企業経営理論: 組織論は「アウトプット」で!
こんにちは。ハカセです。いよいよ今日5月6日から受験申込が開始されましたね。5月31日までですから、忘れずに申し込みましょう。
さて、今週は企業経営理論の「完成答練週間」です。道場ではそれに合わせて、一週間にわたり「ボクは企業経営理論を攻略した」をお送りしています。企業経営理論の攻略方法を、道場執筆メンバーがリレーします。
◇ 必ず「マーケティング」から解く! ◇
一般的に「取り組み易い科目」と言われている企業経営理論ですが、データ分析で指摘したとおり、マーケティングが最も取り組みやすいです。それは、「マーケティング」なんて仰々しく改まって学習しなくても、身の回りのコンビニの様子や、新製品のCMなどの動向を通して、自然とマーケティングの考え方が身についているから。確かに
- プル戦略とプッシュ戦略
- 認知的不協和
- AIDMA
- 顧客生涯価値 (LTV)
など、知らないと解けない問題も散見されますが、これらも説明されれば「あぁ、なんだ、そんなことか」と思うものばかり。逆にそこだけ覚えれば問題なし。
よって、答練・模試・本番、いずれの時も必ずマーケティングから解くことをお薦めします! 具体的には、
という順番がよろしいかと。
◇ 組織論の出題範囲 ◇
本日のお題は「組織論」です。
まず、「組織論」として出題される範囲を確認しましょう。「そんなのTACなど受験校のテキストに書いてある・・・」と考えたアナタ。考えが甘い。「組織論」とひとことで言っても、世の中には吐いて捨てるほどの「組織論」が存在します。ボクも自分の会社の「組織論」を語らせれば長いです。では、TACはどういう基準でテキストに載せる載せないの取捨選択をしたのでしょう。実は、診断協会から出題範囲が明示されているのです。
診断協会が発表する「出題範囲」は、一次試験案内 に載っています。企業経営理論は P13 から P16 ですね。
組織論についても、一部具体的な理論名が掲載されています。これら具体的に掲載されている理論は、必ず覚えましょう。なに、そんなにたくさんありません。具体名では、「マズローの欲求段階説、ハーズバーグの2要因理論、ヴルームの期待理論」程度です。
ちなみに、ボクはこの「出題範囲」を超直前期の「単語帳」として使いました。たとえば、財務会計には「MM理論」なんてのが出てきます。聞けば「なんだ、それか」ですが、知らないとびっくりしそうですもんね。
その中で、「組織論」は、H21年度(2009年)の出題範囲と「一字一句」違わず同一です。だから、特段テキスト外のことを勉強する必要はありません。・・・とはいえ、最後に「その他組織論に関する事項」って書いてあって、全ての新規範囲はここで吸収されてしまうのでしょうが。
いずれにしろ、月曜日のデータ分析で示したとおり、組織論の難易度は易化しています。
よって、恐れるに足らないはずなのですが、「組織論」と言われると身構えてしまうのは何故でしょうか・・(?_?)
◇ 組織論の「考える」問題 ◇
組織論には二つの種類があると思います。一つが「考える問題」です。それは、「ある程度の(常識的な)基礎知識に立脚し、その先は考えれば分かる(はずの)問題」ということです。この手の問題は、むしろ「国語の問題」と考えていいでしょう。平成21年(2009年)の第12問がその手の問題でした。
2009年度 第12問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
高度な技術が複雑にかかわる現代のイノベーションにおいて、外部からイノベー
ションに必要な知識や情報を獲得することが不可欠である。しかし、イノベーショ
ンに有用な情報を、リードユーザーと呼ばれる顧客がもっている場合、そのような
情報はしばしば粘着性(stickiness)が高く、入手することが困難である。このよう
な外部からの知識や情報を理解し活用するためには、高い吸収能力(absorptive
capacity)が必要である。(設問2)
文中の下線部に関して、外部からの知識や情報を理解し活用するために必要
な吸収能力を獲得するために、有効な手段として最も適切なものはどれか。ア 広告宣伝活動
イ サプライチェーンマネジメント
ウ 自社の研究開発投資
エ 市場調査
オ 従業員満足度の向上
この問題の難しさ(というかトリッキーさ)は、設問文だけを読んで答えを出そうとするような慌てモノは正解できない、ということです。
何が言いたいかというと、設問文では「外部からの知識や情報を理解し活用する為に必要な吸収能力を獲得するために有効な手段」という風に、あたかも一般論を聞いているような問いになっています。一般論では、「エ」を選択したくなりますよね。
でも、実際には違うのです。問題本文をよく読むと、「外部からの知識や情報」というのは、正確には「イノベーションに有用な情報」であり、それは「リードユーザーと呼ばれる顧客が持っている」というわけです。つまり、「リードユーザーと呼ばれる顧客が持っているイノベーションに有用な情報を、外部から理解・活用するために必要な吸収能力はどうやったら育成できるか」を問うているわけです。フツーの外部情報は市場調査で手に入るかもしれないけど、「リードユーザーの情報を理解し活用するために必要な吸収能力を養うのに有効な手段」となると話は別だよね、ということが言いたいようです。・・・設問文だけからは、ここまで読み取れません。
つまり、「設問文だけを読んで答えようとすると、答えが導けない。問題本文もよーく読まないといけない、そんな国語の試験でした」、というわけです。「なんだ、そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、本試験の緊張した状態で、ここまで読むのはナカナカ難しいことです。データ分析でも指摘しましたが、とにかく難しくしないと差別化できない、という背景もあって、この手の問題が必ず存在します。
逆に、国語の問題と化していますから、簡単な問題はムッチャ簡単です。上掲の第12問の設問1は、「は?」と思うような簡単な問題でした(各自調べてくださいね)。こういう平易な問題で変な勘違い・勘繰りを起こさず、確実に正答できることが、合格ライン達成の条件となります。
◇ 「考える問題」はアウトプットで! ◇
本試験では、
組織の三要素とは、「共通目的」、「 ① 」、「コミュニケーション」である。
なんて問題、出ませんよね。「企業経営理論」の通常難易度以上のものは「国語の問題」と化しており、知識だけでは対応できません。知識を持っているのは「当たり前」。知識があることを前提に、それをひねって出題してくるのです。
それらの「国語の問題」あるいは[文章問題」への対応は、
ひたすらアウトプット
これしかありません。「スピード問題集」、「答練」、「模試」などの問題形式のものを、ひたすら解くことです。
そして、忘れないで頂きたいのは、アウトプットをする事の最大の目的は、「正答の選択肢を見つけること」ではありません。もちろん正答を導き出すことも大事ですが、ボクは、
誤答の選択肢こそ重要
と考えています。
- 誤答選択肢の、どの部分が誤りなのか
- 誤答選択肢の、どの部分がどう置き換われば正答になるのか
ということを、「骨の髄までしゃぶるように」検討し尽くすのです。
そして、解答解説をしっかり読込みましょう。解答解説は、重要な論点をコンパクトにまとめてくれています。これをしっかり頭に叩き込んでおけば、類似問題が出たときにきっと役に立ちます!
◇ 組織論の「知識」問題 ◇
組織論のもう一つは「知識問題」です。これは「知っていれば正答できる、知らなければ正答できない」というもの。平成21年(2009年)の第16問がその手の問題でした。
2009年 第16問
リーダーシップに関する学説の多くは、「人間もしくは人間関係指向」と「課業指
向」という指向性の区別に言及している。このことに関する記述として最も適切な
ものはどれか。ア アージリスは、職務拡大を通じて、課業指向的なリーダーシップを、人間関係
指向的なリーダーシップにかえていくことができると主張した。
イ ハーシーとブランチャードは、高課業指向、高関係性指向のリーダーシップ
が、最も説得的で生産的であると主張した。
ウ フィードラーは、低いLPCリーダーは課業指向で、高いLPCリーダーは人間
関係指向であると主張した。
エ ブルームは、民主的・参加型リーダーシップが高い生産性を生むと主張した。
まず、ア と エ が「誤り」であることは、「知っていなければいけない」点です。アージリスは「職務拡大」、ブルームは「期待理論」なので、この二つは「秒殺」しなければなりません。つまり、「知識」でもって、四択を二択に持っていく必要があります。残る イ と ウ は、恐らく大部分の受験生が「知らない知識」です。そして、「知らなくていい知識」です。だって大部分の受験生が知らないんだから、ここで点差はつかない。(とはいえ、LECの正答率が高いので、LECテキストには載っている論点だったのかも?)
この問題のポイントは「二択まで絞ること」であって、「プラスアルファの知識が身についているかどうか試すこと」ではありません。この問題の正答率は恐らくそんなに高くないはず。でも、二択まで絞れれば、可能性が増えますよね。
◇ 人的管理・労働法規は「捨て」問題 ◇
人的管理の評価・能力開発などは、皆さん(または皆さんの会社)が常にやっている(少なくともやろうとしている)ことそのものであり、特に対策は必要ないと思います。
一方で、労働法規関係は辛いですよね ・・ (T_T)。
労働法規関連は、テキスト・答練・模試で出た論点だけをやりましょう。過去問もプライオリティ下げてもOK。ここは、「差がつかない」分野です。みんなが出来る論点(=テキスト・答練・模試で出た論点)だけは固めてくださいね(ここは出来ないと差がつきます!)。そして、それ以外はきれいさっぱり捨てると割り切りましょう。
◇ 組織論は二次でも活用 ◇
一方で、組織論は「二次試験」の重要な論点でもあります。そのため、この分野を「全部捨てる」というのは乱暴です。基礎知識はきっちり「理屈」で語れるようになっておきましょう!
◇ 組織論・まとめ ◇
相変わらず長いですね。よって、結論。
- 組織論は「国語の問題」。基礎知識を武器に頭をフル回転させよ。
→ 逆にサービス問題でチョンボをしないように!
- 「国語の問題」の対策はひたすら「アウトプット」!
→ 正答を見つけるだけじゃなく、「誤答選択肢」にこそ注目!
- 「知識問題」は、粘って二択にせよ!
→ 難しい問題はみんな同じ。必要以上に悩まない。
- 「人的管理・労働法規」は、捨て問題。
→ テキストに載っている論点以外はスッパリ諦めよ。差はつかない。
◇ 最後に語呂合わせ・・・ ◇
最後に、企業経営理論の語呂合わせをご紹介。
市場細分化の要件: ソーセイジ
→ 測定可能性・接近(=到達)可能性・維持可能性・実行可能性
ブランド戦略: ラブマシーン
→ ライン拡張・ブランド拡張・マルチブランド・新ブランド
マズロー: せい・あん・しゃ・そん・じつ
→ 生理的・安全・社会的・尊厳・自己実現
味はマックのハンバーグ。
(店舗)拡大目標に! 衛生面は拡充を! (5・7・5で!)
—-*—-*—-*—-*—-*—-*—-*—-*—-*—-*—-*—-*
では、この辺で!
by ハカセ