イノベーション理論まとめ byさたっち
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全速前進ヨーソロー☆さたっちです。
昨日までのAmazonプライムデーで買い物しすぎてしまいました。
Amazonと言えば、常にイノベーションを起こし続けている企業と言えますね。
そこで本日は、1次試験で出題可能性のあるイノベーション理論を簡単な実例と共にまとめました。
皆さんの理解度チェックにお役立て下さい!
なぜイノベーションが必要なのか?
イノベーションとは、英単語のInnovationという言葉から来ており、「革新」という日本語で訳されます。
昨今の経営でよく耳にするよね!
では、なぜこんなにも頻繁に登場するのでしょうか?
それは「どんな企業でも変わり続けなければ、生き残れない」からです。
中小企業診断士を目指す皆さんに、このことを知っておいて欲しいからこそ、毎年のように1次でも2次でも問われているのだと考えられます。
試験のためだけでなく、その先も見据えて押さえておきたいですね!
破壊的イノベーション(ラディカルイノベーション)
イノベーションというと、この言葉を第一に思い浮かべる方も多いのではないかと思います。
C.クリステンセン教授が「イノベーションのジレンマ」の中で提唱した言葉です。
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理解のために、ティファール社の電気ケトルの実例を見てみましょう。
当時は電気ポットでお湯を保温しておき、お茶やコーヒーを入れることが主流でした。
電気ポットメーカーは「異なる温度で保温できる」「節電機能」「タイマー機能」など、電気ポットの機能向上に力を入れ続け、その分価格も上昇していた時代です。(これを持続的イノベーションもしくはインクリメンタルイノベーションと言います。)
そこで、飲みたい時に必要な分だけお湯を沸かせる電気ケトルが発売されました。
電気ポットがおよそ2万円だった時代に、3000円ほどで買える電気ケトルは顧客ニーズを捉え、大きく普及しました。
図にまとめると以下のようになります。
技術は時間と共に進化します。
電気ポットはすでに顧客の求める性能を満たしているにも関わらず、過剰な品質となってしまっていました。
それに対し、電気ケトルは「沸かしたてのお湯がすぐに手に入る。」ところまで技術が進化したことで、顧客が求める性能を満たしたために電気ポットの市場を大きく奪うことになりました。
破壊的イノベーション(ラディカルイノベーション)は登場初期は性能も低く、見向きもされない場合が多いです。しかしながら、顧客の求める性能をきっちり捉えていれば、性能向上により既存市場を破壊する存在になりえます。
即席みそ汁を作る時に便利だぜ。
経営において、こういった技術のタネを見逃さずに捉えていくことが長期的な企業の繁栄へとつなげると言えます。
試験対策のために過去問の出題実績を以下に掲載したので、どのように出題されたかはぜひご確認下さい。
出題実績
- 令和4年 第9問、平成20年 第7問他
オープンイノベーション
オープンイノベーションとは、ヘンリーチェスブロウによって提唱され、「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること」と定義されます。
もう少し具体的に言うのであれば、自社以外の企業と共同で価値を創造していくことです。
例えば、令和元年度の事例Ⅰでは葉タバコの乾燥機のメーカーが乾物作りのために他社と連携することが与件文にあります。これもオープンイノベーションの例です。
美味しい干し芋を作るのに成功したらしいよ。
※出典:三州産業HP内の製品一覧より
オープンイノベーションとは、自社の秘伝のレシピを守るのではなく、むしろ公開して、様々な意見・提案を得て、より良いレシピへと進化させていく戦略になります。
中小企業は事業開発のリソースが少ない場合が多いので、政府も主導となってオープンイノベーションを勧めています。そのメリット・デメリットを過去問で押さえておきましょう。
出題実績
- 平成28年度第4問 他
リバースイノベーション
〇〇イノベーションシリーズの3つめは「リバースイノベーション」です。
言葉の定義は「新興国で現地のニーズに合わせて開発した製品を先進国にも導入して広める」です。
実例として、株式会社LIXILはケニアなどの水資源が乏しい国向けに「無水トイレ」を開発しております。そして、これを水資源が乏しい国だけでなく、災害に強いトイレとして先進国でも導入を進めています。
※出典 EcoNetworks「Interview: LIXILは、世界の「トイレ問題」に、どのように取り組んでいるのか?」より
リバースイノベーションは「リバースエンジニアリング」とセットで問われることが多いので、両者を取り違えないように気を付けて下さい。
リバースエンジニアリングって、簡単に言えば「パクる」ってことやで~
もうちょい言葉選ばんかい、、、
出題実績
- 平成24年度第10問、令和2年度第8問 他
リーンスタートアップ
続いて、リーンスタートアップです。
リーンとは、lean「脂肪やぜい肉のない」という英単語です。
運営管理でも「リーン生産方式(トヨタ生産方式)」という用語がありますが、そこからリーンスタートアップと名付けられています。
リーンスタートアップとは、起業や新規事業を立ち上げる際に有効な手法として取り入れられています。
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その手法とは、新製品やアイデアを考えた時にいきなり製品を作り始めるのではなく、まずは仮説を立て、顧客に最小限の価値を持った試作品(MVP)を見せてその反応を伺い、反応が悪ければピボット(方向転換)、反応が良かった場合に初めて製品開発を始めるという方法です。
MVPとは「Minimum Viable Product」の略で、小さく実行可能な製品って意味だよ。
最優秀選手、という意味ではないので注意!
ピボットはバスケ用語から来てるよ~!
具体例をあげると、ファイル共有サービスのDropbox社は最初からストレージサービスを作ったのではなく、まずは製品のコンセプト動画のみを作成して公開し、顧客から購入したいという声があることを確認してから開発を始めています。
また、靴の通販のザッポス社はECサイトのみを立ち上げ、顧客が購入したら、靴屋さんにその靴を買いに行って梱包して発送しました。そうすることで、靴の通販に需要があることを確認してから本格的に事業を立ち上げています。
事業立ち上げ当時は通販業界で一番売れないのは靴と言われていたんだって。履いてみないとサイズ感がわからないもんね。
リーンスタートアップのメリットは手戻りのコストが低く抑えられることです。なぜかというと、コストのかかる製品開発を後の工程に置いているためです。
技術屋さんって製品開発好きそうだけど、それでいいの?
気持ちはわかるんだけどね。
「製品を開発する」という行為は、時間・費用とかなりのコストを要します。そうして、開発した商品を世の中に出してから反応がいまいちだった場合、また一から作り直しになります。
資金が無限にあれば、いつかヒット商品が生まれるかもしれませんが、起業したてで失敗した場合は一回の失敗で倒産してしまいかねません。
これを防ぐために、まずニーズがあることを確認するということですね!
また、1回目のアイデアで顧客のニーズを捉えられていることもほぼありません。今の世の中にあるヒット商品も、全然顧客に刺さらない状態から、何回も実験を繰り返して、ようやく世の中に出すことが出来ています。
一説によると、必要な回数は300回なんだって。ひぇ~。
まとめると、最小限のリスクとコストで実験を繰り返し、真のニーズを捉えてから開発することから、無駄の少ない開発(=リーンスタートアップ)として提唱されています。
出題実績
- 令和元年度第12問 他
キャズム
「キャズム」とは、ジェフリー・ムーアが提唱した理論で、新製品やサービスを受け入れる消費者のタイプが5分類に分けられ、その2段階目(アーリーアダプター)と3段階目(アーリーマジョリティー)の間に、深い溝(キャズム)があることを主張しています。
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下のグラフでよく説明され、横軸に広がれば広がるほど、より多くの消費者に受け入れられたことを指します。
1段階目は一番左の「イノベーター」です。この層はとにかく新しいもの好きで、新商品が出たら値段を気にせずとりあえず買う層です。
新しいスナックを見つけたら、とりあえず入るぜ。
2段階目に「アーリーアダプター」が登場します。(文献によっては、アーリーアドプターと訳されることがあります。)
英語でearly adopterだから、どっちでも大丈夫!
新製品を早い段階で買う層ですが、目利きも行っている人たちです。この人たちの意見が、後のアーリーマジョリティやレイトマジョリティの購入に影響を及ぼします。(これをオピニオン・リーダーと呼びます。)
家庭内で私の意見は絶対よ。
おの家のオピニオンリーダーは私ね。
わーい☆
3段階目に登場するのが、アーリーマジョリティです。
新規事業においては、アーリーマジョリティまでを捉えることが出来れば、市場の50%を捉えられ、成功したと言えるでしょう。しかしながら、アーリーアダプターは革新的なものを求めるが、アーリーマジョリティは既存製品の延長線を求めるため、大きく需要が異なります。その需要を捉えるために、様々な施策が必要であることを提唱しております。
この辺りが大事だから具体例を出すよ!
ここであげる具体例はiPhoneです。
おっ、僕の得意分野だね~。
iPhoneは発売当初は、プッシュボタンがなく大きな画面のみの画期的な携帯電話でした。革新的な携帯電話を求める人は購入しましたが、当時はまだまだガラケーが主流でした。
この頃はアーリーアダプターまでしか購入していないということですね。
日本国内では、3Gが初めて売られたんやけど、初動のみ売上が良かっただけなんよね~。
それでも、iPhoneは革新的であるだけでなく、例えば
- ガラケー内のゲームよりも楽しいゲームが遊べる(しかも自分で選べる)
- LINEを使えばメールより楽に連絡が取れる(しかも通話無料)
- フリック入力で日本語入力も問題なくできる
など、既存のガラケーが進化している形であることが知れ渡ったからこそ、アーリーマジョリティに受け入れられたのだと分析できます。
実際、iPhone4はロングセラー商品になったよ!
つまり、キャズムを越えたわけだ!
しかしながら、スマホが大分普及してきても、ガラケーを使い続ける人が皆さんの周りにも一定数いたのではないでしょうか?その方たちは4段階目の「レイトマジョリティ」に分類されます。
確かにしばらくガラケーで抵抗してたな。
さらに、現在においても頑なにスマホを使わない人もいます。この人たちは5段階目「ラガード」になります。
ワシは電話・FAXしか使わん!
また、iPhoneであればアーリーアダプターとして早期に購入する人であっても、ファッションにおいてはラガードとなってとことん流行を追わない人もいます。このように同一の個人であっても商品によって、どの層に分類されるかは変わります。
「キャズム」理論においては、各層で需要が異なり、どの層を狙うかで施策を変えていく必要があることを述べています。
出題実績
- 令和元年度第9問、平成26年第10問 他
12代目の「のき」さんがキャズムの記事を執筆されておりますので、良ければそちらもご覧ください。
両利きの経営
最後に紹介するのは「両利きの経営」です。
イノベーションというと、本日の冒頭で説明したクリステンセン氏の「破壊的イノベーション」が日本では有名ですが、実は世界において「両利きの経営」の方がイノベーション理論としてはメジャーだそうです。
書籍にそう書いてあったのじゃ!
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両利きの経営とは、不確実性の高い「探索」を実行しながら、「深化」によって収益を確保しつつ、二兎を追いながら両者を高いレベルで行う経営手法です。
詳しくは私の過去記事をご覧ください。
出題実績
- 令和3年度第22問
最後に
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。イノベーションの実例はとっても面白い分野なので、ぜひ勉強してみて下さい!
明日ははっしー!近年の道場では毎年定番の「あれ」を作ってくれたようです。
聞くだけで勉強になるよ☆
お楽しみに!
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