二次試験、「読む・考える・書く」の基礎を考える

こんにちは、うみのです。

 

2016年のストレート合格を目指している方にとっては一次対策が次第に佳境に入ってくる時期ですが、そんななかでも頑張って二次試験対策も並行して進めている方もいらっしゃるかと思います。

 

今日はそんな皆様に向けて、「読む・考える・書く」の基礎中の基礎、についてお伝えしたいと思います。

 

なぜかというと、二次対策を進めている受験生のお悩みを聞くなかで非常に多いのが、

 

「読み書きが苦手なので、二次試験の攻略の仕方がよく分からないんです…」

「国語力がないので、何から始めていいのか不安で…」

 

といったものだからです。

 

以前の記事でも書きましたが、二次試験は一次試験と異なり、「何をどう書いたら合格水準に到達するのか」のつかみどころが難しく、予備校の模試で常に合格水準であったり全国レベルで良い成績を修めている人でさえ、なぜかB~D判定を食らってしまうことも珍しくない試験です。

 

それゆえに、今の段階から「二次試験って、何をどうしたら点が取れるようになるんだろう?」を考えておくことは、ストレート合格を目指すうえで大きなアドバンテージになると思います。

では、いってみましょう。

 

 

まず二次試験に対する漠然とした苦手意識から脱却するために、前提として理解しておかなければならないことは、

 

二次試験で問われる「読む・考える・書く」のスキルは、国語のスキルとは同一ではない。

 

ということです。

国語は、日本語の文法や文脈を正しく理解し、その法則に沿って与えられた選択肢の中からより妥当なものを選ぶ試験。

二次試験は、与件文に描かれたストーリーを正しく整理して事例企業の現状を理解し、診断士としての知識を用いて、問われていることに答える試験。

このように、試験のルールもそこで求められているものも、明確に異なります。

実際に、国語が大の苦手で書くことが決して上手くない人でも、合格している人はたくさんいます。

 

この前提からスタートすることが、二次試験における「考える」の第一歩だと私は思っています。

すなわち「考える」とは、高度な持論を展開する思考ではなく、二次試験において「何が求められているのか」を実情に沿って正しく理解することなのです。

 

 

また、「書く」ことも決して、高度な論述力のことではありません。

これは以前、予備校の先生とも意見の一致を見たことがあるのですが、二次試験において求められている論述スキルとは、研究者が書く論文のような高度なロジックでも、優れた文筆家が著すような美文でもありません。

新卒一年目から学ぶような、「ビジネスライティング」のスキルが最も近いと思っています。

 

私は長年、執筆そのものや、プロのライターさんの書いた原稿をチェックすることが仕事の一部になっていますが、いずれの場合でも「ビジネスライティング」として見るときに常に最重要事項として置いているのが、「そこで求められていることに答えている文章になっているか」「ターゲットとして想定している人が読めば、誰でも一読でその趣旨を理解できるか」です。

これらを外している文章は、どんなに文法が整っていようと、美しいレトリックが用いられていようと、「駄文」であり「没」です。

 

社会人の方であれば、報告書などの文書やプレゼン資料を上司にチェックしてもらったときに、「何が言いたいか分からない」「もっと簡潔に分かりやすく書きなさい」と言われた経験がある方も多いのではないかと思います。

 

二次試験のA評価答案をたくさん読むと分かるかと思いますが、そのほとんどが、「簡潔に分かりやすい文章で、聞かれたことに対して明確に答えている」文章です。

 

そして、この「簡潔に分かりやすい文章」で「明確に答える」やり方は、ある程度「解答フレーム」としてパターン化することが可能です。

(具体的にどんなパターンがあるのかについては、予備校や市販のテキスト、合格者の答案を分析すれば同じフレームが繰り返し出てくることに気付くかと思います)

 

文章を書くことが苦手な人でも、「解答フレーム=解答のルール、お作法」さえきちんと理解しておけば、あとは一次知識や与件文の内容を対応付けるだけの“穴埋め試験”にすることができるのです。

実際に、合格者で書くことが苦手だった人のほとんどが、「解答フレーム」をうまく活用しています。

 

二次試験を始められた方にとっては、まず、この「合格答案のレベル感」をつかむことが何よりも大事です。

私は「ふぞろいな合格答案」の制作を通してたくさんの再現答案を読んだことで、解答を見れば「これは合格レベルだな」「ここが足りないからちょっと厳しいな」というのが何となく分かるようになりました。

これは別に特別なスキルでもなんでもなく、予備校や勉強会で指導している人の多くが、そういう眼を持てるようになっています。

そして、これは受験生であってもできることだと思います。

A評価答案をなるべく数多く読んでそれらの共通項を考え、合格のレベル感を頭の中に叩き込むこと。

そして自分の解答と合格答案を比較して、それを書けるようになるために何が足りないかを考え、そのギャップを埋めるために必要な対策を考えること。

過去に何度か書いてきましたが、二次試験対策とは、この繰り返しに他なりません。

 

 

ここまで読んで、何を考えるべきなのかと書き方のパターンがあることは分かったけど、それでもやっぱり与件文に向き合うと、何をどう書いていいのかよくわからない…という方もいらっしゃると思います。

それはなぜでしょうか?

ひとつ、可能性の高い答えを提示するなら、私はこう考えています。

 

以前の記事でも書きましたが、合格答案のレベル感を掴んだうえで、それでも「何をどう書いていいか分からない」場合の多くは、そもそも与件文を正しく「読む」ことができていないパターンが非常に多いです。

読み返してみて、「チェックしたはずなのに読み落としていた・・・」「与件文にヒントがあったのに気づかなかった・・・」というケースが多い方にお勧めしたい対策は、「過去問の与件文を読んで、整理・要約するトレーニング」です。

 

新聞のコラム記事などの要約トレーニングを対策として取り入れていらっしゃる方も多いかと思いますが、私自身は、最も優れた要約教材は過去問の与件文だと思っています。

 

・事例企業の課題は何で、向かうべき方向は何か?

・SWOTはそれぞれ何か?

・創業から現在に至るまでの成長の経緯は何か?

・組織人事、マーケティング・流通、運営管理、財務の観点から、事例企業の現状に対応付けられる一次知識は何か?

 

これらの軸に沿って与件文を整理してみると、読めていないポイント、気づかなかったヒントが隠れていることに気付くのではないかと思います。

以前、「与件文は社長のとりとめのないヒアリングシート」とあるセミナーで説明したことがありますが、診断士として要約・整理する視点で与件文を読むと、読む精度は大きく上がるはずです。

 

「読む・書く・考える」の具体的な対策方法については、歴代道場メンバーもお答えしていますので、そちらも参考にしてみてくださいね。

 

どんなに読み書きに苦手意識があっても、正しく試験のルールと合格レベルさえ理解し、求められているものに答えるべく思考錯誤できるならば、二次試験はとてもシンプルにできていることに気づかれるのではないかと思います。

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