」を認識することももちろん重要ですが、
前回と比べて「何ができるようになったか」を認識
することがより重要です。
たとえ答え(結論)が間違っていても、そのプロセスが
進歩していることを実感することで、苦手意識が生まれ
にくくなります。
5.解けるようになったら、検算方法も身に付ける
2~3を繰り返して、正解を導き出せるようになったら、
2次のポイントである、正確性についても追及します。
正確性というと「ミスを減らす」というイメージを受ける
方もいらっしゃるようですが、ミスを減らすことは難しいです。
人間誰しもミスはしますし、年に1回しか受験できない
本試験という極限状態なら、なおさらミスをする確率は
上がります。
「確実に得点できるようになる」というのは、
「ミスを減らす」とか「ミスを無くす」ことではなく、
「ミスをしても、ミスをしたことに気付けるようになる」
ことです。
回りくどい言い方をしましたが、要は「ミスをしても
ミスに気付ける」ように検算方法もセットで習得すべし
…ということです。
CF計算書の場合は、 B/Sの現金・預金の増減額が、
CF計算書の現金及び現金同等物の増減額
(=営業CF+投資CF+財務CF)と一致するか?
をチェックすればOKです。
6.他の問題に手を拡げる
ここまでやって、初めて他の問題(上記質問だとQ2~Q5)
に着手します。
もちろん、ちょっと特殊なケース(問題)で
営業CF部分で「減価償却費」に製造原価報告書(C/R)分
を加算するのを忘れてしまった(知らなかった)。
とか
引っかけ問題(余計な記述に惑わされて)で商品減耗損
や商品評価損、貸倒損失を調整(加算)してしまった。
といった新たな課題は見つかるでしょうが、既に基本は
しっかりできているので、混乱して苦手意識を感じる
ような事態は間違いなく避けられるハズです。
まとめ
ちょっと長くなってしまいましたが、2次事例4対策での
苦手克服方法として、
×色々な問題を毎日解く
→間違って、解説読んで、分かった気になるだけ
→解けるようにはなっていない
→次回同じ問題を解いても、記憶が薄れていてまた間違える
○同じ問題を「できるようになった部分」を確認しながら解く
→徐々に進歩していることが実感できる
→解けるようになったら、検算方法も身に付ける
→確実に得点できるようになったら、他の問題にも挑戦する
という方法をご紹介させていただきました。
ぜひお試しいただければ幸いです。
by ZonE
コメントありがとうございました。
先ほど生まれて初めて2次模試受けてきましたが、やはり事例4が惨敗でした。
経営指標から着手し、次に無難な文章問題をクリア。
アドバイス通り簡単そうに見える計算問題は着手し、難しい計算問題は回避したのですが、
結果的に計算問題は全滅となりました。ダメージ大きいです…。
CVP分析は得意だっただけに「高低点法による固変分解」の文字を見ただけで、パニックになってしまいました。
高低点法は1、2度しか解いたことなかったので、勉強不足でした。出直します…。
ZonEさん、そうその通り!「確実に解ける問題」の検算時間の確保が不可欠ですね。
あと良くある方法として「難問でのハマリ」を防ぐため、事前に設問別の解答予定時間を割り振る手もgood。経営分析→25分、CVP分析→15分、といった感じ。解答予定時間を超過したらその問題は捨て。
げっち さん
コメントありがとうございます。
私見ではありますが、2次の事例4に関しては、慣れてくれば時間が足りなくなるといった事態は、あまり起きないと思います。
2次対策を始めたばかりだと時間がかかる、設問1の指標を計算して問題点(昨年は長所と短所)を指摘する問題も、慣れてくると時間をそれほどかけずに解答できるようになります。
2次の事例1から事例3までは、試験時間ギリギリに解き終わることが多いので、なおさら事例4は時間に余裕がある…と感じてしまいます。
もちろん、解けない問題に対峙していて、制限時間の80分を迎えることはあります。その場合は注意が必要で、先に確実に得点しなければならない問題の検算をしてから、難易度の高い問題に取り組むべきです。
引き続き、頑張ってください。
ありがとうございます。
寝起きの財務会計1、2問解くのに、毎日難儀しているので、非常に参考になるアドバイスです!
ところで、2次の方が時間に余裕があるというのが意外なんですが、
2次の事例4は1次の財務会計と異なって、特に時間が足りなくなるものなのではないのでしょうか?
そのために、短時間で解く工夫、真正面から計算しないで、裏に隠されたヒントを見つける…というような解法でもあるのかなと思ってました。
1次の問題も時間が足りないのは足りないんですけど、確かに…。