経営戦略全史を読んで(書籍紹介および感想)

今日は経営戦略に関する文献紹介です。

経営戦略全史(以下、全史)は、およそ20世紀初頭から100年の間に出てきた90個余りの経営戦略論を紹介した本です。
全史の特徴点として、まず特筆すべきは社会の変化とともに経営戦略論がどのような変遷をたどってきたかを俯瞰できることです。この点が巷の難解な経営学の書籍と一線を画すと考えられます。また、物語風でありながら、各経営戦略に図解などの解説があり知識の習得にも役立つことや実際の事例も交えながら各経営戦略の有効性および限界も説明しており、具体的で分かり易く読みやすいことも特徴点です。

1、全史の概要

近代マネジメントの源流は1900年代初頭までさかのぼり、生産性など科学的管理法による定量的分析が大事とするテイラー主義と労働者の意欲やモチベーションなどの人間的側面がダイジとするメイヨー主義の二つの源流があった。

1930年代~60年代は近代マネジメントの創世期にあたり、アンゾフらが企業経営に対し戦略(strategy)という言葉を初めて用いて経営戦略を世に示した。

1960年~1980年代はポーターなどの「外部環境が大事で儲かる市場で儲かる立場を占めれば勝てる」とするポジショング派が圧倒的に支持されていた。

しかし、1980年代から1990年代にかけては、「内部環境が大事で自社の強みがあるところで戦えば勝てる」とするケイパビリティ派が優勢になった。

1990年代以降は「すべては状況次第であり、外部環境が大事な時はポジショニング派的に、内部環境が大事な時はケイパビリティ派的になれば良い」という両者の対立概念を融合させるような理論が出てきた。

そして、21世紀である2000年以降は経済・経営環境の変化、技術進化のスピードも劇的に上がるイノベーションの時代であり、ポジショニングもケイパビリティもあっという間に陳腐化して通用しなくなる。そんな時代に出てきたのがアダプティブ戦略でありやってみなくちゃわからない。どんなポジションでどのケイパビリティで戦うべきなのか、ちゃちゃっと試行錯誤して決めよう」というものである。

以上が全史の大まかな内容です。ポイントを正しくとらえ、正確にまとめる切れているかどうか不安ではありますが。。

2、予備校のテキストとの関連
ぽらーのが通っていた予備校のテキストでは経営戦略の重要論点が以下の順番に出てきます。

これを全史のカテゴリー・時系列で並びかえると、

全史を読んで根本的な考え方(ポジションなのか、ケイパビリティなのか)を把握してからテキストを振り返ると理解が深まるかもしれませんね。

3、所感およびまとめ
21世紀の今は高速試行錯誤型のアダプティブ戦略。
つまり不透明でイノベーションの早い世の中では、「やってみなくちゃわからない」ので、どう素早く「やってみるか」、そしてそこから素早く「学んで修正して方向転換するか」という力こそがすべてだ、ということを著者は述べております。
来年受験にのぞむ方々それぞれに戦略が必要であり、学習方法などを試行錯誤しながら診断士に必要な知識を自分のモノにしていくのだと思います。このアダプティブ戦略は、2015年道場のキーワードである「パクッてカスタマイズ」に何か通ずるものを感じます。
本日ご紹介した全史は来年の1次対策を勉強されている方にとって経営戦略の論点を補足的かつ横断的に楽しく学べるため、読んでおいても損はないのではないかと思います。
また、試験対策ということだけでなく、経営戦略に関する深い造詣は、中小企業を経営診断する診断士として必須であると考えます。
ぽらーのは経営戦略に少し苦手意識があったため、今では経営戦略に関する知識のブラッシュアップに役立っており、この全史を何度も読む中で色々な気づきがあってとても新鮮です。

以上、ぽらーのでした。

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