【経営】経営戦略の難しさを見極めて攻略
こんにちは。wackyです。今日2本目の記事です。
今週から怒涛の7週間が始まりましたね。というわけで当道場も怒涛の7週間向けの記事を書いていきます。
今週は企業経営理論です。
昨年の今頃の私は、企業経営理論の過去問を解いていて非常に悩んでいました。企業経営理論の過去問に挑戦した方はおそらく同じかもしれません。何に悩むかというと「問題がわかりにくい」という点です。知識を問われるというより、知識を知ったうえで「最も適切(or不適切)なケースを選ぶ」という点がより難しさを高めていると思います。
これはまさに応用力にほかなりません。私の場合も、養成答練の際には戦略・組織については苦手意識を持っていなかったのですが、過去問に取り組んだとたんほとんど正答できないという状態でした。では、企業経営理論とりわけ経営戦略の領域における応用力とは、どのようにすれば身に付くものなのかを記事にしたいと思います。
その前に、まずは敵を知ることから。
直近6年分の過去問を分析してみました。
1.データ分析
まずは各年度ごとの正答率の分布です。
これを見る限りだと、昨年はA+Bランク(基本知識)の割合が減少し、Cランクの割合が増加したことからやや難易度が上昇したといえますね。
またA+Bを8割、C+Dを4割で60点というakiの「ゴール設定」もこれを見れば納得!!
次に、領域別の正答率の分布です。
これは、領域別(経営戦略、組織、労基、マーケティング)に正答率を6年分集計したものです。
※ちなみに労基(人事含む)は本来組織の領域なのですが、私は捨て領域と考えていたのであえて領域を分けて分析していました。
これを見ると不思議なのが、A+Bランクの出題率が経営戦略とマーケティングでほぼ同じということです。昨年の道場の記事でも経営はマーケティングから解くと言ってます。(関連記事) 昨年は戦略がやや易化し、マーケティングが難化した影響であると思いますが、Aランクの出題率を見ればやはりマーケティングのほうが簡単な問題が出やすいといえます。
それでは今回のメインテーマである「経営戦略の攻略」について書いてみたいと思います。
2.経営戦略は難しい?
1次試験経験者であればみな口をそろえて言うのが「経営戦略・組織は難しい」ということです。私もそう思っています。何が難しいかというと、
・問題文が長くかつ分かりずらい
・単純な知識が問われない
これにつきます。これは非常に悩ましい。
具体例を挙げると…
【H22年第1問】正答率:C
問題文
これまで高い評判を受けていたメーカーの製品が、あるとき、急にその評判を落としてしまうことがある。評判を落とす直接的な原因は、顧客からのクレームの多発やクレーム対応のまずさなどであるが、クレームが発生するまでに、しばしば既に企業内部に幾多の問題が潜んでいることがある。また、問題が発生する状況は業種によって異なることが多い。次の記述のうち、クレームを発生させる可能性が最も高いものはどれか。
選択肢
ア:ある家電メーカーでは、部品の標準化やモジュール化を徹底して製品のの構造設計の簡素化を推し進めながら、製品検査とクレーム対応の現地化を図るために、海外の生産拠点での仕様の一部変更を認めるようにした。
イ:技術のわかるマネジャーによる市場対応を図るために、生産技術に支障がないように注意して、エンジニアリング部門から営業部門や事務部門への配置転換を進めている。
ウ:これまでもクレーム等の消費者対応はすべて本社での対応であったが、販売増大とともに事務処理が滞るようになったので、クレーム情報は本社に報告するが、重大なクレーム以外の日常的な消費者対応は営業拠点に委ねることにした。
エ:自社の清涼飲料水の売り上げが急拡大しているので、自動化ラインの工場を立ち上げて、従業員を募って量産体制に入った。
オ:高い品質で知られる中堅部品メーカーでは、収益性をさらに高めるべく、手間とコストのかかる品質検査を公的検査機関に依頼するとともに、賃金の高い熟練技術者に代わって若手従業員を新規に雇用し、個々の業績評価を賃金に連動させるように人的資源戦略を転換した。
書き写すだけでも疲れます。
どうでしょう?この問題をパッとみて答えの選択肢が選べそうでしょうか?そうですよね、パッと見では問題要求の確認すら困難です。問題文のほとんどは前フリでそれを踏まえた要求が最後の文となっています。
経営戦略の問題は難解なのですが、選択肢の作りに「ある特徴」があります。
①因果関係が間違っている(特に結論が誤っているケースが多い)
②途中で別の論点の記述にすり替わっている(記述自体は正しいケースが多い)
③そもそも問われている論点と別の論点になっている
④正しい(or誤っている)選択肢が2つあるが、より正しい(or誤っている)選択肢を選ぶ
⑤最初は正しい記述だが、途中から誤った記述になっている
こんな感じです。上記例題では、各選択肢の内容はクレームを減少させる方策が書かれており、誤った内容つまりクレームを増加させる方策が答えとなります。そうすると、正解はオになります。これはパターン⑤に該当します。誤りの部分は後半ですね。
このようにパッと見ただけでは正解がどれかがわかりにくい点が経営戦略領域の難しさと言えます。
ではどうすればよいか、これは出題形式に慣れるしかありません。法務のケース問題と同様ですね。(ある意味経営戦略におけるケース問題ともいえる)
上記の選択肢の作りの特徴を頭に入れつつ、単なる知識の当てはめで解答しないように気を付けましょう。またそれでも正答率を上げるのは困難ですから、頑張って2択に絞り込み正答率50%でよいと思うことも重要です。企業経営理論の中ではマーケティングの領域が正答しやすいですから、そちらで点を稼いで経営戦略・組織は50%を死守するつもりで十分だと思います。
ちなみにこの選択肢の作りについては、私が昨年TACの講師に「経営戦略と組織ができない」と泣きついたときに教えてくれました。この特徴を意識して問題に取り組んだところ正答率が上がりました。本当に助かりました。
3.経営戦略は簡単?
さて先ほど書いた通り、経営戦略の領域は非常に難易度が高いのですが、領域全体の難易度をみると、意外とA,Bランクの問題が多いことに気が付きます。それはなぜかというと…一般常識で解答できる問題がでるからです。
具体的な例題を挙げると…
H22年第11問設問2,3
H21年第8問設問1,2,3
H20年第8問設問2
などですね。
これらの問題に対応するためには、普段から情報のアンテナを張っておくことが必要です。最近の経営動向や技術などのトピック、特に環境関連など押さえておけばOKです。こういう問題に当ったら「ラッキー」と思いつつ確実に解答しましょう。
4.【番外編】完成答練に向けて
さてTACストレート生の場合、これから毎週1科目ずつ完成答練を受けることになります。答練というのは答案練習のことで、文字通り練習です。練習の目的は、らいじんの記事やakiの記事にあるとおりで、全て本番で成果を出すためです。そのための練習ですね。
1次試験までに残された各科目の練習は後2回(完成答練と模試)だけです。是非答練を受ける前に「何のために答練を受けるのか」を明確にしていただきたいと思います。それだけで心構えが変わってくるはずです。
よく「自分のわからない領域を明確にするため」という方がいます。もちろんそれも大事なのですが、それは養成答練における目標です。もう基礎知識を身につける時期は過ぎ、これからは実戦形式で実力を図る時期なのです。完成答練や公開模試は本番と同程度の難易度(もしくはやや難しい)に調整されており、本番で何点とれるかの目安になります。であれば、最大の目標は「60点をとる」になるはず。なぜなら本試験の目標は「60点をとること」だから。
先のらいじんの記事にもあるように、練習でできないことは本番でもできません。であれば、本番で60点を取るためには、練習(答練や模試)の段階から60点をとれるような準備を行う必要があるのではないですか?
答練・模試を受ける際には、「どうやったら60点取れるか?」を意識して準備をしていただきたいと思います。そして結果60点が取れなかった場合には復習の前に、まず「なぜ60点取れなかったのか」を振り返ってください。何らかの準備不足があったはずです。その点を改善しない限りおそらく次も同じ結果となり、本番でも成果を挙げることができないでしょう。
怒涛の7週間がまさに勝負の分かれ目になります。ここで踏ん張れば1次通過に大きく近づきます。辛く大変なのはあなただけではありません。他の人も同じように辛く大変なのです。いや、他の人はもっと大変な思いをして勉強しているかもしれません。最後まであきらめずに頑張り続けてください。そんなあなたを我々一発合格道場は応援しています。
by wacky