財務会計:キャッシュフロー計算書を得点源にする
こんばんは。ZonEです。
財務・会計の特訓Week第5日目の今日は、キャッシュフロー計算書についてです。
キャッシュフロー計算書は、
- 自分で作成できるようになるまで、訓練が必要
- 気を付けなければいけない細かい点が多く、1つでもミスすると正解に辿りつかない
などの理由により、苦手にしている受験生も多いかと思います。
しかしながら、
- 2次試験では非常に重要(特に間接法)
- 慣れれば、得点しやすい(特に2次試験)
- 合格後など、実務上でも非常に重要
といったことから、苦手のまま放置せず、訓練を積んで得意にしてしまうのが合格への近道だと思います。
ぜひ得意分野/得点源に変えていただきたいと思います。
ちなみに、私が受験した2次の面接試験でも「キャッシュフロー計算書の直接法と間接法について、それぞれのメリットとデメリットを説明してください。」という質問を受けました(皆さんならどのような解答をするか、考えてみてください)。
お察しの通り、私は即答できずに、シドロモドロになってしまいました…。
しっかりマスターすべきは間接法
さて、キャッシュフロー計算書には、直接法と間接法がありますが、診断士試験では、言うまでもなく間接法の方が重要度が高いです。
間接法でキャッシュフロー計算書を作成する方法を体得するには、理解して解ける気になっても無意味で、実際に手を動かすことが大切です。
また、過去に投稿した記事「苦手科目の克服方法 – 財務会計編その2」でも少し触れましたが、特にキャッシュフロー計算書作成に関しては、
色々な問題を次々と解くのではなく、基本的な問題を1つ選び、「できるようになった部分」を確認しながら繰り返し解くことが効率的です。
そうすることで、徐々に進歩していることが実感でき、苦手意識を感じにくくなるハズです。確実に得点できるようになってから、他の問題に挑戦しましょう。
基本をしっかりと固めた上で、応用問題を解くことで、
- 営業CF部分で「減価償却費」に製造原価報告書(C/R)分を加算するのを忘れてしまった。
- 余計な記述に惑わされて、商品減耗損や商品評価損、貸倒損失を加算してしまった。
などの新たに注意しなければならない論点に気付き、その論点に集中することができます。
また、2次試験のことを考えると、解けるようになるのはもちろんですが、検算方法も身に付けておいた方が良いでしょう。
CF計算書の場合は、 B/Sの現金・預金の増減額が、
CF計算書の現金及び現金同等物の増減額
(=営業CF+投資CF+財務CF)と一致するか?
をチェックすればOKでしたよね。
そうは言っても、まずは目前の1次試験対策
とはいえ、今は怒涛の7週間の真っ只中。2次試験までには上記のように万全な準備をする予定でも、今はそれどころではない…という方も多いかと思います。
そこで、本日はキャッシュフロー計算書に関して、1次試験対策として抑えておいていただきたいポイントについても軽く触れておきたいと思います。
過去に投稿した記事「苦手科目の克服方法 – 財務会計編その1」でもお伝えした通り、1次試験では費用対効果の高い(=短時間で確実に得点できる)問題を嗅ぎ分ける嗅覚が必要です。
60分で20~25問(マーク)解くことを考えると、1次試験ではキャッシュフロー計算書を一から作成するような問題の出題可能性は低く、もし出題されたとしても、時間がかかりそうなら優先して解くべき問題ではありません。
キャッシュフロー計算書に関する問題は、表を含め問題文のボリュームが多いので、一見時間がかかりそうな印象を受けてしまい、思わず敬遠したくなる気持ちもよ~く分かります。
しかし、その一方で、多少の知識があり、気を付けなければいけないポイントさえ知っていれば、得点できてしまう問題が多いのも事実です。中には、単なる足し算・引き算で解けてしまう問題すらあります。
例えば、平成20年の問6の設問1は、間接法で
- 「貸倒引当金の増加額」がキャッシュに対してプラス
- 「有形固定資産売却益」が逆算過程でマイナス
になることを知っていれば、瞬殺出来る問題です。
しかし、もし知識が無くても、足し算と引き算さえできれば、空欄Aと空欄Bの値を合計すると「-1400」になることが計算でき、その組み合わせの選択肢は1つしかないので、正解に辿り着くことができます。
1次試験では電卓が使えないとはいえ、それほど複雑な計算ではないので、解きやすい他の問題を解き終わってから着手して、確実に得点したいところです。
逆に、平成19年の問13は、ちょっとした「ひっかけ」問題で
- +営業収入 = +売上高 – 売上債権↑ + 前受金↑ – 当期貸倒額
- -商品の仕入による支出 = -売上原価 – 棚卸資産↑ + 仕入債務↑ – 前払金↑
という知識があっても(せっかく覚えていても)、
- -売上原価 – 棚卸資産↑ = -当期仕入高
ということに気付かないと、ダミーで与えられている商品(棚卸資産)の増減に惑わされてしまいます。とは言え、その点だけ気をつければ、この問題も単なる足し算引き算の問題です。
気を付けなければいけないポイントを抑えてしまえば、キャッシュフロー計算書の問題は得点源になり得る分野です。
抑えるべきポイントもそれほど多くないので、本試験までには、ぜひとも得意分野にして、「出題されたらラッキー」と思える状態になってください。
最後に
よく、「財務・会計」は理系が有利とか聞きますが、私は決してそんなことは無いと思っています。だって、自然対数の底や虚数などを知らなくても、四則演算で解けちゃう問題ばかりですもの…。
もし、「自分は文系だから財務・会計が不得意で当然だ」と決めつけて思い込んでしまっている方がいるなら、その考え方は払拭してください。苦手意識を持ってしまうと悪循環に陥るだけで、1つも良いことありません。
苦手意識を持たずに訓練を続ければ、財務・会計や事例4は必ず得意科目/得点源になります。特に事例4が得意だと(自分で思えるくらいのレベルになれば)、2次試験で大きなアドバンテージになります。
事例1~3では差がつきにくく、得点のブレも大きいので、2次試験をギャンブルにしたくないなら、合格に直結する努力だと自分に言いきかせつつ、事例4の得点が安定するまで訓練を続けてください。
応援しております。
by ZonE
げっち さん
コメントありがとうございます。
CF計算書(間接法)についてですが、2次試験では、P/Lと2期分のB/Sから作成できるようになる必要があります。
1次対策では穴埋め程度の問題が解ければ問題ないですが、余裕があるようでしたら、今のうちにマスターしておくと、2次対策に入ってから楽だと思います。
以上、ご参考まで。
お疲れ様です。CF計算書の間接法ですが、項目、並び順も含めて、白紙から作成できるようにマスターした方が良いでしょうか…。
1次対策レベルであれば何とかなりそうなんですが、財務事例を考えた場合、どこまで完成度を上げる必要があるのか悩んでしまいます。
祝 合格 さん
こんばんは。ZonEです。コメントありがとうございます。
さて、財務会計が得意なのに、昨年度の事例Ⅳを解いたら撃沈した…とのことですが、私もそうでした…。
受験した多くの方々が、「今まで勉強してきたことは何だったんだろう」と感じた事例Ⅳでした。試験終了後に聞こえてくる溜息や嘆きのボヤキなどを含め、実際の試験会場で感じた空気感は今でも忘れることができません。
ただ、難しい中にもきちんと得点できる、いわば必ず正解しなければならない問題が存在します。合格した後から気付いたのは、財務会計が不得意な方々は、そういった正解しなければならない問題を落としていることがあるということです。
近年の事例Ⅳでは、皆が解けない問題では確かに差がつきにくいですが、皆が解ける問題を落とすと逆に差がついてしまいます。また、TACの先生に反論するつもりはないですが、「みんなが不得意」だからこそ、得意にして差をつけるべき…とも思います。
なお、勉強プロセスについてですが、私の場合は解けなかった事例Ⅳの問題は、解説を読んで分かった気になっても解けるようにはならないと痛感したので、翌日~2日後(記憶が残っているうちに)再度白紙から解くようにしていました。正解を導き出せるようになるまでこれを繰り返すことで、自分ができるようになった部分と漏れてしまった部分をきちんと認識することができます。
特に本試験の問題は、考慮しないといけない点が多いのに全部クリアしないと正解に辿り着かないので、同じ不正解でも大きな違いがあります。不正解の中でも自分がどのレベルにいるのか認識するためにも、短期間内での繰り返し学習法をオススメいたします。
とは言え、自分に合った学習方法は人それぞれですので、色々とお試しいただければ幸いです。
ZonEさん、皆さんこんにちは。いつも楽しく拝見しており、その論理的思考にいつも感心させられますし、やはりストレート合格者は何か違うのだな・・と感じさせられます。
さて、財務・会計なのですが、私はどちらかと言うと苦手意識もなく得意にしております。
しかし、この前21年度の事例IVを試しに解こうとしたのですが、もうどこからどう切り込んでいいのかさえも皆目見当もつかず「撃沈」でした。手が動きませんでした。
皆さんも最初はそんなものなのでしょうか。
これは訓練、何度もやる事で克服されていくのでしょうか。TACの先生は、「事例IVはみんな不得意で差が付きにくい」と仰っていたので、半ば諦めていましたがここを拝読すると「是非、得意科目に」と仰っているのでまた、頑張ろうっと思っています。
私は、まず問題を眺めて解答プロセスが浮かばなかったらすぐに解答・解説を読み答案の筋を実際に書いて感覚を覚えるようにしています。
皆さんは、どのように勉強されていましたか。