事例に開眼した後に待ち受けるワナ
こんにちは。wackyです。
2次試験まであと1か月となりましたが、みなさん2次対策の進捗状況はいかがでしょうか?ほとんどの受験生が2次試験当日になっても「これでバッチリ」と思うことはないという、不思議で大変な試験だということはすでに体感済みだと思います。
さて、以前より道場では「事例に開眼するポイントが訪れる」と言っています。人によってタイミングは異なりますが、対策を積み重ねるうちにある日「ふーん、そういうことか(人によって効果は違います)」と思うことがあります。これを事例に開眼すると言っていました。
もちろん自分にもそういう時期(この辺は後述)は訪れましたが、「開眼する」ということがどういうことかは正直よくわかっていませんでした。まぁ何となくそう思ったのですが。
先日ふうじんの記事を読んでいて思ったのは、
「事例に開眼してからが本当の勝負」
だということ。
そうまさに「開眼=合格」ではないということですね。
事例の開眼にこだわる必要はないし、事例に開眼したという瞬間が訪れなくても2次試験に合格する人はいる。ただし本人が気づいていないだけで開眼はしているんだけど。
というわけで、本日は事例の開眼についてちょっとした話をしてみようと思います。
1.事例開眼の瞬間(wackyの場合)
私が昨年「事例に開眼した」と認識した時期は、確かTAC模試の前日の9月4日(土)でした。
TACの自習室に1日こもって、2次実力完成演習(Web通信で受講)の⑥と⑦、⑧をやろうと思っていました。いつものように振り返りシートに、目標や気を付けることを記入しているときにふと「試してみたいこと」が頭に浮かび、それを実行してみたところ今までとは違った感触があり結果も上々でした。翌日の模試もそれなりの結果でした。
ここで自分なりに「開眼した」という意識がありました。
さて、何を試してみたのかというと…「事例を解くイメージを持つ」ということです。つまり、事例Ⅱなら事例Ⅱを解いている自分をイメージして、手順を思い浮かべるということです。
ポイントは2つあって、
①あらかじめ手順を明確にする
②事例ごとの解答手順を意識する
ということです。
①についてですが、もちろん解答プロセスはあるんですが、それまでを振り返るとどうしても「いきあたりばったり感」があってしっくりきていなかったんですよね。根拠がみつからないとか、要求解釈ができないとか、解答候補が絞りきれないとか色々なアクシデントがあって一貫した対応ができていなかった。それを戒めるために、事前にイメージを持つことでアクシデントがあっても「とりあえず後にしよう」と冷静に対処できるようになりました。
②についてですが、お恥ずかしい話ですが、この頃まで事例ごとに注力するポイントが違うことに気づいていませんでした。くれよんの記事の横串比較、これは本当に受験生時代に知りたかった。
事例ごとの特徴を思い浮かべる事で、事例の特徴を意識することができるようになったというのは皮肉なものです。
本当にふとしたきっかけで事例に対する取り組みが変わるものです。もしこのきっかけがなければ、いつまでも事例対策を誤解したまま努力を重ねていたのかもしれません。
2.事例に開眼するとは
さて、昨年の私の例を紹介しました。
みなさんもすでに「開眼した」という感触がある人もいれば、「まだ」と思っている人もいるかも知れません。では事例に開眼することって一体なんなのでしょうか?
先日のふうじんの記事によると「要求に沿って解答する」ことが開眼のポイントなのだと思います。またハカセの記事によると「ルールを守ること」とあります。
実は開眼といっても大したことではなく「素直に聞かれたことに答える姿勢」をもっているかどうかなのです。
要求に沿ってというのも、ルールを守るというのもひとえに「素直になる」ということです。相手が求めている答えを見つけ出して答えることが求められている中で、自分勝手な持論を振りかざして解答するのは残念ながら「素直」とは対極にあるといっても過言ではないでしょう。
これは私の経験なのですが、昨年の教室講義で演習終了後「この模範解答はおかしい」とか「私の答えのほうがより成果を上げることができる」と言っている人を見かけました。またこれは知り合いから聞いた話ですが、勉強会のディスカッションでとにかく大きな声で持論を振りかざし、如何に自分の解答が優れているかを切々と語る人がいたそうです。
おそらくこの人たちはBランクです。
ここまでひどい例はないかもしれませんが、もしかしたら事例のルールを無視することありませんか?どの根拠使えばこんな解答になるんだ、とか思うことありませんか?
もちろん思うことは自由ですが、それではいつまでたっても合格が見えてきません。
試験ですからルールに沿わない以上合格点はもらえないと思ったほうがいいです。
それよりも、「なぜ自分はそうできなかったのか?」を反省して改善し、少しでも近づけようとする謙虚で素直な気持ちが2次試験合格には必要なのかもしれません。
そんな気持ちを持っているあなたはすでにAランクです。
3.事例に開眼したからこそのワナ
さて、以前掲載した私の昨年の演習の結果をここで再掲します。
先ほども書いた通り、自分が事例に開眼したタイミングは模試の直前でした。事例Ⅱ、Ⅲの成績はそのタイミングを挟んで急上昇しています。それではその後成績は上昇または安定したのかというと…その後急降下です。最後の演習であるオプションゼミの頃は、絶不調のどん底でした。
なぜこんなことになったかというと、
①こう解答すべきと決めつけていた
②見つけた根拠はすべて盛り込む
③過去にやった事例を引きずる
という原因があったのです。
みなさんに同じ症状があるかはわかりませんが、もし同じ悩みを持っている方がいればその方の処方箋となればと思います。
まず①ですが、これが最も大きな要因でした。
ちょうど事例に開眼した頃、フレームワークやテンプレートの使い方が理解できたころで、何となく設問を読んで「これを解答すればいいんだな」という気持ちがありました。そしていつのまにか、要求に合わせて解答するのではなく、解答(フレームワークやテンプレート)に合わせて要求を解釈し解答するという手順になっていました。こうなると本来あるべき「要求に沿って解答する」わけではないのですが、方向性や盛り込むポイントも入っているため設問丸ごと0点というよりは、部分点満載で取り切れていないというのが多かったです。だからなかなか問題に気づきにくい。
気づいたのは本当に10月に入ってからで、再度要求を重視して解釈し、「フレームワークありき」の考え方をいったん置くことで素直な解答が作れるようになりました。解答作成技術自体はだいぶレベルが上がっていたのが幸いでした。
次に②です。2次対策も慣れてくると与件文から根拠を拾ってくるスキルも高まってきます。またさまざまな経験や知識の蓄積により今まではヒットしなかった根拠がヒットするようになります。そうするとより多くの根拠が解答候補に挙がるようになるのですが、どう考えても全部盛り込んでは字数に収まらないので、根拠の取捨選択をする必要があるのですが、私がとった方策は「圧縮してすべて盛り込む」でした。
根拠を取捨選択するにあたり、「捨てた根拠が正解だったらどうしよう?」という不安が大きくなり、結局捨てきれずに全て盛り込むことにしたのです。そして圧縮するにあたり一番やってはいけない「論理構成を崩して列挙し圧縮」を取り入れたのです。結果、大きく失点したことは言うまでもありません。
ここが難しい点なのですが、根拠を取捨選択するには勇気が必要です。どうしてもどちらも盛り込みたくなる気持ちはわかるのですが、どちらも盛り込むということはそれだけ得点可能性を下げる可能性もあることを知ったほうがいいですね。そしてこれは先日ふうじんが言っていた「ローリスクの誤解」によるものです。
事例対策を始めた当初であれば、根拠を選択するよりも両方盛り込むほうがよいと思いますが、それなりに事例対策をしてきた今の時期なら、全体を俯瞰して「この根拠はここで使うべきか」、「どちらの根拠のほうがより適切か」判断できるのではないかと思います。どうしても判断がつかない場合は、失点覚悟で両方盛り込むのはありだと思いますが、それを全ての設問でやるのは適切ではありません。またそもそも判断がつかないことが問題で、判断力を上げるための策を検討したほうがよいです。
私の場合は、「なぜそう判断できるのか?」逆に「なぜこの根拠ではないのか?」を徹底的に考えるようにしました。そうすることで判断力の精度が上がり、判断力が上がれば自分の判断に自信をもち決断する勇気が身に付きました。結果、とにかく盛り込むということはなくなりました。
最後に③です。
これは結構ありがちかもしれませんが、過去にやった事例で「こんな考え方もあるんだ」と気づいたことを、次以降似たようなシチュエーションで使いたくなるものです。でも、同じようなシチュエーションだからといって同じような解答構成になるとは限らないわけです。いや、同じ解答構成になることはないといっても過言ではないでしょう。
特に多くの事例を積み重ねた本試験直前にこのワナが訪れるといってもいいでしょう。また似た事象ですが、自分が詳しい業界の事例になるととたんにいつもの自分ではなくなるというのもあります。つい、自分の過去の経験や業界の動向から解答を作成してしまいがちですが、もちろんそんな解答が求められていないことはみなさん承知していますよね。
ただ、本番で来られると思わずやってしまうんですよね…。みなさん本当に気を付けてくださいね。
事例に開眼するのは意外と簡単なきっかけだと思うのですが、開眼したからといって安心・油断することないようにしてください。昨年の私のように様々なワナに陥らないよう…
by wacky
>はまっちさん
コメントありがとうございました。
同じ悩みとは奇遇ですね(笑)
って笑っている場合ではないですね。でも少なくとも課題は浮き彫りとなっているようなので、あとは解決策を検討するのみですね。解決策を考える際には、「色々と試してみる」ことが大事だと思います。時にはあえて「関係ないこと」も試してみるのもよいと思いますよ。
あと字数の件ですが、私の場合は以前記事にも書きましたが、1論点30文字を心がけていました。最初はブレがありましたが、そのうち誤差が小さくなってきました。よって慣れもあると思います。あとは、たとえば40字と見積もる際にも、前半20文字と後半20文字とかもう少し細分化すればより精度が高まると思います。それこそ色々と試してみるといいと思いますよ。
頑張ってください!!
>ざあらしさん
コメントありがとうございます。
「事例を解く自分を俯瞰する」というのは、今思うと重要なことで、事例を解く事の意味や本質に近づけるのではないかと思います。ざあらしさんの挙げた「素直さ」は私もその通りだと思います。求められているのは「自分が言いたいこと」ではなく「相手が聞きたいこと」、事例で言えば「作問者が答えてほしいこと」です。その観点から、今までの事例を振り返ってみるのも有意義だと思いますよ。
2次対策はとにかく自分がゴール(合格)に向かっているのかがわかりにくいですね。私もゴールに向かって無我夢中でしたが、ゴールに近づいているという感触はありませんでした。でも「必ずたどり着ける」と信じるとともに、「本当にゴールに近づいているか?」を確認することも大事かもしれませんね。
頑張ってください!!
>yosshiさん
コメントありがとうございました。
「素直な自分がどこかへ行ってしまう」というのは、「深読みしすぎる」ということではないでしょうか?その症状は危険ですよね。もちろん解答を作成するうえで「これでいいのか?」という検証は必要ですが、「そんなわけがない」となると全ての考えが否定となり、無理やり違う根拠を探しに行くので当然模範解答とは違ってきますね。
事例問題でも本当に簡単な設問もあるので、「簡単なわけがない」という先入観は捨てたほうがいいですね。
yosshiさんのコメントは、愚痴というより自分自身の課題を明確にして今後改善するという意思表明と受け取りました。
頑張ってください!!
見事にすべてに当てはまり、今、苦戦中です。知らない間に僕の悩みを相談してたんだろうか?っと、ふと記憶をたぐってしまいました(笑)
特に今は、①と②が課題です。特に②は、今までに思い出すのも嫌なくらい事故ってます。とりあえず、解答を書く前に必ず設問の下にメモを抜き書きし、字数と要求に応じて抜けるようにする、と本日ルール化致しました(笑)。
あと、もう一つの課題が、字数管理です。30字くらいでいけると思ったのが50字を超えたり、40字くらいいくかな?って考えてたのが、20字くらいで終わったり、、、。これって、特別な対策をしなくても、自然にできていくもんなんでしょうか?
wackyさん、こんばんわ。
未だ、Bランクの海に溺れているざあらしです。
「事例を解いている自分を俯瞰で見たり」、「M先生が乗り移って、自分は自動書記しているだけ」というイメージを語る合格者の方がいらっしゃいました。wackyさんの開眼のイメージに近いです。
あと、合格者の方に伺うと、「クライアントの立場に立って」、とか「謙虚な思いやりの心を持って」と言うキーワードが出ているのですが、上の記事の「素直」という所に繋がっているように感じました。
なんとなく、ぼやっと、合格するのに必要な自身の居るべき地点は見えてきたような気がするのですが、そこにたどり着くための【けものみち】が見えないという現状です。1日1事例は日課になってきたので、解いていますが、それだけで、行けるのかどうかの自信も根拠も無い状態です。
さて、振り返って、自分はと言えば、与件から外れる良いアイデアが沢山出てきて、捨てるのに、困る状況です。「ルールを守って」いないし、「要求に沿って」いないので、当然0点なのですが、思いついちゃうんですよね、色々と。「合格したら、使えるスキルだよね。」と言われましたが、試験では不要なスキルなので、封印しておきます。
色々、書いてしまってすみませんでした。
これからも、良い記事を楽しみにしております。
「与件文や設問要求に素直に相対する」事を共通テーマに、個々の事例については道場記事やセミナーでの情報を取捨選択しつつ、演習で試した事を自分なりにフィードバックしながら取り組んでいますが、未だにBランクを抜けた気がしておりません…。
それもそのはずで、事例を解き始めると「素直な自分」がどこかに行ってしまい、「過去事例に引き摺られる自分」や「与件文内の1つ表現/文章に意識を取られ、せっかく素直に作った対応付けメモを捨ててしまう自分」が顔を出してしまうからです。
先日のふうじんさん記事にもあったように、ここを克服せねばそもそもAランク入りも不可能なので、今後の学習/演習においては上記共通テーマのクリアを主眼に進めていこうと思います。
ほとんど愚痴になってしまい、申し訳ありませんが自分を叱咤する為にコメントさせて頂きました。残り1ヶ月がんばります!