診断士と事業再生 ~事業再生の事例~ by s.t.o
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お疲れ様です!
地方受験生の味方、s.t.oです!
本日は事業再生シリーズ第3弾!
実在する企業の事業再生事例を紹介します。
事業再生シリーズはこちらから。
最終章 ~診断士と事業再生~
3 事業再生の事例 ←今回はコチラ!!
(改めて)事業再生とは
改めて事業再生について説明します。
事業再生とは
広い意味で言うと、経営難に陥った会社を立て直すこと。
厳密に言うと『会社の再生』ではなく『事業の再生』。つまり、会社の事業を立て直すこと。
それでは本日のテーマ「事業再生の事例」について話していきます。
事業再生事例
今回は、日本政策金融公庫の再生支援事例集から、診断士試験の知識とも関連のありそうな事例を選びました。
※事例の内容は、簡略化して説明するために若干変更しています。
第二会社方式による事業再生
第二会社方式は前回のブログで紹介した事業再生の方法と関連性の高いものです。
第二会社方式とは
第二会社方式とは、経営不振に陥っている企業から収益性の高い事業のみを他の会社(第二会社)に移転したうえで、不採算事業・過剰債務が残された旧会社を特別清算する事業再生手法の1つです。
企業の概要
・20店舗以上の飲食店を運営。
・ショッピングセンターやサービスエリア内に出店しており、地域での知名度は高い。
・新規出店を積極的に推進し事業拡大してきましたが、収益が想定を下回り、経営が悪化。
事業再生の概要
・日本政策金融公庫とメインバンクが社長に抜本的再生支援の必要性を説明し、公的再生支援機関のもとで事業再生を開始。
・事業再生手続きを通じて、再生計画の策定や経営再建支援をしてくれるスポンサーを見つけることができ、第二会社に事業譲渡を実施。
・その結果、新会社にて事業の存続及び雇用を維持することができた。
まずは社長に事業再生の必要性を理解してもらうことが大事。
再生計画の策定時には中小企業診断士が活躍することもあります!
DDSによる事業再生
次はDDSを活用した事例です。
DDSとは
DDSは、Debt Debt Swap(デット・デット・スワップ)の略です。
Debtは債務、Swapは交換という意味で、DDSは債務の種類を劣後ローンに交換することを意味します。劣後ローンとは、返済の優先順位が低い債務のことです。
債権者にとっては、返済期間に余裕が生まれるため、株主資本に近いものとして扱われます。
企業の概要
・従業員150人規模の水産加工製造業者。
・製品は高い知名度を得ている。
・しかし、前社長時代に立て続けに出店を行った結果、客足が伸びず、経営が悪化。
事業再生の概要
・当社の状況を調査したところ、事業再生には老朽化した設備の更新による生産体制の改善が必要と発覚。しかし、当社に資金はなく、融資ができる経営状況ではなかった。
・そこで、日本政策金融公庫はDDSを実施。他の金融機関も金利の減免(金利の引き下げ)を行い、当社のキャッシュフローが改善。
・その結果、当社は設備投資の資金の融資を受けることができ、事業再生に向けて動き出すことができた。
多くの場合、金融機関は返済の猶予により企業を支援します。
他の金融機関よりも返済を劣後させるDDSは、より踏み込んだ支援と言えるでしょう。
DESによる事業再生
DDSとDESの違いは押さえておきましょう。
DESとは
DESは、Debt Equity Swap(デット・エクイティ・スワップ)の略です。
Equityは株式、Swapは交換という意味で、DESは債務を株式に交換することを意味します。
先ほどのDDSは、返済は劣後されますが貸借対照表上で負債として残り続けます。
一方、DESは、貸借対照表上で負債が純資産に変わります。
その結果、①自己資本比率の改善、②金利負担減少によるキャッシュフローの改善が図られ、金融機関からの評価が高まります。
債権者としては、株主になることから、一定の議決権を保有できます。
企業の概要
・従業員40人規模の衣料品製造業者。大手量販店に販売。
・取引先からの製品の評価は高く、順調に事業を拡大してきた。
・しかし、海外での生産コストの上昇や競争の激化により、徐々に経営が悪化し、借入金の返済が困難な状況となった。
事業再生の概要
・事業再生には大幅な債務超過の解消が必要であり、日本政策金融公庫とメインバンクがDESによる支援を実施。その他の金融機関も債権放棄を行い、当社の財務内容は改善。
・その結果、再生ファンドから運転資金の出資を受け、事業再生に向けて動き出すことができました。
債務超過の解消にはDDSよりもDESの方が有効です。
一方、金融機関としては、返済がより劣後となるためDESの方がデメリットが大きいです。そのため、必要性の検証が大事になります。
DESの必要性を金融機関に説明するために経営者のサポートをするのも中小企業診断士の重要な役割ですね。
まとめ
今回の事例では、地域で有名な企業が事業拡大を行う中で、上手くいかなくなったものが多かったですね。
コロナが原因で業績が悪化した企業は多いですが、直前に事業拡大を行っているとコストが増加するため、より大きな影響を受けてしまいます。
今回の事例のように、事業再生において中小企業診断士が求められる場面は多いと思います。
私も事業再生について勉強中です。
皆さんも一緒に勉強していきましょう!
おまけ
まさに今進められている大企業の事業再生について紹介します。
私の地元・岡山県のベネッセHD(ホールディングス)の事例です。
企業の概要
・ベネッセHDは、「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」などを展開する教育業界の最大手企業。
・少子化の進展により10年前と比較して小学生~高校生の会員数は4割減少。連結営業利益も46%減少している。
事業再生の概要
・ヨーロッパの投資ファンド「EQT」が特別目的会社(SPC)を設立。TOBなどによりベネッセHDの約83%の株を取得。
・さらに、TOB完了後、MBO(経営陣が参加する買収)により特別目的会社に出資することで4割の株を取得する(議決権は5割)。
・上記により期待される効果は以下の通り。
①株式市場非上場とすることで、市場圧力を緩和し、事業再生を進めやすくする。
②ヨーロッパの投資ファンド「EQT」のデジタルノウハウや海外ネットワークを活用できる。
特別目的会社(SPC)とは
特別目的会社とは証券を発行する目的で設立される会社で、ペーパーカンパニーの一種です。
英語にすると、Special Purpose Company(スペシャル・パーパス・カンパニー)となり略してSPCとなります。
資産を売却して資金を得るのではなく、資産を証券に換えることができるため相対的に負債を減少させることができ、財務の改善が図られます。
TOB(株式公開買付)とは
TOBは、Take Over Bid(テイク・オーバー・ビッド)の略です。
Take Overは企業の取得、Bidは入札という意味で、入札による企業の取得、つまり株式公開買付で企業を買収することを意味します。
TOBには友好的TOBと敵対的TOBがあります。
友好的TOBとは、買収する側の提案に買収される企業が同意して行われます。
一方、敵対的TOBは買収する側の提案に買収される企業が提案しない場合に行われます。この時、買収される企業は、何かしらの買収防衛策を取ります。
MBO(経営陣による買収)とは
MBOは、Management Buyout(マネジメント・バイアウト)の略で、経営陣による買収を意味します。
MBOはM&Aの一種で、経営体制の見直しや上場廃止などを目的に行われます。
買収資金は金融機関や投資ファンドから調達するのが一般的です。
今回出てきた単語は診断士試験でも重要ですよ。
TOB来年の2月に行われる予定なので、今後どのように事業再生が図られるのか注目していきましょう。
次回予告
次回は事業再生の資格について紹介したいと思います。
さいごに
明日はおのDとはっしーによるコラボ企画です。
Let’s スタD!!
やっほー!
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