【企業経営理論】「組織論」はチャレンジング!

おはようございます。こぐまです。
この科目、初日に続き、とりあえずの〆も務めさせていただきます。

読んでいただいている多くの皆さんは、会社や役所をはじめ、様々な形の「組織」に所属されている(いたことがある)と思います。

4月は多いと思いますが組織変更や人事異動、昇進等で悲喜こもごも。
また、上司や同僚、部下との関係に悩んだり、人事考課に納得いかなかったり、やたらと重い目標を課されたり、云々と、組織特有の出来事が人生の節々でやって来ます。

業績が伸び悩み始めると組織変革が叫ばれ、それに抵抗する勢力もあってコンフリクトが起きたり、部門間のコミュニケーションをもっと円滑に!と社長からお達しがあったりもするし、今こそ能力開発!のお題目のもと、様々な研修メニューが押し寄せたりもします。

「ヒトゴト」というくらい、人事の話はあちこちで持ちきり。夜は同期や仲間と飲みながら「やっぱりあの上司、リーダーシップないなあ、アホやな」とか「最近、モチベーション上がらんなあ」、「なんでころころ組織が変わるんや!」みたいな会話は日常茶飯事、ですよね?

このように、日常的過ぎて意識しないくらい、切っても切れない関係にある会社(に代表される組織)のことなのに、いざ試験となると「組織論」を苦手とする人は多い(らしい)。私も苦手意識がありました。

確かにこの科目の中では覚えることが多い分野であることに加え、問題文がやたらといかめしくてわかりにくいのが、今ひとつ不人気な理由でしょうかね。

昨日のうちあーのの記事の分析でも、この分野は過去6年でABランクの割合が45%程度しかなく、難易度が高いという傾向が出ていました。

前置きが長くなりましたが、その「組織」の謎を解き明かし、理論化して現実の仕組みに活かしていこうというのが、「企業経営理論」の中の「組織論・人的資源管理」の分野です。

会社や上司・部下に対して不平不満を持つのが世の常ですが、一歩引いてみて「なぜそうなるのか、どうすれば改善できるのか」を考える視点を与えてくれるという意味で、経営戦略やマーケティングに劣らず、勉強しがいのある分野だと思っています。

2次試験の事例Ⅰは、「組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」と題されていますしね。

 

◆組織の形態・構造◆

テキストでは、次の3つが組織形態の代表として挙げられています。

・職能別組織
・事業部制組織
・マトリックス組織

皆さんの勤めている組織はどれにあてはまりますか?
私のいる会社は職能別(管理部門)と事業部制(営業部門)の併合型で、私も数ある中の一事業部に所属していますが、それなりに長く働いていると組織運営上の長所も短所も見えてきますよね。

組織の切り口は、「部門」「階層」「権限」「コミュニケーション」などに分けられますが、それぞれの切り口において、上記の組織形態の持つ特質は異なり、長所になったり短所になったりします。

チャンドラーの「組織は戦略に従う」という命題がすべてを物語っていると思いますが、それぞれの組織のライフサイクルの中での位置づけや事業の幅、業界や商品の特性、対象とする顧客や地域など、様々な要因により、組織形態や構造は固有のものとして決定されるべきものです。

そうしないと、部門や階層の過不足、つまり重複や空白が生じ、その結果として適切な権限関係の設定や円滑なコミュニケーション(部門間連携等)ができず、会社の成長を阻害しかねないからです。

この論点をカバーする過去問としては、平成18年第10問平成19年第19問平成20年第11問が挙げられます。
解きながら自分の会社と照らし合わせると身につまされます

また、平成13年と14年の事例Ⅰ事業構造と組織構造の整合性の問題を取り上げています。

1次試験で必要な知識、論点が、応用問題として2次試験でも問われるひとつの典型と思いますので、組織形態の相違点、メリットとデメリットは、自分の会社と結び付けて、組織論の入口の基本論点として説明ができるくらいまで深く理解しておきたいところです。

最近の事例Ⅰは、直接的に組織構造を問う問題より経営・事業戦略系の出題が多いので、そろそろ先祖返りもありえるかも?
あ、信じないでくださいね。鬼に笑われそうですし

 

◆組織の動態化◆
上記が組織の基本モデルですが、組織の拡大や環境の不確実性に対応して、組織を効果的・効率的に動かし目的を達成するために、様々な試みがなされていきます。
これも皆さん、実際に経験されていることが多いのではないでしょうか。

事業が伸長し多角化もしていくと、部門の増加、人数の増加、階層の増加など、組織の発展が進み、組織運営を効率化するための規則や手続きなどが整備されていきます。
「稟議制度」や「職務分掌規定」などがそれに当たりますね。

これが官僚制組織で、一般的な使われ方と異なり、組織の分業や公式化を進めるうえで組織論ではプラスの意味を持っています。

これが進み過ぎると、手段であるはずの手続き遵守を自己目的化してしまう組織の硬直化や、思考様式の均質化などを招き、かえって組織が非効率で非人間的になるマイナス面が現れてきます(「官僚制の逆機能」)。

長く同じ組織で仕事をしていると、無意識のうちにその組織や業界特有の考え方やものの見方、価値観などに執着してしまって、そこからはみ出ることができなくなっていると感じることはありませんか(「出る杭は打たれる」)。
抽象的には、組織の「パラダイム」や「行動規範」といわれるものですね。それが組織文化です。

それに気付いて、このままではまずいと診断士を目指すきっかけになった方もいるのでは?

この流れは組織のライフサイクルでもあり、現状を打破するために、活性化、動態化、柔軟化などを目的とした試みが導入されることとなります。
組織論では次のような手法が挙げられています。

・プロジェクトチーム、タスクフォース
・マトリックス組織
・プロダクト・マネージャー制組織
・社内ベンチャー
・スピンアウト(分社化)
・社内カンパニー制 → 持ち株会社
・ネットワーク組織 → 戦略的連携(アライアンス)
・ナレッジ・マネジメント

これらに関連する過去問としては、平成18年第11問平成19年第19問平成20年第16問平成21年第11問、第17問平成22年第15問などがあり、周辺領域も絡めて多くの出題がなされています。

平成18年第11問は経営戦略論との折衷のような問題ですし、平成21年第11問(ミンツバーグの5つの組織形態←こんなの知らない!)は組織論の基本論点の深い理解と思考力が試される応用問題と思います。

また、戦略的連携(アライアンス)は、中小との関連も深い項目です。

 

◆外部環境と組織の関係◆
外部環境が組織に与える影響を分析し、組織としての対応策を考える重要論点です。
また、外部組織との組織間関係のモデル化も頻出論点。

考え方の観点からみて、2次試験にも出題されうる重要な論点と考えます。
外部環境の不確実性増大に対し、上述したような部門や階層の増加での対応、それでも対応しきれない場合の方策等、理解しておく必要があると思います。

この考え方では、組織を情報システムとみなして外部環境の変化による情報処理の負荷増大への対処という視点で分析を行っています。
まずは、その対処の方策(「処理すべき情報量の軽減策」と「より多くの情報を処理する能力の拡大策」)を整理しておけばよいと思います。平成19年第12問が基本論点です。

一方、組織間関係のモデルは、
取引コスト・アプローチ
資源依存モデル
の2つが代表的なものです。

前者は、取引コストを最も低くできる組織間関係内部取引か市場取引かの二者択一)を選択するというもので、組織の情報処理能力の限界や取引上の駆け引きを考え方の前提としています。

例えば、特殊な部品の調達は、部品メーカーがこの時とばかりに高い価格で取引をしようとする(「機会主義的」な行動をする)ことがあるため、市場メカニズムを通して購入するより、自社の系列下に置くなど、内部取引にする方が取引コストを低くできるだろうということです。

アメリカの自動車産業が典型例(完成車メーカーと部品メーカーの垂直統合)。

後者は、商品やサービスのもととなる資源の外部組織への依存度と、その結果として外部組織が及ぼすパワーに着目する考え方で、外部の資源に依存しつつ外部組織のパワーからどのようにして自立を保つかなどの組織間関係を考察するもの。

ちょっとわかりにくいので、私は、原油やレアメタルのような天然資源、銀行からの融資などを外部資源と考えて、それを提供する外部組織の自社への影響力がどういうものか、という視点で考えていました(たまたま23年度は出題あり)。

過去問では、平成19年第14問第16問平成20年第18問平成23年第19問などが組織間関係に関する問題です。

 

◆その他重要論点◆
モチベーションやリーダーシップの各理論はもう言うまでもないので省略。基準となる過去問がたくさんあります。
モチベーション理論の覚え方で傑作はハカセのこの記事の一番最後。
一発で覚えることができました(感謝)。

昨年の1次試験試験案内では、出題内容としてモチベーション理論は、「マズローの欲求段階説」「ハーズバーグ(←「職務充実」のおじさん)の2要因理論」「ヴルームの期待理論」(注:()内は私が加えた)の3つだけがわざわざ記載されています。
これ以外も出るんですけどね。特に重要ということなんでしょう。

組織分野のこの5年の過去問で、上記以外で個人的に重要と思う問題を抽出してみました。

・平成19年第18問: 組織の持つ2つのコアと変革へのアプローチ方法(トップダウンとボトムアップ
・平成20年第13問: 「管理の幅」を左右する要因
・平成21年第12問: 情報の「粘着性」と「吸収能力
・平成22年第13問: ミニ事例。2次試験では与件文と設問から、ここにあるような選択肢を自分で書かなければなりません。そのような観点でこの問題を解いてみると、正解を選ぶだけではなく選択肢をすべて理解することの重要性がわかると思います。

いずれも応用が利く内容で、少し視点を変えた出題がされてもおかしくない論点と思いましたので、挙げておきました。

また、「エンパワーメント(権限移譲)」もいろいろ形を変えながら出題されたり、選択肢に入っていたりします。
試験委員がお好きなようです。
口述試験でも、なぜか事例に関して「Bメガネでエンパワーメントを有効に実行する方法にはどんなものがあるかい?」と聞かれ、「はぁ?」と聞き返したことを思い出します。

 

◆最後に◆
本当は身近な組織論。いくらでも例が周りに転がっていますよね。
リーダーシップ論などは、実際の上司(または自分)をあてはめてみるとしっくりくる理論もありますし、モチベーション理論では、「あ~、いるいるこんな人」「あ~、俺、このタイプ」と何度も思いました。

本当は得意にしておきたい組織論
事例Ⅰでは、この分野で学習するキーワードが満載です(「ゆでガエル」とか)。

論点とキーワード把握のために、過去問5年分の組織分野だけをまとめて「縦解き」してみるのも効果大かと思っております。
ここまでくれば、過去問を1問でも多く、何度も噛みしめ味わい尽くすことが特にこの科目では重要です。

朝っぱらから硬い話ばかりで失礼しました。。

来週は、「財務・会計」の週です。

by こぐま

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【企業経営理論】「組織論」はチャレンジング!” に対して6件のコメントがあります。

  1. こぐま より:

    世紀末覇者 拳王さま

    こちらこそよろしくお願いいたします。

    道場は自分たちの経験をベースに、それぞれが個人的な考えを発信しているため(お互いに食い違うことも多々あります)、広範囲をカバーすることはできませんが、双方向のコミュニケーションを最重要視しているつもりです。

    いつでもお気軽にコメント、ご質問お寄せください。

  2. 世紀末覇者 拳王 より:

    こぐま さま

     有難うございます。こちらの方々にはいつも迅速にお返事を戴けて、とても助かっております。今後ともよろしくお願い申し上げます。

  3. こぐま より:

    mahinaさま

    コメント有難うございます。
    私もノルマとしていた本を読み倒しているうちに、あっという間にGWが終わりました。

    記事が少しでもご参考になれば嬉しいです。励みになります!

    今回、6年分の過去問を読み直してみましたが、特に組織論は「安定して」難しいですね。

    似たような論点が繰り返し出題されている一方、聞いたこともない理論で理解力や応用力を試す出題も多いと感じました。深いです。

    是非、じっくりと過去問を「解き倒して」、応用されそうな論点を整理してみてください。多くの発見があると思いますので。

    GWあと1日、お互い充実した日にしましょう!

  4. こぐま より:

    世紀末覇者 拳王さま

    こんばんは。基本講義7科目終了、お疲れさまでした。
    ご質問から推察すると、知識の定着がまだ不十分と感じ、テキストをやり直した方がいいのではないかと不安を持たれているのだろうと思います。

    今後、効率的なのは、やはり、答練日程に合わせたアウトプット学習に比重を移し、問題を解きながら、理解を深めたり覚え直していく方法だと思います。

    本試験では知識の正確な出し入れや組み合わせが要求されます。問題要求に合わせて、短時間で選択肢を正しく仕分けする必要がありますので、その力を養成する訓練がこれから重要になってくると考えています。

    また、1日目科目の経済、財務、企業経営は「理屈で理解すること」が必須です。

    具体的にはスピ問(または受験校問題集)と過去問に取り組むことを中心にし、答練までに各科目を「おおよそ」完成させることを目標に学習スケジュールを立てることが合格への近道と考えます(隙間時間がますます重要になります)。

    その目安が完成答練7割ということです。「7割を取るための勉強」をすれば、不思議なことに自ずと試験への対応力(≒合格点が取れる実力)がついてきます。

    問題集の解説を読み込んでもよくわからない時にテキストを参照する、というくらいの気持ちでいいのではないでしょうか。

    ここからが一番辛い時期ですが、試験に合格することが目的ですので、完璧主義に陥ることのないよう、そして目標を定めて必ず答練を受けるよう、受験校のカリキュラムに喰らいついていくことで合格の実力が後からついてくると思います。

    私も速修コースでしかも遅いスタートだったため、特に6月は苦しみ抜きましたが、上記のようなやり方、考え方を貫き、諦めなかったことで合格に辿り着いたと今でも思っています。

    予習中心で、講義を最大限活かした学習をされてきたと思いますので、どんどん問題を解いていけば知識の修復はそんなに難しいことではないと思いますよ。

    私の拙い経験からの回答ですが、ご参考になれば幸いです。

    また、迷いが拭えなければ、今までのご自分の成績を見せて、勉強方法を受験校の講師に相談することも併せてお勧めします。受験校は使い倒したほうが得です。

  5. mahina より:

    いつも楽しみに拝見させて頂いてます。
    GWも残すところあと1日。あっという間の連休となりました。(今日の天気は恨めしかったです…)
    ちょうど明日組織論を中心に集中して過去問取り組みをする予定をしていたので、今日の投稿は大変参考になりました。
    記憶の彼方に追いやられ、あれれ?!の連続ですが、めげずに(笑)頑張っていきます!!

  6. 世紀末覇者 拳王 より:

    こんばんは。本日で速修・中小政策の講義も終わり、一通りの学習が終了しました。正直なところ予習を行っていたため復習がまったくついていけていません…本日投稿させて頂いたのは、みなさんに勉強方法をご教授戴きたいと考えました。科目によっても異なるとは思いますが、今現在私が迷っているのは①テキスト中心の勉強法 ②問題集中心の勉強法のどちらにするかです。もちろん両方できればよいのですが、正直あまり時間も残されていません。宜しければアドバイスを宜しくお願い致します。

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