経済:第一印象は生理的に嫌い!その後は…

JCです。
基本講義を受講し始めた頃の第一印象…さっぱりわからん。僕は基本的に予習派でした。基本講義の最中は通勤電車の中ではひたすらテキストを読みまくり、各科目で半分位終えた頃にはその科目のテキストを読み終わって、次の科目の予習に入るという行動をとっていました。経営・財務・運営と順調に予習の貯金がたまっていってたのですが、経済でつまずきました。所得効果と代替効果の項目に至ったところで、うむむ、なんじゃこりゃ?という状態になり、ギッフェン財に至っては19世紀のヨーロッパの牛肉とジャガイモの例を出されても全然理解できない。財務は仕事で経験してるし、経営・運営はそれなりに実例を考えて理解を進めることができたんですが、牛肉とジャガイモは実例としても全然分かんない…。ちょっと悩みましたね。

◆式で理解する~需要の価格弾力性◆
47年間(当時)も生きているのに、聞いたこともない言葉がたくさん出てきたのが経済でした。 『「なんとか」の「かんとか」弾力性』という言い方は経済学の論点では色んなところで出てきますよね。 
「かんとか」が1%変化するときに「なんとか」が何%変化
するかということを言いたいわけですが、それにしても「弾力性」という日本語はどうよpout、という腹立ちはいまだに鮮明に記憶しています。どうやら「Elasticity」という英語の訳ということのようですね。子供にせがまれて一緒に見たミスターインクレディブルという映画で、手足が自由に伸び縮みするチャーミングな奥さんはElasti-girlというヒーロー名でした。そうか、それがElasticity=弾力性なんだ!。価格が1%伸びると需要が何%伸び縮みするかみたいなイメージなんだ!!。でもそれを弾力性と訳した学者のセンスはどうも好きじゃないなぁ。訳語を決めた昔の経済学者に文句言いたい。dash
需要の価格弾力性は式で考えてみましょう。価格の変化に対する需要の変化ですので、式としては
-⊿D/D÷⊿P/Pとなります。これを展開すると-⊿D/⊿P×P/D さて、式の意味をじっくり考える癖をつけることは経済攻略の決め手です。まず、この式は需要曲線を表しているのではなく、あくまで需要曲線上の1点における需要の価格弾力性を示しているのだ、ということを明確に押さえることです。
下のグラフを見てみて下さい。普通は価格(P)が上昇すると需要は減りますよね。キャベツ1個が400円だったら買わないけど、100円だったら買いたくなる。下のグラフでは傾きの異なる2つの需要曲線があります。価格がPからP’に上昇することでもともとDに位置していた需要はD’1とD’2にそれぞれ動きますよね。この時に需要の減少幅はD’2の方が大きい。なので、傾きの緩やかな需要曲線の方が需要の価格弾力性は大きいことがわかるかと思います。

次にひとつの需要曲線上で需要の価格弾力性がどう変化するかを見てみましょう。
式は-⊿D/⊿P×P/Dでした。一本の同じ需要曲線上(曲線っていうのに直線なのはどうよ、という意見もあるでしょうけど、弾力性と同様に昔の経済学者に文句いいましょうね)にあるので、-⊿D/⊿Pという変化率は同じ直線上なので、常に一定です。だとすると残りのP/Dが位置によってどう変化するかを見てみましょう。ここでは下のグラフのP/DとP’/D’1を比較してみます。分母であるDはD’1より大きい分子であるPはP’より小さい。分母が大きく、分子が小さいということは絶対値としては必ず小さくなりますよね。
-⊿D/⊿Pは両者に共通ですので、
(-⊿D/⊿P)×P/D  (-⊿D/⊿P)×P’/D’1という関係が成立します。

一回腹に入れてしまえば、後は
複数の需要曲線の比較では「緩やかな方が需要の価格弾力性は大きく」
ひとつの需要曲線上での比較であれば、「左上が大きい」と瞬殺できるのではないでしょうか。

  ◆所得効果と代替効果~グラフで理解する◆

経済学って、そもそも普通に発生する物事をわざわざ理論的に説明する学問のようです
たとえば、物の価格が下がれば、みんなが買おうとする。ごくごく当たり前の事象です。これをわざわざ、価格が下がったために所得が上がったのと同等の効果だとする「所得効果」とY財に比べて、価格が下がったX財がより魅力的だから、そっちに乗り換えようとする「代替効果」に分けて分析する、そんなふうに当たり前と思っていることがなんで起こるかを突き詰めてゆくことが経済学の考え方なのかもしれません。
さて、下記のグラフは、もともと傾きの急な方の線でX財・Y財の需要曲線が成り立っていて点Rで無差別曲線と接している、すなわちXとYはR点の割合で買うことが一番ありがたいと考えていたものです。ところがX財の価格が下がったことで需要曲線は緩やかな方へ変わってしまいました。この際の無差別曲線は点Tで接しています。R点での割合よりも価格が変動したことで、T点の方がうれしくなっちゃったんです。このR⇒Tの価格効果を代替効果と所得効果に分解する方法はもう押さえていますでしょうか。簡単におさらいすると、新たな需要曲線に並行でもとの無差別曲線に接するような補助線(下記グラフの赤の点線)を引き、接点を点Sと名付けておきましょう。この時R~Sが代替効果、S~Tが所得効果です。なぜ?うーん難しいですね。僕は経済学者じゃないから。でも間違いを恐れずに僕なりにどう理解したかを説明すると、もとの無差別曲線がX財とY財のほしい割合をまとめていった軌跡です。そのほしい割合に合致する軌跡のどこかの点で、X財の価格が下落したことによる需要曲線の傾きの変化を勘案する(補助線と無差別曲線が接する)点はYからXに乗り換えちゃおうという気持ちの動きを示しています。残りの部分が価格の下落により、使えるお金が増えた(実質的な所得が増加した)所得効果を示しているというわけです。という風に僕は理解しました。

◆上級財・中級財・下級財◆
上級財と中級財、下級財の違いもηが0より大きい・イコール・小さいといわれてもピンときませんでした。下の3種類のグラフをちょっと見比べてみてください。

 

うえの種類のグラフは最初の需要曲線と無差別曲線およびX財の価格下落後の需要曲線はなんら変わりありません。ですので、赤の点線の補助線も3つのグラフともに同一です。なにが異なることによって上級財と中級財・下級財の違いが出てくるかというと、X財の価格下落後の無差別曲線です。X財の価格が下落したという事実によって、X財に対する欲しいという気持ちにどのような変化が生じる財なのか、です。上級財は代替効果だけでなく、実質的に所得が増えた所得効果も影響します。ちょっと余裕ができたから、よりX財が欲しいよねという性質を持っています。下級財はY財の変わりとしてX財を選ぶ代替効果が大きく、所得が増えた効果は逆にマイナスに働いてます。中級財は代替効果のみ影響し、所得効果の影響は見られない(η=0)という特殊な事例です。

◆ところでギッフェン財◆
冒頭の部分でギッフェン財って、さっぱりわからん!と思っていたと書きましたが、グラフで見ると目からうろこの定義付けだったんです。なんだそうだったんだ。

上で上・中・下級財の違いをグラフで見てみました。じゃあ、ギッフェン財をグラフにするとどんななのか、というと。
X財の価格下落による代替効果を代替で伸びた部分を超えて所得効果のマイナスが打ち消すことで価格が下落するにも関わらず、価格効果が発生しない、これまた特殊な財であるということができます。なので、代替効果を所得効果が打ち消す方向に働く下級財のさらに打ち消しが100%以上ということです。

◆予習の貯金◆

ということで、経済は他の科目に比べて時間をかけて理解してゆきました。そのためにそれまで貯まっていた予習の貯金は全て使い果たしてしまい、とりあえず経済の養成答練に向けて、全力を注いだんですよね。結果としてはすごく良かった。さっぱりわからん状態だったのが、経済は何とかなるという自信が生まれたんです。経済だけはテキストだけでは理解しにくかったので、新書bookのミクロ経済学・マクロ経済学を通勤時間で読むことで、相当理解は深まったと思います。当然ながら、これらの本は診断士の試験範囲を網羅したものではありませんので、過去問やスピ問も相当利用しました。経済はとにかく式とグラフで理解すること。これが大切ですね。世の中の森羅万象を式とグラフで説明するのが経済学なのかもしれないという禅の境地みたいな気持になりましたよ。

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経済:第一印象は生理的に嫌い!その後は…”へ6件のコメント

  1. JC より:

    山田です。様

    そうですね。H21の第17問は問題文だけえらく長くて、読み落としている部分がないか、ほんとに気になりましたね。経済も財務と同様に秒殺できる問題は結構埋め込まれていますので、山田さんのアドバイスのように出来る問題からさくさく進めちゃうのがお勧めですよね。

  2. 山田です。 より:

    昨年度の第17問は設問文に示されている公式に数値を代入すれば解けた問題でした。試験中にこんなに簡単でいいのかと頭がよぎり、文章確認を何度もしましたね。難しい問題ばかり出題されないことです。経済学は科目合格しましたが。

  3. JC より:

    hiroboxy様

    苦手意識を持たないで下さい。私の記事のタイトルは「第一印象は生理的に嫌い!その後は…」です。…を見てやって下さい。財務よりはるかに与しやすい相手だと思います。だた、第一印象が悪すぎるというだけです。診断士の試験科目のほとんどは覚えてしまえばなんとかなる、なんですよね。でも経済と財務はちょっと違う。だから、理解する方向へ自分を持っていかなきゃいけないんです。僕の記事は読んでいてわかりましたか?だとすれば大丈夫。論点はそれほど多いわけじゃないので、ひとつひとつ丁寧に理解を深めていってください。この科目は理解することで苦手から貯金に変わってゆくとおもいます。
    頑張ってくださいね。困ったらいつでも連絡を下さい。心から応援しています。JC

  4. hirobixy より:

    H19過去問を解いて愕然としてしまいましたが、
    合格率も低いので仕方ないのでしょうか。
    いつしか経済は一番苦手と思っていた財務よりも苦手意識が強くなってしまいました。
    「らくらく経済学」を読んで勉強しているのですが、本質的かつ体系的に理解が進んでいないようで、なかなか身についてきません。
    他の科目は仕事とか生活と結びつけて覚えればいいし、財務も問題をこなしてけば点数は伸びる。
    この科目はどうしたらいいのか悩み続けてます。
    60点は確保したいのですが。。。

  5. JC より:

    Kanaさん

    こんにちは。わかりやすかったですか?とっても嬉しいです!僕も受験生の頃、初めて経済のテキストを見た時にはあまりのわからなさに愕然としましたのでKanaさんと一緒です。自由貿易およびK%ルール等の僕らが「小ネタ」と呼んでいる問題は説明が長くなっちゃいそうなので、別途メールしますね。

  6. kana より:

    JCさん
    こんにちは!

    経済学は私にとって最も理解しがたい科目です(泣)
    2次には関係ない科目なので、他の科目に力を注ぎたいと思うのですが、かなり時間割いてます。。
    ブログ掲載の所得効果、とてもわかりやすかったです。

    過去問解いていて一番困っているのは、自由貿易(関税)の問題と、あまり力を入れて勉強しなかったローレンツ曲線やマーシャル・ラーナー、K%ルールなどの用語が出てくると、全く「???」って感じです(汗)。

    今週も、ブログ楽しみにしております!

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