高得点者は与件文のどこに注目しているのか? byひでまる

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- 1. 与件文の読み方が変わる!インタラクティブ分析ツールで合格答案への思考を完全再現
- 1.1. このツールの5つの機能
- 1.1.1. 機能①:設問別ハイライト&表示切替機能
- 1.1.2. 機能②:複数根拠の可視化(グレー表示&タグ)
- 1.1.3. 機能③:答案構成要素ラベリング
- 1.1.4. 機能④:答案キーワード変換ツールチップ
- 1.1.5. 機能⑤:根拠分布ヒートマップ
- 1.2. ツール分析から見えてくる「事例ごとの特性と攻略法」
- 1.2.1. 事例Ⅰ:組織人事の複雑な因果関係を読み解く
- 1.2.2. 事例Ⅱ:設問文に隠された課題を起点に思考する
- 1.2.3. 事例Ⅲ:生産管理の知識をアンテナに情報をスキャニングする
- 1.3. 復習の効果を最大化する!このツールを使った効果的な学習法
- 2. Sランク答案の思考を可視化!
- 2.1. 令和6年度事例Ⅰ
- 2.2. 令和6年度事例Ⅱ
- 2.3. 令和6年度事例Ⅲ
- 3. まとめと今後
本日は「ひでまる」がお送りします。
今回も「プワァ~」と音が鳴る音符さんと一緒にお送りします!
よろしくお願いします!
プワァ~(今回は高得点者の頭の中を可視化!)
今回は「高得点者は与件文のどこに注目しているのか?」をテーマにお送りします。Sランク受験生の頭の中を分析しました。
与件文の読み方が変わる!インタラクティブ分析ツールで合格答案への思考を完全再現
中小企業診断士2次試験においては、与件文から適切な情報を抽出することが、何よりも重要な要素の一つです。A社・B社・C社…といった各社の事情を与件文から深く理解することで、いわゆる「ポエム答案」から脱却し、実効性のある助言が可能になります。
では、高得点者は与件文のどの部分を答案作成に活かしているのでしょうか。
そこで、本稿では高得点者の実際の再現答案をAIに分析させ、与件文のどの記述が答案に反映されているのかをインタラクティブに可視化するツールを開発しました。
このツールは、多くの受験生が抱える次のような悩みを解決するために作られています。
- 「時間はかかるのに、どこが重要なのか分からない」
- 「読んだはずなのに、設問に答える段階になると根拠を見つけられない」
- 「高得点者は、この長い文章からどうやって解答要素を抜き出しているのだろう?」
この記事では、この画期的な「インタラクティブ分析ツール」の機能と、それを活用した具体的な学習方法について徹底的に解説します。
このツールの5つの機能
この分析ツールは、単に与件文を読むだけでなく、「どう読むか」「どう思考するか」をサポートするための5つの主要な機能を搭載しています。
機能①:設問別ハイライト&表示切替機能
まず基本となるのが、設問の根拠となる箇所を可視化するハイライト機能です。
各設問(第1問、第2問…)に対応する根拠箇所が、与件文中で色分けされて表示されます。上部のチェックボックスを操作することで、特定の設問のハイライトだけを表示させたり、非表示にしたりすることが瞬時に可能です。
「この設問を解くためには、与件文のこの部分に着目すれば良いのか」という情報の取捨選択能力が鍛えられます。
与件文のどこを読んでいる時でも、「今読んでいるこの部分は、第2問に関係がありそうだ」と意識しながら読む訓練になります。
機能②:複数根拠の可視化(グレー表示&タグ)
「この文章、第1問の強みとしても使えるし、第3問でZ社に評価された理由にもなるな…」
与件文の多くの一文は、複数の設問に対する根拠となりえます。この「情報の多面性」を表現するのが、この機能です。複数の設問の根拠となる文章は、共通のグレー色でハイライトされます。そして、その直後にどの設問に関連するかを示す小さな色付きタグが表示されます。
機能③:答案構成要素ラベリング
与件文の情報をただ見つけるだけでなく、それが答案の「どのパーツ」になるのかを意識することが重要です。
各ハイライト箇所には、S:強み W:弱み 課題 施策 背景 といった、答案を構成するための要素ラベルが表示されます。
与件文を読みながら、無意識に「これは強みだからSだな」「これは解決すべき課題だな」と情報を分類・構造化する思考が身につきます。これにより、答案の骨子を素早く組み立てられるようになります。
機能④:答案キーワード変換ツールチップ
ハイライトされた文章にマウスカーソルを合わせると、ツールチップが表示されます。ここには、**「この与件文の事実が、高得点者の答案では、実際にどのような診断士の言葉(キーワード)に変換されているか」**が示されています。
診断士2次試験の本質は、与件文という生の情報を、「採点者に響くキーワード」に変換する作業です。このツールは、その思考プロセスをダイレクトに学ぶことができます。この変換を見ることで、「不満が出ている」という事実から、「士気向上」という課題解決の方向性まで、思考をジャンプさせる訓練ができます。
- 例
- 与件文:
創業時から人事処遇制度はほとんど変更がなされないままであり、処遇面で不満が出ている
- ツールチップ:
→ 答案では『公平な評価・報酬制度』の導入で『処遇面の不満を解消』し、『士気向上』を図る必要があると助言する。
- 与件文:
機能⑤:根拠分布ヒートマップ
「この設問、答えの根拠が与件文全体に散らばっていて難しいな…」 そんな問題の難易度や特性を“見える化”するのが、このヒートマップ機能です。
ツール上部の横長のバーが与件文全体を表しており、チェックを入れた設問の根拠が、与件文のどの位置に存在するかを色付きのマーカーで表示します。
マーカーが広範囲に散らばっている設問は、情報を統合する能力が問われる難問であると一目で分かります。
ツール分析から見えてくる「事例ごとの特性と攻略法」
このツールを使って令和6年度の事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを分析すると、それぞれの事例が持つ独特の「クセ」や、求められる思考プロセスの違いが明確に浮かび上がってきます。ここでは、各事例の分析から得られた具体的な示唆と、それに基づく攻略法を解説します。
~注意~
本記事は、実際の2次試験令和6年度の問題を分析します。そのため、まだ問題を解かれていない方にとってはネタバレになってしまうのでお気を付けください!
事例Ⅰ:組織人事の複雑な因果関係を読み解く
事例Ⅰは、企業の歴史に沿って記述されている与件文を見ながら、順番通りに各設問を解く、比較的オーソドックスな構成です。オーソドックスであるからこそ、試験後に「よくできた」と思っても、多くの受験生の解答水準が高く意外に点数が伸びないという事態が発生します。とはいえ、その中に隠された難易度のグラデーションが見えてきます。難易度の高い問題が、受験生の点数を分けているのでしょう。
● 第1問・第2問: 根拠が与件文の序盤〜中盤に集中しており、時系列に沿って素直に情報を整理すれば、解答要素を見つけやすい問題と言えます。企業の成長段階ごとの状況を正確に把握する力が問われます。
● 第3問: 根拠は中盤以降に集中していますが、単純な時系列追跡だけでは不十分です。Z社がA社を評価した理由を答えるためには、「X社との過去の取引実績」と「近年の長男のIT提案力」という、異なる時間軸の強みを組み合わせて考える必要があります。
● 第4問(設問1): 根拠が与件文の後半に広く分散しています。単純な時系列の情報整理だけではなく、「組織文化」「業務上の失敗」「キーパーソンの能力と課題」といった複数の異なる種類の情報を統合し、配置転換という打ち手の複合的な狙いを読み解く思考力が求められます。
● 第4問(設問2): 根拠が序盤から終盤まで与件文全体に散らばっています。序盤の「協力会の成り立ち」から、中盤の「首都圏事業部のノウハウ」、そして終盤の「人事処遇制度や人手不足といった経営課題」まで、全ての情報を統合して最適解を導き出す必要があり、本事例で最も総合的な思考力が問われる難問であると分析できます。
事例Ⅱ:設問文に隠された課題を起点に思考する
事例Ⅱはマーケティング・販売戦略がテーマであり、与件文の読み方も事例Ⅰとは異なります。
● 第1問 (SWOT分析): 根拠は与件文全体に分散しています。これは企業の全体像を把握する必要があるため、SWOT分析問題の典型的な特徴です。
● 第2問〜第4問: これらの設問の根拠は、与件文の中盤以降、特に3代目の具体的なアクションが書かれている部分に集中しています。過去の経緯よりも、現状を打開するための新しい取り組み(デザイナーズホテルへの提案、動画配信など)に解答のヒントが隠されています。
● 攻略の鍵は設問文: 事例Ⅱの最大の特徴は、解答の核となる「制約条件」「顧客の課題」「事業の目的」が与件文ではなく設問文に具体的に提示されている点です。例えば、第3問の「収納スペースがないし、捨てられない」という顧客の悩みは、この設問を解く上で絶対に見逃せない情報です。このことから、事例Ⅱでは「まず設問文を精読して課題とゴールを完璧に把握し、その解決策となるリソース(特に3代目の強み)を与件文から探しに行く」という読み方が極めて有効であると分析できます。
事例Ⅲ:生産管理の知識をアンテナに情報をスキャニングする
事例Ⅲは生産・技術がテーマであり、その難しさは根拠の散らばり方に起因します。
● 全設問の順番通りに根拠が配置されない: 最大の特長は、設問の順番と与件文における根拠の登場順が必ずしも一致しないことです。 第2問(工程改善)で対処すべき直接的な問題点である「製缶工程のボトルネック」は与件文の終盤に書かれていますが、その解決に使えるリソース(他工程の余力や技術者の存在)は中盤に記述されています。 第4問(原価管理)の問題点である「過去参考の見積」は中盤にありますが、その結果生じている「製缶工程の残業」は終盤に登場します。 第5問(新規事業)を成功させるための核となるC社の強み(社長の提案力)は、与件文の序盤に登場します。
このように根拠が散らばっているため、単純に読み進めるだけでは情報を見落とすリスクが高く、「全体像を把握したうえでの回答が求められる難問」と感じる要因です。
● 攻略の鍵は「テーマ別スキャニング」: 一方で、各設問は生産管理上の特定のテーマ(①強み、②工程改善、③生産統制、④原価管理、⑤新規事業)と明確にリンクしています。したがって、与件文を読む際に、「これはボトルネックの話だな(→第2問)」、「これは見積もりの課題だ(→第4問)」といったように、生産管理の知識フレームをアンテナとして情報をスキャニングできれば、効率的に情報を抽出し、設問と結びつけることが可能になります。事例Ⅲは、単なる読解力だけでなく、生産管理に関する体系的な知識を基に、与件文の情報を構造化する能力が強く問われる事例であると言えるでしょう。
復習の効果を最大化する!このツールを使った効果的な学習法
このツールの真価は、問題を解く前に見るのではなく、一度自力で解いた後の「復習」でこそ発揮されます。
【ステップ1】まずは自力で問題を解く:何よりもまず、時間を計って初見の問題を解いてみましょう。その際、自分が根拠だと考えた箇所に、実際に線を引いておくことが非常に重要です。これが、後の比較分析の元になります。
【ステップ2】答え合わせと初期復習:次に、『ふぞろいな合格答案』やAI添削サービスなどを活用して、自分の答案の方向性や点数を確認します。ここでの目的は、大まかな解答の方向性を把握することです。
【ステップ3】根拠の比較とギャップ分析:ここで初めて、この分析ツールを起動します。ツールで可視化された「高得点者が根拠とした箇所」と、「自分が実際に線を引いた箇所」を比較します。
- 高得点者が根拠としている箇所を、自分は見落としていなかったか?
この「思考のズレ」を客観的に認識することが、実力向上の第一歩です。そして、「見落としていた根拠」にマウスカーソルを合わせてみましょう。ツールチップには「与件文が答案でどのように表現されるか」が表示されます。なぜその根拠が重要だったのか、そしてそれがどのような診断士の言葉に「翻訳」されるべきだったのかを深く理解することで、点数に直結する与件文の読み方が身につきます。
Sランク答案の思考を可視化!
では、実際に可視化した与件文を見てみましょう!
令和6年度事例Ⅰ
令和6年度 事例Ⅰ 与件文分析レポート
根拠分布ヒートマップ(与件文)
凡例
- 第1問の根拠 (スカイブルー)
- 第2問の根拠 (ライトグリーン)
- 第3問の根拠 (イエロー)
- 第4問(1)の根拠 (ピンク)
- 第4問(2)の根拠 (ラベンダー)
- 複数の設問の根拠 (詳細は色付きタグで表示)
ハイライト表示切替
与件文における解答根拠の明示
A 社は、1975 年創業の物流サービス企業で、従業員数は 120 名、売上高は 30 億円である。創業者はトラック 1 台から事業を立ち上げた。地元での地道な経営が功を奏し、徐々に売上高を伸ばし、トラック台数を増やすとともに営業所を開設した。しかし、A 社が創業当時、営業区域が規制により限られており、1 顧客にトラック 1 台(貸切り)で対応する必要があった。他の荷主との混載ができなかったため、積載効率が悪く収益性が低かった。また、当時の主要顧客は中小零細の事業者であり、長期的な契約ではなくスポット取引が中心であり、取扱品の種類も顧客によってさまざまであった。
創業後 10 年が経過する頃、取扱量が急速に増加したことに伴い、A 社では、それに対応するため、2 カ所目の営業所を設置した。さらに、自社保有のトラックでは取扱量に対応できなかったため、協力企業に輸送業務を委託することにした。A 社では、自社でトラック運転手を雇用する運送部を設置するとともに、地域の小規模トラック運送企業をメンバーとする協力会を組織して対応した。創業経営者は、この協力会の運営を、この頃 A 社に入社した非一族の経営幹部に任せることにした。
1990 年に参入規制が緩和されたことにより、新規参入事業者が急増し、価格競争が激化した。A 社では、料金の値下げ要請や新たなライバルの出現の影響を受け、取引量が減少した。そのため A 社では、地元顧客のニーズにきめ細かく対応することで、価格競争を避け地元密着型の質の高い輸送サービスを志向した。A 社は協力会事業者の参加条件を定め、条件に適合するメンバーのみに輸送業務を委託する仕組みを構築した。A 社の経営幹部は、地元特有の荷主のニーズを収集するとともに、その情報を協力会の事業者間で共有することで、地元の生産者や食品卸などの多様な荷主からの信頼を獲得した。A 社は、地域物流のコーディネーターとしての役割を果たし、協力会事業者との連携関係を築いた。
2000 年に、A 社は倉庫管理事業に参入した。A 社の近隣地域に中小製造業が立地し、倉庫保管ニーズの高まりを見せていた。この頃、競合の物流事業者も相次いで物流拠点を建設したが、荷主からの仕分け作業を行う輸送拠点に過ぎず保管機能を持っていなかった。それに対して、A 社では自社で倉庫を保有し、流通加工や適切な温度・湿度で管理するサービスを提供したことで、地元顧客のニーズに対応することができた。一方で組織に関しては、旧態依然の管理体質が温存されていた。
同じ頃、県内で食品スーパーを展開する X 社から引き合いがあり、A 社の倉庫を拠点にして X 社の各店舗への輸送業務を長期契約で請負うことになった。A 社にとって、企業の物流機能の一部を担う初めての経験となった。A 社は、X 社との取引を通じて、入荷・ピッキング・梱包・仕分けや温度管理といった一連の保管業務や流通加工の能力を高めた。一方、物流取扱量の増加に伴い、紙の伝票管理など受注管理面において非効率が生じていた。元々、創業経営者は地元密着型の営業方針であったことから、A 社に入社した従業員たちも地元志向が強かった。また、この頃の A 社は既存顧客との関係が強い反面、顧客の新規開拓力が弱かった。
他方、2010 年頃、県外との輸送の引き合いが増加してきた。そのような中、大手物流企業で物流企画部門や営業部門を経験してきた創業経営者の長女から A 社に入社したい意向が示された。長女は、首都圏での物流需要に可能性を見出していた。創業経営者は、長女をプロジェクトリーダーに任命し、若手社員 1 名、首都圏での新規採用社員 1 名とともにプロジェクトチームを組織させて新市場開拓を担わせた。
プロジェクトチームは、当初スポット取引で首都圏の荷主企業より物流企画業務を少しずつ受託していった。2011 年に、プロジェクトチームは解散し首都圏事業部として再出発することになった(本社の運送部と倉庫部は県内事業部として発足)。首都圏事業部は、企業の物流業務の一部を受託し、トラック車両や倉庫を保有せず、首都圏の運送事業者や倉庫事業者を外部委託先としてコーディネートしてサービスを提供する業務を始めた。その結果、長女と同窓であった外食チェーン Y 社の経営者から案件を受託した。Y 社との取引を通じて、首都圏事業部は、受注処理の効率化や各店舗の在庫管理のノウハウを蓄積することができた。他方、県内事業部との業務の連携は、ほとんどなされていない状況であった。
2020 年に、長女が 2 代目経営者に就任した。しかし、長女が事業部長を務めた首都圏事業部と異なり、県内事業部は年功序列的で古い慣習が残る組織体質であった。そのため、長女は、古くからいる経営幹部に県内事業部のマネジメントを一任していた。
この時期、受注管理や在庫管理の高度化が要請されるようになった。従来、首都圏事業部では、情報システム構築や保守は外注していたが、情報システム自体が汎用品であり、コストが高い割に首都圏事業部の物流ノウハウに適合しないこともあった。2 代目は、大手情報システム会社で物流システム構築に従事していた長男を A 社に呼び戻した。首都圏事業部にて新たに情報システム部を設立し、入社早々の長男を部長に任命するなど異例の抜擢を行った。さらに、長男の要望に基づいてプロパーの専門職を数名雇用した。
首都圏事業部は、比較的小さな組織であったため、2 代目と長男との間でさまざまな意思決定がなされた。長男は、やや独断的な面もあったが、持ち前の物流システム提案力を活かし、首都圏企業向けに営業を展開した。近年、首都圏で展開する大手スーパー Z 社から県内進出に当たっての案件が A 社に持ち込まれた。ただし、取引が始ると、各店舗の適正在庫管理や機動的な商品補充がA社県内事業部で対応できていないなどの問題が顕在化し、Z 社からの物流業務の受託は部分的なものにとどまった。
2024 年、A 社では創業経営者の助言に基づいて配置転換を行った。経営幹部が専務取締役として2代目経営者を支える体制とした2代目の長男を経営幹部の直下の運送部と倉庫部の統括マネージャーに配置する体制をとった。
一方で、A 社を取り巻く課題もいくつか生じてきている。第 1 に、大手物流企業を中心とする3PL事業者との競争が激化してきたことである。2 つ目には、首都圏事業部において「物流の 2024 年問題」を背景に外部委託先の運送事業者の人手不足の問題が深刻化してきたことである。3 つ目には、創業時から人事処遇制度はほとんど変更がなされないままであり、処遇面で不満が出ていることである。また、今後、物流の多様化や複雑化への対応が事業者にとって急務になっている。
2 代目経営者は、今後、A 社が 3PL 事業者として事業展開を行う上で、中小企業診断士に相談を求めている。
設問文における解答根拠の明示
第 1 問(配点 20 点)
A 社の2000 年当時における⒜ 強みと ⒝ 弱みについて、それぞれ 30 字以内で答えよ。
第 2 問(配点 20 点)
なぜ、A 社は、首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また、長女(後の 2 代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100 字以内で答えよ。
第 3 問(配点 20 点)
なぜ、Z 社は A 社に案件を持ちかけたのか。100 字以内で答えよ。
第 4 問(配点 40 点)
今後、A 社が 3PL 事業者となるための事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問 1)
2024 年の創業経営者の助言による配置転換の狙いは何か。80 字以内で答えよ。
(設問 2)
A 社が Z 社との取引関係を強化していくために必要な施策を、100 字以内で助言せよ。
令和6年度事例Ⅱ
令和6年度 事例Ⅱ 与件文分析レポート
根拠分布ヒートマップ(与件文)
凡例
- 第1問の根拠 (スカイブルー)
- 第2問の根拠 (ライトグリーン)
- 第3問の根拠 (イエロー)
- 第4問の根拠 (ピンク)
- 複数の設問の根拠 (詳細は色付きタグで表示)
ハイライト表示切替
与件文における解答根拠の明示
B 社は 1953 年に創業し、資本金 700 万円、従業者数 12 人(パート・アルバイト含む)で、皿や茶碗など陶磁器の卸売業者である。現在は初代の息子が 2 代目社長を務めているが、初代の孫を 3 代目社長予定者(以下、3 代目)として家業に呼び戻し、6 年が経ったところである。3 代目は現在 35 歳であるが、陶磁器にも家業にも興味がなかったことから高校卒業後に地元を離れ、ファッション業界で働いていた。
B 社が所在する X 市は古くから為政者によって陶磁器の産業化が図られており、陶磁器の産地として知られる。X 市は自然環境に恵まれているが、大消費地からもそれほど離れていない。そのため、この地域の陶磁器は、芸術品としてよりも日用品として生産されてきた歴史が長く、地域の名前を冠した「X 焼」という呼称で流通してきた。B 社の取扱商品のほとんどはこの X 焼である。
国内の多くの地域における陶磁器と同様に、X 焼の生産は分業制によって行われる。その生産体制は、陶石から陶土を作る「陶土屋」、陶磁器の石膏型を作る「型屋」、型から生地を作る「生地屋」、生地を焼いて絵付けをする「窯元」などからなる。X 市には昔からこれらの事業者が集積し、地場産業を形成してきた。
X 市の窯元数は、江戸時代の 2 ~ 3 軒から明治期に 20 軒、最盛期の 1980 年代には 100 軒強に増え、最近でも 50 軒ほど存在する。ただし、その内実には大きな変化が生じている。1980 年代は一窯元当たり 10 ~ 20 人の陶工(陶磁器の製作者)を抱えていたのに対し、今日では一窯元当たり 1 ~ 2 人と零細になっているからである。多くの窯元が担う X 焼は図柄や色彩面で決まりを設けず、新しい作風を受け入れる土壌がある。このため、X 市にはクリエイター志望の移住者が窯元を開くケースが見られる。
X 市には、こうした新規参入の窯元と歴史的に徐々に規模を縮小してきた窯元が混在している。窯元が零細化した影響は、川上に当たる陶土屋や型屋、生地屋にも及ぶ。B 社はいわゆる産地問屋と呼ばれる卸売業者である。その事業内容は、X 市にある複数の窯元から陶磁器を集めて大消費地の陶磁器卸売業者に販売したり、百貨店やインテリアショップなど小売業のバイヤーや法人などの買い手からの注文をとりまとめて窯元に伝えたり、問屋オリジナル商品を企画して窯元に生産委託することである。また、問屋ではあるが、地元では自前の店舗を構え、業者のみならず一般の消費者向けにも販売を行っている。
B 社の経営も時代の波を受けてきた。創業期には景気の好転と高度経済成長を背景に、X 焼を販売しているだけで事業を拡大することができた。1960 年代以降は、プラスチックの普及や日本の食卓における和食率の低下といったライフスタイルの変化はあったものの、結婚式の引き出物や法人の贈答品需要の増加に支えられて成長できた。1970 ~ 1980 年代には、他の地域の陶磁器卸売業者と組んで、北米向け輸出にも積極的に取り組んだ。ところが、1990 年代に入ると内需不振とともに、安価な外国製陶磁器の輸入が増加し始めた。同じ時期には 100 円ショップが台頭し、安価かつデザイン性に富んだ外国製陶磁器を消費者が容易に購入できる環境ができあがった。高齢化と人口減少が進む社会では、陶磁器の新規需要も買い替え需要も拡大が見込めない。B 社の経営状態も 1990 年代半ば以降、徐々に低迷し始め、2000 年代からは悪化の一途をたどった。B 社と同じような産地問屋は、最盛期には X 市に 11 社ほどあったが減少し、今は B 社を含め 4 社である。
X 市では、1960 年代から大型連休に X 焼の陶磁器祭りを開催している。この祭り期間は自由に出入りできる窯元もあるほか、産地問屋や窯元が仮設の露店を構え、消費者に直接販売を行う。現在では幅広い年齢層の食器愛好家が 20 万人前後集まる大規模なイベントになった。しかし、最近では産地問屋が少なくなったことから X 焼に関する社会全般への情報発信が滞り、販路が細っている。窯元がオンラインで自らの商品をアピールすることも可能だが、規模が零細であり、生産活動も行う傍ら、頻繁な商品情報の更新を行うのは至難の業だ。
6 年前、3 代目は、手の打ちようがなくなった父親から「会社を助けてほしい」と懇願されて地元に戻った。実家に戻ったあいさつを兼ねて、3 代目はすぐさま地元窯元の商品や自社オリジナル商品のサンプルを持って大消費地の陶磁器卸売業者へ営業に出向いた。そこには似たようなデザインの陶磁器がすでにあり、「新鮮味もないし、安くもない」と一刀両断の扱いを受けた。
失意の 3 代目であったが、その直後、ファッション業界での経験を買われ、地元で新規開業するデザイナーズホテルの仕事に加わった。そのホテルは 1 日限定 5 組で全室に温泉をしつらえ、和とアジアンテイストを融合したプライベート感あふれる空間を提供し、地元食材を中心とした食事にもこだわることをコンセプトとしていた。3 代目がここで使われるオリジナルの食器の担当を任されて企画し、地元の窯元に生産を委託したところ、その食器はホテルの経営者や宿泊客から高い評価を得た。3 代目は、ホテルの料理長との綿密な打ち合わせを重ね、盛り付け映えや写真映えを考え抜き、季節感や月ごとに変わる料理内容に合わせた色や形の食器を提案し続けた。この取引自体は小規模だったが、旅行の雑誌やウェブサイトなどに取り上げられたホテルの情報を見て、3 代目の元には別の宿泊施設や飲食店からオリジナル食器の提案依頼が入り始めた。かつて地元を出て行った 3 代目が今までなかったようなセンスを持ち込んで X 焼と向き合う真剣な姿に、窯元をはじめ、この地で地場産業に携わってきた人々も温かい態度で接するようになった。3 代目が B 社をこの路線で立て直せるかもしれないと思い始めた矢先、コロナ禍に見舞われた。
新たな挑戦の可能性をコロナ禍に阻まれた 3 代目は落胆し、自社の存在感をアピールするためにオンラインを活用する方法について中小企業診断士に相談した結果、3 代目は、オンライン動画サイトに掲載するコンテンツをとりあえず 2 本作った。1 本目は、家庭料理でも見違えるほどおいしそうに見える食器への盛り付け方を紹介する動画を作った。すると思いの外、再生回数が伸び、コロナ禍で家庭に関心を向けるようになった若者と見られる視聴者や海外の人々から、驚きや感動を表すコメントが書き込まれた。2 本目は、X 市の郷土料理と X 焼を紹介する動画にした。X 市には、あぶじっくり炙った食材を地元の発酵調味料と混ぜ合わせて食べる郷土料理がある。3 代目はこの動画で、B 社オリジナルの陶磁器を直接ガスコンロに乗せればこの料理が家庭でも簡単に作れると実演して見せた。動画公開後の B 社には、旅先で食べたこの味わいを自宅で再現したいという視聴者からの問い合わせが相次いだ。
自分のセンスが間違っていないと確信した 3 代目は、オリジナルの X 焼の企画と市内の窯元への生産委託を地道に続け、X 焼の地位向上のために尽力すると決めた。まず、古びた自社店舗を建て直し、明るく開放感のあるスタイリッシュな空間に切り替えたほか、自社の扱う X 焼で軽食を提供するカフェスペースも併設した。長らく会社を取り仕切ってきた 2 代目社長は、事業内容が卸売業であることから、自社ホームページには会社概要と主要取引金融機関や大口取引先の記載さえあればよいと考えていた。しかし、動画の反響を通してオンラインの有用性を痛感した 3 代目は、ホームページをリニューアルし、自社が扱う X 焼を販売する EC サイトを開設することにした。
設問文における解答根拠の明示
第 1 問(配点 20 点)
B 社の現状について、SWOT 分析をせよ。各要素について ① ~ ④ の解答欄にそれぞれ 40 字以内で説明すること。
第 2 問(配点 25 点)
X 市は、ふるさと納税の返礼品として X 焼を活用したいと考えている。現在でも市の返礼品の中に X 焼はあるが、全国の返礼品の中で埋もれている状態にある。3 代目は、X 市から「返礼品の中でもっと目立ち、市と X 焼のファンを増やすような返礼品の企画を考えてほしい」と依頼を受けた。ブランド価値構造のうち、消費者にもたらす感覚価値と観念価値を意識して、返礼品の企画を 100 字以内で提案せよ。
第 3 問(配点 25 点)
X 焼には窯元それぞれの魅力があるため、3 代目は、消費者がいろいろな窯元の陶磁器を手にとれる機会をつくりたいと思っている。しかし、陶磁器祭りで接客をしていると、「あれもこれも欲しいが、家にはもうたくさんの食器がある。収納スペースがないし、今あるものも捨てられない」と購入をためらう食器愛好家の声をよく耳にする。3 代目は、自社や窯元の事業機会拡大を図る一方、こうした食器愛好家のニーズを充足する新規事業を手がけたいと考えている。どのような事業内容にすべきか、100 字以内で提案せよ。
第 4 問(配点 30 点)
EC サイトの新規顧客は増えたが、3 代目は顧客の顔を直接見ながら販売できない寂しさも感じ始めた。3 代目は、今後は、X 市の地元で開く店舗と EC サイトの両方を利用する顧客を増やしていきたいと考えるようになった。B 社にはどのような施策が必要か、150 字以内で具体的に提案せよ。
令和6年度事例Ⅲ
令和6年度 事例Ⅲ 与件文分析レポート
根拠分布ヒートマップ(与件文)
凡例
- 第1問の根拠 (スカイブルー)
- 第2問の根拠 (ライトグリーン)
- 第3問の根拠 (イエロー)
- 第4問の根拠 (ピンク)
- 第5問の根拠 (ティール)
- 複数の設問の根拠 (詳細は色付きタグで表示)
ハイライト表示切替
与件文における解答根拠の明示
【企業概要】
C 社は、資本金 5,000 万円、従業員 70 名、年商約 14 億円の搬送機器製造業である。会社組織は、総務部、設計部、製造部、営業部で構成されている。搬送機器とは、工場や物流倉庫などで製品・商品や資材などを工程間、設備間で移動させる機器であり、コンベヤ式や昇降式、パイプライン式など、移動する対象の形状や大きさ、移動方法に合わせたさまざまな形態のものがある。
C 社は、工作機械メーカーや物流機器メーカーが設計、製造、据え付けする加工機械などの工場設備や、自動仕分け機などの物流設備に組み込まれるローラコンベヤやベルトコンベヤを受託生産している。
C 社社長は、工作機械メーカー X 社で、搬送機器を含む工場設備レイアウト設計を担当し、工場の生産性を高めることを顧客に提案してきた。その経験を生かして 2011 年に C 社を設立した。設立当初は賃貸工場で中古機械を活用し、X 社が設計するコンベヤの特注品の受託生産からスタートした。その後、C 社社長の搬送機能についての有効な提案を受けられることもあり、X 社以外の工作機械メーカーや物流機器メーカーの特注品受託生産も獲得するようになった。
受注量の増加に対応するため、工業団地に用地を取得して NC 加工機などの生産設備を導入するとともに、設計要員や製造要員などの技術者を中心に採用し生産拡大を図ってきた。現在の取引先企業数は、工作機械メーカー 5 社、物流機器メーカー 3 社であり、そのうちX 社からの受注金額が多く全体の 6 割を超えている。
X 社では、見込生産の搬送機器を中国企業に生産委託していたが、近年現地生産コストが上昇し、さらにコロナ禍以降納品が不安定な状態になったため、生産を国内に移管したことから、C 社の受注量は近年さらに増加傾向にある。
【受注、設計のプロセス】
受注窓口の営業部に引き合いがあると、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面を確認して、見積書を作成し、顧客企業との価格交渉を経て契約をする。見積金額は、過去に製造した搬送機器の契約金額を参考に、営業部員が材料費と社内加工費、その他の経費を合計して算出し、最終契約金額も含め営業部長が決裁している。
最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは一応行われているものの、契約金額は現状のコスト高には対応できていない。契約後、営業部は、受注番号を付与して受注管理システムに受注情報を入力し、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面を設計部に引き渡す。受注番号は、製造部では製造番号として使われる。
営業部が受注情報を入力すると、設計部では製品仕様書および製品図面に基づいて製作図面を作図し、部品構成表を作成する。部品構成表はデジタルデータとして、製造部での材料と外注品の発注、在庫管理に活用されている。
【生産の現状】
製造部は、生産管理課、資材管理課、機械加工課、製缶課、組立課で構成されている。C 社が製造するコンベヤ製品は、ローラやベルトからなる搬送体、搬送体を回転させるモーターを含む駆動部、搬送体と駆動部を支えるフレームの 3 つの構造体によって構成されている。これらの構造体については、フレームは主に製缶課で、駆動部および搬送体の加工は機械加工課で内製化されており、その他の外注部品やモーターなどの購入品を加えた最終の組立を組立課が行っている。
設計部で製作図面が完成すると、生産管理課で必要とする各製造工程の工数計画を立て、顧客要求納期を基準として製造番号ごとの大日程計画を策定し、製造部各課に調達指示、生産指示を出す。その大日程計画と設計部で作成された部品構成表に従って、資材管理課では必要材料と外注品の発注を行い在庫管理をする。
機械加工課、製缶課、組立課の製造工程では、生産管理課で作成される大日程計画に準じて製造を行うが、詳細の進捗管理など生産統制は製造部長以下、製造部各課長が参加して週 1 回週末に開催される生産会議で調整される。生産会議では、各製造番号の作業進捗状況の確認、各製造番号の材料や外注品の納品状況の確認などを行い、次週 1 週間の各工程の週次日程計画表を作成する。週次日程計画表の各作業の工数見積もりは、製造部各課長の経験を基に作成されている。また、顧客からの設計変更や納期変更などが生じた場合など、生産会議には必要に応じて設計担当者が参加し、変更内容を周知して作業順序などの確認を行う。
近年受注量が増加し、顧客から納期の短縮を要請されることもあり、大日程計画や週次日程計画などの工程管理の混乱が生じている。現在は何とか納期を確保できているが、今後この傾向が顕著になった場合、現在の管理では納期遅延が生じる恐れがあり、製造部では IT 利用も図りながらその対応を検討している。
生産工程では、製缶工程(製缶課)の残業や休日出勤が多く、納期対応のため週次日程計画表の変更が常態化している。前工程の機械加工工程(機械加工課)や後工程の組立工程(組立課)では、不適合品発生などの特別な場合を除き残業や休日出勤は生じていない。
製造完了後は製造部で最終検査を行い、顧客企業が指定する場所に納品し、据付は顧客企業が行う。据付後のメンテナンスについては顧客企業が行うが、X 社の場合は C 社の営業部が担当している。
設問文における解答根拠の明示
第 1 問(配点 20 点)
C 社の強みを 80 字以内で述べよ。
第 2 問(配点 20 点)
コロナ禍以降増加傾向にある受注量に対応するため、C 社製造部では工程改善によって生産能力の向上を図る検討を進めている。どのように工程改善を進めるべきか、100 字以内で助言せよ。
第 3 問(配点 20 点)
C 社では、受注量の増加や納期短縮要請などの影響で製造部の工程管理が混乱している。どのように工程管理業務を改善するべきか、その進め方を 100 字以内で助言せよ。
第 4 問(配点 20 点)
C 社の顧客企業との契約金額は、最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは行われているものの、現状のコスト高には対応できていない。今後、顧客企業と価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策を 120 字以内で助言せよ。
第 5 問(配点 20 点)
C 社社長は、小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業と直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大したいと考えている。この新しい事業展開を成功させるにはどのように推進するべきか、120 字以内で助言せよ。
まとめと今後
今後、もしご要望があれば他の年度や事例についても、同様の分析ツールを作成します。もしご希望があればお気軽にお知らせください。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
明日の担当はだいだいです!
桃鉄診断士の秘策が登場するのかな…?お楽しみに!!!
レッツゴ~!
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