広報業務に中小企業診断士資格は役に立つのか? byまさき

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早速ですが、みなさんはGoogleの検索窓に「中小企業診断士」と打ち込んだことがありますか?

ある方はご存知かと思いますが、予測変換の一番上の方に、非常に不穏な言葉が出てくるわけです。

「中小企業診断士 意味ない」

「中小企業診断士 役に立たない」

これです。 これから何百時間、あるいは何千時間という膨大な時間を投じてこの資格を取ろうとしている人間に対して、インターネットというやつはあまりにも無慈悲な現実を突きつけてくるわけですね。

自分も受験生時代、この文字列を見るたびに、「いや、そんなはずはない。これは合格できなかった人たちのルサンチマンが具現化した怨念に違いない」と自分に言い聞かせていたんですが。

実際、合格して、登録して、いざ実務の世界に放り出されてみると、「あれ? あの予測変換、あながち間違いじゃなかったんじゃないか説」が、自分の中で浮上しかけた瞬間がありました。

特に自分は企業の「広報担当」です。
コンサルタントとして独立しているわけでもなければ、銀行員として融資の判断をしているわけでもない。 企業の広報担当です。

今日は、一見すると「診断士の知識、どこで使うねん」と思われがちな広報担当の視点から、この資格が本当に役に立つのか、それともただの高級な名刺飾りなのかについて、淡々と書いていきたいと思います。

Warning

あくまで個人の見解です。

企業ごとに広報の仕事内容ややり方も異なるので、とある人の体験談として読んでください。

一旦、落ち着いて気軽に読んでください。決して、熱血な合格体験記ではありませんので。

(前提知識)企業の広報担当という仕事の一例

  • 社外広報
    プレスリリースを作成したり、記者会見などを実施したりして、メディア(報道機関)へ情報提供します。
  • メディアリレーション
    自社の情報をメディアに取り上げられやすくするために、メディアとの関係性を構築します。(利害関係が複雑なので)個人的には高度なコミュニケーションが発生していると思っています。
  • 社内広報
    社内報などを作成して、社員への情報共有をします。個人的には社内報が社員に読まれている企業広報は優秀だと思っています。
  • 危機管理広報(リスクマネジメント)
    事故や不祥事発生時に迅速かつ適切な情報発信を行い、企業の信頼を守ります。平時からリスクの洗い出しやマニュアル作成も行います。
  • 情報収集・分析
    メディアの動向や社会の評価を調査・分析し、社内に共有します。

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ダイキ
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広報に診断士資格は「直接」役に立つのか?

まず結論から申し上げますと、広報の日常業務、いわゆる日々の業務において、中小企業診断士の資格が「直接」役に立つことは、正直あまりありません。

・・・。

驚きましたか? いや、冷静に考えてみてください。

メディアリストを作成している時に、「おっと、ここで運営管理の『余裕率』の知識が必要だ!」とはなりませんし、社内報の原稿チェックをしている時に、「ここは会社法の『取締役の欠格事由』に抵触するな…」なんてことは、まず起こらないわけです。

もちろん、プレスリリース作成している時に、情報ネタによっては運営管理(工場や物流、スーパーマーケットの知識)や経営法務の知識が役に立つことはあります。ですが、頻繁にはないです。

つまり、「診断士を取れば、翌日から広報の仕事が劇的に楽になる」とか「魔法のようにプレスリリースが記事になる」「即、出世する」なんてことはないです。

そういう意味では、「役に立たない」という説も、あながち嘘ではないと思います。

しかしです。 ここで話が終わってしまうと、なぜこのブログを書いているのかわからなくなります。

「直接的なツール(道具)」としては役に立たないかもしれませんが、「OS(オペレーティングシステム)」のアップデートとしては、絶大な効果がある、というのが自分の見解です。

パソコンで例えるなら、診断士資格を取ったからといって、急に「Excel」や「PowerPoint」といったアプリの機能が増えるわけではありません。
ただ、PCそのものの「CPU」や「メモリ」が爆上がりするイメージです。

処理速度が速くなり、同時に複数のタスクをこなしてもフリーズしなくなり、何より「バグ(論理破綻)」が起きにくくなる。(と思っています。)

(まだ続くので、スクロールを辞めないでください。)

プレスリリース作成は2次試験に役立つ

2次試験の難しいところ。「100字以内で答えよ」という、あの無慈悲な文字数制限が1つに上がると思います。

あれ、何なんでしょうね。 言いたいことは山ほどあるのに、解答用紙のマス目はあまりにも少ない。 まるで、「あなたの人生を3行で説明してください」と言われているような理不尽さを感じます。

しかし、広報の仕事をしていると、この「理不尽な要約作業」に既視感を覚えることがあります。 それが、プレスリリースです。

プレスリリースというのは、多忙を極める記者の方々に向けて、「ウチの商品、すごいから取材して!」とアピールするラブレターのようなものです。 しかし、記者は1日に何百通ものリリースを受け取ります。ダラダラと長い文章なんて、1秒でゴミ箱行きです。

つまり、プレスリリースもまた、「誰に(ターゲット)」「何を(強み)」「どうなるのか(効果)」を、なるべく簡潔に、分かりやすくまとめる必要があるわけです。

これ、完全に2次試験の解答作成プロセスと同じなんですよね。

自分は診断士の勉強を始めてから、プレスリリースを書くときに、脳内で勝手に「与件文」と「設問」を設定するようになりました。(流石に嘘です。さっき思い付きました。)

  • 設問:当社が発売する新商品について、メディアが取材したくなるポイントを100字以内で述べよ。
  • 制約条件:専門用語は使わず、中学生でも分かる言葉を用いること。

このように、日頃の業務を「試験問題」に見立てて処理したりすると、結果的に2次試験の記述力が向上するのではないか(笑)。

ただ、個人的に思うのは2次試験の勉強で培った「因果関係を明確にする論理構成(AだからB、よってC)」は、そのままプレスリリースの構成に流用できる。これは言えると思います。

なので、「役に立つ」と言っていいでしょう。 むしろ、広報担当者は全員、2次試験を受けるべきだという極論すら浮かんできますが、それはさすがに言い過ぎなので取り消します。

プレスリリースを普段書くことがないという方は、日々のメールや日報を「事例問題」だと思って書いてみてはどうでしょうか

「部長(ターゲット)に対し、納期の遅れ(課題)を報告し、代替案(解決策)を提示して承認を得る(効果)ためのメールを、50字以内で作成せよ。」

これを毎日繰り返していれば、合格は向こうから勝手に歩いてくる……かもしれません。まあ、来ないかもしれませんが、文章力は確実に上がります。

診断士になってから気付いた「意外なメリット」

診断士を取ってから、周囲の反応が少し変わりました。 特に大きかったのが、「あいつ、財務諸表読めるらしいぞ」という噂です。

「事例IVで足切りギリギリじゃなかったっけ?」というレベルの理解度だったとしても、資格という印籠があるだけで、周囲は勝手に「財務のプロ」というフィルターを通して僕を見てきます。

実際には、資格取ったくらいでは財務諸表読めません。
診断士になってから、普通に財務の勉強は続きます。

その結果、自分はIR(インベスター・リレーションズ)や決算関連の業務にアサインされるようになりました。

何度も言いますが、資格を取っただけでは実務レベルのIRなんて到底できません。 そこは、普通に本を読んだり、上司に怒られたりしながら勉強を続けています。

つまり、診断士資格は「IR業務への入場券」にはなったけれど、座席に座り続けるには追加料金(継続学習)が必要、という現実です。甘くはないですね。

そしてもう一つ、全く予想していなかったメリットがありました。 それは、「新聞記者やテレビ局の人に、意外と診断士が多い」という事実です。

これ、本当に不思議なんですけど、診断士の集まりやイベントで名刺交換するとお会いするんですよ。で、仕事以外の文脈で、非常に有益な話が聞けるようになりました。

「ぶっちゃけ、どんなプレスリリースなら読みたくなりますか?」 「テレビ局に取材してもらうにはどうアプローチしたら良いか?」

こういう、生々しい情報を、診断士という共通言語を通じて仕入れることができる。 これは、ただの広報担当者ではアクセスできない「隠れた人脈資産」だと思っています。まあ、記者と仲良くなれば聞けるので、診断士であるべき理由もないですが。

資格を通じて広報スキルそのものは上がっていなくても、情報の仕入れルートが太くなることで、結果としてアウトプットの質が高まる。 これは、強力なメリットだと思います。

「勉強し続ける人」というタグ付けが最強の武器

結局のところ、広報業務において中小企業診断士は役に立つのか。 自分の結論としては、「資格そのものよりも、資格を取る過程で身についた”癖”が役に立っている」です。

今の時代、何ができるかより、『変化に対応して学び直せるか』の方が市場価値が高い説、あると思います。

診断士試験というのは、ご存知の通り、狂気じみた範囲の広さを誇ります。
経済学から情シス、法務、運営管理まで、およそ一人の人間が担当するには無理のある領域を、無理やり頭に詰め込む作業です。

この苦行を乗り越えたことで、「業務に必要なことであれば、未知の分野でも自ら進んで勉強し、習得する」という行動様式がインストールされました。

そして、周囲も自分をそういう人間として認識し始めます。
「あいつに投げておけば、とりあえず勉強してなんとかするだろう」という、ある種の信頼、あるいは諦めに似た期待。 この「学習習慣のある人」「構造化して考えられる人」というタグ付けこそが、変化の激しい現代のビジネスシーンにおいて、最強の武器になるのではないでしょうか。

診断士には、弁護士や税理士のような「独占業務」はありません。 「この資格がないとできない仕事」は、ほぼ存在しない。 だからこそ、「役に立たない」と言われがちです。

でも、「役に立たないことはない」とも言えます。
むしろ、サラリーマンとして生きていくための「基礎体力」や「生存スキル」を、これでもかというくらい濃縮して叩き込まれる。 それが中小企業診断士という資格の正体なのだと自分は思います。

今、結果待ちで不安な夜を過ごしている方も、これから勉強を始めようか迷っている方も。 安心してください。 その勉強時間は、たとえ試験の結果がどうであれ、あなたの脳みそのOSを確実に書き換えています。

そして合格した後には、財務諸表と格闘するなど、終わりのない勉強を続ける日々が待っています。

……まあ、それが幸せかどうかは、また別の話なんですけどね。

次回予告

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