財務公式シリーズ(2/6) 一生忘れないコール・プット

こんばんは!アックルです。

本日は「財務公式シリーズ」第2弾です。

オプション取引 に苦手意識をお持ちの方は多いんじゃないでしょうか?

コールは買う権利

 プットは売る権利

そこまでなら何とか理解できそうですが、

「コール(買う権利)の売り」

「プット(売る権利)の買い」

なんて言われた日には、もはや

「はにゃ~~wobbly

って感じでしょう。

そこで本日アックルが「一生忘れないオプション取引」を伝授します。

◆オプション取引は図で覚えよ!!

先日、財務は「暗記ではなく理解」とお伝えしました(該当記事はこちら)。たしかに、そのとおりです。公式や用語を機械的に丸暗記するのは応用問題への対応力
という点でリスキーです。でも、イメージや図を覚えてしまうのは有効策です。経済だって、IS-LM曲線やAS-AD曲線を書かないと解けないでしょ!それと同じです。

ややこしい オプション取引は図で覚えてしまうのが一番ですっ!

この図を見てください。

縦はオプションの買い・売りの切り口。
横はコールオプションかプットオプションの切り口です。

縦軸は損益(上に行くほど利益が拡大、下が損失拡大)、
横軸は価格です(右に行くほど価格上昇) 。

すぐにお気づきだと思いますが、それぞれのオプションが鏡型となっています。

要するに、
「コールの買い」を右の鏡に写した場合が「プットの買い」 となります。
同じく「コールの買い」を下の鏡に写した場合が「コールの売り」となります。
「線対称」と言った方が分かりやすいかも)

たとえ忘れてしまっても、縦横の切り口と、左上が「コールの買い」 だということさえ思いだせば後は鏡の法則で、雪崩式に思いだせます。

なお、細い直線とオプションの線が交わる点が損益分岐点です。

先に図さえ覚えてしまえば、計算問題や応用問題にも容易に対応できると思います。

早速、試してみましょう。

(例題1)
ある株式について、権利行使価格120円、プレミアム10円のプットオプションを買うとします。
その株式が権利行使日に50円になっていた場合の損益は?

(答え)
先ほどの図を思い出して下さい。この場合は、プットオプションの買いなので、右上の図です。
この図は価格が下がるほど、利益が拡大していく図です。まずは、このことが一瞬で分かるかが重要です。
権利行使日に権利行使価格より価格が下落しているから 利益が出ますね。
120-50-10=60円の利益!ということが分かります。

ところで、コールにしろプットにしろ、「売り取引」を行うのはリスキーですね

買い取引の場合は、損失はオプション料のみで済みますが、売り取引の場合は、コールの場合は値段が上昇したとき、プットの場合は値段が下がったとき、損失が巨額になる恐れがありますもんね。

by アックル

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

<ハカセの追記>

最後に、アックルさんが重要なことを言ってくれましたね。「売り取引を行うのはリスクが高い」と。

これを「そうだよな」と思えた方は、オプション取引が分かっている方。
「そうなの?」と思った方は、オプション取引が完全には分かっていない方、です。

図表をもう一度見てください。

「売り」、つまり下半分のグラフは、右または左際限なく伸びていますね。これは「損失が際限なく発生する可能性がある」ことを示しています。

通常の投資家はこういう取引を望みません。こんなリスクは負えない pout ですし、そもそもオプションを買うのは、リスクをヘッジしたいからのはずです。

では、誰がこれをやるのでしょう? それは、銀行・証券会社などのオプションの提供者(=売り手)です。つまり彼らはハイリスクの状態でオプションを提供し、代わりに「オプション手数料」を得ているのです。

何が言いたいかというと、「右下・左下に際限なく伸びるグラフは、一般投資家が目指す形ではなく、リスクテイカーたるオプションの提供側(つまりオプションの売り手)のグラフだ」ということです。

ということは、逆に上半分、つまり、損失に下限があり無限に利益を生む可能性がある「素晴らしい」「望ましい」形をしたグラフが一般投資家側(オプションの買い手)のグラフということになります。

一般投資家(オプションの買い手)のグラフの覚え方は簡単。

「コール」の「ル」は右上upwardright  を向いてますね。
「プット」の「ト」は右下 downwardright を向いていますね。

下限があって、右上を向いているのが、「コール」 upwardright
下限があって、右下を無定居るのが、「プット」downwardright

ですscissors (TACのイケメンH講師の受け売り)

まとめると・・・

損失の下限がある → オプションの 買い手 = リスク回避的な一般投資家
損失の下限がない → オプションの 売り手 = 手数料で稼ぐ金融機関側

さらに、

下限があって、upwardright の方向 → コーオプション
下限があって、downwardrightの方向 → プッオプション

アックルの方法、ハカセの方法、いずれを使っても、2009年の本試験の第19問は楽勝問題ですね!(^^)v

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財務公式シリーズ(2/6) 一生忘れないコール・プット”へ6件のコメント

  1. ハカセ より:

    入江様。簿記1級の勉強をする過程で診断士試験対策が役に立つとは嬉しい限りです。図はアックルが描画したものですが、どうぞどうぞお使いください。わざわざご丁寧なお断りまでいれて頂き、大変恐縮です。目指す資格は違うかもしれませんが、一つの方向に向かってまい進している姿は同じですよね。合格目指して頑張ってください! [追伸] 簿記一級を目指すほどの方なら、財務会計がお得意と思われます。診断士試験との親和性もばっちりですので、簿記一級合格の暁には、診断士資格取得も検討してみてくださいね。(^O^)/

  2. 入江 より:

    ハカセさん

    はじめまして。現在、簿記1級を勉強中の入江と申します。簿記1級ではデリバティブも仕訳の対象なのですが、教科書ではそれほど詳しく説明されておりません。ほんの数ページなので、あまり重要ではない分野なのかと。しかしそれだと一般の人はデリバティブをなかなか理解出来ないので、せめて図を示したいと思い、画像検索でハカセさんのブログに到着しました。シンプルでとても分かりやすい図でしたので、勝手ながら私のブログで画像を使わせていただきました。問題があればご指摘ください。以上、よろしくお願いします。

    http://shotaro-irie2.blogspot.sg/2012/06/blog-post_27.html

  3. ハカセ より:

    hondakazumiさま、こんにちは。コールとプットは一度覚えてしまえばあとは機械的に対処できますから、逆に得点源にできますよ! 右上に検索窓もありますので、キーワードで検索してみてくださいね。頑張ってください!

  4. hondakazumi より:

    ハカセさま

    良い記事をおしえていただき、
    ありがとうございました!

    イメージのしづらさから、なかなかオプションの理解がすすまなかったのですが、これでなんとかなりそうです。。(>_<)

    グラフをああいう風に線対称にしてならべると
    グッとおぼえやすくなりますね。。

    「一般投資家と金融機関」の考え方も
    イメージがしやすく、納得することができました。

    ・・今度から、わかんない論点があったら、まず道場さんの記事を探してみます!(^^)

  5. Bella より:

    オプション取引の図、とても覚えやすいです。
    ありがとうございました。
    そして、コールのルが右上、プットのトが右下というのが、借方の「り」は左に向いていて、貸方の「し」は右に向いている、ということの、更に上をいっていますね。
    記憶に残りました!

    1. ハカセ より:

      Bellaさま。いつもご覧いただき&コメントありがとうございます。そうですね。貸方借方の覚え方と酷似してますね。実際に「ト」と「ル」で覚えていたのですが、2009年の第19問のように「売り手」と「買い手」が混ざると混乱する可能性があるため困っていました。そこに、アックルのエントリー。一瞬で「これだ!」と思い、「ふたつを組み合わせれば、本当に忘れない知識になるはず!」と、確信をもって書かせて頂きました。道場では、このように執筆陣も引き続き勉強しております (*^_^*)

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