二次を意識して読む白書!中小企業白書トレンド分析 byはっしー
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はじめに
早速ですがみなさん
中小企業白書読んでますかー!?
白書といえば一次試験対策と思われがちですが、今回は目線を変えて二次試験対策と白書についての記事です。
二次試験の解答の方向性にモヤモヤしてる方、二次試験の事例や出題の空気感をなんとなく把握したい方に向けて、二次試験を見据えた切り口で白書について分析していこうと思います。
今は一次試験の勉強中だという方も、白書や政策の勉強のモチベーションにつなげていただけたら幸いです。
※なお本記事では二次試験の出題についても分析しているので、演習のために過去問を見ずにとっておきたい方は読み飛ばしを推奨します。
二次試験の概略や攻略法についてはおのDのこちらの記事がおすすめです。
中小企業白書とは?
毎年中小企業庁から発行されている中小企業の動向や政府の施策のレポートです。
令和5年の中小企業経営・政策の試験は2022年版から出題になります。(今年度一次試験を受験する方は2023年版を勉強しないよう注意!)
一次試験の中小企業経営・政策に向けた白書の勉強については先日のさや姉の記事がわかりやすいのでぜひご参照ください。
二次試験で白書知識に救われた話
私自身は、一次試験前に白書をかなり読み込んでいました。
試験範囲だからということもありますが、ノウハウのない自分は中小企業支援に関わる知識や常識は白書で得るしかなかったからです。
また、私の二次試験の結果は合計240点で、自分にとって二次試験は一点も落とせない試験でした。
事例4で生産性に関わる財務指標を書くことができたのは、白書を読み込んでいてその指標を何度も目にしていたことで解答を絞り出せたからです。
他の事例でも「国としては中小企業支援においてこういうことをしたいんだろうな」となんとなくのイメージを持っておくことで、迷った時の解答に繋がったと思います。
そこで私が実感した持論は
ゼロベース受験生にとって白書知識は二次試験にも有効!!
ということです。
中小企業白書トレンド分析の趣旨
そこで今回はこの持論に基づき、二次試験の事例や出題論点と中小企業白書の内容の関連性について解析していきます。
また、二次試験も白書も近年の中小企業の実態に即して書かれているため、トレンド(流行)があると言えます。
過去5年分の二次試験と白書で共通して取り上げられたトピックを解析して、二次試験のトレンドをご紹介していきます!
!!!二次試験過去問ネタバレ注意!!!
次の項目ではH30年からR4年の二次試験過去問の解析を行なっています。
これから前知識なしで二次試験の近年の過去問を解きたい方は下のボタンでスキップを推奨します。
スキップ後の項目でも二次試験のトレンドについて分析していますので、完全にまっさらな状態で過去問に挑戦したい方は挑戦後に本記事をお読みいただきますようお願いいたします。
二次試験と白書の共通トピック比較!
それでは、過去5年分の白書の二次試験の共通トピックを比較していきましょう!
なお、各年度の試験問題と出題の趣旨、白書の概略を参照して私の独断で抜粋とカテゴリー分けしておりますので、何卒ご容赦いたければと存じます。
(スマホでご覧になっている方は右にスクロールすると続きが見られます。)
H30 | R1 | R2 | R3 | R4 | |
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白書トピック | 1. 経営者の高齢化や人材不足の深刻化 2. 親事業者との適正な取引を普及定着 3. 小規模な企業ほど女性やシニアなど多様な人材を積極的に活用 4. 人材不足対応として外部経営資源の活用が有効 5. 多様な人材を活用中の企業は職場環境改善を推進 6. 人材不足下で業績を伸ばす企業は省力化、IT導入、アウトソーシング等活用 | 1. 下請中小企業と親事業者の適正取引の普及定着 2. 設備投資やIT導入は業務プロセス見直しと併せることで効果増大 3. 人手不足状況下で、多くの業種で多能工化・兼任化の取組が進展 4. IT導入効果向上のため業務領域間や企業間でのデータ連携が重要 5. 生産性向上につながる前向きな投資が必要 6. M&Aはシナジーにより生産性を高めうる | 1. 事業承継税制による親族内承継支援措置の前進、親族外承継も重要 2. 新経営者による新事業展開への期待、経営資源の引継ぎによる部分的事業承継 3. データ活用による業務効率化や売上増への取組み要 4. ニーズ多様化に対するオープン・イノベーションの必要性(大企業との研究開発の連携) 5. 人口減少下の地方は域外の需要取込みが課題(インバウンド需要への対応) | 1. 経営者高齢化や後継者不足のため黒字企業も多数廃業、経営資源(技術や従業員)の次世代経営者への引継ぎ要 2. 新製品・サービス開発による差別化で付加価値増大 3. 外部の技術やノウハウの活用は新技術開発や製品・サービス創出のきっかけに 4. 人材への投資に取り組むことで生産性伸長の可能性 5. 付加価値向上のためには優位性の顧客へ発信、価格競争からの脱却、取引条件の改善が重要 6. 小規模事業者は地域の課題解決や高齢者や女性が長く働ける場を提供 | 1. コロナ禍のニーズ変化に応じた新事業分野進出や事業見直しの実施の重要性 2. 事業環境の複雑化に対し外部の経営資源を活用 3. 海外需要獲得にはECが有効、販路開拓や顧客との関係づくりにオンラインツールを活用 4. 経営者高齢化や感染症の影響により高利益企業も廃業、経営資源活用が必要 5. 地域とのつながりが強い事業者はコロナ禍でも売上維持、SDGsの取組は持続可能な地域づくりにも関係 |
事例1 | 1. ニッチ市場を対象にした研究開発型企業 2. 売上増>人員増…労働生産性の成長率が高い 3. 中途採用、福利厚生制度の充実 | 1. コアテクノロジーの定義→新規事業開発の体制強化 2. 若手経営者(親族と経営業務を分担) 3. ホームページ活用(ニーズ収集により経営戦略に活用) | 1. 若手経営者(経営承継の準備期間あり)、血縁関係者外からの役員抜擢 2. 友好的買収による老舗ブランドの事業継続 3. 中途採用、地元学生や主婦、女性人材の活用 4. 事務処理の情報システム化 | 1. 高付加価値分野への経営資源の再配分 2. 先代経営者からの事業承継、後継経営者の新規事業 3. 差別化や新規事業と既存事業とのシナジー効果 4. 協力企業とのネットワークの構築(外部とサプライチェーンを構築) | 1. 人材の採用と定着、雇用の需給調整、人材難への対応 2. 主要取引先との関係の強化と新分野の探索 3. 食品加工、飲食店への事業展開(域外の需要取込み) 4. 次世代経営体制(他業界のノウハウを持った親族)への移行プロセス |
事例2 | 1. インターネット戦略や口コミの活用 2. インバウンド需要の取り込み、地域資源活用、SNS映え 3. 新たなプロモーション戦略に積極的な若手経営者 | 1. 女性経営者(ネイルサロン) 2. 町内会や商店街のイベントなど地域との結びつき 3. インスタントメッセンジャーを活用したコミュニケーション戦略 | 1. 大手からの受託製品開発・生産 2. 地域資源の活用、地方の活性化 3. 自社ブランドの開発、顧客志向の価値創造 4. 自社HPでの顧客との相互コミュニケーション(顧客ロイヤルティ向上) | 1. 地元産の原料にこだわった豆腐作り 2. PB受託→失注→事業譲渡 3. フランチャイズを活用した販路拡大 4. インスタントメッセンジャーと電話での受注、顧客を招待するイベントを開催 | 1. 地域課題(コロナ禍でのインバウンド需要減)の解決、商品戦略と流通戦略 2. 成長事業を強化するためのターゲティング戦略 3. 新規市場参入への取引関係の構築、商品戦略、コミュニケーション戦略 |
事例3 | 1. 海外生産品との競争 2. 生産管理のIT化 3. 立地環境や経営資源を活かした付加価値向上 4. 短納期化、小ロット化、多品種少量化、ジャストインタイム | 1. ベテラン技術者のノウハウに品質が依存 2. 発注元との受発注データの電子共有に伴う社内での生産管理の見直し 3. 人材採用難により新規採用は最小限、教育を強化 4. 後工程引取方式への対応 | 1. 納期遅延に対する営業面と製造面での課題 2. 納期遅延に対するIT活用 3. 多角化戦略、高付加価値製品事業の拡大 | 1. メーカーから加工の一部を下請け 2. 高価格帯の自社ブランド製品の企画・開発、販売、アフターケア 3. 小ロット受注対応のため在庫保有 4. 熟練職人の高齢化により若手の育成要 | 1. 生産プロセスの短納期化、発注の小ロット化 2. 生産リードタイム短縮のためのデジタル化と社内対応 3. ベテラン技術者の高齢化と若手の育成検討 4. 大手のOEM生産(安価なPB製品から高価格品への展開) |
事例4 | 1. 吸収合併(M&A)、ジューデリジェンス 2. 協力個人事業主への業務委託による事業展開 3. 事業譲渡によるサポート事業へ進出 | 1. 事業部ごとの原価計算(多角化企業の全体最適) 2. 戦略的意思決定会計(新規事業開拓のための投資) 3. EDI(電子データ交換)を用いた取引先との受発注、在庫情報の共有 | 1. 買収事業の将来性、リスクの判断(高齢化により拡張軌道にある事業) 2. 投下資本営業利益率による部門業績評価(部分最適のリスク) 3. 地域に根ざしたサービス、地域貢献事業への多角化 4. ソフトウエア導入による顧客満足度、売上の向上 | 1. 設備導入による顧客満足度向上、人件費削減(設備更新投資判断) 2. 自治体との共同事業の自社ブランド開発による新規事業展開 3. 不採算事業の企業価値への短期的/長期的な影響 | 1. 外注の妥当性を考慮した内外製区分の検討 2. シナジーの働く商品、成長市場への多角化(工場拡張投資の検討) 3. 海外取引への事業展開とリスクマネジメント |
【主要トピック】
- 人的資源管理、採用難、技術者の高齢化
- 後継者不足、若手経営者支援
- 多角化、事業継続、M&Aの推進
- 地域とのつながり、地域資源の活用
- 対象市場の選定、ポジショニング、外部経営資源の活用、大手企業との取引
- 顧客とのコミュニケーション戦略、販路開拓
- デジタル化、IT導入
- 生産性向上、付加価値の向上
- 生産管理に関わる課題
二次試験&白書トレンド分析
前項で挙げた共通トピックをもとに二次試験と白書のトレンドについて分析していきます。
どれも奥深い内容なので全て書き切ることはできませんが、「経営資源」「外部環境」「生産性向上」の3つの方向性に分けて簡潔にまとめました。
経営資源に関するトピック
人手不足や従業員の高齢化に関するトピックは白書や事例1、3で継続的に取り上げられています。
中小企業においても、人への投資、多様な人材や雇用体制の活用、働き方改革が求められていることが読み取れます。
生産の現場においても若手への技術承継が求められています。
また、経営者の高齢化や後継者不足の問題も継続的に白書で取り上げれており、事業承継のマッチングや税制の優遇などの措置も取られています。
後継者不足により黒字の企業が多く廃業していることは白書でかねてより問題視されており、既存企業の経営資源をいかに次世代に引き継いでいくかが課題になっています。
実際に二次試験の事例では、近年事業承継を行なった、もしくは承継予定の企業が多いです。
事例1では事業承継に関わる経営戦略や社内体制に対する助言について継続的に問われています。
他には、強みを活かした新事業展開によるシナジー効果についても継続的に取り上げられているので、事例企業の強みは何か意識しながら与件文を読む癖をつけておくといいでしょう。
経営資源に関しては人的資源、特に高齢化や人手不足への対策についてがトレンドの模様!
また次世代への事業承継や新事業展開については事例1の定番トピックです
外部環境に関するトピック
多角化や事業継続、経営資源の引継ぎに関するトピックも継続的に白書で取り上げられています
そのための手段としてのM&Aや外部との提携も事例企業で多く実施されています。
大手企業との取引適正化については下請法などの法整備も促進されており、二次試験でも大手企業との取引における経営戦略に関した出題があります。
地域との関係性も重要トピックだと言えます。
地域の活性化や地域資源を活用したインバウンドや域外需要の取込みなどのトピックは事例2で継続的に取り上げられています。
販路開拓については、オンラインツールの活用や顧客との相互関係の構築に関する出題が続いています。
大企業との下請け関係は定番トピック!M&Aや外部提携も促進されており要注目です!
また中小企業と地域との関係性は見落とせません
販路開拓は新しいコミュニケーションツールに関わる出題もあるので注視しておくといいでしょう
デジタル化や生産性向上に関するトピック
デジタル化については、IT導入に伴う業務プロセスの改善や企業や部門の垣根を超えたデータ共有が重要視されています。
主な出題は事例3がほとんどですが、事例1や事例4でも触れられたことがあるので注意が必要です。
また、設備投資での効率化による生産性の向上も継続的にトピックとして挙がっています。
付加価値の向上に関しては、自社ブランドや高価格帯製品開発による差別化が事例にまたがって出題されています。
単にITツールを導入するだけでなく社内プロセスの改善、データ共有等の活用手段について問われています!
また効率化や高付加価値製品・サービスによる付加価値の向上・生産性改善も注目トピックです!
※生産管理に関わるトピックについて
白書の概略では直接的に大きく取り上げれてはいないようですが事例3で毎年問われています。
(本文では製造業の生産に関わる統計も多数取り扱われています。)
数年前はトヨタ式生産方式についての出題が続いていましたが、以前から継続して短納期化や小ロット化への対応がトレンドのようです。
前述のトピックや一次の運営管理の知識を組み合わせて記述できるようにしておくといいでしょう。
最後に
今回は中小企業白書と二次試験の共通トピックについて解析していきました。
正直なところ、白書も二次試験も奥が深すぎてこの記事だけでは触れきれていないところが多々あると思います。
中小企業支援についてもっと詳しいことが知りたい方は、経済産業省・中小企業庁のこちらのサイトで検索できるので参考にしてみてください。
なお、ミラサポPlusでは8項目(販路開拓、設備投資、IT化、資金繰り、人材、知的財産、起業・創業、事業承継、災害対応、情報収集)で中小企業の課題をカテゴライズしています。
深追いしすぎる必要はないと思いますが、書きづらい論点に関しては実際の支援を知ることで解答の参考になると思います。(あくまで与件ファーストは忘れずに!)
今回の記事をきっかけに中小企業支援の雰囲気を掴むことで、二次試験の答練をする上での方向性の参考に少しでもなれば幸いです。
明日はひろしが道場でよく見かける『あのワード』について教えてくれるそうです!
春セミナーに参加される方にもおすすめの記事です!お楽しみに!
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