学校では(多分)教えてくれない公式2 「営業レバレッジと安全余裕率」
こんばんは。久々のアックルです。
今週の財務・会計公式は「営業レバレッジと安全余裕率」です。
営業レバレッジといえば平成21年度の二次試験に出題されて、多くの受験生が「営業レバレッジって何?」とパニクったと思われるアレです。
診断士試験では新しく出題された分野ですが、実は日商簿記1級や証券アナリストでは当たり前のように出題されてます。
ですから上記2つのいずれかの資格をお持ちの方にとっては平成21年の問3は楽勝だったかもしれません。
(とはいえ、私の場合は簿記1級を持っているとはいえ、試験中にテンパってしまい間違えました。)
ちなみに日商簿記1級では営業レバレッジではなく「経営レバレッジ係数」という名称になってます。
□「営業レバレッジ」とは?
「営業レバレッジ」とは企業経営における固定費の利用を測定する指標です。
費用の中に固定費が含まれていると、売上高のわずかな変動でも、営業利益に大きな変動をもたらすようになります。売上高の増減に対して固定費がてこ(lever)のような働き(leverage)をして、営業利益の増減率を増幅します。このことを営業レバレッジといいます。特に固定費の割合の高い企業ほど数値は大きくなります。
数式は以下のとおりです。
営業レバレッジ(倍) =限界利益/営業利益 ちなみに限界利益=売上高-変動費です。
なお、営業レバレッジ(倍)は業績予想のシミュレーションに使うこともできます。
営業利益の変化率=営業レバレッジ×売上高の変化率
□「安全余裕率」とは?
安全余裕率は売上高が損益分岐点売上高からどのくらい離れているかを示す比率です。この比率が高ければ高いほど、売上高が損益分岐点より離れていることになり、収益力があることを意味するので安全であると判断できます。
数式は以下のとおりです。
安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)/売上高=1-損益分岐点比率
さてここまでは受験経験者の方ならおそらく知っている内容だと思います。
ここから先は知らない方が意外に多いと思うネタです。
□営業レバレッジは安全余裕率の逆数
そうなんです。営業レバレッジ=1/安全余裕率
つまり、営業レバレッジは安全余裕率の逆数なんです。
よって、安全余裕率=営業利益/限界利益にもなります。
では、なぜそうなるか図で説明しましょう。
まずはおなじみの損益分岐点表(図1)
まずこの図から説明しますが、横軸は売上高、縦軸は売上高・費用・利益です。
縦軸も横軸も売上高なので売上高線は45度線になります。
次に費用です。まずは横軸と平行の固定費線が あって、その上は変動費線です。実際には固定費線の上にあるので総費用線となります。
売上高線と総費用線が交わる点が損益分岐点です。
一方、実際の売上高は損益分岐点より遥か右です。売上高と損益分岐点売上高の差が「安全余裕額」となります。
さて、このままでは営業レバレッジ=1/安全余裕率の証明ができません。ここでこの図を以下のとおりアレンジします(図2)。
図1と比べて何が変わったかと言いますと図1は固定費線の上に変動費線があったのですが、図2では入れ替えて変動費線の上に固定費線があります。
こうすると何が違うのかと言いますと、限界利益(売上高-変動費)の表示が可能となります(図2の右端の赤いカッコ)。
さて、この図2をよく見ると比が等しい同じ相似条件の三角形が二つありますね。
分かりますか?
太い線を入れると よく分かると思います(図3)。
赤線の三角形と緑線の三角形は相似関係になってますね。
ということは次の式が成立します。
売上高:限界利益=安全余裕額:営業利益
さて、この数式をさらに動かすと、
安全余裕額/売上高=営業利益/限界利益
↓
安全余裕率= 営業利益/限界利益=1/営業レバレッジ
となります。
この数式は覚えておいたほうがいいですよ。きっと役に立ちます。
それでは、本日はここまで。
by アックル
営業利益の変化率=営業レバレッジ×売上高の変化率
は
営業利益の変化分=営業レバレッジ×売上高の変化分
ということですね?
ありがとうございます!
> わお様。コメント&アドバイスありがとうございます。そうですね、その方が正確かもしれませんね。
わかりやすい図をありがとうございます。
図3は可能なら斜めの三角形(※)に枠を付けたほうがいいと思います。
(※:緑枠は営業利益、赤枠は限界利益をそれぞれ一辺とする三角形。伝わりますでしょうか。。。)
ガネーシャさん
ミスをご指摘頂きありがとうございました。
おっしゃるとおり、
安全余裕率= 営業利益/限界利益=1/営業レバレッジです。
気をつけます。
こんばんは。
念のためのご確認ですが、
最後の式は、
安全余裕率= 営業利益/限界利益=1/営業レバレッジ
ですよね?