【ゆるわだ】事業再生のススメ② by なつ

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みなさまこんにちは!
早いものでもう12月となり、今年も残すところあと1か月となりました☃️
この1年はあっという間だったなぁ…。漫才したり、コンカフェの経営に思いを馳せたり…(注:全てブログ内容に関連していますw)
みなさまも忙しくされて早く感じたのではないでしょうか。そんな本日はゆるりと事業再生のススメ②をお届けします☆
(注)個人的な見解がふんだんに盛り込まれていますが、道場の公式見解ではないです!
はじめに
事業再生のススメシリーズは3本立ての予定です!ラインナップは以下の通りです♪
★事業再生のススメ★
第1回 事業再生とは何か??求められていることって??→アップ済
第2回 現場で見た「再生のリアル」金融機関・経営者・支援者の葛藤→今回!
第3回 診断士として「再生」にどう向き合うか、未来へのヒント
第1回では、事業再生とは何か、という入り口と各支援機関をざっくりと紹介しました。概要が分かって、相談する窓口が分かればもう解決!…そう言いたいところですが、実はまだ入り口にも立てていません。
事業再生の局面では平時に比べて関係者の利害対立が顕著になり、混迷を極めることもよくあります。そのちょっとした例を以下に記載してみます。
とある会社の例
株式会社Aは水産加工業者です。現在の社長は3代目で、大手食品メーカーで経験を積んだのちに当社に入社し父親から社長を引き継ぎました。従業員は20名で、商流としては魚市場で仕入れた新鮮な魚介類を加工し複数のスーパーに納めています。現在社長は、自宅に両親(父親は前社長)・妻・子供(大学生)と暮らしており、金融機関からの借入に保証を差し入れています。
そんな中、ここ数年は気候変動に伴う不漁に見舞われ思うように仕入れが出来ず、売上が激減し営業赤字を連続して計上するようになってしまいました。

さて。こうなったときにA社を取り巻く関係者はどのようなことを考えるでしょうか。
「経営者としての社長」、「従業員」、「魚市場(仕入先)」、「スーパー(販売先)」、「金融機関」と「世帯主としての社長」の心の声をきいてみました。
魚市場からの仕入れは安く、スーパーへは値上げを依頼して利益を確保できないかなぁ。
売上が減っているしうちの会社はやっていけるのだろうか、給与は安定的にもらえるのかな。人手不足の昨今転職者優位だし、好条件での転職を考えておこうかな。
うちも苦しいから、存続のために値上げをしなければ。魚を納めても代金決済が出来ないと困るから、信用力のある取引先に買ってもらいたいな。
A社はどうやら業績が悪いらしい。スーパーの棚に商品が並べられないと店舗の魅力が減ってしまう。代替として安定的に商品を供給してくれる取引先を探さなければ!
営業黒字を計上できない会社は借入の返済が出来なくなるかもしれない。早めに融資を返済してもらっておくべきだ。
金融機関に保証を入れているから借入が返していけないとなると、自宅を差し出したりしなければいけないのかなぁ。子供は海外留学に行きたいといっているから役員報酬を削るのも難しいなぁ。。。
…いかがでしょうか。
各々の考えは間違っていませんが、残念ながら全ての望みを叶えることは出来そうにないです。こういったときに全体最適が何か、ということを考えて関係者にとって最も望ましい形に導いていくのが「事業再生」です。言葉で言うのは簡単ですが、これがとっても大変です。
「事業再生」をすることは関係者にとって良いことであると考えていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、その過程で痛み(≒損失)が発生する可能性が見えると途端に当事者の態度は硬化します。この当事者を「経営者」、「取引金融機関」と「支援専門家(中小企業診断士もここに含めます)」に分けてその葛藤について私見たっぷりでご紹介します!小説感覚でお読みください。
ステークホルダー①:経営者
「経営者」と聞くと、どのようなイメージを持っているでしょうか。一般的には会社のすべてを把握しており上手く舵取りが出来る人、とされていると思いますが必ずしもそうではありません。
中小企業診断士試験勉強の中で数々の事例企業と出会っておられる中で、お分かりの方も多いですよね。
経営者は業界の知識や人脈を有しているかもしれませんが、決算書の内容、どの商品・サービスが採算を確保しているのか/採算を割っているのか、や資金繰り状況を把握しているとは限りません。会社が儲かっているときはそれでも良いかもしれませんが、苦しくなってきたときにここが分かっていないと命取りになります。
ただ、経営者とは日々会社の代表として関係者と対峙しているため、「決算書の読み方が分からない」「採算管理の仕方が分からない」といった弱みを見せることに抵抗感を覚える方が多くいらっしゃいます。社外だけでなく、従業員にもそう言ったことは言い出せず、どうしたら良いか分からないままどんどん業績が悪くなっていく…そのような例をいくつも見てきました。
先代まで続いた会社経営に傷をつけてしまうかもしれないといった思いや、自分で大きくしてきた会社の経営権を失ってしまいかねないという懸念なども相談をしづらくなる大きな要因となっています。
後の項目とも関連しますが、経営者が金融機関借入に対して保証を入れていることも上記と深く関連していると考えています。金融機関は平時においては会社の良き相談相手となってくれることが多いです。工場の新設や海外への拠点拡大、販路開拓など、前向きな話を相談すると金融機関のネットワークを使ってさまざまな提案をしてくれるのです。ところが、業績が苦しくなり、金融機関あての返済が苦しくなってきた局面になると、金融機関はどうしても「融資回収」の方向へと舵を切ってくるため、経営者としては保証人としての責任が頭によぎるようになります。
先ほどの例にもありましたが、「高齢の母親と一緒に住んでいる自宅を売却しなければならなくなるかもしれない」、「個人としては自己破産をせざるを得ないかもしれない」、となると窮境にあることはなるべく金融機関に黙っておきたいとなるのは自然な流れです。これも個人的な統計ですが、業績が芳しくない会社の経営者は金融機関に対しての説明が上手で取り繕っている一方、本当に困っていることは隠している方が多いです。会社という主体から見ると背任行為だとか善管注意義務違反だとか言われるかもしれませんが、保証人としての立場を有する経営者は、必ずしも会社と利害関係が一致するわけではないのです。
ここで少し経験をシェアします。
上記の本音が言えない経営者が行ってしまうことの例として「粉飾決算(もしくは不適切会計)」が挙げられます。本当は営業赤字なのに黒字に見せたり、在庫が存在しないのに簿価を計上していたり。そう聞くと、「そんなのとんでもない!詐欺じゃないか!」と思いますよね。
本編のなかでも特にこの部分は主観の塊になりますが(くれぐれも話半分で読んでください)、私腹を肥やすために粉飾決算を行っているという例より、金融機関が融資をしてくれなくなる恐怖や取引先(大手取引先だと決算書の提出を求めることもよくあります)との関係を打ち切られてしまうことの恐れによって粉飾に手を染めてしまう例が多いと感じています。「次に利益が出たら元に戻そう」と最初は軽い気持ちで始めたものの、そう上手く利益が出ることはなく、粉飾に粉飾を重ねて自分でも実態が分からなくなってしまうのです。
とある社長が粉飾決算を全ての取引金融機関に謝罪する場面に立ち会ったことがあります。社長は涙ながらに、こうお話されました。
粉飾決算はすべて私1人で行いました、本当に申し訳ございません。ただ、従業員に一切罪はありません。ずっと誰にも言えず、いつかばれてしまうのではないかと不安で眠れない夜が続いていました。しかし、会社を再生させるには正直にみなさま(金融機関)にお伝えして許しを請うしかないと思いました。どうか事業と従業員の雇用を守るために協力をしてください。
確かに粉飾決算を行ったことは許されないことなのですが、「会社と従業員を守りたい」という思いが間違った方向にいってしまった結果なのだと感じると同時に、本音や悩んでいることを金融機関に伝えることのハードルがこんなにも高いのか、と少しショックを受けたことを記憶しています。
経営者の悩みや思いは想像よりはるかに複雑で、正論だけでは話を進められないという点を少しでも感じ取って頂ければ幸いです。
- 会社経営について困った時に誰に・どこに相談すればよいか分からない
- 従業員・取引先・金融機関に業績悪化が露呈するとさらに経営が傾いてしまうため隠さなければならない
- 先代から受け継いだ経営もしくは自身で起業した経営権を手放したくない
事業再生の相談をしてくださる経営者の方は上記のような葛藤を乗り越えて来ておられます。もし中小企業診断士としてお話を聞く機会がある場合には最大限のリスペクトをもって相談に乗っていただくようお願いします。
ステークホルダー②:金融機関
つぎに金融機関についてお話します。「金融機関」にはどのようなイメージがあるでしょうか。半●直▲とか、お堅いとか、金融のプロといったイメージがあるかもしれません。
こうしたイメージの一方で、事業再生の局面を経験したことがある人材がそれほど多くはないというのが実態です。
主に以下の流れと要因が関係していると言われています。
- バブル崩壊後の不良債権処理を最前線で行っていた職員(猛者)たちの定年
- バブル崩壊後においては、金融機関職員の多くが不良債権処理を経験しました。実際に自分が出した融資が「焦げ付く」という場面に直面したのです。金融機関自身の決算にも関わるため(金融機関は決算内容を開示しているため大損失が発生すると預金者からの信用が落ちてしまいます。)、数々の金融庁検査の対応に追われたり、会社の再生支援に奔走したり、融資マンとして本当に貴重な経験をされたものと思われます。
一例として、日本航空(JAL)の会社更生手続やそごうの民事再生手続などが挙げられます。現代の私たちにとってなくてはならない会社ですし、過去再生手続を通ったことを知らない人もいるかもしれませんね。当時のことについて上司や大先輩からお伺いすると、今では考えられないハードな交渉を日々されていたことに驚かされることばかりです。バブル崩壊はもちろん好ましくない事象ではありましたが、融資が焦げ付くとどうなるかを知った金融機関職員は、その後の新規融資でも極めて合理的な目線を持っていられたことは羨ましい限りです。そういった方々が段々と定年を迎えられて第一線から引退していく、という現象が少し前から始まりました。その後輩たちが続きづらかった理由が次の時代の流れに隠されています。

- 金融円滑化法の施行によるリスケ対応の長期化
- バブル処理も落ち着いた後にリーマンショックが発生し、2009年12月に金融円滑化法(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)が施行されました。目的としては、景気後退に苦しむ中小企業や住宅ローン借入の返済負担を軽減するために制定されました。物凄ーく平たく言うと、「金融機関のみなさま、返済を待ってあげましょうね!」と政府からお達しがあった訳です。みなさまも「リスケ」という言葉を使うかと思いますが、返済猶予=リスケを行うことに金融機関がこれまでなかった柔軟さで対応するようになったのです。
わたくしなつが金融機関に入社したときにもこの流れは続いており、「業績が苦しいのであればリスケをして支援をしよう。」という判断が下されることは珍しくありませんでした。ただ、金融機関あての返済をリスケしたからといって業績が上向くとは限りません。リスケはあくまで手段であって目的ではないのです。金融機関自体の決算が上向いてきたこともあり、前述のバブル崩壊後の戦場でどうすれば再生できるかを必死で考えてきた先輩方に比べて切羽詰まっておらず、「業績が苦しいならとりあえずリスケして様子見だ。それよりも抜本的な改善はしばらくしてから検討しよう。」という思考に流れてしまう案件が増えていきます。

- 金融機関を取り巻く外部環境の変化(統廃合)
- 人口減少や低金利に伴う「収益源」が減ってきたことに加えて他業界の例に漏れず人材不足に拍車がかかり、金融機関の業務環境は厳しくなってきています。減少しつつあるパイを取り合うよりも統合による本部コストの削減を図ることなどを目的として、金融機関同士の統合が加速しています。
(例)
2025年:青森銀行とみちのく銀行(青森)、愛知銀行と中京銀行(愛知)
2026年(予定):八十二銀行と長野銀行(長野)、福井銀行と福邦銀行(福井)
2027年(予定):荘内銀行と北都銀行(山形・秋田)、第四北越FGと群馬銀行(新潟・群馬)
冒頭で「収益源」と記載した通り、金融機関は収益に敏感になっています。融資や前向きな提案に関する営業活動は収益に繋がるため金融機関職員は積極的に関与しますが、事業再生施策を実行することは金融機関の「収益」にはならず業務としてリソースを割くインセンティブが相対的に小さくなっています。先ほどの経営者のパートでお伝えした通り、経営者自身が葛藤を抱えているので対応の時間も掛かり融資収益などにはならないため、残念ながら金融機関の中で事業再生の業務が花形部署にはなっているところは極めて少ないです。

もちろん金融機関の職員の方たちは、担当企業のことをよくご覧になっています。ただ、上記のような流れと要因があるため、中々踏み出せないという葛藤を抱えているのです。
- どうにかしたいが会社と膝を突き合わせながら再建計画を検討・実行した経験がない
- 「リスケ=返済猶予」こそが金融機関の支援であるとの認識が根付いている
- 事業再生分野に割けるリソースが極めて限られている
金融機関職員の方たち個々人の特性というよりも構造的に事業再生に意識が向きづらい環境にあるとご理解頂ければと思います。
ステークホルダー③:支援専門家
最後に支援専門家です。ここでは、弁護士・公認会計士・税理士や中小企業診断士の方々を想定します。「支援専門家」という言葉はさまざまな定義で用いられていますが、この記事では経営者の支援、債権者の支援を問わず事業再生案件に関わる全ての専門家として進めていきます。
ここまで経営者と金融機関についてみてきましたが、こういったステークホルダーたちをまとめ上げるのが支援専門家である士業やコンサルと言われる人々です。再生案件に関わる彼らにはどのような葛藤があると想像できるでしょうか。一例を以下に挙げてみます。

このようなジレンマがある中で、奮闘されている専門家の方々が多くいらっしゃいます。ありがたいことにわたくしなつ
はそういった専門家の方たちと仕事をご一緒してきました。事業再生局面におけるさまざまな利害関係者の考えや思いを尊重しながら、非常に泥臭くでもスマートに再生へと導いていく姿は本当にキラキラしていてカッコいいです✨
ひとつひとつの事例についても是非お伝えしたいところではあるのですが…情報管理的な問題もありますし、とてもブログには収まりきらないので雰囲気を感じていただけるものをご紹介します。
実は、倒産弁護士と言われる職業が取り上げられたドラマがありました。2019年のドラマで放送は終了していますが(どこかで見られるのであればわたしが知りたいです…!)、HPで概要を読むだけでも少し雰囲気が伝わると思います。書籍にもなっていますのでご興味がある方はぜひ手に取ってみてください!
URL:ドラマBiz「リーガル・ハート~いのちの再建弁護士~」

それぞれの立場では調整できるところに限りがあるのですが、「この会社の事業と雇用を守りたい」という共通の思いを持っている人間が各持ち場で最大限の力を発揮しつつ事業再生を成し遂げている、というが現場の実態です。所属の組織の中だけに対する内向き視点の仕事ではなく、事業再生マーケットの一員として奮闘することでその案件が無事に終わった後には関係者に何とも言えない連帯感が生まれます。この感覚は今のわたしの核となっているところでもあり、抽象的かつ長くなりましたがぜひみなさまにお伝えしたかったところでした!ここまでお付き合いくださった読者の方は本当にありがとうございます🙇
さいごに
先日、ふとカンブリア宮殿を見ていると、株式会社ルミネの社長/表輝幸さんがおっしゃっていた言葉が心に残りましたのでご紹介します(テレビ東京さんの番組の引用が続いていますが個人的な繋がりはないので悪しからず笑)。
日々の忙しさに追われてしまうと作業になってしまいがちですが、中小企業の経営を支えることを志す者として良い「仕事」をしたいものですね。
本日は以上です!また次回お会いしましょう!
明日はお休み。明後日はじょにーです☆
はーい☆みなさんは株主優待って活用していますか??
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ブログを読んでいるみなさんが合格しますように。
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