【中小企業診断士試験】2次試験対策:今知っておくべきこと part2

twitterもよろしくお願いします。

おはようございます。
いけちゃんです。
(合格体験記はこちら、前回までの記事はこちら

新型肺炎に伴う休業で異例のG.W.を迎えている方も多そうですが、なかなか学習に身が入らず、苦労されている方も多いのではと拝察しております。
この試験の受験はあくまでプラスアルファです。
ご自分やご家族の心身の健康を最優先に、学習にお取組みいただく性質のものだと思っています。
決して無理はなさいませんように。

さて、本日の記事は、前回に続き、1次試験前のこの時期に今知っておくべき2次試験対策のお話です。

私がこのブログ「一発合格道場」の読者だったとき、心がけていたことを一つご紹介したいと思います。
それは、先代から伝わる名言。

要するに “パクってカスタマイズ” だよ。
(参照:6代目Xレイ「独学スト生の二次試験」)

これはいいな」「そんなやり方もあるのか」、そう思えた部分を取り入れてきました。
大事なのは自分に合うやり方かどうか!
・・・なので実験してみて、肌が合わない手法だったらやめました
ハイスペック・ストイックな先代も多いため、「こんなん自分には無理やで」というやり方もありましたが、自分に合うやり方を模索するのには本当に役に立ちました

これからご紹介する「私の解答手順」は、過去の道場記事や勉強会で得た知見に基づいて築いていったもので、「Final Paper」にまとめて昨年の試験当日に実施したものを編集したものです。

万人に当てはまるわけではないでしょうが、よかったら参考にしてみてください。
比較的オーソドックスな方法にまとまったと考えていますが、カンペキに実行できた訳では勿論ありません

本記事をお届けしたいのは、このような方々です。

① 2次試験対策をまだ始めていない方
② 2次試験の性質がいまひとつよくわからないという方

取りかかる順番について

二次試験は事例企業であるA~D社の情報を読み取り、4~5問程度の大問に解答していくという形式です。
まだ試験問題を一度もご覧になったことがなければ、中小企業診断協会が公表している過去問題を確認してみてください。

各年度の試験情報も見に行くと、設問毎の「出題の趣旨」が公表されています(2019年度はコチラ)。
「出題の趣旨」は参考になるような、ならないような、ただ時々「え、そんな事聞かれていたの?(汗)」という観点が記載されていることもあるので、過去問にあたったら一度は参照してみてくださいね。

さて、二次試験に向けた私個人の解答手順をご紹介します。
本記事が対象にした方からすると、「この時期にそんな細かい話をされても」と思われるかもしれませんが、ざっくりした解き方のイメージだけでもお持ち帰りください
本格的に二次試験対策を始められた後、また読み返していただけたら幸いです。

一部、令和元年度(2019年度)の事例Ⅰ(以下、「R1」)を題材にご説明していきますので、「まだ解いてないから見たくないよー」という方は本記事はスキップしてくださいね。

解答手順① 与件文の冒頭・最終段落だけを最初に読む
解答手順② 設問文を読み、要求事項を解釈する
解答手順③ 与件文に戻り、残りの部分から材料を探す・拾う
解答手順④ 答案骨子を作成する
解答手順⑤ 答案を作成する

解答手順① 与件文の冒頭・最終段落だけを最初に読む

出題者が意図するシナリオを意識

なぜ冒頭と最終段落を読むようにしていたのか。
それは事例企業がどのような企業で、どのような課題を抱えているのか、この冒頭・最終の二段落に端的に表現されていることが多いからです。
与件文を最初から最後まで読んで、設問文を参照しに行くのではなく、まずは企業の概要をつかむことを最優先します。

出題者は、事例問題を出題するにあたって、シナリオ(外部環境の変化→成功までの道筋を解答者につけさせる)を意識しているハズです。
R1のA社は「リストラなどの経営改革に取り組んだこと」「創業当時の機能別組織について組織再編を検討したが見送った」ことが読み取れます。
この二つの段落に、本事例のテーマが濃縮されて記載されているのです。

経営的特徴の把握

経営的特徴とは、たとえば業種、現況、課題が挙げられます。
二次試験は、製造業・小売業・卸売業・サービス業など、様々な業種から出題されていますが、経営の構造をこの時点で推察しておきます。
R1のA社は「中小メーカー」かつ「地方の同族企業」であると記載されていますから、サプライチェーン上の位置付けや同族企業ならではの事象に直面していないか、留意します。

先週公表された2020年版中小企業白書・小規模企業白書概要でも、

【総論②】 中小企業の4つの役割・機能と目指す姿
●中小企業・小規模事業者を、役割や機能に着目した4つの類型(①グローバル型、②サプライチェーン型、③地域資源型、④生活インフラ関連型)に分類し、比較・分析。
●中小企業の「目指す姿」は多様であり、業績や成長意向も、類型ごとに傾向が異なる。企業の役割や機能を意識した支援が重要に。

とまとめられていますね。
少し脱線しますが、一次試験の「中小企業経営・中小企業政策」は2019年版白書からの出題が中心となりますので、試験対策上は参照の必要がないことになります。
(参照:11代目いけちゃん「【中小企業診断士試験】「中小企業経営」について」)

しかし、今回は「新型コロナウイルス関連部分」という最新情報も盛り込まれており、コレだけはぜひお目通しいただきたいと思います。宿泊業・飲食サービス業の資金繰り難に強い懸念が表明されています)

解答手順② 設問文を読み、要求事項を解釈する

「制約条件」を確認

前回の記事でも触れましたので割愛。

「題意」「設問間の関連性」に対する仮説を組み立て

一つの設問文を読んだだけでは「題意」を読み取ることが難しい場合もありますが、全ての設問文を読むと、一つの線としてつながることがあります。
例えば、R1のA社は「古い営業体質」に苦しみながらも、そこから脱却したことが第2問と第4問から読み取れます。
設問全体を俯瞰してヒントを炙り出し、「題意」や「設問間の関連性」について仮説を組み立ててみます。

後で与件文にあたってみたとき、その仮説が間違っていたなんてことも当然あるわけで、「変な先入観につながるのではないか」とご心配になるかもしれませんが、仮説を修正する柔軟さを身につければ心配ご無用です。
仮説はあくまで仮説であって、出発点に過ぎません。

仮説を組むことで、与件文を読んで材料を探すための「着眼点」を設定できます。
事例Ⅰのように類推問題が多い場合、「着眼点」を設定できるかが勝負の分かれ道になりそうです。

表裏・因数分解で解答フレームを決定

(1)の制約を踏まえて、設問文での問われ方を念頭に、一次知識で「切り口」を決定します。
その際、表⇔裏、因数分解を意識すると、「切り口」が出てきやすくなります。
例えば、売上向上が目標なのだとすれば、単価を上げる方法もあれば、客数を上げる方法もありますよね。

この「切り口」に基づいて解答フレーム(答案型)を決め、設問文の横に記載しておきます。
ex)「要因は①~、②~。」

施策を問う設問なら、狙うべき効果も先に記載しておけば、因果を意識した解答が作成できます。
設問の定義が曖昧で、何を問われているか判断がつかない場合、理由を明確にして絞り込んでしまうのも手です。

解答手順③ 与件文に戻り、残りの部分から材料を探す・拾う

「着眼点」に基づいた課題抽出

②(2)の「着眼点」を念頭に、与件文を丁寧に読んでいきます。
読み方としては、接頭辞(「しかし」「もっとも」etc)や時制に注意しながら、情報を整理していきます。
時系列順に与件文が記述されているとは限りません(そうでないことが多い)。
(参照:6代目なご「2次試験の取り組み方について(前半) ~時系列を意識する~」)

※実際に社長にインタビューする場面を想像してみてほしいのですが、時系列に沿って話を引き出せることはむしろ稀で、あっちに飛んではこっちに飛んだ話を自分で整理する必要がありそうですよね。

細かくメモを取る時間があればよいのですが、80分という限られた時間の中で詳細にメモすることは不可能です。
メモは最小限に留められるよう、解答手順を自分なりに工夫する必要があります。
究極、一切メモしないという解答スタイルも(情報整理が出来るなら)全然アリですが、私は脳内メモリーが小さいため出来ませんでした。

注意したいのは、「図表の読み取り方」です。
与件中、最重要情報が仕込まれている箇所と言っても過言ではありません。
図表は縦/横軸、絶対/相対値の観点で分析するのがコツです。

特異表現はコアワード

先代も多く言及していますが、繰り返される表現、一見余計に見える表現はヒントになります。
R1のA社の場合、「前近代的な経理体制」でしょうか。
「前近代的」って、「そこまで言わんでもええんちゃうんか」とツッコミたくなるほどインパクトのある表現ですが、出題者が強調したいポイントであることが明らかですよね。

また、成功体験、失敗からの教訓は将来も有効なケースが多いため、マークして解答の方向性を考えるうえで必ず参照するようにします。
但し、過去の成功体験がそのまま妥当するわけではなく、「形を変えて活かす」という視点を持つことが大事です。
なお、未利用の経営資源については、すぐに飛びつきたくなるのが人情だと思いますが、その利用方法が事例企業の方向性にそぐわないチグハグを生じないように注意が必要です。

設問文→与件文、与件文→与件文の対応づけ

与件文を読む際は、漫然と情報整理をしていくのではなく、②(2)の「着眼点」を念頭に探す・拾うことを心がけます
設問文と与件文、与件文と与件文を紐づけ、関連付けていきます。
この対応づけの力は、訓練すれば間違いなく向上します。

独りで二次試験と格闘していたときは、全く見当はずれの箇所を与件文から拾ってきた解答をしてしまったこともありました。
勉強会に参加するようになり、他の受験生の解答を横に並べて拝見してわかったのは、この「対応づけ」さえ外さなければ、一枚の答案にまとまりが出てくるように問題が作られているということでした。
この辺については、また後日詳しくご紹介できればと思います。

解答手順④ 答案骨子を作成する

いきなり答案に書き始めるという仲間もいましたが、骨子を作るのが一般的かと思います。
以下、具体的な手順というよりも、答案骨子を作成するにあたって、意識したい目標です。

一貫性:設問間の関連性を整理、ストーリーライン

設問要求解釈で仮説を組み立て、与件読解で確信できた「設問間の関連性」を整理し、ストーリーラインとしてまとめます。
一枚の答案が「診断報告書」としてまとまっていれば、合格点だと思います。

具体性:事例企業に即した問題解決・課題達成

一般論ではなく、事例企業に向けたリアリティを掘り込みます。
答案骨子の内容について、主語を「事例企業」から「全く別の企業」に変えてみても違和感がないなら、深さが足らないかもしれません。
例えば、事例企業が研究開発型企業ならば、「社内研修制度で人材を育成する」というような一般論ではなく、多くの社員が技術者であるという事実に着目して、「技術者の意欲向上につながって、事例企業が実現可能な施策」を提言します。

合理性:多面的な切り口、論点をモレなく盛り込む

中小企業診断士は「多面的」な見方が求められています。
ある側面からみると合理的なことが、他面では不合理なことは沢山あります。
現状分析にしろ、課題達成のための提言にしろ、ある一面的な問題意識からだけ事象を見るのではなく、様々な切り口で見ていく必要があります。
・・・と口で言うのは簡単ですが、自分も最後まで未熟だった点だと感じています。

例えば、R1のA社がメンテナンス事業をビジネスとして成功させられなかった理由(第1問)について、私は試験当日に外部環境要因からだけ説明しようとしてしまいましたが、A社自身の問題点も指摘すべきでした。
「多面的」な見方に欠ける典型例ですね。

※合理性については、「診断士に求められるスキル」から、考えてみるアプローチがいいかもしれません。
(参照:3代目こぐま「【スト生向け2次対策】多面的に与件を整理する」)

明瞭性:与件の根拠に基づいて論理的に構成

採点者が一読して意味を理解できる構成が大事です。
共通言語とも言うべき与件文の表現をなるべくそのまま利用して、言い換えは極力しない方が無難です。
せっかくの名案も、採点者(=その後ろには事例企業の社長がいる)に伝わらなければ意味がありません
また、多面的な切り口を意識する余り、前段と後段の対応関係がよくわからない文章になってしまわないように注意が必要です。。

解答手順⑤ 答案を作成する

与件文の「課題」+不使用部の潰し込み、組み込み

与件文中の「問題(社長の悩み)」は必ず解決、「課題」は必ず達成に向けて方向付けます

与件読解の時点でマークをつけたものの、答案骨子に活かせず、使用できていない要素が残ってしまうことがあります。
骨子作成の時点で見切りをつけたならよいのですが、未練が残るような要素なのであれば、時間が許す限り、不使用部を潰し込み、組み込む努力をすることで、解答としての過不足感を解消していきます。
文章量のバランスが極端におかしいと感じるときは、何かが欠けているか、何かが余分だという証拠です。

他の受験生の解答や加点要素を意識してリスク抑制

せっかくの「診断報告書」だし、斬新な切り口やドンピシャなワードをぶち込んでアピールする・・・必要はありません!

「他の受験生ならこう書くだろうな」(=書かずに減点を回避
「なんかこの辺が匂うぞ」(=加点要素を盛り込む

そういう直感を大事にして、リスクを抑制します。
勉強会に参加すると、この辺の「相場観」みたいなものが身につきます
参加のハードルを高く感じるようなら、インターネットを活用して複数の答案を集め、横に並べて比較するだけでも見えてくるものがあります。

あくまでテクニックに過ぎませんので、「相場観」にこだわり過ぎると迷路に一直線です。
大事なことは、設問に正面から答えられているかどうか
診断士試験を「現代文の問題だ」と評する声を耳にしてきましたが、「聞かれたことに応え、書かれたことで判断」するためには、紛れもなく読解・表現能力が不可欠ということになります。

論理構成(事実・推論[根拠]・結論)を意識

与件文中の事実に基づいて根拠や推論を示し、結論にもっていくという流れを意識します。
こういうと堅苦しいのですが、

構文の主語が不一致にならないように気をつける

なるべく短文化して因果関係を明確にする

だけで出来栄えが変わってきます。
一文一文をしっかり句読点で句切るだけで、はるかに読みやすい答案が完成します。
「診断報告書」の出来上がりです。

今日のまとめ

① 設問から仮説を組み立て、与件に合わせて修正する
② 答案をストーリーラインに沿った「診断報告書」としてまとめる

【渾身! 論点シリーズ】についても引き続き、リクエストを募集中です!

以上、いけちゃんでした!
それでは、体調第一でお過ごしください。今日も一日頑張りましょう!


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