2次試験の取り組み方について(前半) ~時系列を意識する~

 

 

なごです。

 
1次試験が終わり、2次の勉強は順調に進んでいるでしょうか。ほとんどの方が解き方のスタイルそのものが固まらず試行錯誤し、また自分の答えが正しいかわからず疑心暗鬼に陥っている、そんな状態ではないでしょうか。
「解き方は人それぞれ」多くの予備校講師や合格者が口をそろえて言う言葉に対し、「じゃあ一体どうしたら良いんだ」皆さんの叫びが聞こえて来るようです。

 

実は解法は一つです。

 

1 与件文を読み事例企業を把握する
2 設問文を読み質問事項を把握する
3 質問事項に該当するポイントを探す
4 字数制限に合わせて文章にまとめる
5 解答用紙に書く

 

当たり前すぎる内容です。こんな簡単なことを言ってすみません。そしてここから2つの作業を上記の5つの作業に付加します。

 

① 「ないじゅか」で作業を削る
②  弱点を補う作業を追加する

 

 

多くの人が教える「ボクの合格手法」「カンタン合格ノウハウ」は上記の作業を人なりに取り組んだ一事例に過ぎません。特に①、②の工程は自分の実力を鑑みながら進める必要があり、人によってはたくさん削れる項目があったり、むしろ人よりも時間をかけて取り組むべきことがあったりと対応がまちまちになります。そのため「解き方は人それぞれ」という言葉になるのです。

 

では簡単に上記の項目について順を追って見ていきましょう。

 

 

1 与件文を読み事例企業を把握する

 

事例企業は事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲで登場人物が違います。(事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを横串攻略 BYくれよん)。そして企業の説明がほぼ時系列で紹介してあります。例えばどの事例でもそうですが、創業して企業が成長、順調に規模を拡大するものの、外部環境の変化により苦境に立たされるというシナリオから始まります。
事例Ⅰでは社内の強みによって、事例Ⅱでは自社の強みや協力者の助けによって成功し苦境を脱出します。事例Ⅲは営業と製造とがうまく行かず、問題点が山積み…。外部環境の変化によって、乗り越えているか、まだグダグダなのかは事例によって、また年度の問題によって違いますが、おおむねストーリーは似ています。「起承転転」もしくは「起承承転」のような結論の無い(将来が書いていない)文章で終わることが多いです。

 

※ あと近年の与件文の傾向ですが、最初に創業から成長する企業の概要について話し、中盤で創業時のこと(平成26年事例Ⅰでいうと、社長が創業する前の話)を話し、最後に外部環境の変化を話すなどわざと順番を入れ替えるケースも散見されるようになってきました。例年、予備校等に試験が分析され問題集などが発売されているため、テクニック的なこととして時系列を若干ですが、いじっています。

 
ここで大切なのは時系列を意識できるかどうか、今書かれていることが、どの時期の話題なのかをきちんと把握することが大切です。
昨年(平成26年度)の事例Ⅰを題材に見てみましょう。

 

10年ほど中堅ガラス加工メーカーで勤務
1970年半ばに創業
単発的な仕事を一人でこなす
⇒ 精密ガラス加工技術の関連技術は広がる
⇒ 主力商品は技術革新や代替品の登場で育たず
レーザー用放電管の開発
⇒ 社長のアイディアで自社開発
⇒ 売上が大きく伸張する
理化学分析用試験管のOEM生産
⇒ 最初は良品率40%
⇒ 製造設備の内製化で良品率60%
⇒ 良品率が90%になる

 

 

ではこの中で、
工学博士号を取った人を採用した時
大学院卒の工学博士号取得見込み者を採用した時
中途採用者が課の課長に昇進した時
はいつだろう、と考えるわけです。

 

特に事例Ⅰでは人材の活用がキーワードになります。採用、配置、報酬、育成、評」の視点を「茶化」で覚えましょう、という過去記事もありますが、人材の活用が企業の発展に寄与している、そこを出題者は見つけてほしいわけです。今回の問題で行けば、「研究開発力の強化なくして事業の成長も存続も望めない」という社長の想いがあり、「顧問を務める関連分野の専門家である大学教授や研究機関の研究者からアドバイスを受けてきた」環境からさらに踏み込み「工学博士業を持った社員を5年前から採用し」始めたのですよね。5年前はこのA社にとってどんな時期だったのでしょうか。
「時系列を読む」そんな意識が企業を的確に把握するための大切な要因になります。

 
2 設問文を読み質問事項を把握する

設問文、これは言ってみれば「診断報告書の書き方指南」です。与件文に与えられた事例企業が成長する上でターニングポイントとなった部分や影響の大きい外部環境の変化について聞かれています。解答用紙の紙を見たら、設問文を読まなくても事例企業のおおまかな成長の流れについて分かる、そんな設問になっています。
そのためほぼ設問自体も時系列になっていますね。こちらも平成26年事例Ⅰを見てみましょう。

 

第1問 外部環境について
第2問 A社の創業時
第3問 ターニングポイント後
第4問 良品率が90%に改善した時
第5問 今後の管理施策

 

第1問が外部環境について聞いた後は、ほぼ時系列に質問が並んでいます。そのため上記に記載した通り、時系列で答えも構築していくことになります。

 

では時系列をもう少し深く見てみましょう。
理化学分析用試験管のOEM生産について
良品率が40%の時
良品率が60%の時
良品率が90%の時
この3つの違い、すぐに説明できますか

 

 

今回、第4問で聞かれているのは良品率が90%の時です。「製造設備を内製化した」「段階的に製造設備の改良・開発に取り組み始めた」のは60%に改善したタイミングですよね。そのため第4問で答えると当然ながら誤答となるわけです。それは皆さん、分かると思います。では「製造設備を内製化」する前はどのような状況だったのでしょう。「製造プロセスの多くの手作業」「外注した製造設備を使っていた」などの記述があります。私たちは変化後の状況については結構、着目するのですが、意外に変化前のデメリットについては意識が希薄になることがあります。
今回のケースで行けば、もしかしたら第2問で問われている「A社の主力製品に育たなかった理由」のうちの一つとして、上記のデメリットが使えるかもしれません。少なくとも検討はすべき要素であります。
時系列を意識するというのは、その変化のポイントとなる点を意識することは当然なのですが、変化前と変化後、特に変化前の状況についてはさらっと書かれていることの方が多いでしょうから注意深く意識することが大切になります

 
3 質問事項に該当するポイントを探す

 

設問文、とても分かりづらいですよね。指示語が多いし、どこを指しているのか分からないし、そもそも何を言っているのか分からない…。でも解答を作成していく必要があります。そんな時、ポイントとなる“単語”や“フレーズ”に敏感にことが80分という短い時間で試験に取り組むうえでは極めて重要な戦術となります。
ここでも平成26年事例Ⅰを題材に書いていきますね。

 
第1問 「その背景には」「経営環境の変化」
第1問は経営環境の変化、外部環境について聞かれていますよね。当たり前の事なのですが、意外にここでつまずくケースが多数。A社の事なのか一般的なことなのか、もしくは外部環境なのか内部環境なのか、意識しないと間違えます

 

 

第2~4問「理由」「課題」「要因」
第2問目からは王道の「理由」「課題」「要因」が聞かれています。その他にも「問題点」などの言い方になるときもありますね。この内容が聞かれた時の答え方、皆さんはきちんと区別していますか
他にも細かいところで言うと「述べよ」「挙げよ」の違いは分かりますか
特に「課題」については日常生活で使われる場合の「課題」の意味合いがぼやけていることもあり、間違えている方が多いのも事実です。診断士の中で使われる課題の意味合いは「あるべき姿とのギャップ」なんて言われることが多いですね。そのため否定的な言い方ではなく肯定的な言い方で使われます。
「事例Ⅰで点数が伸びない」というのが問題点であるのに対し、課題は「事例Ⅰで安定的に高得点を取れる学びを確立する」みたいな感じでしょうか。このあたりのニュアンスは意識して身に付けてください。

 

 

第3問「組織管理上の」
A社はどんな組織で運営されていましたか。機能別組織でしたね。機能別組織のメリット・デメリットはなんですか。そもそも機能別組織という単語が出てきた時点で、皆さんは飛びつきましたか?与件文に大きくマルを打ちましたか。
特に事例Ⅰは人事面を題材に扱っていますので、このあたりのキーワードには敏感になる必要があります。そして企業経営理論などで培われた知識も使いながら問題を読み解いていくのです。今回、設問文には「組織管理上の」と明記してあります。そのためこういうキーワードに反応して解答を作成していくことが合格への近道となります。

 

 

第5問「助言せよ」
最終問題に多い「助言せよ」。未来に向けた質問になります。問題文には多く語られていないことも多く、フリーハンドが要求されるような気がする設問になります。事例Ⅰの場合、人事系の話題が多いため、上記に記載した「茶化」などをイメージしながら書くケースも多いでしょう。また事例Ⅱ、Ⅲについては間違いなく問題文に回答に結びつきそうな「問題点」や「ビジネスチャンス」が盛り込まれていますから、フリーハンドでなく、与件文に基づく解答を構築することが大切です。

 

また助言系の問題で「俺の独創的な意見の方が解答として優れている」という意見を多く聞きます。一般的には「独創的な意見は点数が付かない」とも言われています。私も後者に同じ見解です。どうしてでしょうか。
事例企業には実在するモデル企業があと言われています。モデル企業が経てきたこれまでの成長のターニングポイントを抽象的に表現し、問題にしたのが2次試験であると思われます。その場合、実際に成長した実例があるわけですから、設問及び診断士協会が準備した模範解答も史実に沿った内容になっているでしょう。
とすると最後の助言についても現在のモデル企業の状況に類似している可能性が極めて高く、結構具体的な模範解答が存在すると考えられます。具体的な模範解答があるとすれば、その解答に誘導するような記述が与件文にあるはずです。このあたりは模範解答が発表されていないため個人的な私見に過ぎませんが、助言だったとしても、与件文をくまなく探し、助言のタネを探すことが肝要であると感じています。
とりあえず、ざっとポイントについてお話をしました。少し長くなってきましたので4番以降、また個人の裁量に左右される「ないじゅか」及び「弱点補強」についてはまた近日中に記事にしたいと思います。

 

 

なごでした。

 

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