事例Ⅰは世界観を理解すると解答しやすい~経営戦略編~

こんにちは。アヤカです。

本日は事例Ⅰです!

事例Ⅲのように、今回もパターンとキーワードでまとめようと思ったのですが、うまくまとまりませんでした。

過去の経営方針を聞いたり、人事施策を聞いたり、なんとなくパターンはあるのですが、答えるポイントがその時の事例企業によって異なるのです。

そこで事例Ⅰは論点毎にまとめることにしました。

今日は経営戦略編です。

「組織は戦略に従う」byチャンドラー

「戦略は組織に従う」byアンゾフ

どちらも正解で、組織も戦略も影響しあっていると理解しています。

そのせいか、事例Ⅰは他の事例に比べて経営戦略の設問が多いように感じています。

経営戦略系の問題は、中小企業の基本戦略や方向性を理解したうえで与件文を整理すると解答できる問題が多いです。

今回は、事例Ⅰの経営戦略系の問題によく出てくる中小企業の基本戦略や方向性をまとめました。ここに載っている戦略や方向性は解答の引き出しに入れておくと便利だと思います。

他の事例でも使えるので、一石三鳥です!

最後に私の事例Ⅰのファイナルペーパーのようなものを載せているので、良かったら活用してくださいね。

よく出る中小企業の基本戦略や方向性

差別化(集中)戦略とリスクの分散とシナジー効果

直近8年間で4年出題されました。

・令和2年第1問設問1(A社の経営権を獲得した際に描いた経営ビジョン)

・平成30年第1問(研究開発型企業であるA社が相対的に規模の小さな市場をターゲットとしている理由)

・平成28年第1問(A社が成長を遂げた要因)

・平成28年第2問(新規事業が大きな成果を上げられなかった要因)

・平成27年度第1問(汎用的な娯楽品市場の特性)

この論点は他の事例でも出題されるので、要チェックです。

差別化戦略

経営資源の少ない中小企業は、自社の持つ強みを生かして、ニッチを狙って高付加価値化し、他社との競争回避するのがよしとされています。(差別化戦略)

過去には、差別化できず価格競争になってしまって経営危機に陥った事例がありました。

平成27年度第1問(汎用的な娯楽品市場の特性)です。

差別化がしにくく、参入障壁が低いために、海外製品に代替され、価格競争になってしまった汎用的な娯楽品の特徴を答える問題でした。

差別化集中戦略

差別化戦略からさらに経営資源を投下する領域を狭めると、差別化集中戦略となります。

過去の事例では、シナジー効果のない、無関係な多角化を行ったために、A社の貴重な経営資源を分散させてしまい、どれもどっちつかずになり、どの新規事業がうまくいかなかった事例もありました。

平成28年第2問(新規事業が大きな成果を上げられなかった要因)です。

リスクの分散とシナジー効果

一方で、1点集中すると外部環境変化に対応しにくいというデメリットもあります。

平成27年度第3問(関連会社の売上が60%を占めるときに起こりうる課題)ではこの点が問題となっていました。一つの事業への依存度が高い場合は依存度を下げて、リスクの分散を行う必要があります。

もし、A社に1つも事業の柱がない場合は、まずは差別化集中戦略で事業を育てるA社に既に柱となる事業があるならばリスク分散のためにシナジー効果のある新しい事業を育てる(多角化する)、というストーリーを頭の片隅に置いておくと、与件文を読みやすいと思います。

中小企業の差別化(集中)戦略については、詳しくは事例Ⅲの世界観でも説明していますので、よろしければどうぞ。

強みを生かす

A社の強みをからめて解答する設問は、直近8年間で7年出題されています。

・令和2年度第1問設問1(A社の経営ビジョン)

・令和元年第3問(市場開拓に成功した要因)

・平成30年第1問(研究開発型企業であるA社が相対的に規模の小さな市場をターゲットとしている理由)

・平成30年第2問設問1(製品開発に力を入れてこなかった理由)

・平成29年第1問(人気商品にできた最大の要因)

・平成29年第4問(全国市場に拡大するうえでのリスク)

・平成28年第1問設問1(A社が成長を遂げた要因)

・平成28年第1問設問2(新規事業が大きな成果を上げられなかった要因)

・平成26年第2問(主力製品が育たなかった理由)

・平成25年第1問(事業を長期的に継続させるために必要な施策)

経営資源の少ない中小企業は今あるものを生かすことが大前提になります。

その中でも強みとなるものを武器として最大限に活用する必要があります。

強みとはなんだろう?

さて、強みとは何でしょうか。

実社会では強みは相対評価であり、競合他社に比べて優れているところを強みと呼ぶことが多いと思います。その中でも特に手に入れにくいもの(得るのに時間がかかるものやお金がかかるもの)は競争優位性が高くなります。

診断士試験に関しては、競合他社が出てくることは少ないので、絶対評価で得るのに時間がかかるものやお金がかかるものをA社の強みとして抽出することが多いです。

特に事例Ⅰでは、

・教育された人材(教育には時間もお金もかかる)

・蓄積された技術ノウハウ(技術の蓄積や強化には時間もお金もかかる)

・人的ネットワーク(関係性はお金では買えないし、構築には時間がかかる)

・仕入れ先(関係性はお金では買えないし、構築には時間がかかる)

などが強みとして、よく出てくる傾向にあります。

多面的に書く必要があるので、強み以外の要因も絡めて解答する必要はありますが、強みを生かせたから事業がうまくいった、強みを生かせなくてうまくいかなかったという事例はたくさん出題されています。

事業がうまくいった、いかなかった理由を聞かれた場合は、まずは強みを生かせているか確認してみましょう。

多面的に書くのは忘れずに

事業がうまくいった場合もうまくいかなかった場合も、要因は強みの活用と他の論点との複合的なものなので、他の論点からも考える必要があります。

例えば、機会(市場の伸び)をうまく活用できていたり、ニーズの把握に成功したり、最適な市場に参入できていたり、シナジー効果が得られたりします。うまくいかなかった理由の際には、弱みが大きな影響を及ぼしていることもあります。

ニーズの把握

ニーズの把握がポイントとなった設問は直近8年間で6年でした。

・令和2年第3問(直販方式に必要な能力)

・令和元年第1問(ビジネスとして成功しなかった理由)

・令和元年第3問(HPを活用した市場開拓の成功の要因)

・平成30年第2問設問1(製品開発に力を入れてこなかった理由)

・平成28年度第2問設問1(新規アルバム事業を拡大していく際に留意すべき点)

・平成26年第2問(主力製品が育たなかった理由)

・平成25年第2問設問1(経験のある中高年を採用する理由)

・平成25年第4問(データベースの情報が開発に直接結びついていない理由)

強みがあっても、顧客のニーズに合わないと物は売れません。

しかし、なかなか顧客との接点が得られなかったり、人員不足や能力不足で、ニーズの把握にお困りのA社は多いようです。

事業がうまくいかなかった理由を答える際や、事業を成功させる留意点を答える問題では、ニーズの把握がうまくできているかを確認しましょう。

顧客との接点が増えるのでニーズの把握がしやすい「直販」を検討する事例企業(令和2年第3問、平成28年度第2問設問1など)もよく見かける気がします。

企画力の強化、提案型営業へのシフト

直近8年間で4回出題されています。

・令和2年第3問(直販方式に必要な能力)

・平成30年第2問設問1(製品開発に力を入れてこなかった理由)

・平成28年度第2問設問1(新規アルバム事業を拡大していく際に留意すべき点)

・平成26年第2問(主力製品が育たなかった理由)

受け身の姿勢ではなく、攻めの姿勢で行けと言われているような気がします。

ニーズを把握し、そのニーズに対して、A社の強みを生かして何ができるか企画して、顧客に提案していく姿をあるべき姿としているのだと解釈しています。

継続的な販売(脱単発の販売)

直近8年間では2回出題されています。

・平成30年第2問設問2(経営危機に直面した時の既存製品と新規製品の事業特性の違い)

・平成26年第2問(主力製品が育たなかった理由)

単発の仕事では先行き不安定です。長期的に販売できる仕組みを作ると、経営が安定しますし、技術の蓄積ができて、技術力アップも望めます。

ファイナルペーパーみたいなものをプレゼント

今読み返すと私しかわからない内容になっているような気もしますが、せっかくなので、事例Ⅰの問題を解答するにあたって私が重要だと思ったものを書き溜めたエクセルシートをプレゼントします。

もし気に入ってくださったのなら、このシートをたたき台にしてブラッシュアップすると効率的と思います。

まとめ

今回は事例Ⅰの経営戦略問題でよく出てくる論点をまとめました。

・A社に1つも事業の柱がない場合は、まずは差別化集中戦略で事業を育てる。

 A社に既に柱となる事業があるならばリスク分散のためにシナジー効果のある新しい事業を育てる(多角化する)

・強みを生かす

・ニーズを把握し、そのニーズに対して、A社の強みを生かして何ができるか企画して、顧客に提案

これらの視点で与件文や設問を読むと、気づくことがあるかもしれません。

次回は人事組織編です。

「組織は戦略に従う」byチャンドラー

「戦略は組織に従う」byアンゾフ

事例Ⅰの事例企業の経営戦略の方向性をイメージできたら、おのずと組織戦略の方向性もイメージできそうです。

次回もお楽しみに!

明日は、と~しです。

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事例Ⅰは世界観を理解すると解答しやすい~経営戦略編~”へ5件のコメント

  1. にっく より:

    こんにちは!
    2024年二次初受験組のにっくといいます。
    論点別整理の記事、ありがとうございます!
    やみくもに解答していたのが、落ち着いて解答できそうです!
    次の記事も読ませて頂きます!
    ありがとうございました!
    にっく

  2. チョコパン より:

    アヤカさん、論点別分析ありがとうございました。ファイナルペーパーもこの時期本当に助かります!フル活用させていただきます。

    1. アヤカ より:

      チョコパンさん

      ご活用くださるとのこと、ありがとうございます!
      次の組織人事編もがんばります!
      チョコパンさんも試験まであともう少し、ガンバってくださいね!!!
      応援しています!

      アヤカ

  3. ロム より:

    アヤカさん、事例Ⅰのまとめ記事をありがとうございます。

    以前に公開された再現答案の記事にて、事例Ⅰの最高得点をあげていたのがアヤカさんだったので、考え方等を参考にできて助かります!

    今回、強みに挙げられていた仕入先については今までその回答に出会ったことがなかったので非常に盲点でした。自分の知識の引き出しにしっかり入れておこうと思います。

    シナジーや強みなどは大分把握しながら与件文を読み取れるようになってきましたが、人事や組織について施策の提案を行う問題はまだ若干の不安があるので、次回記事も楽しみにしております!

    1. アヤカ より:

      ロムさん

      いつもありがとうございます!
      返信が遅くなってしまってごめんなさい。

      新しい着眼点に気づくきっかけとなったとのこと、お役に立てて良かったです!!!
      また何かお役に立てればいいなと思いながら、今組織人事編を書いています!がんばります!!!
      ロムさんもあともう少し、がんばってくださいね!
      応援しています!

      アヤカ

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