【経営法務】英文問題を英語を使わず読みほぐす byさろ
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どうも、さろです。
今日はGWの中の平日ですね。お仕事が忙しくて出勤される方、休暇をちゃんと取得して自分の時間や家族との時間を大切にされている方などいろいろだと思います。去年の今頃、仕事が比較的落ち着いていた私は、休暇を取ってがっつり朝から晩まで近所の図書館にこもって勉強していたのを思い出します。
1次試験まであと3ヶ月、勉強の進捗もいろいろだと思います。今日は計画していた勉強が1周して、何か新しい得点源を探している方に向けた記事です。
では、いってみよう!
今日はタイトルの通り、経営法務の英文問題について書きたいと思います。
先日のYOSHIHIKOの記事で「経営法務」を書いてくれていますが、その中で「国際取引」は★★評価、すなわち毎年必ず出題されているが、正答率がそれほど高くないと評価しています。受験生の方々の中には英語に苦手意識があって★評価、すなわち出題頻度が低いので深追いはしない、という認識でいる方は、必ず出題される問題をみすみす捨てていることになります。
経営法務は暗記科目であるため、問題を解くために必要な時間は短く、最終的に試験時間が比較的余りがちだと思います。一方で、英文問題は、契約書に関わる知識や、日本語で書かれた問題文や設問の内容から推理して選択肢を絞ることが可能な問題だと私は考えています。すなわち英文問題とは「新たな論点を暗記することなく、試験当日に余った時間を使って点数を稼ぐことができる問題」だと思っています。
今日はミーの大好きなイングリッシュがトゥーマッチな予感だネ?
あ、、、いや、むしろ英語を読まなくても、問題文と設問に書いてある日本語から内容を類推し、契約書に関する一般常識から考えて解くコツを伝えたいと思う。もちろん、ルウさんのように英語が読めればダメ押しだけど。
どうか、当たりますように~~
、、、星にお願いしてる暇があったら、問題文と選択肢を読もうね。。。
なぜ、英文問題は毎年出題されるのか?
さて、どうして英文問題は毎年出題されるのでしょうか?
それは、海外の企業との取引数が増加しているから、に他ならないと思います。悲しいけれど、日本の人口が減少する中、売上を伸ばすためには海外需要の獲得が重要という認識があるのだと思われます。
背景を知るために、2021年度版中小企業白書を見てみましょう。
(余談ですが、最近、2022年度版中小企業白書が発行されました。ですが、試験に出題されるのは、2021年度版中小企業白書からですので、お間違いなきよう)
まず、第2-1-121図を見ると、中小企業の輸出企業割合は長期的に増加傾向にあることが分かります。
近年の感染症の流行によって、海外向けにビジネスを行う企業の多くはマイナスの影響を受けています。
しかし、そのような状況にあっても、第2-1-127図 (1)販売戦略の見直しにあるように、60.9%の企業が海外販売先(ターゲット)の見直しを考えています。すなわち、感染症の影響は地域差があるため、販売先を見直すことで販売は継続できると考えています。また、(2)生産の見直しにあるように、新規投資/設備投資の中止/延期を考えている企業が19.8%に対して、新規投資/設備投資の増強を考えている企業が27.5%と上回っていることは特徴的です。
海外企業との取引においては、契約文書が全ての基本となります。日本企業同士の取引においては、お得意様との取引などで「ちょっとツケといて~」みたいな「あうんの呼吸」で成り立つ取引もあるかと思います。これは、同じ文化どうしで生まれ育ったことで形成されたものなのだと思います。
海外で仕事をするに当たってこうした「あうんの呼吸」が全く通じないかといったら、私はそうとは思いません。休日に仕事仲間とBBQしたり、スポーツイベントなどを通してプライベートなつながりを形成し、それが円滑に仕事を回すために必要なことであることを私は経験しています。ただ、海外では様々な文化・宗教の方が一緒に暮らしていますので、取引の基本的なルールを決める「契約書」に関する環境が整っているのだと私は思います。そのため、契約書文化の整っている海外の企業と取引をする際には、契約書で不利な立場とならないように最低限の知識はつけておくことが重要だと私は考えます。
英文問題の傾向とは?
さて、話を試験に戻します。
過去に道場の記事で、2020年にCKさんが「【渾身】英文契約書諦めていませんか?(経営法務)」という記事を書かれています。この記事はまさに【渾身記事】で、私の言いたいことがほとんど書かれていますので、こちらも是非ご覧ください。
下の図に、平成21年~令和3年度までの英文問題の過去問の傾向を整理しました。平成21年~令和元年までの情報は2020年にCKさんが作成した情報の再掲です(手抜きですいません)。
これを見ると、一番右の「英語力」の列を見ていただくと「なくてもOK」と考えられる問題が、22題中11問と半数を占めています。また、右から2番目の「解き方」の列を見ていただくと、「契約一般知識で絞れる」「選択肢内容を本文記述と照合して選択」と考えられる問題が目立つ(特に平成28年以降)ことがわかります。
このことから、英文問題は「契約一般知識」と「選択肢内容と本文記述を注意深く読むこと」で選択肢を絞ることができる、あわよくば正解を導き出せる問題であるといえます。
直近の過去問を見てみる
そんなこと言うけどほんとかな~
と、疑いたくなると思いますので、直近2年の過去問を英語を使わずに解いてみたいと思います。
令和2年 第16問
令和2年の英文問題である第16問の設問は以下です。
この問題の日本語部分(赤色の下線部)に注視して見てみると、わかることは以下の通りです。
- 英文条項は、日本のP社(甲氏)とα国のQ社との間の売買契約書案の一部である
- 英文条項は、P社にとって不利益な条項である
- 後半に書かれた英文規定は、弁護士に相談した方がいい内容である
まず設問1を見てみます。空欄Aについて、P社は売主なのか買主なのかを問われています。
ここで契約書の一般的知識を使うと、売買契約書というのは、基本的に売主が作ることが多いです。なぜなら、その商品のことをわかっているのは売主なので、商品に関する情報を書くためには売主が契約書を作成した方が話がスムーズです。
そして、売主が自分で契約書を作成するのに、自分に不利益が発生するような条項をわざわざ自分では入れません。ということで、不利益な条項を突きつけられているP社は買主であるといえます。
これで選択肢はウかエに絞ることができました。
選択肢ウに書かれた内容は、「売主の契約違反に対する訴訟提起の期間が短い」ので、これは買主にとって不利な内容です。一方で選択肢エに書かれた「売主賠償の上限が現実に生じた損害に限定されている」は売主にとって不利な内容となります。語尾に「限定されている」と書かれると買主に不利な内容に感じますが、「マクドナルド・コーヒー事件」の事例に代表されるように、現実の損害が商品の金額以上になることもあります。以上から選択肢ウが正しいということが導き出すことができます。
次に設問2です。空欄Dについて、裁判管轄か、準拠法か、どちらが入るかを問われています?
裁判管轄というのは裁判が行われる場所です。準拠法は、どこの国の法律に従うかということです。問題文から読み取った内容③にあるようにこれは弁護士に相談したほうがいいと書かれています。弁護士に相談するなら、場所のことより、法律のことを相談すると思います。従って、Dは準拠法が入れた方が適切だと思います。
次に空欄Eですが、選択肢ウに書かれた、裁判管轄が決まれば、必然的に準拠法が決まるというのは間違いです。わざわざ別にするのはややこしいですが、同じにしないといけない決まりはありません。一方で選択肢エに書かれた内容は、まさにその通りですので、選択肢エが正しいことになります。
正直なところ、設問2は英語を全く読まずに解くには、若干無理がありました。英語を読まずに推測で選択肢を絞ることができますが、知っている英単語があれば、答えのダメ押しができます。例えば、準拠法は英語でGoverning law (ガバニング ロウ)と言うことを知っていればDの選択肢は絞れますね。
今日の記事の趣旨は、英文問題こそ、本文記述と選択肢内容を注意深く読んで欲しい!ということなので、英語の説明はしません。
令和3年 第17問
令和3年の英文問題である第17問の問題文は以下です。まずは前半部分から。
この問題の日本語部分に注視して見てみると、わかることは以下の通りです。
- 英文条項は、日本のX社(甲氏)と海外のY社との間の売買契約書案の一部である
- X社は売主であるが、契約書は買主であるY社が作成した
- Bの方法による代金の支払いは、一般的な問題点を有している
- 売主のリスクを下げるためには、Bの方法よりも信用状の方がよい
まず設問1を見てみます。空欄Bには問題文から読み取ったように、代金の支払い方法が入ります。その方法は信用状と比較してリスクの高い方法と読み取れます。それは送金か荷為替手形か?
送金による方法は商品を引き渡したあとに支払いが行われる場合、支払われないというリスクがあります(物品引き渡しと代金の支払いの同時履行の実現が困難)。荷為替手形は、商品の引き渡しと代金の支払いを同時に行うものであるため、比較的リスクは低いです。このことから空欄Bには「送金」が入ると類推できます。
ただし、あくまで「送金」の方がリスクが高いだけで、信用状のない荷為替手形は、荷為替信用状による取引と比べるとリスクが高いため、この設問に関しても、正直なところ、英語の本文を読まないで選択肢を選ぶと間違える可能性があります。
英文を見てみると、空欄Aの後ろに”to the bank account” と書かれていることから、売主の銀行に対して直接代金を支払う「送金」を選べる方がスマートですね。。。
さて、選択肢がアかイに絞ることができたら、上述したように送金は物品引き渡しと代金の支払いの同時履行の実現が困難なので、選択肢アが正しいといえます。
次に設問2です。問題文の後半を見てみます。
設問2はもはや英文の要素はなく、一般的な信用状取引の流れについてです。下図の信用状取引の流れを理解していれば解けるでしょう。(正答率Bなので、この問題は知識問題として解けた方が多数だったのだと思います。)
契約書は売主が作る?買主が作る?
これは法律素人である私の思い込みに近いので、間違っていたらコメントを頂きたいのですが、間違いを恐れずあえて書きます。
令和2年の解説で書いたように、売買契約書は売主が準備するのが一般的だと思います。なぜならその売りたい商品の特性をわかっているのは売主だから。令和3年の問題では、買主である海外のY社が契約書を準備しています。一版的ではない事例なので、問題文にはそれがわかるように「日本のX社が輸出」と丁寧に書いてくれています。
契約書を準備するというのは、難しい法律用語なんかも出てきて大変な作業です。ですが、相手側に契約書を作ってもらって、一時的には楽ができるかもしれませんが、相手が作った契約書から自分が不利な条項を探す方が難しい作業になりますし、交渉も大変になります。そうであれば、専門家である行政書士さんに相談したり、契約書のテンプレートを使ってもかまわないので、自分で契約書を作った方が、自分に有利な契約書というのは言い過ぎですが、少なくとも自分に不利な契約書にはならないという点で好ましいと思っています。
さいごに
今回は、経営法務の問題の中で英文問題を取り上げてみました。
英文問題は、「契約一般知識で絞れる」「選択肢内容を本文記述と照合して選択」という解き方で選択肢を絞れることを示したくて、英文を全く読まずに解いてみるという極端な方法で解いてみました。設問二つのうち一つは解けそうですが、もう片方は若干の英単語の知識があった方がよさそうでした。英語を多少理解できると、ダメ押しができて正答率が高まるのは間違いないです。
英文に圧倒されてしまっても、日本語を注意深く読むことから始めて欲しいと思います。経営法務が大の苦手だった私にとっては、英文問題はひねりの少ない貴重な得点源でした。この記事が経営法務の得点の底上げにつながれば幸いです。私の次回ブログも経営法務関連の話題を取り上げてみようと思います。
明日の記事はなおです。よろしくちゃん♪
冒頭に出てきた「英文堪能 ルウさん」は、春セミナーのときになおがヒゲめがねをつけた状態に似てるな 笑
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