ケースで学ぶ民法改正ポイント【前編】

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おはようございます、たっつーです。

過去記事はこちら:

6回目:平日春セミナーレポート in東京<夜の陣>
5回目:たっつー的モチベーション維持の方法
4回目:弁護士がH30経営法務を解いてみた&問題解説
3回目:(勝手に永久保存版)独学向け・一次試験の短期攻略法
2回目:学習計画の立て方&今から2次試験の過去問をやるべき?
初回 :自己紹介&ストイックモチベ維持

本日は5月1日で、ついに令和元年ですね!
皆さま、色々とあると思いますが、お分かりのとおり、このブログでは特に変わったことはありません。

今後も受験生の皆様に価値ある記事を提供していきたいと思いますので、道場メンバー一同、引き続き、どうぞ宜しくお願いします!

今日は、私の得意分野である法律(診断士試験では「経営法務」ですね)に関し、今年&来年に施行が予定されている民法改正の重要ポイントを、2回に分けてご紹介させていただきます!
(本当は1回にまとめたかったのですが、書いてみると、思った以上に分量が多くなってしまい…)

かなりざっくりと説明しますので、細かいところで不正確な点があったらすみません。
でも、改正点は試験でも問われることが多いと思われ、一回でも勉強しているかしていないかで1問分(4点分)差がつく可能性もありますので、ぜひお読みいただければ!


【目次】
<今日の記事>
◆そもそもどの分野が改正されるの?
◆いつ改正されるの?
◆配偶者居住権について
◆時効期間及び法定利率について
<次回の記事>
◆契約解除について
◆定型約款について
◆瑕疵担保責任について


◆そもそもどの分野が改正されるの?

民法典の構成は、上記のとおりですが、そのうちの「第2編 物権」以外が改正されます。
巷では、「債権法改正」と言われることが多いですが、実は、民法典の多くの部分が改正されることになります。
(ただし、主には「第3編 債権」が改正されます。)

◆いつ改正されるの?

相続法の部分は、
・2018年7月6日改正法成立
2019年7月1日施行
です。

相続法以外の部分は、
・2017年5月26日改正法成立
2020年4月1日施行
ですね。

「施行」とは、実際に法律の効力が発生する時点のことを言います。
実は現時点では、改正民法は現実には使われていないんですね~。
とはいえ、既に法律の改正自体はなされていますので、診断士試験では問われる可能性が十分あります!

◆改正法の重要ポイントは?

改正部分を逐一解説していたらきりがありませんが、ピックアップする重要ポイントは、以下の5つです。
超簡単に内容も書いておきましたので、時間のない方は、ここだけお読みいただければ十分かもしれません。

1.配偶者居住権について
⇒配偶者がちゃんと死ぬまで家に住める権利

2.時効期間及び法定利率について
・10年or知ってから5年のどちらか早い方
・利息5%⇒3%

3.契約解除について
・相手が悪くなくても解除OK

4.定型約款について
・合意or表示されてれば長い約款も契約内容になる。

5.瑕疵担保責任について
・瑕疵があれば、その分の代金引いたり、代替品の交換OK
・知ってから1年以内の通知で権利保存

◆ 配偶者居住権について


このケースでは、奥さんと子供の相続分は2分の1ずつですので、現行民法の下では、奥さんが、引き続き自宅に住むために5000万円の家を相続したら、5000万円の現金は一切相続できません。
(もちろん、奥さんと子供が協議して、奥さんの方が多くの割合を相続できるように合意する等すればいいのですが、世の中、そうはいかないケースも沢山あるんですよね…)
それでは、奥さんの生活上の安定が図れないということで、改正民法では、配偶者居住権という制度を認めました。

配偶者居住権というのは、「配偶者が故人の財産である建物に居住していた場合、その建物を相続しなくても、原則終身、無償で居住できる制度」です。

具体的には、
①遺産分割
②遺言
③家庭裁判所の審判
の3つの方法で認められます。

例えば、故人が、妻に配偶者居住権を相続させる、という内容の遺言を残しておけば、以下のような相続をすることも可能になります。

これで、奥さんは、家に住み続けることができるだけではなく、生活資金も確保することができるわけですね!

◆時効期間と法定利率について

このケースでは、時効期間と法定利率が問題になります。

<時効期間について>

まず現行民法の時効期間は以下のとおりです。

1 民法上の一般債権:権利を行使できる時から10年
2 商事債権:5年(当事者のどちらかが商人のとき)
3 短期消滅時効の適用がある債権
①定期給付債権(賃料、養育費、年金)等 5年
②医師の診療費用等 3年
③弁護士費用、小売商人の売掛債権等 2年
④運送費、飲食料等 1年

今回のケースは、いわゆる「ツケ代」の時効期間なので、現行民法下では、3④に該当し、1年で時効消滅します。
でも、債権の種類ごとに時効期間が細かく別れていて、とにかく覚えにくいんです。

そこで改正民法では、以下の通り統一されました!


つまり、
①権利を行使できることを知った時から5年
②権利を行使できるときから10年

⇒どちらか早く到来したときに時効消滅!
ということになります。

覚えやすいですね~。
ちなみに、例外1として、不法行為の損害賠償請求権の消滅時効は、
①損害及び加害者を知った時から3年
②不法行為の時から20年
(どちらか早く到来した時に時効消滅)
となります。
不法行為の場合は、被害者保護の必要性が高いので、長期消滅時効期間について10年ではなく、20年とされています。
短期消滅期間が、通常の5年ではなく3年に縮減されているのは、「さすがに損害を把握して、加害者も分かったなら、3年以内に権利行使できるよね?」という考慮に基づくものです。

また、例外2として、生命・身体が侵害されたことによる損害賠償請求権の消滅時効は、債務不履行に基づく損害賠償請求権も、不法行為に基づく損害賠償請求権も、
①損害及び加害者を知った時から5年
②不法行為の時から20年
となります。
生命・身体侵害の場合は、さらに被害者保護の必要性が高いので、短期消滅時効について、例外1の3年から5年に延長されているのですね。

なお、この例外2の5年・20年は、不法行為に基づく損害賠償請求権だけではなく、債務不履行に基づく損害賠償請求権についても同じ規定があります。
生命・身体が侵害されたときには、不法行為に基づく損害賠償請求ではなくて、安全配慮義務違反という債務不履行に基づいて請求されることがあるので(※)、どちらの法的構成に基づく請求であっても、同じ時効期間としたものです。

※ 例えば、会社からパワハラ等を受けた時の慰謝料請求の場合は、「私の心を傷つけたので不法行為に基づいて損害賠償請求します」ということもできますし、「労働契約上、会社の中でパワハラがないように配慮する義務があったのに、その義務がきちんと履行されなかったので、債務不履行に基づき損害賠償請求します」という2つの言い方があるわけです。

<法定利率について>

金銭債務の不履行の場合、利息について特に定めていなければ、法定利率は年5%です(片方が商人の場合等の商事利率は年6%)。

でも、年5%の利息って高すぎますよね。
現在、市中の銀行なんて、せいぜい0.01%の程度の利息ですので、100万円を1年銀行に預けていても年1000円の利息もつきませんが、今回のケースでいえば、1年金銭債権を放置していただけれで、5万円の利息がつくのです。

この5%の利息は高すぎる、ということで、今回、5%⇒3%に法定利率が改正されました。
(それでも高すぎる、という突っ込みは置いておいてください)

また、この法定利率については、その時々の市中の金利にできるだけ合わせるということで、変動制(3年ごとに1%単位で変動し得る)となっています。

したがって、今回のケースは、改正民法下では、消滅時効5年なので時効消滅は主張できませんが、法定利率は3%と主張できる、ということになります。

いかがでしたでしょうか。
次回記事は、残りの3つのポイント(契約解除、定型約款、瑕疵担保責任)をご紹介したいと思います。

ではでは!

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