【中小企業診断士試験】2次試験対策:今知っておくべきこと part1

   お礼   

一発合格道場 オンライン春セミナー2020
4月4日(土)に無事開催できました
ご参加いただきましてどうもありがとうございました

         

twitterもよろしくお願いします。

おはようございます。
いけちゃんです。
(合格体験記はこちら、前回までの記事はこちら

前回の記事で2次試験に絡めた「中小企業政策」の記事を投稿するとお伝えしたのですが、予定を変更します。
オンライン春セミナー2020(開催報告:1次試験編2次試験編)で、事前配布した資料についてご説明できませんでしたので、内容を再編集してお届けできればと思います。
セミナー当日にお答えし切れなかった質問への回答も絡めながら、参加いただいた方にも、参加いただけなかった方にも、参考にしていただければ幸いです。

本日の記事は、1次試験前のこの時期に今知っておくべき2次試験対策のお話です。
私は1次試験前に2次試験対策を開始しておくことをオススメしていますが、「1次試験を合格する前に2次試験のことなんか考えられないよ・・・」というお気持ちもよくわかります。
ですから、まずは2次試験で出題される「事例企業に共通する方向性」をざっくりと確認しておき、「与件に忠実な解答を書くためには」何が必要なのかを探っておくだけでも有効かと思います。
この前提を理解しておくことで、今後2次試験対策を始める(=過去問と向かい合う)にあたって何をすればよいかが明確となり、学習効果を高めることが可能だと考えています。

本記事をお届けしたいのは、このような方々です。

① 2次試験対策をまだ始めていない方
② 2次試験の性質がいまひとつよくわからないという方

事例企業に共通する方向性

私はよく、奥さんと江の島方面に出かけて海を眺めに行きます(※現在は新型肺炎の感染対策で外出を控えています)。
多数のヨットがハーバーにひしめき合い、海に浮かんでいるのが見ていると、まるで一隻一隻が中小企業のようにも思えてきます。
以前、中小企業を「小型ヨット」にたとえた話を聞いたからでしょうか。

2次試験に出題される事例企業A~D社は、年度や事例によって規模にバラつきがあるものの(事例ⅡのB社は他の事例と比較して小規模なことが多い)、まさに中小企業の定義に合致する「小型ヨット」です。
「サーファー」(個人事業主)ほど個人芸の色彩は強くなく、他に乗員(従業員)もいて、小さいながらに組織としてのまとまりが必要です。
でも、「大型客船」(大企業)のように大人数の乗員を抱えているわけでもないし、最新鋭のエンジン(設備)を備えているわけでもありません

漕ぎ出していく海は凪いでいる時間は短く、常に波立っています
時に大波が寄せることもある大海を、「小型ヨット」が渡っていかなくてはいけないのです。

でも、なにも一隻だけで、一人だけで海を渡っていかなければいけないわけではありません。
頼もしい熟練の乗員(技能者)がいたりします(いなくなったら困るけど!)。
船団を組んで助け合いながら渡ってもいい(外部連携)し、羅針盤に頼ることも出来ます(中小企業診断士)

少々くどいかもしれませんが、前回の記事でも引用した「第1次試験案内・申込書」の科目設置の目的の一節を見ておきましょう。

中小企業診断士は、中小企業に対するコンサルタントとしての役割を期待されており、中小企業経営の特徴を踏まえて、経営分析や経営戦略の策定等の診断・助言を行う必要がある。
そこで、企業経営の実態や各種統計等により、経済・産業における中小企業の役割や位置づけを理解するとともに、中小企業の経営特質や経営における大企業との相違を把握する必要がある

ご存知かもしれませんが、中小企業診断士バッジは羅針盤がモチーフです。
中小企業が「小型ヨット」で、中小企業診断士が「羅針盤」、なかなかわかりやすい構図ですよね。

さて、「小型ヨット」が向かうべき方向性は、以下のように言い表せると思います。

自ら漕ぎ出し、これからも漕ぎ続ける(経営理念と経営方針)

船長(創業者)によって、「小型ヨット」はハーバーから自ら漕ぎ出しました。
そのときの想いを今も抱いているかもしれませんし、航海(経営)をしていく中で想いの変化もあったかもしれません
いずれにしても、船長の想いの結晶が経営理念だと思っています。

現実には、これらが言語化(明文化)されているケースばかりではないと思いますが、2次試験では必ず与件文の中から見出すことが出来ます
それは、この2次試験が紙上のコンサルティングだからです。
現在の船長は創業者ではなく、代替わりした経営者かもしれませんが、経営理念を元に、経営方針を策定している(したい)ハズです。

ここで、船長(経営者)の年代や生き方も、与件文にハッキリ書かれているとは限らないため、憶測や妄想は禁物ですが、解答にあたって念頭におくべき要素だと考えます。
たとえば、大手企業の技術者が地元にUターンして研究開発型企業を設立したなら、その「小型ヨット」は今後も研究開発を続けていくことでしょう。
また、研究開発をリードしてきた船長(経営者)の年齢が70歳を超えていたら、今後は組織的に研究開発が進めていけるように対策を打つでしょうし、後継者の育成も当然視野に入っていると考えるべきでしょう。

実際のコンサルティングの場でも、提案を受ける側がどのような背景を持っているか、詳細にリサーチして、なるべく「刺さる」ように提案すると思います。
相手が「大型客船」だったら有効な助言も、「小ヨット」では実現できないかもしれません。
与件文に記載のある範囲で経営者の想いを汲みながら、資源制約を踏まえて、この先も漕ぎ続けられるように伴走(解答)しましょう。

追い風に帆を上げる(強み×機会)

ヨットは、帆に風を受けることで推進力を獲得し、前に進んでいきます。

事例企業もまた、追い風(外部環境の変化)を利用して、経営していくのがよいでしょう。
そのためには風を捉える帆(内部資源)を、すぐに上げられるように準備しておく必要があります。
帆の内容は、現在は利用していない遊休資源かもしれないし、効率化によって生み出した余力かもしれません。

いずれにしても、強み (Strengths)を整理することなくして、機会(Opportunities)を捉えることは出来ません。
SWOT分析は、事例Ⅳも含む全ての事例において基本の手法だと言えます。

大事なことは、生き残り、成長を続けていくために追い風に帆を上げる(機会に強みをぶつける)ことです。

向かい風がきたら回れ右(脅威は回避)

船長(経営者)がいかに手練れで風を読む天才であっても、天候・風向きは一瞬にして変わることがあります。
それまで順風満帆で来ていても、あるとき突然向かい風(脅威)に変わってしまったら、当然ヨットは停滞か逆走する羽目に陥ります
酷い場合には転覆(倒産)のリスクに晒されることもあるでしょう。

そうしたときは、回れ右(発想転換)して向かい風を避け、追い風に変えます
航路を変えればいいだけかもしれませんし、他の工夫が必要かもしれません。
経営革新・改善なのか、新規事業開発なのか、それは与件から方向性を読み取る必要があります。

ここで、有名な冒険家の言葉を引用させていただきます。

状況は変わらなくても、向きを変えれば見え方が違ってくる
──白石康次郎さんの言葉 (ヨット世界一周を3度実現)

与件に忠実な解答を書くためには

2次試験が紙上のコンサルティングだとすれば、私たちが書いた診断・助言(報告書)を読む相手はどういう方でしょうか

答えはズバリ「採点者」です。
でも、解答内容は「出題者」の出題意図になるべく沿ったものが望まれているハズです(そうしないと採点できない)。
2次試験の学習における出題者とのコミュニケーション」という言葉、皆さん覚えてらっしゃいますでしょうか。
(参照:11代目ぴ。「【診断士2次試験】伝わる答案へ|コミュニケーションを意識する~前編~」)

そのために必要なこと、目指すべきことは何なのでしょうか。
事例企業の経営者が実在したとして、その報告書(答案)を見て、どう受け取めるかまで考えられたら最高です。
でも、それって簡単なことではないです。
だって実在しないし、会って話すことすら出来ないのですから。

実は、先輩たちの多くが語り継ぎ、今年の合格者の多くもポリシーに掲げていたであろう共通項があります。
それは「与件に忠実な解答を書く」ということ。
そのために心がけるべきことは何でしょうか。

制約条件を踏まえる

制約条件とは、形式的には解答内容を一定の幅に集束させるためのものですが、本質的には資源制約や経営者の想いを踏まえているのかという点にあります。

事例企業は、ヒト・モノ・カネ・情報という資源に制約があります。
例えば、足元でキャッシュ不足に陥っている企業に、無邪気に設備投資を勧めるのは酷ですよね。
未来のための投資ではありますが、足元の状況を改善することなしに勧められる選択肢ではないと思います(フェーズが違うということ)。
これは極端な例なので「当たり前じゃん」とお思いになるかもしれませんが、結構やりがち
実現可能性が高く、今すぐにでも実行出来る改善策を提案すべきです。

まずは事例企業の姿を思い浮かべられるように情報を整理し、80分という短い時間を有効に活用して、寄り添うことが求められています。
事例企業に親身に接して行動変容を引き出す、と言い換えることもできます。

1次知識で切り口を設定し、書かれたことで判断する

過去問を一度でも眺めたことがあればおわかりになると思いますが、切り口の設定の仕方は様々あるようにも一見思われます。
ですが、自分の経験が深い業種や領域の話であるほど、注意
2次試験は、1次知識の「応用」が問われていることを思い出す必要があります。

事例ごと頻繁に利用可能なキーワードは存在するものの、1次知識に基づく分析の上に立ってはじめて活きることになります。
キーワードありきで作成した解答では、的を外してしまう恐れさえあります。
キーワード採点で有名な『ふぞろいな合格答案』も、「合格答案を分析して抽出されたキーワードを覚えろ」なんて言ってるわけではなくて、「試験合格者や当時の受験生が考えついた切り口が何だったのか」というところまで踏み込んで分析すべき資料です。
その点で『ふぞろい』に勝る有力な資料は、今後も出てくることはないと思っています。
すでにAmazonで予約を開始しているようなので、まだ2次試験対策に手をつけていない方も、とりあえず確保しておくことをオススメします。
試験には合格しましたが、昨年度の2次試験についてもっと深く知りたいので、私も早速予約しちゃいました。
(参照:11代目かーな「中小企業診断士二次試験 「ふぞろい」どう使う?」)

本題に戻します。
ありがちなミスとしては、過去問で同じような問題が出たからと、実際は問われ方が変わっているのに、それを無視して無理やり使ってしまうことです。
与件文にない設定を妄想していて、参加した勉強会で他の方からご指摘をいただくまで、それに気づかなかったことがありました(反省)。

あくまでも与件文(書かれたこと)で判断しなければいけません
ちなみに、2次試験におけるNGについては以下の記事がよくまとまっているので、後ほどぜひご参照ください。
(参照:9代目Chika「2次試験、これを書いたらNG集」)

わかりやすい文章を書く

文章を書くうえで様々な方法論・テクニックが存在します。
その全てが「伝わる」ことを主眼に置いています
因果関係しかり、与件の言葉を使用することしかり・・・。
前提を共有しながら、採点者が理解できる文章にする必要があります。
聞かれたことに応えなければいけません。

「伝える」のではなく「伝わる」
「2次試験は国語の問題だ」なんてよく言われますが、口で言うほど簡単ではないですよね。
コミュニケーションの場で、こちらが想像もしない形で相手が受け止めていることなんて、日常茶飯事じゃないですか?
自分もあらためて心がけていきたいと思っています。

今日のまとめ

① 「小型ヨット」が大波を超えていくイメージを持とう
② 聞かれたことに応え、書かれたことで判断しよう

診断士として活躍されている先輩の美点は、相手の立場に配慮したコミュニケーションに優れていることだと拝察しています。

合格後に、多くの先輩診断士とお会いする機会に恵まれましたが、類まれなコミュニケーション能力を発揮して、多くの仲間(注:診断士に限らない)を巻き込みながら活動されています。
他の士業と比べてネットワークが充実した世界であることは合格前から知っていましたが、間近で実感して、尊敬の念を強めました。

顧客を獲得し、同志・仲間を増やすことが出来る診断士は、株式会社コーエーテクモゲームスが手掛ける歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」でいえば統率(人望)のパラメータがメチャメチャ高い軍師殿というイメージです。
伝わらない人には伝わらない悪例!絶対やっちゃダメなヤツ・・・!)

(※上記のイラストは豊臣秀吉の名軍師、黒田官兵衛だそうです)

次回は、私の解答手順を一例としてご紹介する予定です。
【渾身! 論点シリーズ】についても引き続き、リクエストを募集中です!

以上、いけちゃんでした!
それでは、体調第一でお過ごしください。今日も一日頑張りましょう!


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