経営法務は「なぜ?」を想像すると楽しくなる byぴらりん

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一発合格道場からのお知らせ!

ぴらりん
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まずは例にもれず、お知らせから

以前より告知してきた「一発合格道場春セミナー」がいよいよ4/20(土)開催となります。

本セミナーにお申し込みをいただいた皆さま

  • 当日のセミナー参加に関するご案内メールを4/13(土) 20時半頃に送信しました!
  • 届いていない場合は、春セミナー告知記事に、応募時のハンドルネームでその旨コメントください!

以上、よろしくお願いしまーす♪

第15問か第8問あたりで問われる形式がある

ぴらりん
ぴらりん

令和に入って、試験員の出題傾向が変わった??
問われる問題についてピックアップします(答えは「最後に」記載しておきます)

経営法務では、令和に入ってから第15問か第8問あたりでこんな形式の問題が問われるようになりました

令和5年(沖縄 再試験) 第15問

産業財産権に関する法律の規定として、最も適切なものはどれか。

ア 特許法には、不正使用に基づく取消審判制度が規定されている。
イ 実用新案法には、出願審査請求制度が規定されている。
ウ 意匠法には、国内優先権制度が規定されている。
エ 商標法には、登録異議の申立て制度が規定されている。

令和4年 第8問

産業財産権法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 意匠法には、国内優先権制度が規定されている。
イ 実用新案法には、出願公開制度が規定されている。
ウ 商標法には、出願審査請求制度が規定されている。
エ 特許法には、不実施の場合の通常実施権の設定の裁定制度が規定されている。

令和3年 第15問

産業財産権法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 意匠法には、出願公開制度が規定されている。
イ 実用新案法には、出願審査請求制度が規定されている。
ウ 商標法には、国内優先権制度が規定されている。
エ 特許法には、新規性喪失の例外規定が規定されている。

令和2年 第8問

産業財産権に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 国内優先権制度は、特許法及び意匠法には存在するが、実用新案法及び商標法には存在しない。
イ 出願公開制度は、特許法及び商標法には存在するが、実用新案法及び意匠法には存在しない。
ウ 存続期間の更新制度は、意匠法及び商標法には存在するが、特許法及び実用新案法には存在しない。
エ 訂正審判制度は、意匠法及び商標法には存在するが、特許法及び実用新案法には存在しない。

令和元年 第15問

産業財産権法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 特許法には、特許異議申立制度が規定されている。
イ 実用新案法には、審査請求制度が規定されている。
ウ 意匠法には、出願公開制度が規定されている。
エ 商標法には、新規性喪失の例外規定が規定されている。

ぴらりん
ぴらりん

そうです!
産業財産権の中で、各権利を跨いだ出題方法が増えてきました

以前は、存続期間だけ問う問題や更新制度・延長制度だけを問う問題が数問ありました。

おそらく受験生の対策レベルが上がったため、難易度を上げてきてますね

前はこんな感じの問題が多かったです。

平成29年 第7問

産業財産権の存続期間に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 意匠権関連意匠の意匠権を除くの存続期間は、設定登録の日から 20 年である。
イ 実用新案権の存続期間は、設定登録の日から 15 年である。
ウ 商標権の存続期間は、設定登録の日から 10 年であり、以後、年ごとに更新することが可能である。
エ 特許権の存続期間は、設定登録の日から 20 年である。

平成26年 第13問(設問2)

産業財産権­(工業所有権)の存続期間に関する下記の設問に答えよ。

­設問(2)
産業財産権のうち、⑴存続期間の更新登録制度があるもの、⑵存続期間の延長登録制度があるものの組み合わせとして最も適切なものはどれか。

ア ⑴:意匠権 ⑵:特許権
イ ⑴:実用新案権 ⑵:意匠権
ウ ⑴:商標権 ⑵:特許権
エ ⑴:特許権 ⑵:意匠権

経営法務の「なぜ?」に迫る!

産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つ)を跨いだ知識を問う問題が増えてます
これはまとめて覚えておかないとごっちゃになってしまう出題方式ですね!

あれ?出願公開制度って全部にあったっけ??
出願請求ってなんやっけ??

もうあかんぴらりん
もうあかんぴらりん

ただ、この出題形式が今後も続くようであればラッキーです!この出題方式を見越した勉強法「なぜ違いが生まれているのか?」があるから

ぴらりん
ぴらりん

ここからは、経営法務が楽しくなる「なぜ」について解説!
実際には推察?推論?の域を超えないものもありますが、お菓子を食べながら見てもらえると

※ここからはぴらりんが受験中に気になっていたことや受験後にふと考えていたことを調べて書いた記事です。実際の専門家視点では違うことがあるかもしれませんが、気になる点があればどんどんコメントに書いてください!

【なぜ?①】特許権だけ出願審査請求があるの?

産業財産権の登録までの流れ整理できていますか??

必要な部分に〇をつけてみてください

まとめておくとこんな感じ

(クリックで開く)産業財産権の流れ

ぴらりん
ぴらりん

Why !? じゃぱにーずぴーぽー!? なんで書類OKなのに、特許権だけそのまま審査してくれないの!?

と、あなたが言った声が聞こえましたよ。笑

方式審査とは書類に不備がないかのチェックで、実体審査はちゃんと権利を取得するに値するかかを確認する手順です。

特許権以外の意匠権、商標権は書類関係がOKならそのまま実体審査が始まります。実用新案権にいたっては実体審査すらなしです!

ぴらりん
ぴらりん

気になる!!出願審査請求が特許権にだけあるのはなんでや!!

気になって調べてみると近そうな回答がありました!

実際に昔は(昭和46年より前)、日本でも特許出願手続さえ行われれば、特許性を判断して特許権を付与するかどうかの審査が行われていました。

しかし、出願した後にやっぱり特許を取れる内容の発明じゃなかったよなとか、特許取ってもしょうがないな、使い道ないなとか思ってしまうような出願や、自分たちはほんとうは権利化するつもりはないけどライバル会社が出願して特許権を取っちゃうと嫌だからとりあえずという理由の出願なども現実的にはそれなりの数存在します。

そういった理由で、出願人に出願してから3年間、特許権利化する必要がほんとうにあるかどうかを決める猶予期間を与えて、権利化が必要だと決心したら猶予期間内の好きなタイミングで審査を請求させる出願審査請求制度が採用されています。

松田国際特許事務所 「出願審査請求とは?」

見切り発車申請する方もいるということですね~

実際に出願件数を調べてみると何となくと見えてくるものがありました

一部加工:特許行政年次報告書2023年版
ぴらりん
ぴらりん

いや、特許権の出願多っ!!
年間30万件 ÷ 365日=約800件の専門技術の新規性審査は確かに骨が折れる。
書類がOKならそのまま実体審査するか~とはならないのも納得

一部加工:特許行政年次報告書2023年版
ぴらりん
ぴらりん

ちなみに、特許出願の後に実際に実体審査がされるのは大体8割ほど。
残り2割は保留や取り下げなどになるようです

ぴらりん
ぴらりん

それにしても年間で約30万件の特許申請があるってすごくない!?日本もまだまだ捨てたもんじゃない!笑

まとめ|特許権だけ出願審査請求があるの?

  • 特許出願件数は年間約30万件と膨大にある
  • そのすべてが特許権に値するものでもないし、本当に特許が欲しいと思って申請されたものでもない、ケースがある

【なぜ?②】特許権・商標権には出願公開があるの?

今度は出願公開について見ていきましょう!

産業財産権にはそれぞれ「先願主義」が認められています。これは、要するに「早い者勝ち」のことで、重複した登録ができないようになっています。

実は、その「早い者勝ち」の制度で不利益・不公平が起きないように出願公開がされるのです。

特許権と商標権では公開される意味が少し異なるようなので整理してみましょう

特許権における出願公開がなされる理由

特許権を得るような新規性があり価値が高い研究が重複しないようにするために出願公開される。

特許権の審査は通常1年~4年程度とすごく時間がかかるので、その間に同じ研究がされていることを知らずに重複した技術研究をやり始める人がいると日本国としてもったいない!

先願主義を採用しているため、重複した投資があったとしても権利を得られるのは最初に特許を取ったものだけ、そんな残念な結果にならないように出願内容の公開が行われるようです。加えて、先行して技術研究が進んでいるのであれば、それに被せる形での応用研究も先んじてできるようになります

商標権における出願公開がなされる理由

商標権をゲットすると名称の独占権が与えられます。

とはいえ、名称自体は(特許権などと比較して)さほど難易度も高くないため、自分が申請しようとしてるものがすでに登録されているものかどうかは確認できた方が便利です。

商標権も登録までの期間で4か月~8か月ほどと意外と時間がかかるので、その間に出願されている名称と同じ名称を一生懸命考えていると思うとアホらしいですね

では、逆に、実用新案権と意匠権には出願公開がないのはなぜ??

そうなんです!ここまで見た中だと、本来は出願されている内容は公開した方が社会のためになるはずですよね?ただ、公開することのデメリットもあります

Q4. 意匠には公開制度がないのはどうしてですか?

意匠は特許とは違い、出願されたもの全てが実体審査の対象となり、審査をパスして登録された意匠だけが意匠公報に掲載されます。
その理由は、意匠が特許と比べて早期に権利化されるとともに、 特許のように文献を開示することにより技術の累積的進歩を図る必要性はなくむしろ公開されることによる出願人の不利益(意匠は物品の外観であるため模倣されやすいこと等)の方が大きい為です。

柳野国際特許事務所 「意匠に関する基礎知識」

意匠権には出願公開がない理由

意匠権は特許権より登録までの期間が短いうえ(平均10か月ほど)、技術的な公開の必要性がない。

むしろ模倣されやすいため、意匠権が確定するまで公開しない方が無用な争いを避けられるから。

実用新案権には出願公開がない理由

実用新案権には、書類に不備がなければ、基本すべてが登録されます

出願から2か月~3か月ほどで登録される実用新案権の出願公開は手間が大きそうですね。公開してもその翌月には登録され、公開されるので。笑

ぴらりん
ぴらりん

基本、産業財産権には出願公開をした方がいいメリットがありつつ、
意匠権には権利保護というメリット。実用新案権には公開する手間というデメリットがあるから出願公開しない。という例外があるわけです。

まとめ|特許権・商標権には出願公開があるの?

  • 特許権を取得するための先進的な投資が社会全体として重複しないようにするため
  • 商標権の場合は、比較的容易に作れるのに、登録までの期間で意外と時間がかかってしまうため、「こんな申請ならすでにされているよ」と教えてあげるため

【なぜ?③】特許権・実用新案権には国内優先権があるの?

国内優先権とは

簡単に言うと、すでに特許(実用新案権)を出願している技術に対して追加で研究を行い範囲を広げて特許を得ようとした場合に、先の出願より1年以内であれば前に出願していた時を基準に新規性などが判断してもらえる。

こうすることで、先行して基本的な研究を行い、後に改良研究を行い包括的に権利保護を受けられるようになります。

逆に、国内優先権がないと、基本的な発明を行った時点で新規性がなくなってしまい、追加の改良発明に対するインセンティブが失われてしまいます。

本来は出願された権利の範囲は変えてはいけない原則がありますが(後日、範囲が変わってしまうと第三者の権利を侵害する可能性が出てくるので)、一定の期間内であれば範囲を広げるのを認めようとなったわけですね。

追加の改良発明を待ってから特許申請となると、技術発展が後手後手に回ったり、海外勢に負けたりする恐れもありますから。

ではでは、逆になぜ意匠権と商標権には国内優先権がないのか?

意匠権や商標権には国内優先権がない理由(推察)

基礎的な発明後に追加で研究を行い、権利の範囲を広げる必要性がそもそもあんまりない。

意匠に関しては、権利の範囲を広げるというよりそもそも別の意匠として登録すればよい(本意匠・関連意匠制度)

商標に関しては、新規性の判断がそもそも不要なので、申請のたびに出願審査をすればOK(時間を遡って新規性の判断をする必要がない)

※国際的には、最初に出願した時を基準にして国を跨いで権利をもらえるパリ条約というものはあります

まとめ|特許権・実用新案権には国内優先権があるの?

  • 特許権には、新規性という判断軸高度な技術が必要という相反する要求があるため、それを中和する制度が必要
  • 権利の範囲は原則変更できない。変更できるとなると、第三者の権利が侵害される可能性があるため
  • 権利の範囲が変更できず、一度出願した内容で新規性を失ってしまうなると、追加的な技術投資ができなくなってしまう
  • だから、時間を遡って新規性を判断してあげる制度があると便利

ここで復習です!

冒頭に挙げた図表、再度必要な部分に〇をつけてください

最後に

いかがでしたか?

なぜここだけ例外なの?と考えてみると、原則と例外が分かりやすくなり、物事を覚える際や思い出す際に助けになってくれると思います。

今日解説した内容は3つだけですが、他にもよく問われる点はありますので、ぜひなぜ違いがあるのか?考えてみてください!

たとえば、あなたなら下記にどう答えますか??

  • なぜ商標権にだけ権利の更新があるのに、他にはないの?
  • なぜ特許権にだけ延長制度があるの?
  • 新規性喪失の例外規定に、商標権はなぜ該当しないの?
  • 登録異議の申立て制度は、なぜ特許権と商標権にだけ認められるの?
  • 訂正審判制度はなぜ特許権と実用新案権にだけ認められるの?

一蔵が法改正についてシリーズでまとめてくれているので、そちらも貼っておきます!

解答一覧

ぴらりん
ぴらりん

ここまで読んでくださった読者の皆さん、ありがとうございます。
最後の問いで、自分なりの考えをまとめてぜひコメントください!
(正しい・正しくないかはあまり気にせず、考えることで記憶に残すためのチャンスと捉えてチャレンジを推奨します)

明日は、触るものすべてに電気をプレゼントする15代目『せーでんき』です!乞うご期待!

ばちっ

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経営法務は「なぜ?」を想像すると楽しくなる byぴらりん”へ2件のコメント

  1. テセ より:

    おはようございます!
    初コメント失礼します。

    経営法務が苦手だったのですが、今記事を拝見して理解できるような気がしてきました!
    ありがとうございます。

    なぜ商標権にだけ権利の更新があるのに、他にはないの? ⇒ 権利の更新ができないと商品名がころころ変わってしまうから?
    なぜ特許権にだけ延長制度があるの? ⇒ 審査期間が長期に及ぶ可能性があるから?
    新規性喪失の例外規定に、商標権はなぜ該当しないの? ⇒ 商標に新規性が必要ないから?
    登録異議の申立て制度は、なぜ特許権と商標権にだけ認められるの? ⇒ 特許権:審査期間が長いため審査中に似たようなものがでることがある、商標権:類似商標による営業利益の妨害?
    訂正審判制度はなぜ特許権と実用新案権にだけ認められるの? ⇒ 特許物が使用されていく中で、使用方法などに変更が生じる?

    まだまだ知識が無いためぼやッとですが、回答を想像してみました!

    土曜日のセミナーも参加させていただく予定ですので、宜しくお願い致します!

    1. ぴらりん より:

      テセさん、初コメいただきました!笑
      ありがとうございます!

      お土産への回答もうれしいです!
      気になる!となると、調べてみたくなる&記憶にも残るようになると思うので、「なぜなぜ」チャレンジ続けてみてください~
      人間が作ったルールなので、時代や地域の運用に合う「合理性」があるはずなので

      追加の疑問
      なぜ商標権にだけ権利の更新があるのに、他にはないの?
      ⇒そもそも、なぜ権利保護をする期間が設定されているのか?(言い換えると、なぜ特許権などには永年保護はないのか?)

      ここで議論をしすぎるとあれなんで、XやられていたらDM送ってもらえると返信しまーす
      https://twitter.com/pira_consul

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