【法務】「表」アレルギー向け機関設計

katsuです。

今回のタイトルは花粉アレルギーがつらいなぁ・・・という時に思いついたのでこんなタイトルです。

深い意味はございません。あしからず。

 

経営法務という科目には表のまとめがたくさんでてきます。

機関設計は表で覚える!!

という意見を否定する気は全くありません。

経営法務では知識の整理に表がかなり有効的な手段だと思います。しかし、私はどうも株式会社の機関設計に関しては、表を書いて覚えるという方法が向いていなかったようです。

そこで、今回は・・・

株式会社機関設計ルールで覚えよう!!

というテーマで、表を使わない私の覚え方を紹介しようと思います。

先日のイラサム経営法務に関する記事でもただの丸暗記でなく理屈をつけて覚えようという話がありましたが、私も理屈で覚えています。あくまで一例としてですが、ルールだけでなく私が覚えたときの理屈づけも紹介していきます。

 

私は次のとおりにまとめた5つのルールで覚え、問題にルールを当てはめ正誤を判定するという方法を使っていました。

ポイントは「公開会社かどうか?大会社かどうか?委員会設置会社かどうか?」を意識することです。

また、監査系機関というのは私が適当に名づけた呼び名ですのでご注意を。

ルール1:絶対必要!「株主総会」と「取締役」

ルール2:公開会社は「取締役会」+監査系機関(セット)          大会社は「会計監査人」+監査系機関(セット)

ルール3:委員会設置会社は「執行役」+「取締役会」            +「監査委員会(監査系機関)」+「会計監査人」

ルール4:公開会社かつ大会社は一番厳格な機関設計!

ルール5:会計参与は自由設置可。基本的には監査役も自由。        「取締役会」なしに「監査役会」は設置不可。

※ 監査系機関=「監査役」「監査役会」「監査委員会」のうち一つ。(監査役会は監査役から構成されますが、あえて監査役と監査役会はわけてあります。また監査委員会は取締役会の内部機関です。)

 

ルール1:絶対必要!「株主総会」と「取締役」

株式会社には意思決定機関である株主総会とそれを実行に移す取締役という機関は最低限必要です。

 

ルール2:公開会社 は 「取締役会」+監査系機関(セット)大会社 は 「会計監査人」+ 監査系機関(セット)

【Point】 ルール2で同時に「取締役会」と「会計監査人」は監査系機関と常にセットということも覚えてしまいます。

 

★公開会社は「取締役会」+監査系機関★

公開会社は会社の内情がよくわからない不特定多数の人も株主となり得るため株主だけでは業務執行者(代表取締役)への監視が不十分となり、その監視のために取締役会を設置します。

また、取締役会があると株主総会から取締役会多くの権限移譲がされます。そのため今度は取締役会の監査のため監査系機関をセットで設置しなければなりません。

(※ この部分はイラサムの考え方も紹介されています。自分で覚えやすい理屈づけでよいと思います。)

★大会社は「会計監査人」+監査系機関★

大会社は、定義により一定の資本金もしくは負債の額を満たしていて、社会に与える影響が大きいので会計監査人の会計監査が必要となります。(いわゆる会社法監査)。

また、会計監査人独立性を守るために監査系機関がセットとなります。会計監査人は公認会計士or監査法人などの外部の人がなることができますが、監査される立場である業務執行側に選任・解任などの強い権限を与えてしまうと公正な監査ができなくなってしまう恐れがあります。そこで会計監査人の地位を守り、監督する機関として監査系機関がセットで設置されます。

 

ルール3:委員会設置会社は「執行役」+「取締役会」+「監査委員会(監査系機関)」+「会計監査人」

委員会設置会社の指名・報酬・監査委員会は、取締役で組織される取締役会の内部機関です。なので、委員会設置会社には当然に取締役会があり、さらに監査系機関として監査委員会が存在します。そして、監査委員会が存在するので監査役・監査役会は設置できません

また、取締役会が選任した執行役大幅な業務執行権限の委譲をするのに伴い、会計監査人による会計監査を受けることが決められています。

 

ルール4:公開会社かつ大会社は一番厳格な機関設計!

これは委員会設置会社かどうかで2パターンあります。

① 非委員会設置会社

取締役会+監査役会+会計監査人

② 委員会設置会社

執行役+取締役会+監査委員会(監査系機関)+会計監査人(ルール3)

⇒ 監査役会監査委員会は監査役より組織化されているため強力というイメージでいいのかと思います。公開会社かつ大会社は、多数の一般的な株主や債権者が存在するため機関設計もしっかりとしなければなりません。監査系機関が監査役会・監査委員会限定なこと以外はルール2が深く関係しています。そして、もちろん委員会設置会社の機関設計はルール3を使用します。

 

ルール5:会計参与は自由設置可、基本的には監査役も自由。「取締役会」なしに「監査役会」は設置不可。

最後のルールは会計参与監査役関係です。診断士試験では問題としてねらわれやすい部分です。

 

★ 会計参与は自由設置可 ★

会計参与とは会社法になってからできた機関で、公認会計士or監査法人  or  税理士or税理士法人がなることができます。全ての株式会社において任意で設置が可能で、取締役と一緒になって計算書類を作成することが目的で、取締役のサポート機関です。

そして、会計監査人設置会社以外の公開会社でない会社が、委員会設置会社でない取締役会設置会社を選択した場合、会計参与設置会社であれば、監査役は必要なくなります。

⇒ この規定が特に言葉にするとわかりにくく、表を使うとわかりやすい部分です。

言葉で簡単にいうと・・・

公開会社でなく、会計監査人を設置していない(主に大会社でない)ときに

取締役会+監査役 の代わりに 取締役会+会計参与 にしてもOK!!といったところでしょうか。

「小規模な身内でやってるような会社で、昔の名残で取締役会と監査役があるけど、会計参与として税理士さんにお願いすれば監査役なしでも大丈夫なんだな」という感じで私はイメージしていました。

また、会計参与に関する問題が平成23年に問われていますが、ここで重要なことは会計参与が取締役のサポート機関であるということです。

上記の規定のせいで会計参与監査役の代わりをしているため、会計参与は監査をするという誤りのイメージを植えつけてしまい、このことが本試験でも解答のポイントとなっています。しかし、取締役一緒計算書類を作成するのが本来の目的であり、取締役と任期の規定も同一であるため、あくまで取締役に近い存在だとイメージした方が良いと思います。

★ 基本的には監査役も自由 ★

監査役に関わる問題は平成24年に出題されています。基本的には監査役の設置は自由です。(旧商法時代、監査役は必須でした。)

しかし、設置が必須及び不可となるものなどが存在します。ここはこれまでのルールで対応できます。

まとめると「ルール2のケースは必ず設置、ルール3のケースは設置不可、会計参与の例外規定あり。」ということになります。

★ 「取締役会」なしに「監査役会」は設置不可 ★

これはイメージすればわかると思います。監査役会があって取締役会がないと、監査役が3人なのに取締役が1人みたいな機関設計がありえてしまうことになります。

「こんな会社はイヤだ」みたいな感じですかね(笑)

監査役会を設置するなら、バランスを考えて取締役会も設置するくらいな感じで覚えておけばよいと思います。

 

お ま け

私は、こんな感じで表をほとんど使わずに覚えていました。

少し利用したのは下の表です。

 

すごく簡単な表でルールのすべてを網羅していない(委員会設置会社の存在を完全に無視など)ですが、すぐに覚えられイメージとして残りやすいため、ルールを覚えるための足しにしていました。

 

私は5つのルールを頭に入れてから、実際にルールを使用しながら過去問や答練などのアウトプットをして記憶として固めていきました。

今考えてみると、理屈と表を併用したこんな方法のほうが効率的ではないかと思います。

ちなみにこの記事も覚え方のヒントになると思います。

道場ではよく言われていることですが、とにかくみなさん自身にあった方法を見つけてください。私の覚え方を推薦しているわけでは決してないです。

ただこれを機に「必ずしも機関設計を表で覚える必要はないんだ!」と視野を広げることで、新たな方法が生みだされるかもしれませんのでいろいろと試行錯誤をしてみてください。

 

それでは、また。

by katsu

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【法務】「表」アレルギー向け機関設計”へ2件のコメント

  1. katsu より:

    あっきー様

    二次試験本当にお疲れさまでした!!
    良い結果が出ることをお祈り申し上げます!

    「会社法」に関しては最初に勉強した時から、表などが多くてどうも覚えるのが苦手でした。
    立法趣旨がどこまで正確なのかは正直あまり自信がないのですが、自分なりの「理屈」をつけることでより定着しやすくなる方は私以外にもおられるかと思います。
    普段から背景・裏側などを意識することが単純に好きなので、私にとっては向いている覚え方だったのかなと感じています。
    どなたかのご参考になれば幸いです。

    コメントありがとうございました!お褒めの言葉、大変恐縮です。
    今後もご期待に応えられるよう精進いたします。

  2. あっきー より:

    本年度一次合格&二次結果待ちの者です。
    学習仲間が科目合格にとどまり、経営法務は再チャレンジしないといけないので、何か参考になる記事がないかと見ていましたが、katsuさんのこの記事は素晴らしいです。
    (私が知る限りの)立法趣旨等を正確に踏まえた説明がされており、ひとつひとつ理解しつつ覚えていくるのに最適&過不足のないまとめ方になっていると思いました。
    今後の法務エントリーに秘かに期待しております笑

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