【合格体験記】 「を~」さんの「完全独学合格」の道

こんにちは。ハカセです。

本日は、完全独学(各種模試 + 二次対策で直前オプションゼミのみ受講)で合格を果たされた「を~」さんの合格体験記をご紹介します。

まずはご一読ください!

=====寄稿ここから=====

●自己紹介●

を~です。昨年の1次試験直前期の頃に一発合格道場さんのブログを発見し、ずっと読んでいました。何度かコメントして(初コメントは9月の2次試験対策中でした)、2次試験直後のオフ会にも参加させて頂いたりもしたのですが、今年は、ストレートではないという負い目(?)もあって、もっぱら読んでばかりでした。ちなみに受験履歴は以下の通りです。

2010年1次 合格(独学、7科目受験で424点)
2010年2次 不合格.. (独学、評価:A/C/B/B/総合B)
2011年2次 合格(独学)

●診断士受験のきっかけ●

資格としての診断士を知ったのは2000年頃です。当時、会社の先輩が昼休みに一人で会議室に籠っていたので聞いてみたところ、診断士の勉強をしていたのでした。その先輩のその後は、私の異動やなんやかやで知らないのですが、当時の私は単に大変そうだなーと思うばかりでした。

実際に勉強を始めるきっかけは、経営企画への異動があったこと、同僚や取引銀行の担当者に診断士ホルダーが居たこと。つまり「いっちょ俺も」と思ったわけですgood。こんなわけなので、真剣に診断士を目指し始めた方には不愉快かもしれません。先に謝っておきます。ゴメンナサイ。もうちょっと言うと、2009年に証券アナリストを取得したことが診断士受験を考えるきっかけでした。ファイナンス、財務、経済を勉強したので、これらを全部活かせると思ったわけです。

●1次試験準備●

上記のとおり、独学でした。その最大の理由はお金をかけたくなかったことです。言い訳すると、これまでの経験でカバーできる科目が多かったものでgood。経済はアナリストのテキストがそのまま使えるし、財務・会計はアナリストもそうですが簿記2級(15年前だけど)と入社当初に与信管理をやっていた関係で財務分析はお手の物、債権回収や担保取得もやったこともあるので法務もそれなりに知識があり(古いけど)、経営戦略とマーケティングは会社の研修でズバリ(浅いけど)。

というわけで、1次試験でいうと、ゼロからの勉強なのが情報・中小・運営管理の3科目だけという状況なので、まずは学校に行かずに挑戦しようと思った次第でした。

ボチボチ勉強を始めたのは2009年末ごろでした。テキストをざっと読んだうえで過去問を少しやって、各科目について以下の方針(重要度:A/B/C)を決めました。この時に使ったテキストは、TACのポケットテキスト2冊です。

経済:重要度。たまに過去問やアナリスト問題集を解いて、完全に忘れないようにする。目標65点。(苦手だったもので弱気の目標設定)

財務会計:重要度。基本無勉。直前に細かい指標など確認するのみ。目標80点。

企業経営理論:重要度。スピード問題集を購入して年明けから3月末完成を目指す。目標70点。

運営管理:重要度。スピ問5月末完成を目指す。目標70点。

法務:重要度。年内にビジ法2級を取って、その後は経済と同じパターン。目標70点。

情報:重要度。マンパワーの1700問(1800かな?)に含まれている情報問題を直前期に詰め込んで短期記憶勝負。目標50点。

中小:重要度。分野は政策に絞り、情報と同様。白書は概要をDLして一読する。目標50点。

ちょうど年明けから税理士の「簿記論」の勉強を始めた関係で、机に向かう時間は簿記論を優先したため、診断士の勉強に充てる時間は基本的に往復の電車・バスのみでした。勉強方法としては、問題集をやりつつ、解説を徹底的に理解するもの。「完成」のイメージは、選択肢を選ぶだけでなく間違っている選択肢のどこをどう直せば正しい記述になるのか言えるようになること。

問題集の解説こそが最良のテキストというスタンスです。(後に、一発合格道場さんの『鳥ガラ勉強法』(⇒詳細こちらを見て、「この方法でまちがっていない」と自信を持ちましたgood

方針の修正があったのは最初に手掛けた法務でした。ビジ法2級は取ったものの、意外に診断士に直結してない印象で、追加でスピ問を購入しました。

スケジュールがちょっとずつ遅れていって、運営管理の完成は7月半ば。定期的にやるつもりだった経済は2009年の過去問が易しかったので安心(慢心)して後回しにして、その結果いくつもの論点を忘れ。TACの1次模試はまだ完成途上というか、未学習分野を残したままで受験して、一次対策模試の評価はのボーダーでしたpunch

全科目で5点ずつ取りこぼしがあっても420点で通過できるという目標設定だったのですが、結果としては、いろいろ出入りがあって、というかこぼしすぎて416点。経済の没問と底上げの8点プラスのおかげで424点、ギリギリ通過という超省エネ受験となりましたhappy01。(捨てた科目であるにも関わらず)易しかった情報と中小に救われました。なんだか最初の目論見とは大きく違うようですが、気にしない方向good

●2次試験1回目●

自己採点で不合格と思っていたので、8月末に没問の発表があって慌てたという典型的なダメなパターンですpunch。(【教訓】:いろいろな所で言われていますが、没問・底上げの可能性を考えて2次試験の準備をするべき。)

慌てて本屋に駆け込み「ふぞろい」、「全知識」、「80分料理法」を買いました。もうTACの2次模試は締め切られていたので、「本気になったら」の方で模試を受験しました。ここで、典型的な素人パターン、『抜き出しのみ』で事例Ⅰ~Ⅲを解答したところ上位10%に入ってしまったのと、TACのオプションゼミでできてしまったのでまたもや慢心が出ましたbearing。上記3冊を通り一遍読んだあとは、同友館の「2次過去問集」を購入し、ひたすら解答例・解説を読むだけで、自分の答案は一切作っていませんでした。

各年度、事例Ⅰから順に読んでいたので、ⅡとかⅢを読む時にはタルんでいたというのがACBBという評価に表れていると思いますpunch

今振り返ると、事例Ⅱは本当にわかっていなかったと思います。インターナルマーケティングなんて、完璧に意味を取り違えていました。本来1次レベルの問題ですが、今年の勉強中に「そういうことか!」とそのメカニズムを理解しました。ちなみに今年の本試験、事例Ⅱは失敗ばかりでしたが、第5問の200字問題だけは満足度の高い解答です。

あと大きな反省点は財務の自信過剰ですpunch。やはり問題に触れる頻度が低いと、アタマで深~いところに眠る記憶を呼び覚ますのに時間がかかります。この時間を最小限にしてすぐに手に働いてもらうようにならなければいけないと感じました。数学で「定義をしっかり覚えて、定理や公式は自分で定義からササッと導く」ようなイメージです。

ちなみに「ふぞろい」ですが(今年は買ってませんが)、合格者の答案よりも、不合格者のA答案、B以下の答案の違いを見るのがイミありそうだな~というのがこの年の感想です。

●2次試験2回目●

つまり今年ですが、再度独学を選びましたthink。昨年に引き続いて今年は税理士の「財務諸表論」の受験をしたために、8月アタマまではそちらで手一杯で予備校に通う余裕がなかったこと、それから2次試験の準備を考えた時に最良の教材は過去問と考えたこと、がその理由です。その代りに、昨年の反省を踏まえて、今年は解答解説を読むだけでなく、ほぼ毎日ベローチェで閉店ギリギリまで粘り、実際に自分で答案を作ることにしました。

過去問は、平成17年~22年の6年分を集めました。インターネットでグーグル先生にかなり無理なお願いをした結果、解答例も各年度で複数集めることができました。解説はさすがに難しかったです。素直に買うべきだったかもしれません。というわけで、今年新たに購入したテキスト類はゼロです。

一発合格道場の皆さんは延べ72事例以上を推奨しておられます(詳細⇒こちら)が、私は延べ50事例くらいしかできませんでした。勉強時間の記録は付けていませんが、土日は極力家族との時間にしていたため、せいぜい100-150時間といったところだと思いますthink

模試については、昨年は受けられなかったTACの模試を、今年は受けることができました。逆に、ヨソの模試は受けませんでした。お金をケチったというわけではなく、受験校の作る問題に(というか評価に)過剰に頼ってはいけないという考えに至ったのが理由ですgood

演習でも模試でも、受験校が採点して判定する以上、その受験校が採点しやすい採点基準を決めているはずです。が、その基準は本試験の基準と同じとは限らないわけで、もし本試験の委員が同じ問題を作ったとした場合、受験校が設定したポイントと同じ部分に配点を同じだけ振るか?ということです。もしかしたら、問いたい論点がそもそも違うかもしれません。というわけで、模試は受験したあとは、解答・解説を読んで納得して以降、解きなおしもしていません。競争試験の対応として、「アウェイに行って自分のポジションを確認できた」だけで十分ということにしました。

勉強方法ですが、今年はまず事例Ⅰを6年分通して解答して、事例Ⅰに頻出の論点や、事例Ⅰとしてのテーマを嗅ぎ取る、これをⅠ~Ⅲまで繰り返すことにしました。LECの無料動画を見たときに、「事例は結局毎年同じことが問われている」と先生が言っているのを聞いたのが理由です。

細かいテクニックについては気にしないことにしました。設問で、何が問われているのか、その本質を読み取り、答案にどんな柱を立てればよいのかを考えることに注力しました。解答例を見て、どの柱にどのキーワードがリンクするのかを分析しましたgood

切り口の整理とかを気にするところに力を使うのではなく、メジャーな切り口はすでに腹に落ちているという前提で、設問文と与件文を力いっぱい読みました。最初に答案を作るときには制限文字数に収めましたが、解答例・解説を読んだあとの見直しでは文字数を細かく意識することはしませんでした。80~150字の解答であれば、±10%程度の字数調整はなんとでもなると割り切っていた部分はあります。

事例Ⅳは、Ⅰ~Ⅲの合間で息抜きとして適宜やる位置づけにしました。1年分通してやらなくても、設問ひとつを取り出して個別問題として繰り返すだけでも有効だと思いますgood。完全にできる問題は繰り返すことに意味はないし、出来なかった問題・アヤしい問題でも、そのパターンに触れて解き方を確認できたことでOKとし、余裕があれば繰り返すことにしました。

10月に入って、グーグル先生の頑張りにより平成13年・14年の解答も発掘できたので、これも1回ずつやってみました。結果として、経営指標の類似問題(全体的な問題点の指摘)、キャッシュフロー計算について再確認することができ、これはかなり効果がありましたgood

また、独学にも関わらず勉強会ができたことも、昨年との大きな違いでした。昨年たまたまオプションゼミ受講中に後輩と遭遇し、仲良く不合格だったのですが(今年は彼も合格しました)、帰宅ルートがうまい具合に交わるため、今年は何度か勉強会をしました。勉強会と書きましたが、私は感想戦と呼んでおり、模試を含めて解いた事例について、「その設問でなぜその発想に至ったのか」の着眼点をシェアすることを目的としていましたgood

TAC生であった彼からいくつか定石を教えてもらったのですが、「確かに解説を読むと書いてあるし、読んだ覚えもあるのに、解きなおしの時に思い出せない」ようなものでも、会話で聞くとそれ以後は意識できたというのが不思議です。講義を受けているとこのような効果を得られるんでしょうね。会話の後で解答例を見ると新しい発見があったりもしましたgood

このように、昨年よりは充実した準備をし、去年の問題なら初見で見ても絶対イケると自信を持って臨んだ本試験でしたが、傾向の変化と対応のマズさがあり、本気で落ちたと思っていました(試験直後の感触では自己評価ACBApunch)。前年同様の傾向だった去年のうちに受かっておくべきだったと本気で後悔しbearing、さらに、来年は1次から再挑戦となるため、今回落ちていたらもう撤退する覚悟も決めていましたbearing

とは言っても、2か月とはいえ真剣に向き合った2次試験なので思い入れはありました。いくつかの受験校が実施する2次試験分析会に参加し、解答例も集め、再現答案を提出しました。TACの再現答案は手順も記載しなければいけないため後回しにしていたのですが、11月終わりにようやく仕上げました。この時期なので試験中のこともだいぶ忘れており、本試験問題とそこに書いたメモに再度向き合いました。脱線しますが、このタイミング(11月)にコレをやったことで口述対策のベースができたように思います。

●まとめ●

というわけで、取り留めもなく書かせていただいておいて、強引にまとめです。私がやってみてよかったことを順不同に。

  • やることの絞り込みthink: 3食昼寝付の生活なら絞る必要はないけど仕事してたら、ねぇ。けど、絞り過ぎない。期限をちょっと早めに、やることをちょっと多めに。ストレッチ予算の設定です。
  • 進捗管理はスコープ: 何時間やったとか途中の努力はどうでもいいpunch。努力を省こうということではなく、そんなもん自分が評価してどうなる、ということです。
  • アウトプットを繰り返すgood: 1次試験は本当に繰り返しました。7月後半は、1週間で問題集6科目2回転とかしてました。2次試験も繰り返しました。だいたい2回転、中には3回転できた事例も。答えは覚えてしまっていても、根拠を覚えてしまっていても、その根拠を探す時の意識までは覚えてないことが多かったです。
  • 考えすぎないようにするために考えるthink: 「1+2=3」で良かったんです。1は0.1×3+0.2×2+0.3×1、とかまで分解しないように気を付けました。あまり分解しようとすると、どこかで書けなくなることが多かったです。解答例を見てみて、「あぁ、そんな入口のところでも良かったのか」と思うことが多かったです。
  • よく読むpunch: 試験問題は当然ですが、試験案内もよく読むべしですね。口述の日、リバティの1階に受付場所の案内が掲示されてなかったのにはさすがにちょっと焦りました。

●最後に●

合格に至った秘訣は、今でもさっぱりわかりませんthink強いて挙げれば、よく考えたことでしょうかgood。2次試験とはどんなものかを考えたし、勉強の仕方も考えたし、もちろん問題に対面した時も考えました。アドバイスも自分に合うかどうかを考えました。私は独学でしたし、余計なこともやっていたので、いろいろな事が手さぐりでしたしとにかく時間がありませんでした。去年からのお付き合いで信頼していた一発合格道場さんには、ブレない立場からの記事に安心し、ファイナルペーパーやまとめ資料など、いつも参考にさせて頂き、本当にお世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます!

●おまけ●

最後の最後に、どうでもいい情報を。私は期限の前々日に申し込んだので、きっと日大だと思っていたらリバティでびっくりしました。協会は、2回目受験の人数だけ先に枠を確保してから、1次通過者たちに受験番号を割り振っていくんですね。

=====寄稿ここまで=====

をーさん、貴重な独学合格体験談をありがとうございました <(_ _)> 。

証券アナリストなど親和性の高い資格をお持ちだったことと、実務で与信管理などを行っていたことなど、診断士試験対策に資する基礎体力をお持ちだったとはいえ、独学での診断士試験合格は本当に見事だと思いますfuji

特に、(一部オプションゼミや模試を受けられたとはいえ)、二次試験を独学で突破したという方は、余りお目にかかったことがありませんwobbly。脱帽です。

をーさんの二次対策には特徴があると思います。

それは、事例企業とニュートラルに向き合い、小手先ではなく、事例企業の本質的な課題に向き合おうとしたこと ではないでしょうか。

ご自身の解答案を筆記することに固執しなかった一年目、加点テクニックにとらわれずに設問文と与件文を力いっぱい読み込むことに集中した二年目

方法論は違えど、をー さんが採っていた対策は「本質に向き合う」という意味でブレが無かったように思います。

ただ、「それが出来れば苦労しないよ・・・」という声も聞こえてきそう・・coldsweats01。確かに、これは独学の強みともいえますが、でも、実は誰もができることではないようにも思います。

でも、二次対策で本来学びとらなければいけないことは、文節ごとに/をいれるテクニックではなく、「抜き出し」のテクニックを磨くことでもなく、加点ポイントを当てに行くゲームの達人になることでもありません。

本当に大事なことは、「限られた事例本文と設問文の中から、事例企業の状況を正しく理解し、課題を抽出して、それを解決策を、分かりやすい文章で提案すること」なんですよね。

それを、をーさんの独学合格体験談から、改めて思い知ったように思います。

をーさん、本当にありがとうございました <(_ _)>

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道場では、引き続き「合格体験談」、「未合格体験談」を募集しています。詳しくは こちら をご覧ください。

ありがたいことに、続々と体験談を寄稿頂いており、本来の道場コンテンツを執筆できないほどの状況ですが、非常に貴重な体験談ですので、これからも沢山ご紹介していきたいと思います。

合格された皆さん、未合格の皆さん。年末年始の休み中に、頭を整理する目的で筆をとってみてはいかがでしょうか。

お待ちしております!

by ハカセ

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