経営法務:データ分析による傾向と対策
こんにちは。ハカセです。
今週からは「経営法務」の完成答練週間。経営法務も、いわゆる「暗記科目」に分類されることが多いようです。
法律って厄介ですよねー。「常識ではこうだけど、法律的にはこう」という、法律の世界の独特のルールが存在します。「行列のできる法律相談所」や「四角い仁鶴がまーるくおさめまっせ」などの番組が存在しえるのも、世間一般の常識と法律での裁定が必ずしも一致しないから。
これは、診断士受験生にとってヒジョーに厄介です。つまり、これまでは「理屈で解きましょう」「実務を想定しながら解答しましょう」と言っておきながら、経営法務に限っては理屈で解くと誤答になってしまう可能性があるのです。
でも、逆に、「法律界の常識」さえ把握してしまえば、あとは方程式を解くように簡単に解ける、ということでもあります。KEYになるのは「会社法」、「民法」、「知財」ですよね。頑張っていきましょう!
◇ 合格率・クリア率 ◇
まずは科目合格率。
(データ出典:中小企業診断協会)
傾向は一目瞭然。科目合格率は年々低下しています。昨年は10%程度。これは、「経営法務を受けた受験生のうち、総合成績で不合格になったけど、科目合格を果たした人(=60点取った人)が10%しか居なかった」ということになります。
科目合格率は、「総合成績で不合格になったけどその科目が60点を超えた人の確率」なので、実は余り意味を成しません。そのため、道場では「科目クリア率」を算出しています。
「科目クリア率」= (試験合格者+科目合格者) ÷ 科目受験者
(データ出典:中小企業診断協会)
繰返しになりますが、「科目クリア率」とは、上記計算式で算出する、「当該科目を60点以上取れた人、または他の科目でカバーできた人」の割合です。正確な数字ではありませんのであくまでも参考値ですが、これを見ると、おや、意外に低くないですね。科目合格率が10%という数字に比べると、科目クリア率は37%です。「60点取れたかどうかはともかく、試験には合格できた(=他の科目でカバーできる範囲だった)」という人が結構いた、ということですね。
例年と比べてみると・・
↑ 上記から分かるように、確かに、例年よりは科目クリア率は低かったようですが、例年に比べて極端に低かったというわけではないようですね。昨年の受験生である我々の感覚は、「法務は地獄だった・・・」という感じなのですが、実際にはそうでもなかったのでしょうか・・・。
◇ 出題のバランス ◇
まず、「民法・会社法」「知的財産権」「その他」という具合に大枠での分野別出題数を見てみましょう。
このように、知財関連の出題数が徐々に減少する一方で、民法・会社法関連の出題が増えているようですね。
◇ 分野別の出題数推移 ◇
もう少し具体的に見ていきましょう。まずは分野別の出題傾向の確認。民法・会社法に関しては、うむー。各年度ごとに明確な傾向がありませんね。かなりバラバラに出題されいて、年度ごとの傾向は僕には発見できませんでした。
知財の方はどうでしょう。まず、年々出題数が減っていますね。その中で、はやり「特許権」の出題が一番多いのが分かります。また、昨年は特許権以外の知財は満遍なく出題されていますね。
このように、「知財」の分野はバランスよく出題されているのに対し、「会社法・民法」の分野は明確な出題傾向が見つかりませんでした。
◇ 難易度 ◇
出題傾向はわかった。では、どこを攻めればいいのか。もちろん、易しいところから攻めましょう!
まず全体のABCDE難易度の分布を見てみると・・・
このように↑、AB難易度の問題は減少傾向です。とはいえ、AB難易度の問題が「まだ」4割前後あります。C難易度も含めれば6割を超えます。
これを細かく分野別に分解すると、
(平成16-21年の問題で集計)
なるほどー。会社法・民法の問題は、出題数も多い割にAB問題が少ないんですね。一方、知財の問題は、出題数は減っていますが難易度は安定しているんですね。
経年的にはどうでしょうか。
このように、やはり、「知財」の正答率は安定していますね。一方、「会社法・民法」の正答率が徐々に下落傾向にありますね。「その他」の正答率は上昇していますが、対応策の立てようがないですから、ここに注力するわけにいきませんよね。
◇ 分野別の難易度比較 ◇
具体的に、さらに詳しく分野別の難易度も見てみましょう。
上記から、会社法・民法の分野では、「民法」「株式」「組織再編」からの出題が多いのがよくわかりますね。そして、「民法」「組織再編」は比較的「難・易バランス」がいいですね。一方、「株式」の分野は難易度の高い問題が多いようです。
知財の分野は、やはり特許権が一番多い。D難度の問題も多いのですが、AB難易度も数多く存在していますね。なるほどなるほど。
◇ 傾向と対策 ◇
上記からわかったことは、
- 昨年の経営法務は確かに難しかった
- しかし、科目クリア率はそこまで下がっていない=他の科目でカバーできる範囲内だった
出題傾向は
- 「会社法・民法」の出題数が増加傾向。一方で「知財」の分野は減少傾向。
- 難易度では、「知財」の方が対応しやすい = みんな得意にしている
- 一方で「会社法・民法」は、特に中核となる「株式」「組織再編」の分野の出題数が多く、難易度も高い
よって結論。
- 対応しやすい「知財」で取りこぼしを阻止せよ。
- 「会社法・民法」の分野は、ヤマを絞ることなく、満遍なく学習せよ。
- 「会社法・民法」の分野は、難しい問題もあるが、それに惑わされることなく基礎問題を重点的に対応せよ。
ということが言えるかもしれません。
◇ おまけ ◇
最後に、道場執筆メンバーの昨年の答練成績を大公開。皆さんの「目標得点」を設定する際の参考にしてください!
答練・模試期は、得点のばらつきが少ないですね。特に基礎答練・直前答練はほぼ「束」になってますね。さすがに毛並みの違った本試験ではバラけましたが。
答練の難易度にもよりますが、直前答練(完成答練)で70点、模試で60点前後を目指したいところです。
ではまた!
by ハカセ