20%の真実(前編) ~n_kenさんの未合格体験記

はじめまして、2010年度の診断士試験を受験しましたn_kenと申します。

年齢:26歳
職種:中小企業のマーケティング部門勤務
資格を目指した理由:父親が経営者であったため、経営に関する基礎知識を習得するには中小企業診断士の資格は最適であると判断したためです。また、私と同様の立場の方に対して、診断士として活動することで円滑な経営承継の力になりたいという思いから受験を決定しました。
受験結果:1次472点2次BBBAのB

今回はご縁あって一発合格道場様に寄稿させていただくこととなりました。残念ながら今回の試験は二次試験不合格という結果でした。しかし、私の経験や反省が、皆様の合格可能性向上に寄与できればと思い、筆を執らさせていただきます。今回のテーマは、不合格という結果を踏まえた上で、「私に足りなかったものは何か」という点を確認していきます。そして、「更に合格可能性を高めるためには何が必要だったのか」を検証したいと思います。
 

 ■合格可能性は、「相対的な位置づけ」と「そのバラツキ」■

まずは、「私に足りなかったものは何か」を検証するため、受験時点の私の状態を確認していきたいと思います。そもそも、二次試験に合格するにはどのような状態になっている必要があるのでしょうか。私は、合格可能性を

(1)平均得点能力
(2)得点のバラツキ度合い

の2つだと考えています。

私が言う平均得点能力とは、4事例総得点の平均値が、相対的にどの辺りに分布するかということです。例えば、自分の4事例総得点が平均して上位10%に分布するとしたら、それが平均得点能力となります。

一方の得点のバラツキ度合いとは、自身の平均得点能力が、それぞれの試験ごとにどの程度分散するのかということです。標準偏差をイメージしてください。つまり、

・平均得点能力が高く得点のバラツキ度合いが小さければ、合格可能性が高まり、
・この分布が上位20%以下になる確率が不合格可能性である

と考えます。言い換えれば、「相対的にどこに位置づけられ」「そこからどの程度バラツキがあるのか」ということ(※)です。


※編者注:具体的にイメージしたい場合、
こちらの記事
参考にどうぞ(byふうじん)。
 

 ■一発合格道場流で、合格基準まで伸びることは可能■

上記を前提とした上で、私の平均得点能力と得点のバラツキ度合いがどうだったのかを確認したいと思います。下記は私の実際に受験した事例(TAC公開模試9月以降の全ての得点結果)の4事例総得点で、括弧内は特に注記がない場合はTAC上級生の平均点です。

・TAC公開模試(9月):183点(受験生の平均点は失念、得点分布では上位10%以内)
・直前演習2回目:223点(181.9点)
・MMC第4回模試:249点(上位4.9%)
・集中特訓:196点(175.7点)
・オプション:227点(205.7点)
本試験結果:B,B,B,A 総合B

詳細なデータが少なく考察するには忍びないところではありますが、総得点分布が公開されるTAC模試、MMC模試では上位10%以内に分布されていること、上級生平均より一定以上の得点を獲得していることを踏まえ、一応は一定の平均得点能力を有し、かつ得点のバラツキ度合いもそれほど大きくなかったのではないかと推察します。

実際に私は、2つの要素を高めるために、次の2点を実行しました。

・1つ目は、平均得点能力を上げるために5月から2次対策を実施し自分の弱点を顕在化させ、それを補えそうな先生に師事しました。
・2つ目は、得点のバラツキを抑えるため与件の根拠を複数解答に盛り込むようにしました。

この辺りの学習方法は、まさに一発合格道場の皆様のご助言をいただきながら実践したことになりますので、詳細はblogをご確認いただきたいと思います。
 

■高難易度問題への対応が問題だった■

それでは、何故不合格になったのかを改めて検証します。

まず前提に立ち返って考えると、

・そもそも得点分布にはバラツキがあるわけですから、一定の確率で不合格になるリスクは存在するということです。
・もう1つは、問題の質自体が一定なわけではなく、それぞれ難易度や傾向が異なったりします。故に、問題の質によって平均得点能力やバラツキは変動することになります。

私が不合格になった場合、当然1つ目の影響もあるかと思いますが、2つ目が主要な要因であったと予想しています。
その理由は、まさに問題の質の変化です。具体的に申し上げますと、H22年の事例3は非常に難易度が高い問題で、自分が納得できる解答が書けませんでした。逆に、標準的な難易度である事例1、2、4は今まで通りの対応ができたと感じています。故に、事例1~3は同じBではありますが、事例3のBは限りなくCに近いBだったのではないかと推測しています。

つまり、高難易度の問題に対応する実力が欠けていたために、平均得点能力の低下とバラツキの拡大を招き、結果として不合格確率を高めることになったのではないかと推測します。
 

 ■原因や影響を読み取る思考力で差別化する■

以上を踏まえた上で、今回以上に合格可能性を高めるには何をしたら良いかを考察します。前提の通りに合格可能性は2つ。1つは平均的得点能力で、もう1つは得点のバラツキ度合いです。私が考える対策は、

従来の難易度に関しては従来通りの対応で、
高難易度の問題では、バラツキの安定性を高めるべき

だと考えます。

平均的得点能力を高めるとは、各設問で出題者の意図により近づけるということです。そもそも診断士試験は、限られた時間の中で、与件の根拠から演繹的または帰納的に結論を導き出す必要があります。精緻な分析が出来れば出題者の意図に近づくことは可能ですが、多くの制約条件の中でこれを高い水準で維持するのは難しいからです。

かつ、1つの答えを導くということは、丁寧に因果を繋げていくかわりに与件の根拠を削ることを意味します。これは、得点のバラツキ度合いを上昇させることとなり、リスク回避と相反します。これは問題の難易度に関わらず言えることですが、考えられる可能性を1つに絞ることは非常にリスクが高いことで、極力避けるべきでしょう。

故に、今回私が失敗したような高難易度の問題でも判断を間違えないような解答の均一性を保つことが大事になると考えています。特にH22年の事例3のように、各所に根拠を分散し、その根拠が何を意味するか読みにくい場合こそ、

それらの「与件」が何を意味するのか?
原因は何なのか (=なぜそうなるか)?
与件の根拠が今後与える影響は何なのか(=それでどうなるか)?

をしっかり把握できる思考力を身につけたいと考えています。

このような思考力は、一朝一夕に身につけるのは難しいと思いますので、早い段階から仕事や私生活に応用していくことをお勧めします。私はそういった皆様の助言に耳を傾けず、予備校で習う「How」に固執しすぎてしまったということも反省しています。
 

■ 一発合格道場の皆様と仲間達に感謝します■

とは言いながらも、私は2010年度の診断士試験の過程には満足しています。結果として不合格にはなりましたが、ここまで辿り着くことが出来たのは一発合格道場の皆様のご支援があってこそです。そして、一緒に頑張ってくれた仲間がいたからです。当blogの趣旨と反するかと思いますが、私にとってはそういった人間関係を築くことが出来たことが最高の財産となったと思っています。

以上、簡単ですが私の経験と反省になります。残り9ヶ月となりますが、長いようであっという間に時間は過ぎていきます。くれぐれも悔いのないようにしてください。私の体験が、少しでも皆様のお力になれば幸いです。最後までお付き合いいただきまして、有難うございました。

 

—–寄稿ここまで—–
 

n_kenさん、ご寄稿大変ありがとうございました。

<n_kenさん未合格体験まとめ>
・2次筆記試験の合格可能性は、標準得点能力(平均)とそこからのバラつき(分散)により変化する。
・1年目の2次挑戦では、標準得点能力の向上は達成したが、出題傾向の質が変化したため得点がバラついた。
・仕事や私生活において、原因や影響を読み取る癖をつけることで、高難易度の出題であっても安定した解答作成が可能。

 ここで編者(ふうじん)より一言お詫び。
上記「原因や影響を読み取る思考力で差別化する」の章で、編者でも意図を読み取りづらい箇所があり、少々表現を書き換えました。それは文章表現が悪いのでしょうか?

答えはNo。

診断士2次試験対策を積むと、大抵の文章はラクラク読みこなせる読解力が身に付く。それでも理解できないケースとは、

自分より思考レベルが高い人が書いた文章

に他ならない。2次の本格的対策に未着手のスト本科生がどこまでこの「未合格体験記」が伝える趣旨を理解するかは別として、2次筆記受験経験者ならばn_kenさんの指摘に大きく頷く点がある。そして明らかになった問題点とは、

ここまで理解していても不合格になる2次筆記とは、いったいいかなる試験であるのか

という疑問。

fish fish fish fish fish fish fish

さてここから先は、当記事のタイトル「20%の真実」の由来を改めて説明。鵜呑みはキケンきょくしんが指摘した通り、スト本科生にとり、2次筆記合格体験記とは原則無視あるいは眉につける唾を十分に用意してから読む対象
その理由を挙げると、

ストレート合格とは、ほぼ100%「たまたま合格」
複数年度合格者の2次対策は、直接スト本科生の参考にはならない
合格体験記とは、明に暗に、自分の学習方法を他人に押し付けるもの

だから。
合格者⇔不合格者の間に明確な実力差などないから、「たまたま合格」に過ぎない体験談を真似して「たまたま」以上の合格確率を期待する方がおかしい。

さらにブログ・twitter、はてはfacebookまで、情報伝達手段は日進月歩で進化。「合格のコツ」など瞬時に共有されてしまう時代に、他人の学習方法を模倣して競争率5倍の試験に合格できるなら、それは「たまたま(偶然)」どころか、僥倖と呼ぶに値する。

しかし、いくら読むに値しなくても、「2次合格体験記」は世の中に絶えず存在。それは合格体験記とは、

自らの体験を世に伝え、その方法の実践者を増やすことで、自分の(学習方法の)正当性を主張したがるもの

だから(合格体験ブログを100本以上書いた張本人が言うのだから、きっと間違いない)。
とはいえ、これは悪いことではない。受験生側は自分の考えに近い主張だけ取捨選択し、残りの主張は読み捨てれば良い話(←まぁその選択眼がある人は、自力で合格するけど)。

では具体的に、「ストレート合格可能性を高める」ためには、どうすれば良いか?その答えは簡単。
 

・様々に散らばった情報から、2次合否に関する客観的事実を抜き出し、主観的な意見を棄却する
・そして「なぜそうなのか」「ではどうするか」を自力で組み立てる。
・その仮説が正しいか、周囲の意見も聞きつつ10月まで実行・検証
・可能な限り、合格者・学習仲間の意見より講師アドバイスを優先。

 
そう決意したならば、次の行動は明快。
情報収集の対象は「合格体験記」だけではない。
なぜならそれは、2次受験経験者全員のうちわずか

20%の真実」を伝えるものでしかない

から。

byふうじん

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