【経営法務】英文問題を読み解く~秘密保持条項~ byさろ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
一発合格道場ブログを
あなたのPC・スマホの
「お気に入り」「ブックマーク」
ご登録ください!
 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

twitterもよろしくお願いします。

さろ
さろ

どうも、さろです。まずはお知らせです。

春セミナーに引き続き、夏セミナーを6月18日(土)に企画中です!

今回は多年度生をターゲットとした2次試験対策セミナーということで、2次試験対策を深掘りした中身の濃いものにしようと、検討中です。ご期待ください。募集は6/4(土)にスタートとなりますので、たくさんのご応募をお待ちしております!

さて、前々回の私の記事において、経営法務の英文問題を解くためのコツとして、英文契約書の英文がドーンと表れても、問題文の中の日本語表記を注意深く読み、契約の一般的な知識を組み合わせれば、選択肢を絞ることが可能であるという記事を書きました。

そのときに作成した傾向をまとめた表が内容が細かすぎて要点が伝わりにくかったと思うので、過去9年分について簡略化したものを再掲します。

まず、一番右の列の⑤英語力を見ていただくと、18問中10問は英語力がなくてもOKと判断しています。④必要な知識を見ていただくと、契約一般知識 とか ビジネス一般常識 と判断した問題が多いことがわかります。すなわち、英文問題のうち半分は英語力がなくても、契約一般知識で解くことが可能であることがわかります。

次に左から2番目の①ジャンルのところを見ていただくと、過去9年で売買基本契約が3回(令和3年、2年、平成29年)貿易が2回(令和元年、平成25年)秘密保持条項契約が2回(平成30年、26年)出題されています。直近2年が売買基本契約で続いているので、3年連続で売買基本契約が出題されるよりは別のジャンルが出題されるような予感がしています。(単なる個人的な予感なので、外しても責任は取れません、あしからず。。。)

そうなると、令和4年は貿易秘密保持条項のジャンルが出題される可能性が高い予感がしています。(これも個人的な予感です、あしからず。。。)貿易に関しては、④必要な知識が全てインコタームズの知識となっています。インコタームズに関しては、前々回も紹介したようにCKさんの記事でわかりやすく論じていただいているので、ここでは割愛します。

ということで、本日は残された論点である秘密保持条項について、法律の専門家ではない私ならではの見方を紹介してみたいと思います。

さろ悟空
さろ悟空

よし、とっつきにくいテーマだけど、オラと一緒にやってみっか!

秘密保持条項とは?

業務委託、ライセンス、共同開発など、2社以上の間で業務を遂行する際には、相手方に必要な情報を開示しないと何も始められないことが一般的です。情報開示をするということは、業務委託先とか共同開発先などからの情報漏洩のリスクが発生するため、それを防ぐための対策です。例えば、契約に違反するような情報漏洩、(例えば顧客の個人情報だとか、重要な技術情報の漏洩)がおこり、損害を引き起こした場合には非常に多額の賠償金請求となるケースもあります。

まだ関係の薄い会社間で契約するときは、情報の開示だけを目的とした「秘密保持契約書」を締結することもありますが、業務委託やライセンスが始まってからも秘密保持義務は継続しますので、各種契約書の中に秘密保持条項が入ることが一般的です。

秘密保持条項に盛り込まれる内容

① 秘密情報の定義に関する規定

② 秘密保持義務の内容に関する規定

③ 秘密情報の管理方法に関する規定

① 秘密情報の定義に関する規定

何の情報を秘密情報として取り扱うかを決めています。

<契約書例文>

X及びYは、本契約に関連して双方が開示する営業上又は技術上その他一切の情報のうち、相手方に対して秘密である旨明示して開示した情報及びその性質に鑑みて通常秘密として取り扱われるべき情報を厳重に保管及び管理するものとする。

ただし、次の各号の一に該当する情報については秘密情報に含まれない。

(1) 開示を受ける前に既に公知であった情報

(2) 開示を受けた後に自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報

(3) 開示を受ける前に既に自ら保有していた情報

(4) 正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく正当に入手した情報

(5) 開示を受けた情報によることなく独自に開発した情報

ここがポイント!
前半部分が秘密情報として何が含まれるか書かれています。後半の秘密情報から除外される5項目は最重要です。

(1) 既に公知の情報

(2) 公知になった情報

(3) 自ら保有していた情報

(4) 第三者から正当に入手した情報

(5) 独自に開発した情報

考えれば、それは当たり前だよね、と思う5項目ですが、その当たり前が契約書に書かれていないと大きな落とし穴となるので、例えば相手方が作成した契約書をチェックするときには必ずチェックする重要ポイントの1つです。

② 秘密保持義務の内容に関する規定

秘密情報を第三者に開示することを禁止したり、取引相手が本来の目的とは別の目的で秘密情報を使用することを禁止しています。

<契約書例文>

X及びYは、相手方の書面による事前の承諾なく、秘密情報を第三者に開示又は漏洩してはならない。ただし、法令により開示義務を負うとき又は法律上権限ある公的機関により開示を命じられたときは、必要な範囲内に限り、開示することができるものとする。この場合、秘密情報を開示しようとする者は、事前に相手方に通知しなければならない。

ここがポイント!
情報を受け取った側が法令あるいは官公庁、裁判所の命令などにより、秘密情報を開示しなければならない場合は秘密保持義務の対象外とすること。弁護士、税理士、公認会計士などへの相談のために秘密情報を開示する場合にも秘密保持義務の対象外とすること。これを例外規定と呼びます。

ややこしいですが、上述の秘密保持情報の定義の除外項目は秘密保持情報に含まれない情報を定義しているのに対して、例外規定は秘密保持情報を例外的に開示する場合に義務の対象外とする規定です。

③ 秘密情報の管理方法に関する規定

秘密情報を漏洩しないように管理することを相手に義務づけています。

<契約書例文>

X及びYは、秘密情報について、本契約の目的の範囲でのみ使用するものとし、本契約の目的の範囲を超える複製又は改変が必要なときは、あらかじめ相手方から書面により承諾を得なければならない。

ここがポイント!
秘密情報については、契約の目的の範囲内でのみ使用すること。

過去問を見てみよう

直近で平成30年と平成26年に、秘密保持条項が出題されていますので、その問題を見てみましょう。

平成30年 第15問(設問2):英語力少し必要

まず、平成30年第15問です。長文の英語が出題されている上に、英語力が必要な問題でした。(私の記事の本来の趣旨と外れてくるので、読み飛ばして次の設問に進んでいただいても良いです。)

ただ(設問2)は秘密保持条項の頻出論点である「秘密情報の定義に関する除外事項」が取り扱われていますので、その重要性を理解いただくために紹介したいと思います。まず、問題文をみてみましょう。

英文がドーンと現れますが、落ち着いて問題文冒頭の日本語を読むと、『秘密情報』の定義に関する問題であることがわかります。

そして、問題文には(i)から(iv)までの4つの英文が並んでいます。このように秘密保持条項で4~5つの文が並んでいたら、「おっ、いつもの秘密保持条項の除外事項が来たな~」と考えます。次に設問文を見ていきます。

(設問2)として、空欄Bに入る記述、すなわち「秘密情報から除外されることが多いが、契約書から抜けているもの」が問われています。① 秘密情報の定義に関する規定 のところで説明した5項目を思い出してみてください。

(1) 既に公知の情報

(2) 公知になった情報

(3) 自ら保有していた情報

(4) 第三者から正当に入手した情報

(5) 独自に開発した情報

の5つでした。(語呂合わせの魔術師☆まん、覚えやすい語呂合わせとか考えてくれんかなあ)

選択肢アは(4)第三者から正当に取得した情報、イは(2)公知となった情報、、ウは(1)既に公知の情報、エは(3)自ら保有していた情報、に該当します。選択肢ア~エに書かれた内容はどれも除外項目として正しいことを書いているので、これだけでは選択肢が絞り込めません。仕方がないので、問題文の英文を読み込むこととなります。

細かい英語の説明はしないですが、(i)は(1)既に公知の情報(already known to the public)、(ii)は(2)公知となった情報(becomes known to the public)、(iii)は(4)第三者から正当に取得した情報(obtained by the third party)、(iv)は(5)自ら開発した情報(independently developed)となりますので、足りないのは(3)自ら保有していた情報となりますので、選ぶべき選択肢はエということになります。

平成26年 第15問(設問1):英語力無くてもOK

次に平成26年の第15問を見ます。これは英語力がなくてもOKな問題です。まず問題文を見てみましょう。

英文がドーンと現れますが、焦らず冷静に日本語の部分を読んだり、全体を見渡してみます。
まず、問題文の冒頭に「英文契約書の秘密保持条項を読んで~」と丁寧に書かれているので、秘密保持条項の問題ということがわかります。そして、問題文の赤枠で囲った部分にa)~e)までの5項目が書かれているので、「これは秘密保持条項の除外項目に関する問題かもしれないな」と考えます。

次に問題文を見ます。

選択肢アは、まさに秘密保持条項から除外される(2)公知となった情報です。

選択肢イは、秘密保持条項から除外されることの多い情報(5)自ら開発した情報です。従って「秘密情報に該当する、開示しても秘密保持義務違反にならない」のではなく、「秘密情報に該当しないため、開示しても秘密保持義務違反にならない」というのが適切なので、選択肢イは不適切です。

選択肢ウは、法令または政府の命令で秘密情報を開示するときは、秘密保持義務違反にならない、すなわち例外規定です。「秘密保持情報に該当するが、開示しても秘密保持義務違反とならない」というのはそのとおりなので、適切です。

選択肢エは、秘密指定の方法について、基本的には指定方法が示されますが、本文をちゃんと読まないと判断できません。悩ましいところですが、選択肢イが明らかに不適切なので、選択肢イを選ぶのが無難といえます。

この平成26年第15問は、英文を理解できているかというよりも、秘密保持条項の除外項目と例外規定の違いをちゃんと理解しているか?という問題でした。英文問題といえど、日本語の問題文と設問を注意深く読むことが非常に大事であるという実例でした。

さいごに

前々回と今回の記事で経営法務の英文問題を取り上げてみました。私の周りの先輩診断士の意見を聞いても、英文問題は得意/不得意が大きくわかれました。もともと得意な方には、あまり参考にならない記事だったかもしれません。英文問題を「英語」というだけで運任せにしている方には、日本語の問題文と設問を注意深く読むということによって、正解率を高めることができるので、諦めずに問題に挑んで欲しいと思います。

明日は、努力家芸人☆なおです!
(どんな女優さんがなおの妄想劇場に登場するのかどきどき。)

☆☆☆☆☆

いいね!と思っていただけたらぜひ投票(クリック)をお願いします!
ブログを読んでいるみなさんが合格しますように。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へにほんブログ村
にほんブログ村のランキングに参加しています。
(クリックしても個人が特定されることはありません)

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です