【企業経営理論】怒涛の7週間スタート

おはようございます。こぐまです。

ついに今日から、「怒涛の7週間」シリーズの始まりです。
GW中、また胸突き八丁の勝負の初日記事ということで、今日は朝の投稿です。

TACの完成講義・完成答練のスケジュールに合わせて、原則、1週間1科目ベースで特集していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

この「完成答練」を高得点で乗り切ることが1次合格の必要条件(=「橋げた完成」、「無借金学習」の達成)。具体的には7割が目標と考えます。

1科目ずつ高得点を積み上げていくことで、自分の学習方法が間違っていないという精神的な安定にも繋がります。

1次を突破できるかどうかは、1次模試前のこの7週間にかかっていると言っても過言ではありません。
各週各科目を完成させる勢いで、悔いを残さないよう集中して勉強してください。

第1週目は「企業経営理論」です。なお、ご参考までに私の本試験点数は64点でした。


◆この科目で学ぶこと◆

プロフィールにも記事でも苦手科目と書いている私がトップバッターというのもどうかと思いますが、振り返ると、試験自体を苦手としていたというよりは、戦略的な思考力がもともと不足しているため、科目名に惑わされてそう思い込んでいた節があります。

テキストに書かれてあることは、ごく基本的、古典的な理論や知識
得意か苦手かを自ら決めつけるようなレベルの内容ではなく、経営を分析し、課題や方向性を見出すための切り口やキーワードを多面的に学習させる科目である(だった)ことに気付いたのは、1次合格後に2次試験の勉強を始めてから。

診断士を目指している方のほとんどが企業経営に何らかの関心を持たれているわけで、この科目が好きな方が多いはず。
熱心に取り組まれていると思います。


◆過去本試験データ◆

まずは過去5年のデータから(クリックで拡大します)。

 

23年度はやや難化しましたが、比較的、中位安定の科目といえるかと思います。

他科目に比べ、あまり差がつかない(バラつきが大きくない)科目ですね。
また、点数が頭打ちになりやすい科目収穫逓減科目)なので、できるだけ効率的な学習で済ませたいところです。


◆学習の入口と出口◆

この科目から診断士の学習が始まり(入口)、他の6科目を一巡した後、診断士試験のベースとなる科目であることを理解し、実務補習で理論の深さ(応用性)を改めて思い知りました(出口)。

充実した診断士活動を行うためには、この科目で学ぶすべてのことを実務と自己研鑽を通じて深める努力を続けなければならないと自戒しています。

学習内容が古典的、教条的と軽視する方もいますが、間違いなく「役に立つ」科目です。


◆専門書は不要◆

時々、試験委員(←PDF)の著書や専門書を読んでいる方がいらっしゃいますが、全く不要
試験対策としては、受験校の教材、スピ問、過去問で十分です。
2次試験を意識している方もおられるでしょうが、一部を除き時間の無駄(と言い切ってしまう)。

受験校は、試験委員の著書や論文、傾向を調査し、それを踏まえたテキストや問題作りをしてくれています。
過去記事にもあるように、AB論点プラスC論点がカバーできれば合格点に達しますので、それ以上のことに時間をかけるのは、試験対策として無意味です。

特にこの科目は、次々に新しい理論が登場し、非常に奥が深く、勉強のしがいもあるため、深みにはまらないよう気をつけてください。
どこまでいっても切りがありません。

各分野の原典や専門書は非常に重要ですが、それらは合格後に取り組み、中小企業支援の専門家である中小企業診断士として、各自の専門性を深めていけばよいと考えます。

 

◆知識と理論◆

一方、受験校のテキストに出ている知識や理論については、自分で説明ができる程度までしっかりと押さえておきたいです。

5月16日から配布される「平成24年度中小企業診断士第1次試験案内に、各科目の試験範囲が掲載されているはずです。
そこに記載されている理論等は最低限、必ず覚えて理解するようにしてください。

これらが経営を考えるうえでの、定番の切り口でありフレームワークでありキーワードでもあります(≒2次試験)。

22年度までは、「経営戦略」の分野では、

・時事的なトピック
・技術開発の動向
・エレクトロニクス産業、自動車産業の動向
・デジタル化、モジュール化
・製品のコモディティ化
・海外進出

など、産業動向に密接な問題が結構出題されていましたが、23年度は若干、出題内容が変化し、知識や理論、概念を直接的に問う問題が増えました
選択肢は応用的で、簡単に正解できるものではありませんが・・・。

最近の産業動向のトピック例としては、次のようなものが挙げられます。

これらについては、その原因、背景、今後の見通しなど、産業構造の変化、技術イノベーション、製品アーキテクチャ戦略、マーケティング戦略の変化、技術流出リスク等の視点から一度、整理しておいてはいかがでしょうか。

・ソニーのテレビ事業不振による大幅赤字とリストラ
・「日の丸半導体」と言われた日本唯一のDRAM専業メーカー、エルピーダ・メモリの会社更生法申請
・中小型液晶パネル事業の3社統合(産業革新機構出資)による「日の丸液晶」ジャパンディスプレイ誕生
・シャープが世界最大のEMSである台湾・鴻海(ホンハイ)と業務提携し、堺工場を共同運営へ
・東日本大震災やタイ洪水によるSCMの寸断(特に自動車)

ソニーやシャープの大幅赤字は、基幹部品から最終製品まで自前で一貫生産する「垂直統合型モデル」が限界に来ていることをうかがわせるニュースです。

また、ジャパンディスプレイの設立は「規模の経済」の追求です。

衝撃的な日の丸半導体の落日は、「競争戦略」、「4PのProduct戦略」の誤算?

 

◆過去問中心へ◆
この科目は、特に過去問が重要で、独特な言い回しや専門用語に慣れる必要があります。
スピ問を回しつつも、過去5年分の本試験問題に繰り返し接することで、得点の安定化に繋がっていきます。

なお、選択肢の「癖」については、この記事この記事をご参照。

まだ過去問を十分に解いたことのない方は、3~5年分の過去問を通してやってみてください。
一種の「」、「選択眼」が徐々に養われるはずです。

その際に重要なのが、「間違い選択肢」の作られ方を学ぶこと。
微妙なものもありますが、結構、露骨な「間違い」の作り方をしているものもあります。

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平成21年第7問
企業はヒット商品を連続して生みだそうと努力するが、なかなか期待したような成果をあげることができないでいることが多い。そのような困難と関連する事情について説明する記述として最も適切なものはどれか。

ウ 他社がまねのできない独自技術を開発するには、概して特定技術への長期的な投資が必要であるため、市場の短期的な変化に柔軟に対応するための商品開発ができなくなる。

この問題は4択で、アとエは断定型、言い切り型で露骨に不適切肢とわかるのですが、このウがやや迷うところ(正解はイ)。

「特定技術への長期的投資」が「短期的変化に対応するための商品開発」を阻害するかどうか?

・「長期」と「短期」の対比で、一見、読み飛ばしそうだが、前と後では別の概念を並べていて因果関係はない。
・「独自技術の開発」ができていれば、むしろその技術で「市場の短期的変化に対応する商品開発力」も持てるとも言える。

従って、前半(~であるため)と後半(・・・ができなくなる)が論理的に繋がっておらず、適切ではないと結論付けられます。

 

平成23年第4問
企業は環境の競争要因を分析して適切な戦略行動をとろうとする。その際の環境分析について考慮すべき点の記述として、最も不適切なものはどれか。

ア コストに占める固定費の比率が高い製品の場合、企業は生産能力を最大限に活用しようとしがちであるため、業界は過剰生産に陥りやすいので、できるだけすばやくその製品を売り抜けて、業界からの撤退を図ることが重要になる。

・前半部分(~陥りやすいので)自体は正しい。
・「売り抜けて撤退を図る」のでは投資の回収ができなくなるので、戦略として矛盾。競争優位を確保できる戦略の採用を図ることが重要となる。

従って、このアが不適切肢となり正解。

なお、この問題は競争戦略を理解するのに適しており、それぞれの選択肢自体が1問の問題となるような論点を含んでいます。

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また、毎年5問ほど出題される労働法規関連は社労士なみの問題が多く、ほとんどの人ができません。
ここで差をつけようとマニアックなことを追求すると泥沼にはまるだけなので、受験校の教える範囲だけきっちり押さえればOKです。

企業経営理論の本試験では高得点(80点以上)は望めませんので、あくまでも効率的に得点の安定化を目指しましょう

 

◆最後に◆
私は別の受験校でしたが、完成答練と同じ位置づけの答練がもちろんありました(TACより短いスケジュールですが)。

その際の目標は、冒頭で申し上げたように「各科目の(ほぼ)完成」。
答練で最大限の得点を取るために、特に苦手な科目は勉強期間を1日でも多く確保できるよう、答練日の振替をよくやっていました。

もちろん、その次の科目の学習時間とのバランスを考えながらの調整ですが、案外、効果あり。
7割に及ばなかった科目もありましたが、7科目合計で7割達成し、その時点で最高のアウトプットができたという自信が生まれ、模試に繋げることができました。

この記事を読むと、結果として自分も同じことを考えて勉強していたのかなと思います。

そのためには、これから本試験まで、仕事も含めた緻密な日程管理がより一層求められますので、早め早めの計画立案と短サイクル化、PDCA管理、臨機応変な修正がポイントです。

by こぐま

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【企業経営理論】怒涛の7週間スタート”へ2件のコメント

  1. こぐま より:

    ばんちょう様

    コメント、有難うございます。
    まずは企業経営理論、90分の勝負、お疲れさまでした!
    ほぼ7割、もう少しでしたがまずまずのスタートですね。

    「養成答練→完成答練→模試」の一連の流れは各受験校の背骨であり、予想問題でもあると思います。

    取れるべき問題を落としていなかったか、ささっと復習し、7割超えを目指してすぐに次の財務・会計の坂を登り始めてくださいね。

    日曜日のふうじんの記事も参考に、「これほど勉強したことはない」というくらいにガツンとうち込めば、財務・会計という科目の性格上、1週間でも得点獲得力が上がり、必ずや次の模試の結果に繋がってくると思います。

    お互い、頑張りましょう!

  2. ばんちょう より:

    怒濤の7週間、最初の週が終わりました。目標とする7割にはワンマーク足らず!本番では、この「ワンマーク」に全てがかかってくるんだろうな〜と詰めの甘さを反省。でも気を取り直して修正作業。明日からは苦手な財務・会計の7割達成に向けて、気を取り直して頑張りたいと思います。

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