事例のルールを守るということ
こんにちは。ハカセです。
早いものでもう TAC 二次試験対策模試が今週末に迫っています。
二次対策が順調な方、やや出遅れた方。色々な進捗度合いの方がいらっしゃると思います。今日の話題も、誰か一人の受験生の「処方箋」になれば幸いです。
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一発合格道場は同友館さんの月刊誌『企業診断』で連載を持たせて頂いております。
8月号は小職の担当で「オンリーワンではなくプラスワンを目指せ」という題名で執筆させていただきました。
今日はその中から「事例のルール」の話をしたいと思います。
■ 「記述式」ではあるが「論述式」ではない ■
二次試験の各事例で「模範回答」あるいは「採点基準」があることは、改めて確認するまでもないでしょう。
二次試験は「記述式」ではありますが「論述式」ではありません。
ここでいう「論述式」とは、「自分の意見を論理だてて述懐すること」を指します。
確かに、二次試験は字数制限の中で何を書こうと自由です。でも、多くの受験生が誤解していますが、二次試験は「自分の意見」は問われていません。
二次試験では与件文と設問文に様々な「ルール」が与えられています。その与えられたルールに従って、回答を淡々と「記述する」ことが求められています。
誰かが「二次試験で大事なことは、【事例マシーン】になりきって、設問を【処理】することだ」と言っていました。
僕はこの「マシーン」とか「処理」という言葉には違和感を感じるものの、あながち外れてもいないと思います。
そう。「あなたの意見」は全く聞かれていないのです。
受験生の主観をさしはさむ必要はないのです。
事例が与えたルールに従って、淡々とゴールを目指す。
二次試験はそういう試験なのです。
■ Aランクと Bランクの違い ■
「でも、模範回答があって、それを目指さなきゃいけないんでしょ? 自分の意思がないと、そこにたどり着けないのでは?」
という受験生の質問が聞こえてきそうです。
その通り。確かに事例には模範回答があります。一方で、事例にはたくさんのルールが設定されています。
そのルールに愚直に従うと、あら不思議、模範回答に近いところまで自然と連れて来られるのです。
道場のエントリーで何度も登場するこの図。
「ルールに素直に則って、模範回答に近いところまで来れる人」、これがAランクの人。これが出来ない人が Bランクの人です。
模範回答とは似ても似つかない答えを書いてしまうことを、一般的に「事故」と呼びます。この「事故」が多い人は、残念ながらAランクに達していないと言ってよいでしょう。
「事故」を起こすのは、どこかで「ルール違反」をしているからです。
■ ルールを守るということ ■
例を挙げましょう。
「経営環境の変化が激しい中にあって、C社が好業績をあげている理由を2つあげよ」(平成18年事例III)。
という問題があったとします。
Bランクの人は、「C社が好業績をあげている理由」をいくつも見つけて、それを二つにまとめあげようとします。
でも、それは「ルール違反」なのです。正確には「ルール無視」ですかね。
いくつかのC社の強みの中から、「経営環境の変化に対応できるもの」に絞って探し出して、それを2つ書く必要があるのです。
「なんだ、当たり前じゃないか」と思われる方。そう。その通り、当たり前です。僕もそれは「頭では」分かっていました。でも、いざ問題を目の前にすると、それがスパっと消えてしまって、多くの事故を起こしていました。これを「体得」するのに相当の時間を費やしました。
与件文も、設問文も、一字一句、無駄なものは一つもありません。「それが書かれている理由」が必ずあります。「経営環境の変化が激しい中にあって」は、「ちょっと設問文が短すぎて寂しいな、何か書いておこうか」と思って追加された枕詞ではないのです。厳然たる「ルール」なのです。
「【ところで】、【なお】、【ちなみに】などの接頭辞が出てきたら要注意ですよ」という指導をしている予備校もあるかもしれません。またそれに気付いている受験生も多いことでしょう。
これを突き詰めて考えていると、これらの接頭辞の後に「ルール」があからさまに表現されているからに他なりません。
こういう「あからさまなルール」だけではなく、「さりげないルール」も含めてしっかり把握し、それらへの「ルール違反」をしないことが、「事故回避」のポイントであり、BランクからAランクへの上昇の必須条件となります。
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今後は、
- 「模範回答を目指すべからず」
- 「誤った複数解釈」
- 「プラスα な解答を書くには」
というテーマを取り上げてみたいと思います。
by ハカセ