【法務】法務導入編、読み方のススメ
こんにちは、イラサムです
先週のセミナーにご参加いただいた方、どうもありがとうございました。
さて、T○Cスト生はそろそろ6科目目の法務に突入する頃かと思います。
セミナーでも、法務について良い勉強法はないのかとのご質問をいただきました
なので、この記事にてイラサム流の考え方をまとめていきたいと思います
それでは早速いきましょう
①全体を意識しつつ、部分を見る
これは別の言葉で表すと、原則と例外に分けて対比して覚えると言うこともできます。
問題として出題されやすいことはもっぱら例外の規定になります
しかし原則を知らないと応用ができないので、原則と例外とを対比して覚えた方が効果的です
民法から具体的に例を1つとりあげます。
例1)過失責任と無過失責任
無過失責任という用語があります。しかしこの用語だけを聞いても頭の中ではモヤモヤが晴れませんでした(少なくとも私の場合はそうでした)
なぜなら頭の中から次の大原則が抜け落ちていたためです。
それは三大原則の1つである過失責任の原則です。
通常、人に損害賠償を請求しようとする場合には、その人が“わざとだったこと(故意)”または“わざとではないが、管理がずさんだったこと(過失)”等のいずれかが存在しないといけません
しかしこの考え方を絶対視すると、次のような場合に問題になります。それは売主が“欠陥を知らなかった”または“気付けなかった”場合です(つまりは故意も過失もなかった場合)
原則に従うと、例えば欠陥住宅を購入した買主さんは泣き寝入りするしかありません
これを救うための規定が無過失責任の代表例である瑕疵担保責任です
過失責任の原則だと買主が十分に守られないためにある、例外的な規定です。
一方で売主さんから見た場合にはすごく怖い規定です。
なぜなら自分に不備がないのに賠償請求をされる可能性があるからです
そのため使える期間が通常より短く設定されています。
学習している中で、1箇所だけ見てもいまいちしっくりこないときには、他の大きな原則を見逃している可能性があります、ご注意ください
②図表は理屈をつけて、自分のものにする
会社法を攻略するための重要ポイントとして、会社の機関設計があります。
おそらく既存の図表を使うか、自分で図表を作るかして覚える人が多いと思いますが、ここで注意です。
“丸暗記は絶対にやめましょう”
それよりも自分なりの理屈をつけていった方が早く覚えられるうえ、使いこなせます
例えば、こんなのはいかがでしょうか。
例)公開会社では取締役会が必要機関である。
これから法務を始める方のために簡単に補足します。
公開会社:極端に言えば上場している会社のこと
取締役会:取締役(=経営のプロ)の集団からなる合議体のこと
さて、まず前述の①に従い原則を確認します
原則:株式会社に必ず必要な機関は“株主総会”と“取締役”であり、会社の方針決定は会社のオーナー集団の会議である株主総会で行う。
しかし、公開会社では次のような弊害が生じます
・公開会社は上場しているため、株主の証明である株が頻繁に取引されている。
↓
・そのためオーナーである株主がコロコロ変わってしまう。
↓
・株主に経営を任せていたらとても安定したものはできない。
↓
・株主総会ではない方針決定機関が安定した経営のためには必要だ。
このため、経営のプロ集団からなる取締役会が公開会社では必要とされています。
ついでに、
取締役が暴走してしまうとどうなるでしょうか。
オーナーである株主が止められれば良いのですが、コロコロ変わってしまう株主に期待することは難しい面もあります。
そこで株主のために取締役を監視する存在である監査役の設置が義務付けられています
と、こんな風に自分なりの理屈をつけて、覚えていった方が理解が早まることはまちがいありません。
上記のような説明を自分の言葉でできるようになれば理解度としては完璧です
③日本語を信用しない
法律は日本語で構成されています。しかしいつも使う言葉のイメージをそのまま持ち込むと思わぬ迷路に迷い込むことがあります
代表的な例を2つ挙げます
例1)事務管理
この用語を聞いて、会社の事務員の人をイメージしたそこのあなた、危なかったです。
法律における事務管理は、頼まれていないのに、勝手に行動した場合を指します。
具体的には、雨が降って来たので、隣の家の出しっぱなしの洗濯物を取り込んでおいてあげた等です。
会社における事務とは全く関係ありません!!
※ちなみに出題される可能性は低いため忘れてしまって結構です。
よく混乱するのは次の例!!
例2)停止条件
この用語も停止という言葉の意味を考えると、混乱します。
なので覚え方としては「条件を満たした時に、効果が発生する契約 ⇒ このような契約を停止条件がついた契約と呼びます」というように、まるで外国語のようなものと割り切って「意味 ⇒ 呼び方」の順で覚えた方が楽です
最後に、
経営法務は結構いやらしい出題され方がされます(←主観ですが)
まっきーも先週の記事で言ってますが、過去問を見て、敵のレベルを知ってから戦略を立てる方が効率的です。
初めはとっつきにくいですが頑張ってください。
ではまた by イラサム
今日のまとめ
①全体を考えてから部分を見る
→原則と例外とを対比して覚えた方が理解が早い
②図表は丸暗記しない
→できるだけ理屈をつける。人に説明できれば完璧
③日本語、特に熟語に惑わされない
→普段使う用語と同じ意味とは限らず、混乱のもと
④過去問をやろう
→問われ方を知ることで単なる暗記では対応できないことをまず実感する
名乗るほどの者ではありません 様
こんばんは。
コメントをいただきありがとうございます。
解除条件を覚えてから、その逆と覚えるというのも良い手段ですね。対にして覚えることは暗記方法の鉄板だと思います。
これからも、自分なりの考えをうまく記事にしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
イラサムさん、こんばんは。
法務の専門用語は外国語だと割り切れとは、本当にそのとおりだと思いました。
情報のアルファベットはもともと英語だからあきらめがつきますが、法律用語は漢字なだけにかえって惑わされます。善意と悪意、社員などは日常用語と意味が全く違うし、瑕疵、欠缺は、最初は読めませんでした。もともと法律用語は、明治時代に外国語を翻訳したものが多いそうなので、外国語だときめつけてしまえば良かったのですね。合格後に知りました。
停止条件については、解除条件と対にして、解除条件は、解除だから、最初は有効だったのに条件を満たすと効力がなくなる。停止条件は、逆に、最初は効力がなかったのに、条件を満たすと効力が生じる、と覚えましたが、いかがでしょうか。
今後もわかりやすい記事を楽しみにしています。